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fuRoとL.E.D.、8本の脚・車輪を持った移動ロボット「Halluc II」を発表


 7月25日、千葉工業大学未来ロボット技術研究センターとリーディング・エッジ・デザイン(L.E.D.)は、「多関節ホイール・モジュール」を使用した移動ロボット「Halluc II(ハルク・ツー)」を発表した。2003年11月に1号機が発表された、ロボット技術と自動車技術を融合したプロジェクト「Hallucigenia(ハルキゲニア)」の次世代機。

 「Halluc II」は全長80.5cm、重量20kg。8本の脚・車輪を持った移動ロボット。自由度は40(関節32、タイヤ8)。足ひとつにモーターが7個ついており、脚・車輪ロボットとしては最多クラスの56個のモーターを持つ。一部の関節はダブルモーターとなっており、パワーを稼ぐと同時に、ギヤのがたつき(バックラッシュ)を減らしている。また2つのモーターを協調動作させており、たとえばそれぞのモーターをタイミングをわずかにずらして動かすことで、よりすばやく反転できるようになっている。

 ボディの前には操縦に用いるための無線カメラを搭載。車体の下部と横には距離センサーが13個、車体周囲の障害物検出用に2個のレーザー測域センサー、車体の姿勢検出用に3軸姿勢センサーを持つ。そのほかのセンサーはホイール制御用エンコーダー、関節角度計。

 CPUは、Advanced Micro Devices(AMD)のGeode 800MHz。OSはリアルタイムLinux。

 大きな特徴は、ビークル(車両)モード、インセクト(昆虫)モード、アニマル(動物)モードの3形態に変形すること。走行と歩行を切り替えることで車輪型、脚式いずれとも異なる移動性能を実現した。12.5cmまでの高さの段差を乗り越え可能で、最大登坂角度は40度だという。実物でのデモはなかったが、上下に体を屈伸させながら坂を上るという。

 車輪を使って移動するビークルモードでは、1)直進、旋回、2)その場回転、3)真横走行、4)並進・回転を組み合わせた2次元自在走行、5)車体高さを一定に保ったままで坂道や段差を登る段差・坂道走行、6)脚と車輪を双方使ったり、一部の脚を腕として用いる脚・車輪協調動作の6つの走行が可能。

 インセクトモードは昆虫のような脚移動形態で、足を使った高速移動ができる。アニマルモードはひざ関節を前に持ってきて、哺乳類のように足を体の下に直立させて移動するモード。狭いところを歩行するときにはアニマルモードを使用する。脚の構造上、インセクトモードのほうがはるかに電力を食うという。


「Halluc II」 側面 後方から

「Halluc II」の概要 仕様 ダブルモーターシステム

測域センサーや距離センサーなど各種センサーが集中した正面 重量は20kgとけっこう重たい 下から見たところ

脚部のアップ。爪のような構造で各関節が一定角度以上に曲がらないようになっている バッテリは後方に納められている。連続稼働時間は30分程度

【動画】ゆっくり前進 【動画】2次元自在走行 【動画】その場回転からアニマルモードへの変形

【動画】インセクトモードで歩行 【動画】インセクトモードの横歩き 【動画】その場回転から真横走行

【動画】車体を水平にしたまま棒を乗り越える 【動画】同じく段差を乗り越える

【動画】一番前の足で発泡スチロールをつかむ 【動画】持った状態でゆっくり走行 【動画】足を放射状に配置したあと、その場高速旋回

 「ハルキゲニア」は、もともと山中氏側から古田氏に持ちかけたプロジェクト。自動車のデザインを手がけていた山中氏は、かつてあこがれのものだった乗用車デザインが行き詰まりはじめていると感じていた。そして、車に新しい技術を応用することで、新たな乗り物が作れるのではないかと考えたのだという。車はひとつのエンジンが基本となったシステムだ。だがそうではないシステムもありえるのではないかという発想で作られたのが32個のモーターを持った「Hallucigenia(ハルキゲニア)」だ。

 Hallucigeniaプロジェクトのなかでもっとも重視していることは「車に冗長性を持たせること」だという。無駄もあるかもしれないが、何個か故障しても動ける、あたかも生物のような柔軟さを持たせることが狙い。カンブリア紀の化石生物名から借りたプロジェクト名には「進化の起爆剤になれれば」という願いが込められている。

 古田氏は、「Halluc II」は「未来技術への準備」だという。ロボット技術の発展に従い、モータやコンピュータ、センサーの価格は安くなる。そうなったときの多モータを利用した次世代移動システムのプロトタイプだという。

 また、ロボット用コクピット「Hull」を現在開発中で、これは日本科学未来館にて8月1日から一般公開される予定。この操縦システムを使って、Halluc IIを操縦できる。プレスプレビューは31日に行なわれる。

 今後については、2つの方向性が検討されているそうだ。1つは人間が実際に乗車できるような大きなモノの開発。もう1つは現在の方向性である「多自由度、多センサーを持ったロボットの操縦」を突き詰めていき、遠隔の存在感(テレイグジステンス)を実感できるようなデバイスの開発だという。


リーディング・エッジ・デザイン代表 山中俊治氏。工業デザイナー 未来ロボット技術研究センター所長 古田貴之氏 8月から一般公開されるロボット用コックピット「Hull」

URL
  千葉工業大学未来ロボット技術研究センター
  http://www.furo.org/
  リーディング・エッジ・デザイン
  http://www.lleedd.com/
  【2003年11月27日】未来の車は多足多輪?「ハルキゲニア・プロジェクト」発表(PC)
  http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/1127/kyokai18.htm


( 森山和道 )
2007/07/26 00:00

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