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月刊ROBOTウォッチング
~心機一転、MANOI企画設立!
[12:03]
【 2009/04/15 】
ノモケンの「素組でロボット」
バンダイ 1/100スケール MG「RX-78-2 ガンダム Ver.2.0」(その2)
[14:24]
【 2009/04/09 】
ノモケンの「素組でロボット」
バンダイ 1/100スケール MG「RX-78-2 ガンダム Ver.2.0」(その1)
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【 2009/04/06 】
世界最小級の二足歩行ロボット「ROBO-Q」レビュー
~全高3.4cmの超小型ロボットが自律動作する!
[14:09]
【 2009/04/03 】
石井英男のロボットキットレビュー
ヴイストン「Beauto Balancer」
~倒立振子制御を手軽に学べる工作キット
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【 2009/03/27 】
通りすがりのロボットウォッチャー
男の憧れか? 女性型ロボット
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【 2009/03/24 】
「新型ASIMO」のフィギュアが登場!
~フィギュアで実感、ASIMOの進化~
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【 2009/03/18 】
ノモケンの「素組でロボット」
バンダイ 1/72スケール「VF-25F メサイアバルキリー アルト機」(その3)
[14:28]
【 2009/03/11 】
ノモケンの「素組でロボット」
バンダイ 1/72スケール「VF-25F メサイアバルキリー アルト機」(その2)
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【 2009/03/06 】
月刊ROBOTウォッチング
~2月はエンタメ路線を爆走!?
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【 2009/03/04 】
ノモケンの「素組でロボット」
バンダイ 1/72スケール「VF-25F メサイアバルキリー アルト機」(その1)
[13:05]
【 2009/02/27 】
通りすがりのロボットウォッチャー
脳とロボットを直接つなぐBMI
[00:10]

月刊ROBOTウォッチング
~12月は「2008 KYOSHOアスレチクスヒューマノイドカップファイナル」大特集!

Reported by MANOI Producer Okamoto

 皆さん新年明けましておめでとうございます。今年は心をすっかりと入れ替えて“原稿〆切りを守る男”に変身するハズ(!?)の、MANOIのプロデューサーこと京商のokamotoです。今回は皆さんからのリクエストが最も多かった「2008 KYOSHOアスレチクスヒューマノイドカップファイナル(以下アスリートカップファイナル)」大特集です。

 そして! 皆さん今回の掲載日にご着目下さい。初回の月刊ROBOTウォッチング以来、久しぶりに入稿〆切日前に編集さんに原稿を渡しました。今年はハナから有言実行できて「超気持ちイイ~」って感じです(他のライターさんは普通に守ってますが……)。さらに今年からは写真掲載を多めにすることで「文章長くて読むのが疲れる!」「性格がくどいんじゃないの?」といった、皆さんのお声にも配慮したいと思います(何より文章短く済めば私も楽なので……)。とりあえず今回掲載してみて、また皆さんのお声を聞いた上で、どうすればより皆さんのご期待にそえられるか考えたいと思います。

 それでは、MANOI君とROBOT業界を出来るだけわかりやすい言葉で、そして皆さんに近い目線でお届けする「月刊ROBOTウォッチング」。アスリートカップファイナル大特集号を始めたいと思います。肩肘張らずにお気軽にお付き合いください。

 まずはこのイベントを知らない方もいると思いますので、簡単にこのイベントのご紹介をしておきます。KYOSHOアスレチクスヒューマノイドカップ(以下アスリートカップ)は、その名のとおり京商製MANOIを使用した1/5スケールのROBOTによる陸上競技会になります。種目は大きく分けて3クラス(無線クラス/自律クラス/パフォーマンスクラス)に分かれており、一般の方が自分自身のMANOIにさまざまな改造や工夫&調整をして、それぞれのクラスのチャンピオンを目指して競い合うユーザー参加型の大会です。1年を通して数カ所で地区大会(公式記録会)が開催されますが、その集大成が年1回(12月第1週の土日)のファイナルになりますので、地区大会を練習&データ取りにしている方が多いのも特徴です。


【写真1】みごとなトラペット演奏を披露した「トヨタ・パートナーロボット」
 【写真1】は今年のアスリートカップファイナル(12月6日、7日)の会場となったメガウェブTOYOTAユニバーサルデザインショウケース(以下UDS)にて、大会開催期間中ず~っとデモを行なっていた「トヨタ・パートナーロボット」。凄いでしょう! ROBOTがトランペットを吹いちゃう時代なんですね。私なんかソプラノ笛さえまともに吹けないのに……。息の吹き方や唇の感性を再現するなんて、いつもみて思うのですが、機会があったらぜひ一度分解させて欲しいと思ってしまいます(笑)。


