本誌ではアニマトロニクス・スーツ(リアルパンダスーツ)で知られる株式会社ビルドアップが、プレゼンテーション用ロボット「プレゼン・ロボ TYPE 02」を受注・製作したことは既報のとおり。「はちみつ黒酢ダイエット」などの商品で知られるタマノイ酢株式会社が、2007年6月に創立100周年を迎えるにあたり、その記念事業の一環として発注されたものである。
ロボットは間もなくタマノイ酢(本社:大阪府堺市)に納入される。新築される本社ビルに設置される予定のハイビジョンシアターとロボットを使った、お酢のプレゼンシステムの一環として活用される予定だ。納入前のロボットを、目黒にあるビルドアップの工房にて見せてもらった。
身長180cmほどのロボットは小型エアサーボシリンダーで動作する。可動部分は24箇所。ボディはブラックで、黒酢をイメージしている。塗料は自動車などに用いられる偏向性のマジョーラ塗料が用いられており、メタリックな印象だ。
プレゼンテーションシステムや空間演出の世界では、音響や照明、映像はMIDI信号で統括制御されていることが多い。このロボットの動きもMIDIで制御されている。映像や音響にシンクロした動きを行なうためにはこのほうが良いという。
なお写真は、内部や土台部分はあまり見せたくないとのことで上半身中心である。ご了承頂きたい。
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正面。指し棒を持った先生風
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側面。腕はけっこう太い
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セクシーな曲線を持った背中
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目玉と口が輝く顔面
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マジョーラ塗料による塗装が施されたボディ
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下から見上げてみた
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お酢博士としてプレゼンテーションを行なう
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【動画】最初は寝ている博士ロボットが、別のロボットに起こされてお酢の歴史を解説しはじめるという趣向。実際にはハイビジョンシアターの脇でこの説明を行なう
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株式会社ビルドアップ代表取締役 岡部淳也氏
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ビルドアップは映画、CM、テレビ番組など各種アミューズメント・コンテンツを制作している会社だ。CGだけではなく造形そのほかも手がけている点が特徴で、最近は映像コンテンツと連動したキャラクター商品の開発なども手がけている。
株式会社ビルドアップの代表取締役 岡部淳也氏に経緯や今後について話を聞いた。岡部氏は、クリーチャーや特殊造形を使った特撮映画そのほかの監督としての顔も持っている。
ビルドアップでは、いまから10年以上前の1996年にも同様の「アクトロボ」を開発して、さまざまな外装をつけてアミューズメント施設や博物館に納入していたことがあり、今回のロボットはシリーズ第2弾という位置づけである。当時はアミューズメント施設が一種のブームであり、発注も多かったという。科学館の博士ロボットの類である。
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1996年に開発された「アクトロボ」
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アクトロボの全身
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顔の構造
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だがその後、文化施設全体が右肩下がりになり、同社でもいったんアミューズメントロボットの開発は止めていた。今回、もう一度開発を手がけようとしていたところに、ちょうどタマノイ酢から話が来たのだそうだ。ロボット単体ではなく映像や音響、演出そのほかの一括受注である。
特徴あるデザインは「ねらい」だという。最初からたとえば三頭身のロボットのようなものを持ってくるのではなく、敢えて一見とっつきにくそうな外見デザインのロボットが親しみやすい口調で分かりやすい説明を行なうことで、より強いインパクトを観客に与えようとしたのだそうだ。タマノイ酢側にもそのように説明し、デザイン面そのほか全てを請け負った。
今回のロボットには人間のような表情はない。だがリアルな表情を表現できるロボットを今後開発していく予定だ。
岡部氏は「ロボットは今は役に立っていないし、エンターテイメント。我々も『もの珍しさ』の面白みを追求していきたい。動きの演出や表情の出し方は、映像畑の僕らのほうがツボが分かっていると思う。演出では勝てる」と自信を語った。
■URL
ビルドアップ
http://www.buildup.co.jp/
タマノイ酢
http://www.tamanoi.co.jp/
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( 森山和道 )
2007/05/23 00:29
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