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月刊ROBOTウォッチング
~心機一転、MANOI企画設立!
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【 2009/04/15 】
ノモケンの「素組でロボット」
バンダイ 1/100スケール MG「RX-78-2 ガンダム Ver.2.0」(その2)
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世界最小級の二足歩行ロボット「ROBO-Q」レビュー
~全高3.4cmの超小型ロボットが自律動作する!
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【 2009/04/03 】
石井英男のロボットキットレビュー
ヴイストン「Beauto Balancer」
~倒立振子制御を手軽に学べる工作キット
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通りすがりのロボットウォッチャー
男の憧れか? 女性型ロボット
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「新型ASIMO」のフィギュアが登場!
~フィギュアで実感、ASIMOの進化~
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バンダイ 1/72スケール「VF-25F メサイアバルキリー アルト機」(その3)
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【 2009/03/11 】
ノモケンの「素組でロボット」
バンダイ 1/72スケール「VF-25F メサイアバルキリー アルト機」(その2)
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【 2009/03/06 】
月刊ROBOTウォッチング
~2月はエンタメ路線を爆走!?
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【 2009/02/27 】
通りすがりのロボットウォッチャー
脳とロボットを直接つなぐBMI
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2007年のロボットシーン総括

Reported by 森山和道

 2年に一度の「国際ロボット展」が盛況に終わり、「今年のロボット」大賞がおおかたの予想通り、ファナックの「高速ハンドリングロボット」に決まった。ホンダ「ASIMO」によるデリバリサービスの試験運用が始まった2007年も、そろそろ終わりである。昨年同様、ここで一度2007年をふりかえっておこう。

 2007年のロボットシーンは、上がったり下がったり、総じて言えば中くらいやや右下がり、といったところだったように思う。「2007国際ロボット展」ではそれがはっきり出た。世界的な設備投資増加に伴い出展者側も来場者側も勢いがあった産業用ロボットゾーンに対し、2年前は同年に行なわれていた万博に展示されたロボットが再び一気に出展されて活況を呈していたものの、今年はその焼き直しのような色が濃かったサービスロボットゾーンは、それほど目新しさもなく目玉と言える展示もなかった。だがベンチャーなど出展者数は多く、海外からの出展もあり、寂しい感じはなかった。踊り場にさしかかり一時期のような勢いは低下してはいるものの、プレイヤーの数は増大しているため、総体としてはそれほど変化なし、といったところだろうか。


ファナックの高速ハンドリングロボット デリバリサービスの試験運用が始まったASIMO

2007年のロボットビジネス・シーン

iRobot「Roomba 570」。国内ではセールス・オンデマンドが販売
 iRobot社は4月にプール清掃ロボットを販売開始した。8月には各種改良を施した新型掃除ロボット「Roomba 500」を発表した。同社会長ヘレン・グレイナー氏は国際ロボット展にも招聘され講演を行なった。あくまでお客が単に欲しがるだけではなく「喜んでお金を払ってくれるものを作ろうとしている」という。

 経済産業省によればロボット関連特許は日本が突出しているそうだ。しかしながら家庭用サービスロボット分野、特にその実用化においては、やや遅れを取っているように見える。

 ホンダは「新型ASIMO」を4月に日本科学未来館に納入した。そして12月にはASIMOを実社会へと一歩進めた。以前からホンダ社内で行なっていたASIMOのデリバリー実験を社外の人間もアクセスする商談ブースで提供し始めたのだ。12月12日から2008年1月31日までの限定的試験運用だが、おいおい時間や実施される場所も増えていくのではなかろうか。研究では10月に、ドイツ・ビーレフェルト大学へ「ASIMO」を貸与して知能化技術の共同研究を行なうとリリースした。