【写真2】アスリートカップファイナルの司会&解説をして頂いたニッポン放送吉田アナ、三条さん、高橋さん
 【写真2】が今回の進行と解説のお三方、左からニッポン放送の吉田尚記アナウンサー、ROBO-ONEでもお馴染みの三条恵美さん、そして解説のロボ・ガレージ高橋智隆さんです。皆さん本当にお忙しい方ばかりなのに、毎年毎年のご参加ありがとうございます。吉田アナは平日の0時からニッポン放送「ミューコミ」という帯番組のメインキャスターですし、高橋さんは最近はCMにも出ている売れっ子なので、あたり前の様に参加していただいてますが、普通に考えればスゴイ無理をしているんだと思います(大感謝!)。本当に持つべきものは友ですね。

 大会初日は自律クラス徒競争とエキシビション競技が開催されました。自律クラスでは文字通りオーナーは一切の操作をせず、5m/10m(1周回)/20m(2周回)の各距離でタイムを競います。特に10m以上の距離では方向だけでなく、自身が走って来た位置または距離を的確に判断しないと完走できないので、まさにROBOTビルダーの腕の見せどころっていう感じの競技です。競技の結果やレポートは初日2日目ともに本誌で掲載していますし、京商のHPにリザルトを掲載しているので、ここでは特筆事項(トピックス)を中心にお伝えしたいと思います。


【写真3】自律5m記録更新した上西さんと「ATACO」
 今回の自律競技は以下の3体のための大会だった、と言っても過言では無いかもしれません。【写真3】は5mで歴代記録を更新した上西さんとATACO。赤外線を使用して方向を認識させる方法は私も初めて見ました。赤外線はレーザーのように1点に集中して飛んでいく(コースから外れてしまうとやっかい)のと、さまざまな物に使用されているので、誤作動しやすいというリスクをみごとに乗り越えての記録達成は、実にお見事でした。


【写真4】今年で見納め!? 磯子工業高校「磯工ウォーカー」の超音波誘導式自律走行
 【写真4】は10m&20mで歴代記録を更新した神奈川県立磯子工業高校の「磯工ウォーカー」。こちらは超音波発信機でROBOTを誘導するお馴染みのスタイルで、ほとんど転倒する場面も見当たらず、そのMANOI君の調整力は秀逸だったと思います。「来年は誘導なしで挑戦」と顧問の尾花先生も語っていましたので、来年からは誘導者(鈴木さん)の負担も軽くなるかも? ちなみに、その誘導者である鈴木さんは今年で卒業して、神奈川工科大に進学するそうなので、来年からは神奈川工科大チームでの出場になりそう。鈴木さんご入学の決定おめでとうございます。今後の活躍も期待しています。


【写真5】頭に超音波送受信機を搭載した神奈川工科大の「クウォータニオン」
 【写真5】はその神奈川工科大の「クウォータニオン」。記録的にはもっと上に行きたかったとのことでしたが、自律競技全クラスにエントリーしたその意気込みは、必ず今年に生かされると思います。それに顧問の兵頭先生は大会の翌日が学会の発表だったので、マジで時間がない状況でのエントリーには頭が下がります。それに神奈川工科大の中心メンバーである南上さんは卒業までにまだ数年あるし、彼の卒業までにはモノ凄い記録を出してくれそうなので、今年の公式記録会も要注目です。4月からは磯工の鈴木さんも加わりそうですし、自律クラス最強チーム誕生! って感じでしょうか。

 そして、同じ日に開催されたエキシビション競技は、5m徒競走と外装&パフォーマンスを点数換算した合計ポイントで争われ、ROBOT業界内外のメディア関係各位が参加しました。【写真6】【写真7】は「MANOIの組立/調整/遊び方ガイドDVD」チームの高知尾裕美chan。操縦しているMANOI君はアドバイザーとしてDVDにも出演している、アニメイダー柳さんの愛機「マノイオー」です。この機体は「よくぞここまで重くしたな~」と思う程の外装(見た目)重視で、写真ではわかりにくいかと思いますが、柳さんの奥さんの髪の毛まで装着しています(後ろ髪)。実在の人の髪を取り付けることで、MANOI君に魂みたいなモノが乗り移るとしたら、少しコワイかも……(笑)。


【写真6】中央の女性が2008年度のアスリートカップのアシスタントである高知尾裕美chan 【写真7】高知尾裕美chanが操縦する「マノイオー」

 そして当然ではありますが、我らがRobot Watchチームも参戦してます。ちなみに結果は優勝!! さすがメインライターのお1人石井さん【写真8】って感じです。【写真9】はパフォーマンスで披露したフェンシング。完全に「突き!」って感じが再現できてます。

 そして【写真10】は石井さんと娘さんで操縦する様子。私も同世代の娘がいるので、なんだかこの風景は羨ましいです。昨年はTV/取材/イベントにテストと、ほとんど「家族サービスって何!?」というスケジュールでしたので、今年こそは何とか時間作って遊びに行きたい、なんて真剣に考えている次第です。


【写真8】本誌ライターの石井さんと愛機「ロボッチ」 【写真9】「ロボッチ」のみごとな突き(フェンシング)モーション 【写真10】石井さんと娘さんの共同作業!? 5m無線アスリート競技

