2007年10月20日~21日の日程で、アキバロボット運動会2007が、東京・秋葉原のダイビル2F「コンベンションホール」と5F「カンファレンスルーム」で開催された。主催はNPO法人産学連携推進機構、後援に経済産業省関東経済産業局、千代田区、千代田区教育委員会、秋葉原電気街振興会、社団法人日本ロボット工業会。
● 「第一会場」1日目のメインステージは「サッカー」
今回のアキバロボット運動会のメインステージとなっていたのが、2Fコンベンションホールのスクリーン正面に設けられていた「ツクモスタジアム2007」である。2日間ともに二足歩行ロボットによる競技会が行なわれたが、20日がサッカー競技大会「第7回KONDO CUP」、21日は格闘大会「第2回ツクモCUPロボット・バトル大会」と、異なった競技が開催されていた。
まずは1日目に行なわれた第7回KONDO CUPの様子から見ていこう。近藤科学製の二足歩行ロボットキット、KHRシリーズを無改造ないし小改造で使用するKHRクラスは、6チームが3チームずつ2リーグに分かれ、勝ち点制で1位のチーム同士が決勝戦を戦うという方式が採られた。
「ミステイクス」「日本工学院八王子専門学校」「第2小隊(個人参加チーム)」によるAリーグからは、「日本工学院八王子専門学校」が2勝・無失点で決勝に進出。一方、「千葉工業大学TRYMARKS」「四川会ぶるぶる」「個人参加2」の3チームで争われたBリーグからは、「個人参加2」――つまりもともとのチームではなく、当日集まったメンバーによる即席チームが、同じく2勝、無失点で決勝に進出した。
無失点同士の戦いとなった決勝は、チームワークに勝った学生チーム・「日本工学院八王子専門学校」が3-0と圧勝。同チームは、夏に行なわれたKHR 3rdアニバーサリーの学校対抗クラスで2位となっているが、今回は社会人も含めたクラスでの勝利である。前衛の2機が一部のサーボモーターを強力なものに交換し、それを活かす股を大きく開いたモーションを多用するなど、的確な強化策が実ったのだろう。
機体に関するルールは「近藤科学製サーボモーターを使用した二足歩行ロボット」という条件くらいというオープンクラスは、参加希望チームが多数あり、抽選で選ばれた8チームが4チームずつの2リーグに分かれ、KHRクラスと同様のシステムで優勝を争った。
「トリニティ」「四川会まじまじ」「チームAero」「RFCバンブーブリッジ」の4チームが集まったAリーグはすべての試合が1点差以内という僅差のゲームとなったが、その中でしっかり3勝を挙げた「トリニティ」が決勝に進出。
「フラワー戦隊ナガレンジャー」「ロボット野郎Aチーム」「ワールドコミュニケーションズ」「ROBO道楽、」の4チームだったBリーグは、ROBO-ONE Special CUP優勝チームである「ロボット野郎Aチーム」が同じく3勝で決勝に進出した。
決勝戦はお互いにライバルと認め合う間柄だけに、激しいものになった。前がかりに攻め込む「ロボット野郎Aチーム」に対し、カウンター気味に戦った「トリニティ」はスローインから1点を押し込む。さらに猛攻をかけてくる「ロボット野郎Aチーム」のプレッシャーをはねのけ、その1点を守りきった「トリニティ」が勝利をおさめた。
決勝を戦った2チームは、この第7回終了時点でKONDO CUPを3勝ずつしている強豪だ。今後もこの2強時代が続くのか、割って入る第三勢力が現れるのか、今後に注目だ。
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【動画】オープンクラス決勝戦「ロボット野郎Aチーム」対「トリニティ」
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【動画】KHRクラス決勝戦「日本工学院八王子専門学校」対「個人参加2」
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オープンクラス優勝「トリニティ」
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KHRクラス優勝「日本工学院八王子専門学校」
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● 2日目は「徒競走→格闘大会」
21日は「第2回ツクモCUPロボット・バトル大会」。優勝者は2008年3月に行なわれる第13回ROBO-ONEの「秋葉原地区代表」の座も獲得できる。回を追うごとに厳しくなるROBO-ONEの予選を免除され、いきなり決勝トーナメントに出場できる権利が手に入るということで、ROBO-ONE常連のロボットも多く、総勢35機が参加した。出場者達は、まず16機が出場できる決勝トーナメントの椅子を巡って予選競技「2mダッシュ」に挑んだ。
トップタイムを記録したのは、前回のROBO-ONEで軽量級優勝を果たしているくまま氏の「ガルー」。タイムは驚異の3秒53! 本人いわく「こんなタイムになるとは予想していなかった」とのこと。うまくハマった結果だというが、くぱぱ氏が操る兄弟機の「クロムキッド」も4秒75と4位のタイムを叩き出しているのだから、やはり作りこまれたモーションが背景にあるはずだ。