 トヨタは4月にロボットの開発拠点を愛知県豊田市・広瀬工場に新設したと報道された。8月には同社トヨタ会館を案内する自律移動ロボット「ロビーナ」、9月には学会での講演で時速7kmで走るロボット、12月にはバイオリンを演奏するロボットと人が乗車できる倒立2輪の新型ロボット「モビロ」を発表した。

 また、10月に行なわれた「第40回東京モーターショー」では、万博に登場した「i-Unit」をさらに発展させた「i-REAL」を出展していた。モーターショーでは他にも日産自動車がNECと共同でロボット搭載カー「PIVO 2」を開発するなどロボット関連技術の応用がいくつかあり、多くの注目を集めた。


トヨタ「ロビーナ」 トヨタ「バイオリン演奏ロボット」 トヨタ「モビロ」

 かつてAIBOを発売していたソニーは、動き回る小型音楽プレイヤー「Rolly」を9月に発表した。ソニーではロボットという言葉は使わず「サウンドエンターテイメントプレイヤー」と呼んでいる。また、QRIOを使った研究の論文が11月に発表され、基礎研究はまだ続いていることをうかがわせた。

 NECは5月に全高25cmの「PaPeRo-mini」を開発したと発表したが、イベントブース等に登場するのは従来型のPaPeRoで、まだあまり一般には公開されていない。

 日立製作所は11月に倒立2輪-4輪に変形する小型ヒューマノイドロボット「EMIEW 2」を発表した。社内の研究用プラットフォームとして使っていくという。


ソニー「Rolly」 NEC「PaPeRo-mini」 日立「EMIEW 2」

 富士通は9月に同社の案内ロボット「enon」を西村京太郎記念館に導入した。enonが実証実験ではなく実際に導入されたのは初めて。

 綜合警備保障株式会社(ALSOK)は同社の警備ロボットシステム「リボーグQ」にオムロンが開発した顔認証機能を搭載し、ロボットが動き回りながら不審人物を発見できるようにした。実証実験を重ね、2008年以降の本格導入を目指す。

 村田製作所の「ムラタセイサク君」は今年もIT機器の総合展示会「CEATEC」に登場し、人垣を作っていた。

 大阪ミナミのアメリカ村には、今年6月からRT(ロボットテクノロジー)を活用したセキュリティシステム「ロボットロケーター」が導入され、11月には本格的に稼働を始めた。開発したのは警備保障会社の株式会社NSJだ。


作家の西村京太郎氏とenon 綜合警備保障「リボーグQ」 村田製作所「ムラタセイサク君」

 今年はマイクロソフトも国内で、同社の統合開発・実行環境「Microsoft Robotics Studio」関連で少し動きを見せ始めた。まず9月初旬にテムザックと、同月中旬にはZMP社と協業すると発表したのだ。ただし協業はあくまで技術・マーケティング領域におけるもので資本的なものはないという。11月末には、ZMP、MS、双葉電子工業3社でロボット教材「e-nuvo WALK ver.3」を開発したと共同記者会見で発表した。今後、「Microsoft Robotics Studio」の利用が進むのだろうか。

 なお「今年のロボット大賞」2007では、産総研などがすすめている「RTミドルウェア(OpenRTM-aist-0.4.0)」、デンソーウェーブ他が進めているロボット・FA機器向けオープンネットワークインタフェース「ORiN」の二つが共に優秀賞に選ばれていることも合わせて挙げておきたい。

 また産総研知能システム研究部門とロボットサービスイニシアチブ(RSi)は8月末に両者のロボット向け標準化技術の相互利用を推進すると発表している。


テムザックと協業を発表したマイクロソフト ZMPは、マイクロソフト、双葉電子工業と協業し、ロボット教材「e-nuvo WALK ver.3」を開発

 大和ハウスの動きも面白い。昨年10月には住宅床下点検ロボット「Iris」を千葉工大らと共同開発したことを発表していたが、今年2月にはパワードスーツ「HAL」で知られる筑波大学・山海教授のCYBERDYNE株式会社との業務提携を発表した。これからロボットに対して、どのように力を入れてくるのか注目である。

