東京・上野公園内にある国立科学博物館にて、「大ロボット博~からくりからアニメ、最新ロボットまで~」が開催される。企画・運営は読売新聞東京本社、日本テレビ放送網、国立科学博物館。会期は2007年10月23日(火)~2008年1月27日(日)まで。入館料は一般・大学生が1,400円、小中高校生は600円。開館時間は午前9時~午後5時まで(金曜日は夜間開館午後8時まで。入館は各閉館時間の30分前まで)。休館日は毎週月曜日と12月28日~1月1日、1月15日。
会場内には実際のロボットが展示されているほか、アニメのロボットの人形や、各種からくり人形などが展示されている。そのほか、会期中にはトヨタ・パートナーロボットによるコンサート、サッカーマッチ、からくり実演などの各種ステージショーも行なわれる。スケジュールは公式ホームページを参照してほしい。
会場は、第一会場と第二会場に分けられている。第一会場がメイン会場で、第二会場ではホンダ「ASIMO」による、未来の家庭におけるロボットの活躍をイメージした寸劇が行なわれる。
開催前日の22日には、開会式ならびにプレスと招待者向けの内覧会が行なわれた。会場内の様子をお届けする。
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上野・国立科学博物館
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大ロボット博看板
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国立科学博物館館長 佐々木正峰氏、文部科学省 文部科学審議官 玉井日出夫氏、読売新聞東京本社代表取締役社長 老川祥一氏、日本テレビ放送網 代表取締役社長執行役員 久保伸太郎氏による開会式でのテープカット
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● 日本人は、なぜロボットが好きなのか?
まず会場に入る前の入り口では、富士重工業による地雷探知ロボットがデモを行なっていた。「2005国際ロボット展(iREX2005)」でも展示されていたロボットシステムで、クロアチアなどでテストを行なったという。地雷を爆破して除去するのではなく、事前に探知することを目的としている。
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地雷探知ロボットシステム
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二本の作業アームで地雷探知と破片除去作業を行なう
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後方は支援車両で、こちらから遠隔操縦できる
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会場に入って最初に目にとまるのは「ロボットが好き!?」と書かれた垂れ幕。「大ロボット博」の監修を行なった国立科学博物館 理工学研究部 科学技術史グループ研究主幹の鈴木一義氏によれば、これは、われわれ日本人はロボットが好きだが、それはなぜなのか、と考えさせるものだという。
われわれが「ロボットが好きだ」というときには、技術的な、すなわち実際のロボットだけではなく、アニメやマンガなどフィクションのロボットや、ロボット文化全体も含めて「好きだ」と言っていることが少なくない。会場内の展示が、実際のロボットを使った「ロボット技術」と、アニメーションやからくりなど「ロボット文化」を混在した形式をとっているのも、我々のロボットに対する姿勢を再確認し、考えさせるためだという。
「日本はロボットでは最先端を行なっている。だから、ロボットについて世界に対する説明責任を持っている国は日本だ。いまロボットは社会に入り始め、コミュニケーションをとるようになり、デザインをまといはじめた。ロボット技術の始まりを見てもらいたい」と鈴木氏は語った。
なお会場内で展示を説明する音声ガイドはタレントの安めぐみさんが務めている。
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「ロボットが好き!?」
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国立科学博物館 理工学研究部 科学技術史グループ研究主幹 鈴木一義氏
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音声ガイド端末
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ロボットオモチャの数々
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バンダイによるガンプラの数々も展示されている
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メインステージには2005年の「愛知万博(愛・地球博)」の共同館「夢見る山」で総合演出を押井守氏が務めて披露された、「汎」と「六将」が真ん中に据えられている。地球、自然と人間の一体化を究極のロボット化としてイメージしたもので、今回の展示のために一部改修されている。
プレス公開時には、このメインステージで千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)による脚車輪ロボット「Halluc 2(ハルク・ツー)」、レスキューロボット「Kenaf(ケナフ)」や、東北大学・野村ユニソン株式会社・有限会社トロワゾのダンスパートナーロボット「PBDR」、九州工業大学のピアノロボット「FMT-1」の紹介などが行なわれた。
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メインステージ
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「汎」。頭部のバイザー部分などは今回取り付けられたもの
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fuRo所長・古田貴之氏による「Halluc 2」のデモ
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【動画】斜めになった坂でも車体をほぼ水平に保ったまま降りることができる
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ピアノロボット「FMT-1」
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二足歩行ロボットによるサッカーのデモの様子
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そのほか、会場内の展示の模様を写真でご紹介する。「ガンダム」や「マジンガーZ」などアニメのロボットの人形、鉄腕アトム歴史的に貴重なからくり人形、そして現在の実際のロボット各種が混在した形で展示されている。混沌とした風景は、いまの日本におけるロボットを取り巻く状況、あるいは日本人のロボットに対する心象風景を象徴しているのかもしれない。
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会場内の展示の模様
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「ロボット」と名前のつくものが混在した状態で展示されている
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マジンガーZとセコムの警備ロボット、そしてトヨタ・パートナーロボット
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マジンガーZはロケットパンチを放った状態
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トヨタのロボットによるコンサートは12月18日から
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万博で活躍したDJロボット
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万博では遠くからしか見られなかったが間近で見られる
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昨年の経済産業省「今年のロボット大賞」をとった富士重工業の掃除ロボット
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エプソンのマイクロフライングロボット「μFR-II」
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各種マイクロロボットも展示されている
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犬山祭車山・住吉臺・1/2モデル。愛知県犬山市の「犬山祭」ではこれにからくり人形が搭載されて街をねりあるく。釘はまったく使われていない
