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TeamOSAKA、ロボカップ4連覇へ向けた新型機を発表

~VisiON後継機に加えて、新たに大型機も

 2007年4月26日、産学連携による共同開発を行なう「TeamOSAKA」は、ロボカップジャパンオープン2007(5月3日~5日・大阪市で開催)ヒューマノイドリーグの出場報告と、出場する新型機の披露会を大阪・此花区のヴイストン本社で行なった。

 2003年に結成されたTeam OSAKAは、その名の通り大阪市を中心とした関西圏の企業・大学が集まったドリームチームといえる存在である。従来からメンバーとなっているヴイストン株式会社、株式会社システクアカザワ、京都大学ベンチャー ロボ・ガレージ、大阪大学 石黒研究室、株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)に、今年からはオフィシャルサポーターとして日本遠隔制御株式会社、株式会社ピノーが加わった。

 冒頭、ヴイストンの代表取締役社長であり、現在TeamOSAKAの監督を務めている大和信夫氏は、今回のロボカップ ジャパンオープン参加について「2003年に結成したTeamOSAKAは、ミッションとしては2005年(に開催された大阪での世界大会)でいったん終わったと思っている。しかし、ロボットの要素技術の進化や大阪のものづくりを盛り上げるためにも、チャレンジしていこうということで今回の参加を決めた」と説明。

 同じくTeamOSAKAに参加するロボ・ガレージ代表の高橋智隆氏からは「昨年のドイツ大会(2006年ロボカップ ブレーメン大会)で他チームが我々に迫ってきていることが感じられた。このままやめてしまっては休んでいる間に追い越されてしまうという危機感がある。できることなら、ここで突き放しておきたい」、先代のTeamOSAKA監督でもある株式会社システクアカザワの赤澤洋平氏も「現在の監督である大和さんは常に高い目標を目指しているので、今年も優勝してくれるだろうと思っている」と続けた。


ヴイストン(株)代表取締役 大和信夫氏 ロボガレージ代表 高橋智隆氏 システクアカザワ(株)代表取締役社長 赤澤洋平氏

 そんなTeamOSAKAが送り出した新型機は2つ。1つは、ロボカップのヒューマノイドリーグキッズサイズ(身長300~600mm)で初出場から連覇し続けているVisiONシリーズの後継機「4G」である。

 「4th Generation」の略というのが命名の由来だが、“フォージー”という読みは英語の「FORGE(磨き上げる)」に通じ、昨年出場したVisiON TRYZをレベルアップさせた機体であることもあらわしている。

 特に、軽量化されたCPUボードや+40%のトルクアップが図られたサーボモーターなど、要素技術のブラッシュアップが大きく性能に寄与しており、歩行ロジックの改良もあいまって、従来のVisiONよりも30%ほどスピードアップを果たしたという。

 歩行スピードは正面ももちろんだが、斜め後ろに後ずさりしたりといった“サッカーらしい”動きを可能にする機動性の高さも持っており、TeamOSAKAでは「(AIBOを使用した)四足ロボットリーグなみの動きをさせたい」(高橋氏)という目標を持っているそうだ。

 また、“TRYZ”までは頭に載った全方位カメラ1つでフィールド全体を認識していたが、距離が離れたボールを見失ってしまうことも多く、スピードにも限界があるということで、“4G”では新たに斜め下を見るカメラを追加し、ボールとゴールの位置関係などをフォローできるようにした。全体のデザインを担当したロボ・ガレージの高橋氏はこのカメラをどこにつけるか悩んだ結果、“インカム”のように外付け感を出す方向に決めたという。

 このカメラの効果は高く、かつてのVisiONはシュート前に下を向く→距離確認→移動→確認……という流れになっていたが、今回はまったく足元を確認する動きがなく、足踏みをしながら動き、立ち止まってすぐにシュートが出せるようになっている。


VisiON 4G VisiON 4Gスペック 首部分にはショック吸収機構があり、“インカム”のようなカメラを保護する

【動画】VisiON 4Gの挨拶 【動画】華麗なステップ。前後左右に安定して動き回る

【動画】サッカーロボットの面目躍如、シュート3連発 【動画】同じくサッカーロボットならではのPK勝負。このデモは無線コントロールではなく、本番と同じ自律モードで行なわれた。(キーパーのRB2000は無線)

 また、今年から新たにヒューマノイドリーグのティーンサイズ(身長800~1,600mm)に出場する二足歩行ロボットとして「Vstone810」が発表された。

 全高800mm、重量7.5kgと、VisiONに比べかなり大型の機体になっているため、各関節に使用しているサーボモーターは新開発された大型のもの。それを重くなるのを覚悟で全身28自由度に配置した。現在はまだ開発が間に合っていないためにトルク50kg程度の中間品が組み込まれているが、遅くとも6月にはトルク100kgクラスの新開発サーボモーターに置き換わる予定だという。

 CPUやコントロールボードは競技アルゴリズムをVisiONと共通化できるように、同じものが使用されている。

 大和氏は「小型のロボットはひと目で“これが自分たちを手伝ってはくれないな”とわかってしまう。大きなロボットは、小さなロボットとは違う未来像を見せてくれる。そこに挑戦したいという意味もあって、あえて会社の名前をつけた」と語った。


Vstone810。こちらのデザインに高橋氏はかかわっていない Vstone810スペック 各関節はカバーがかけられており、指を挟み込んだりすることがない

【動画】サーボモーターは中間品ということだが、歩行は安定している。自由度の多さも見て取れる 【動画】別の角度から。ちなみに歩いている音は胸のスピーカーから出ている

 昨年の“TRYZ”までは各部に高価なカーボンファイバー素材を使ったり、扱いがデリケートなリチウムポリマーバッテリを使用していたが、今年発表された2機はどちらもアルミ板金のフレームに重いニッケル水素バッテリという、むしろ「退化」したように見えるスペックとなった。

 じつは今回発表された2機はどちらの機体もロボカップ後に市販することを想定して作られており、量産品としてのコストや扱いやすさを優先した結果のチョイスなのだという。先にも触れたように、サーボモーターのパワーアップなどで、そういった重量増などはまったく影響がないような動きを見せており、ロボットとして進化しているのは間違いない。

 また、大パワーを扱うことになるVstone810は各関節に指などをはさみこむことのないよう、脇やひじなどが完全にたためないようなメカロックを機構を持たせたり、カバーをかぶせたりといった気も使われている。想定価格はVisiON 4Gが100万円以上、Vstone810は数百万ということで、販売先はホビーユーザーではなく研究機関などが対象になるようだ。

 Vstone810が「組みあがった」のが発表の前日、VisiON 4Gに至っては当日まで塗装をしていた(高橋氏の指先には黒い塗料が……)という厳しいスケジュールの中で挑戦するTeamOSAKAだが、直後に控えたロボカップジャパンオープンはもちろん、7月に米国アトランタで開催される世界大会での4連覇を見据えてハードウェア、ソフトウェアともに煮詰めているという。まずは5月3日~5日にインテックス大阪で行なわれるジャパンオープンを楽しみにしたい。


URL
  TeamOSAKA
  http://vstone.co.jp/top/products/robot/v2/index.html
  ロボカップ ジャパンオープン2007
  http://www.robocup-japanopen.org/index.html

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Team OSAKA、新型ロボット「VisiON TRYZ」を発表(2006/06/08)


( 梓みきお )
2007/04/27 19:39

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