 直接の関係はないようだが、株式会社ゼットエムピー(ZMP)の「miuro」関連の発表も、自律移動用ソフトウェアなど一部は、大和ハウスのショールームで行なわれた。miuroは今年、「PCコントローラ」など予定されていた追加ソフトウェアを順次発売。東大・池上研究室とのコラボレーションも行なっており、miuroは「今年のロボット」大賞2007・中小企業特別賞を受賞した。

 また同社は教育用ロボット教材2種もリニューアルして販売を開始した。いろいろな動きを見せるZMPだが、11月には同社のほか、富士重工の前社長竹中恭二氏が代表取締役を務める株式会社FRI、総合人材サービス大手の株式会社パソナテックと3社で、ロボット工学分野の資格認定を実施する「株式会社ロボテスト」を設立した。ロボット工学分野に関連する各種教育プログラムの提供、認定資格の発行、検定試験の実施などを行ない、人材を養成していくという。

 福岡県のベンチャー企業・メカトラックスは、2足歩行ロボットにクレーンキャッチャーをさせる「ロボキャッチャー」を展開しはじめた。アミューズメントマシンショーなどイベントでは注目されている。

 スピーシーズ株式会社は同社が発売中の二足歩行ロボットにカメラを搭載した新型モデル「SPC-101C」を発表した。これまでは対象を一般ユーザーとしていたがソフトウェア開発者とした。


ZMP「miuro」 メカトラックス「ロボキャッチャー」 スピーシーズ「SPC-101C」

 8月、シロアリ防除業務を手がける株式会社アサンテとNPO法人国際レスキューシステム研究機構(IRS)は「家屋調査・シロアリ防除ロボット」を開発し、鎌倉市の「鎌倉宮」拝殿にて公開デモンストレーションを行なった。改良版は国際ロボット展でも出展されており、実用化に向けた努力が続けられているようだ。

 床下点検などに使えるクローラ型のロボットは各社から発表された。トピー工業三洋電機等だ。また同様の小型ロボットは防衛省技術研究本部でも開発されている


 日本SGIは引き続き「セグウェイ」の販売を行なっており、2007年からはオフロードモデル、研究開発用プラットフォームモデルの取り扱いも始めた。5月からはセグウェイによる観光ツアーも始まっている。


アサンテとIRSは「鎌倉宮」拝殿で家屋調査・シロアリ防除ロボット「ミルボ」を公開 トピー工業の特大型クローラロボット「T-01」

三洋電機「床下点検ロボット」 日本SGI「セグウェイRMP200」

 7月には株式会社安川電機の「MOTOMAN DIA10」ほか産業用ロボット計4台が、北九州市小倉の夏祭り「小倉祇園太鼓」にて開催された「小倉祇園太鼓競演大会」の開会式にて特別出演し、伝統の太鼓叩きを披露した。11月には同社はさらにスリムになった双腕ロボット「MOTOMAN-SDA10」を発表。12月から受注を開始し、2008年度で1,200台、2010年以降は年間3,000台の販売を目指すとした。同じく11月には研究開発中のサービスロボット「SmartPal V」も発表され、合わせて国際ロボット展でも出展した。


安川電機のロボットは小倉祇園太鼓競演大会に出演 安川電機「MOTOMAN-SDA10」 安川電機「SmartPal V」

2007年の研究開発シーン

 東大は1月にVRやロボットを融合した「実世界ショールーム」を報道公開した。21世紀COE情報科学技術戦略コア「実世界情報システムプロジェクト」の最終成果デモだ。ATRはネットワークロボット技術の公開実験を実施した。また7月にはICタグを使ったサービス提供の実証実験を行なった。財団法人 大阪市都市型産業振興センターとロボットラボラトリーは、12月10日~25日の15日間、ユニバーサルシティウォーク大阪(TM)において、ロボットの実証実験を行なった。いずれも次世代の機械によるサービス提供を探ることを目的としたもので、ネットワークで繋がった異種のデバイスが協調して、ユーザーに対してサービスを提供するというコンセプトは共通している。次世代ロボットの基盤共通化は学会でも議論されているが、まだなかなか進んでいない。