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各種からくり人形
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うちわ扇ぎ人形。明治時代に作られたもの
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鉄腕アトム関連展示コーナー
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手塚治虫氏の遺品や手書き原稿も展示されている
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ロボット展の様子を描いた原稿
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アザラシ型ロボット「パロ」は相変わらず人々を癒していた
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産総研のHRP-2、ソニーのAIBO、NECのPaPeRo、バンダイ・ドラえもんロボットなど
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ガンダムの模型と筑波大学のパワードスーツ「HAL」
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三菱重工業「wakamaru」
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安川電機「Smart Pal」
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東芝「ApriAlpha」
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近藤科学「KHR-2」。KHR-2は操縦体験もできる
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早稲田大学による「WABOT」。日本におけるヒューマノイド研究の原点だ
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山崎津義氏による「文字書き人形」と山梨大学で1978年に開発された「スカラロボット」。いまも研究用に使われているという
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東洋プレス工業株式会社による「ガイアスーツ」。転がりと滑り摩擦をコントロールする部品を使って負荷を軽減しようとする試み
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九州大学大学院芸術工学府 源田研究室による3DCG+アニマトロニクスによる顔表現
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【動画】その動き
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千葉工大morphとHallucigenia
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日本工学院による各種ロボット展示
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ファナックによる産業用知能ロボット。いずれも視覚センサを使って部品を見ている
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【動画】高速ハンドリングロボット「M-430iA」によるデモ
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【動画】バラ積み部品取り出し知能ロボット「M-16iA」による
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第一会場の出口近くには物販コーナーがある。ここから先には物販コーナーはないので、お土産としてロボットグッズを買うならここで買ってから第二会場に進もう。
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記念グッズ・ショップ
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公式カタログは1,800円
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ロボットトイのほか「KHR-2」などホビーロボットも販売されている
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● 第二会場 ~ASIMOのいる未来の家庭
第二会場で展示されているのはホンダ「ASIMO」と、そこに至るまでの「P2」、「P3」、そして解説パネルだ。正面にはステージがあり、「新型ASIMO」が走行やデリバリーのデモを行なう。デモは30分置きに1日15回行なわれる予定。
デモは寸劇仕立てで、ASIMOがやってきた未来の家庭をイメージされたもの。4人家族それぞれとの関わり方をサッカー、ダンス、デリバリー、走行で演じる。
なお、株式会社本田技術研究所 基礎技術研究センター第2研究室室長で上席研究員の広瀬真人氏によれば、「2015年ごろ」を想定しているそうだ。広瀬氏は「走行も環境に素早く応答できることを示すための技術の一つ。ASIMOは実環境で本当に役立つことを目指している。応援してほしい」と本誌に語った。
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手前から「P2」「P3」「ASIMO」
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「P2」
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頭部内部のカメラの様子もよく見える
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「P3」
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「ASIMO」
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ASIMOにいたるホンダ・ヒューマノイド開発の歴史
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新型ASIMOの機能に関する詳しい説明もパネルで
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株式会社本田技術研究所 基礎技術研究センター第2研究室室長、上席研究員 広瀬真人氏
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デモは4人家族の家庭にASIMOがやってきたという設定
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【動画】登場。「一緒にサッカーの練習をしよう」という伝言メッセージがASIMOに届く
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【動画】「サッカーの練習をしておこう」と言いながらボールの前に移動する
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【動画】ボールの中心を、つま先で勢いよく蹴る
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【動画】またASIMOにお願いのメールが届く。今度はダンスの振り付け
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【動画】ダンスの振り付けを覚えようとするASIMO
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【動画】人間の動きに追いつくことは現在のASIMOではまだまだ困難
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【動画】お母さんのお客の好みをDBで検索、合わせた飲み物をデリバリーするASIMO
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【動画】お父さんが部屋に忘れた車のキーを取る真似をしたあと、走って届けるASIMO
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【動画】方向転換後、走って退場
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■URL
大ロボット博
http://www.robo2007.jp/
国立科学博物館
http://www.kahaku.go.jp/
( 森山和道 )
2007/10/23 00:07
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