上位16機のうち、15位までが10秒を切るという激戦だった今回の予選。昨年も同じ予選方法を採っていたが、昨年の1位「5秒60」は、今年に当てはめると9位になってしまうし、昨年ギリギリ決勝トーナメントに進んだ16位のタイム「31秒46」は、今回完走した中でもっとも遅かった30位(30秒19)より遅い。つまり、昨年ならどの機体も決勝に進めたようなレベルだったともいえるのだ。1年でこれだけ進化するとは恐ろしい。
予選結果からハイレベルな戦いが予想された決勝は、解説をつとめた千葉工業大学未来ロボット技術研究センター室長・先川原正浩氏をもってして「このあいだの(第12回)ROBO-ONEよりも面白い」と言わしめるほどのものになった。ルールはROBO-ONE準拠なので、スリップダウン2回で1ダウン、3ダウン先取という、見慣れたものだ。しかしどの機体も動きが速いため、めまぐるしく攻防が入れ替わる戦いになり、1回戦から観客がどっと沸く場面が続出したのである。
決勝に残ったのは、ハロウィンにあわせてロボットの衣装はもちろん、オペレーターのアリキオンママ氏までがカボチャの装いとなった「アリキオン」と、5kgというずば抜けた機体重量を生かして勝ち抜いてきたスギウラファミリー「ダイナマイザー」の2機。
大型機同士の試合ということもあってか、パンチが当たってもなかなか有効打にならず、より有利な角度を取ろうと、位置取りのせめぎあいが続く戦いとなった。そんな中、ダイナマイザーが1ダウンを奪う。アリキオンが必死に取り返そうとする中で両者が絡み合い、いったんブレイクして再開すると、ダイナマイザーの左腕が動いていないのが判明。しかしタイムを取ってしまえばみすみす同点にしてしまう。スギウラファミリーはここで残り時間が数十秒ということを踏まえて「逃げ切る」作戦を取った。しかし守りに入ったダイナマイザーにアリキオンが襲い掛かり、執念でダウンを奪う。片腕がきかないダイナマイザーは立ち上がることができず、そのまま10カウント。アリキオンがKO勝利で優勝を決めた。
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【動画】予選1位のガルー
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【動画】0秒15差で惜しくも次点(17位)だったが、市販キットベースで12秒28を記録したブラストチームの「ビリジアン」
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【動画】以前の記事で「擬音をつけたくなる」と書いたら、本当に音をつけてくれた「Kinopy」。6秒53で決勝に進出
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今回はリングサイドにカメラが据え付けられ、スクリーンでかぶりつきの映像を見ることができた。これはぜひ他の大会でも見たい。
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カメラが撮影した映像
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【動画】「automo 03(Sandan)」対「竜鬼II」。足を止めての打撃戦もまた興奮する
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【動画】「rsv3」対「ivre」。どちらもスピードに自信があるだけにポジションの取り合いになっているのがよくわかる
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【動画】「アリキオン」対「ダイナマイザー」による決勝の前半。もつれて転ぶまで
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【動画】「アリキオン」対「ダイナマイザー」による決勝後半。ダイナマイザーの腕が畳まれたままになっているのがわかる
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ツクモCUPロボット・バトル大会の上位入賞者。2位スギウラファミリー(左)、1位アリキオンママ氏(中)、3位くぱぱ氏(右)
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■URL
アキバロボット運動会2007
http://www.akibatechnopark.jp/project/robot2007.html
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( 梓みきお )
2007/10/31 00:37
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