 街中でのロボット運用や実験は今年もいろいろ行なわれた。大阪のほか、6月には「ロボットと出会うまち・福岡」としてJR博多駅・天神でのロボット運用実験が行なわれた。

 産学協働でロボカップに出場する「TeamOSAKA」は新型機を開発し、「ロボカップ・ジャパン・オープン」で4連覇を成し遂げた。出場したロボットの販売も9月からヴイストンによって行なわれている。ロボットだけではなくCPUボードや全方位カメラサーボ単体でも販売されている。


 理化学研究所は8月に東海ゴムと、12月にはトヨタと、それぞれロボットや脳科学の研究を行なう連携センターを設立した。なお理研は、富士通とも共同で、将棋をしているときの脳の働きを調べると8月に発表している。また、10月には名古屋大学、NTTドコモ東海らと共同で、内視鏡手術中に必要な器具を術者へ渡すロボットを開発したことを発表した。

 イクシスリサーチは7月に犬型4脚ロボット「Bj」を発表した。もともとはソニー「AIBO」の販売停止にともなってロボカップ4脚リーグの代替機を目指して開発したものと思われるが、8月にロボカップ国際委員会から、4脚リーグは廃止され、二足歩行ロボット「Aldebaran Nao」による新競技「Standard Platform League」が設立されることが発表された。


ヴイストン「VisiON 4G」 ヴイストン「Vstone810」 イクシスリサーチ「Bj」

 独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)は6月に新型ヒューマノイドロボット「HRP-3 Promet Mk-II」を発表。遠隔操縦で電動ドリルでナットを締めるデモを行なった。本誌ではこれまでずっとHRPシリーズのロボットを操縦してきた川崎重工業の蓮沼氏へのインタビューも合わせて掲載して、レポートした

 早稲田大学は3月に新たなヒューマノイド・生物医学ロボット工学の日伊共同研究所「ロボット庵」を開設。合わせてシンポジウムも開いた。11月末には早稲田大学菅野研究室が多くの機能を統合した人間共存ロボット「TWENDY-ONE」を発表した。今後、人間支援作業を知的に行なうためのシステム作りを進めていくという。


産総研「HRP-3 Promet Mk-II」 早稲田大学「TWENDY-ONE」

 6月、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業 ERATO型研究「浅田共創知能システムプロジェクト」は、柔らかい肌と柔構造を持つ子供型ヒューマノイド「CB2(Child-robot with Biomimetic Body)」を発表した。同研究プロジェクトの一環として、社会的共創知能グループが開発したロボットだ。真っ白いボディ、子どもを思わせる動きは一般メディアでも広く報道され、多くの注目を集めた。実際には認知発達研究に用いられる。

 独立行政法人情報通信研究機構(NiCT)は6月には対話と行動を学習するロボット技術を開発したと発表した。10月にはヒューマノイドロボット「i-1」を発表。こちらは「ユニバーサルコミュニケーション技術」研究の一環として開発されたロボットで、機械が人間と非言語コミュニケーション(ジェスチャーや視線、うなずき、イントネーションなど言語以外のコミュニケーション手段)を使ってコミュニケーションを行なうための基礎技術の研究開発に用いられる。

 千葉工業大学未来ロボット技術研究センターとリーディング・エッジ・デザイン(L.E.D.)は、7月に「多関節ホイール・モジュール」を使用した移動ロボット「Halluc II」を発表した。このロボットと操縦するための多関節ロボット用没入型コックピットは日本科学未来館に納入されており、体験できる。


浅田共創知能システムプロジェクト「CB2」 NICT「i-1」 千葉工業大学未来ロボット技術研究センターとリーディング・エッジ・デザイン(L.E.D.)による「Halluc II」

 NPO法人国際レスキューシステム研究機構は9月に「RT応用メッシュネットセンサによるユビキタス防災・防犯システム」の研究成果を公開した。普段は防犯システム、非常時にはレスキューシステムとして稼動できる次世代防災システムだ。

 今年、JAXAは積極的に宇宙でのロボット活用をアピールするシンポジウムや記者向け勉強会を開催した。3月には日本国内の宇宙ロボティックス技術の向上を目的とする「宇宙ロボットフォーラム」を設立し、5月7月にはシンポジウムも開かれた、。

 宇宙探査の世界ではGoogleが民間資本で月を目指す「Lunar X-PRIZE」のスポンサーになってトータルで3,000万ドルの賞金を出すと発表するという動きもあった。

 3月には「2007水中ロボットコンベンションin東京辰巳国際水泳場」も開催。三井造船は4月に水路点検用水中ロボット「RTV-KAM」4号機を発表した。

 テムザックは7月に腕部の制御に同期動作制御技術を導入した小型レスキューロボット「T-53援竜」を発表した。このロボットは8月には中越沖地震で被災した新潟県柏崎市に実際に派遣され、現地で瓦礫の撤去作業を行なった。その様子は後に「レスコンシンポジウム2007」でも紹介された。


テムザック「T-53援竜」 中越沖地震で被災した新潟県柏崎市で実際に活動した「T-53援竜」

 11月には自律型ロボットによる屋外競技「つくばチャレンジ[Real World Challenge(RWRC)]」が開催され、3台のロボットが完走した。来年1月12日には「つくばチャレンジ開催記念シンポジウム」も開催される予定だ。この分野では「GPSロボットカー学生コンテスト」というロボコンも行なわれている。いっぽう国外では、同じく11月に模擬市街地での無人ロボット車レース「DARPA Urban Challenge」が行なわれ、こちらはカーネギーメロン大学のチームが優勝した。

 経済産業省は7月に「次世代ロボット安全性確保ガイドライン」を公表している。今後ガイドラインは運用を通して見直ししていく予定だという。


ホビーロボット、教育用ロボット

 ホビーロボット業界では、今年は小さなイベントの数が非常に増えた。今年も行なわれた「アキバロボット運動会」のほか、京商「マノイ」のアスレチクスカップや近藤科学のサッカーイベント「KONDO CUP」も数度行なわれ盛況だったようだ。そのほかイベントの内容も、バトルやサッカー、スプリント競技などさまざまである。また、イベント開催主体も企業だけではなくバラエティに富んでいる。

 何より、これまで大都市でしか行なわれていなかったホビーロボットイベントが、徐々に地方へも広がりはじめた。ロボットは実物を見ないとなかなか魅力が伝わりにくいし、伝えにくいものなので、これは喜ばしいことである。なおロボットサッカー「KONDO CUP」では来年からフィールドが広くなるという。

 京商は期待されていた「マノイ PF01」をついに発売した。先行販売モデルは4月1日から、通常販売モデルは6月1日からの発売となった。

 タカラトミーは1月に「Omnibot17μ i-SOBOT」を正式発表。「東京おもちゃショー2007」でも注目され、当初は7月に発売としていたが、結局発売は10月末までずれこんだ。なお本誌では分解・解析記事を掲載している。「i-SOBOT」は7月には世界で最も小さな人型の量産ロボット」としてギネスブックにも認定された

 株式会社エイチ.ピー.アイ.ジャパンは3月にホビー用2足歩行ロボットキット「G-ROBOTS」を発売開始した。詳細な製品レビューはこちらにある。


京商「マノイ PF01」先行販売モデル 京商「マノイ PF01」通常販売モデル

タカラトミー「Omnibot17μ i-SOBOT」 エイチ.ピー.アイ.ジャパン「G-ROBOTS」

 エスケイパンが展開している小型ロボットキット「Gogic」シリーズは、イーケイジャパンから発売されることになった。エスケイパンでは10月に「Gogic Five」の拡張キットとして車に変形して走行可能な「Gogic Racer」も発表しており、手軽に入手可能な楽しいロボットキットとなることが期待される。

 株式会社ビジネスデザイン研究所は、米UGOBE社が開発した恐竜型ロボット「PLEO」の国内での販売代理店となった。12月1日から予約開始した1次出荷分1,000台は一週間で完売した。現在は2次出荷分の予約受付を開始している。詳しい商品レビューはこちらをご覧頂きたい。


エスケイパン「Gogic Five」 米UGOBE「PLEO」

 ホビーイストたちによる2足歩行ロボット競技大会「ROBO-ONE」は、今年は3月に初の有料イベントとなった「第11回ROBO-ONE IN 後楽園ホール」、9月には初の四国での開催となった「第12回ROBO-ONE in 高松」が行なわれた。第11回大会は「ヨコヅナグレート不知火2代目」が総合優勝、第12回大会では韓国チーム「GADGET2」が総合優勝した。第11回、第12回ともに、軽量級で優勝したのは、くぱぱ&くまま夫妻の「クロムキッド(第11回)」、「ガルー(第12回)」。

 ヴイストンは8月におそうじ機能付台車型ロボット教材「Beauto」を発売した。拡張パーツを使えばロボカップジュニアへも挑戦可能なロボットだ。他社とヴィストンが違うところは、発表したときから大阪市ほかで構成される「ロボット人材育成プロジェクト実行委員会」が1,300名の小中学生に対して実施する「未来のロボット技術者育成プログラム」の教材に採用されていた点だ。


第11回ROBO-ONE大会で優勝したDr.GIYさんと「ヨコヅナグレート不知火2代目」 第12回ROBO-ONE大会は韓国「GADGET 2」が総合優勝 ヴイストンのおそうじ機能付台車型ロボット教材「Beauto」

最後に「ロボット文化」と実際のロボット

 福岡県博多区のロボット体験スペース「ロボスクエア」は7月に博多リバレインから福岡市早良区百道浜にあるTNC放送会館の2階に移転してリニューアルした。いっぽう、ジャイロウォークが運営していた名古屋の「ロボットミュージアム」は9月末に閉館となった。

 やじうまネタとして目立ったのはやはり「ガンダム」である。今年も、全高10mの「ガンダム立佞武多」、純プラチナ製ガンダム富士急ハイランドの「1/1ガンダム」など、さまざまなものが話題を呼んだ。

 バンダイが10月に発表したPCに接続して遊べる「電脳超合金タチコマ」も人気を博した。動きはしないがPCにUSBで接続すると「エージェント」が起動するという趣向で、こちらは2月に発売予定だ。


富士急ハイランドの「1/1ガンダム」 バンダイとGINZA TANAKAが共同開発した「純プラチナ製 ガンダム」 バンダイ「電脳超合金タチコマ」

 また昨年、パンダ型ロボットスーツを発表したビルドアップは今年はお酢ロボットを発表した。

 上野公園の国立科学博物館で2007年10月23日(火)~2008年1月27日(日)まで開催中の「大ロボット博」では、古今東西のロボット、あるいはロボット的なものが混在して展示されている。ロボット文化と実際のロボットが入り交じる風景は独特である。基本的にはロボットは静展示だが、ASIMOのショーには行列もできているようだ。また一晩だけ行なわれた「プレミアムナイト」では、アニメーション監督の押井守氏が演出を手がけ、一部シーンではホンダ「ASIMO」とトヨタの「i-Unit」の競演もあった。


ビルドアップの「お酢ロボット」 ロボット博は2008年1月27日まで開催 大ロボット博プレミアムナイトでの一幕

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2007/12/27 20:43

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