 2日目はパフォーマンス競技と無線クラスの徒競争を開催しました。パフォーマンス競技で圧巻だったのは【写真11】【写真12】のMANOIファンクラブ・チーム。縦一列の整列から競技をスタートさせ、途中から演技を披露しながら横一列に並び直し! これにはビックリです。PF01は可愛い反面、頭部が重くなってしまうので、横歩きは大の苦手。それを自律で苦も無くこなしたのには大拍手! ドリフターズの効果音ともマッチして最高の内容だったんじゃないでしょうか。時間内に全ての演技が収まっていれば、優勝の可能性もかなりあったかも、と私は今でも思っています(私は審査員ではありませんが)。それにMANOIファンクラブは前日のエキシビションにもエントリーしてくれました【写真13】。お忙しい中でのご調整は実にお見事! 感服いたしました。


【写真11】MANOIファンクラブのパフォーマンス競技(スタート時) 【写真12】MANOIファンクラブのパフォーマンス競技(横整列後) 【写真13】エキシビション競技でのMANOIファンクラブ・パフォーマンス

 この日のオープニングは昨年の10月にアメリカ村ダンスチャレンジで披露した、PF01×5体のユニット「ROBO-TRAIN」が再登場【写真14】【写真15】。始まりのロールダンスも終わりの決めポーズもナカナカでしょう!? アメ村では3体でのステージだったので、5体が同じステージに立つのはこの日が初体験。直接ご覧になった方はかなりラッキーだと思います。このデモステージは色んな方々の許諾が必要になるので、滅多にお見せすることができません。吉田アナも写真に撮ってブログに乗せていたくらいです【写真16】。


【写真14】「ROBO-TRAIN」のロールダンス(スタート時) 【写真15】「ROBO-TRAIN」の決めポーズ(フィニッシュ時) 【写真16】中央後方で片手にデジカメを持っているのが吉田アナ

 打って変わって、無線クラスで一番目立っていたのは福永さんご夫妻&虎太朗でしょうか。【写真17】の衣装でコンクールドエレガンス(外装/塗装の表彰)を受けただけでなく、3回ある予選ごとに衣装を着替える芸の細かさには脱帽です。それに「虎太朗」の足の速さも相当なモノなんです(今回の5m無線クラス優勝者)。【写真18】はお祭りバージョンに衣替えした予選で、【写真19】は決勝に入ってからの本気モード(衣装を取った後)です。ROBOTは見た目が大切ですよね。衣装を着せるだけで愛着度はグーンとUPします。それに我が家でもそうですが、衣装を着せたり塗装に手を加えると家族の反応が段違いです。私の家では仕事柄、TV番組用のポスト君(TV番組「走れ!ポストマン」のキャラクター)をよく持ち帰るのですが、通常バージョンの3~5倍は色々やらされます。ROBOTで家族団らんなんていうのもGOODかも。


【写真17】コンクールドエレガンスに輝いた福永さんと「虎太朗」 【写真18】予選で見せた「虎太朗」のお祭りバージョン衣装 【写真19】「虎太郎」が決勝で見せた“超本気モード”(衣装ナシ)

【写真20】「尻尾でバンランス!」はご愛嬌。横畠さんの愛機「かけるくん」
 それから、無線クラスで順位とは関係なく皆さんにご紹介したいロボットが3機います。まず1機目が横畠さんご夫妻の「かけるくん」【写真20】。歴代20m記録を更新した脚力が最大の魅力ですが、かすかにグラデーションを施した塗装に狐風の尻尾を付けて、ご家族の一員というよりも完全にペットのような機体に仕上げています(結構可愛いんですよ)。

 以前の大会では「尻尾でコーナーリング時のバランスを取っている」というコメントもありましたが、ハッキリ言って「そんな訳ない!!」ので、本気にした方はご愛嬌という事でご了承ください。それは間違いなく冗談です。横畠さんはJOSHIN電機J&Pテクノランド内ROBOT専科のROBOTご担当者なので、ROBOTを速く走らせたい方は、一度店頭でご相談してみると良いかも知れません。秘密のテクが聞けるかもです。


【写真21】「TYPE-B」ボディのイメージ一新!? 鈴木さんの「GaoBC」
 【写真21】は娘さんを含めてご家族でMANOI君を可愛がってくれている、鈴木雅夫さんの「GaoBC/ガオビーシー」。昨年11月のアスリートカップ公式記録会(名古屋大会)では、関係者のほとんどがその存在に気付いていなかった程の“隠し球”状態で、「アレッ!? 鈴木さんはATでも出場するんだ?」と私も思ったくらい。

 ところが、その走りの安定度には大ビックリ!! 5m予選&決勝の6回全て11秒台というのは、私も今回の大会まで記憶にないです。しかもボディは少数派の「TYPE-B」ブラック/カーボン仕上げ。「TYPE-B」は完全に私のデザインなので、この活躍には私も心の中でガッツポーズしていました(ボディは走りにあまり関係ないかもですが……)。せっかく恐竜とか野生動物のイメージで作ったにも関らず、「チキン」とか「某ライダーのパクリ」とか言われて、正直淋しかったです。鈴木さんと「GaoBC」の活躍でこのイメージともサヨナラできるかも!? 鈴木さんに感謝です。


【写真22】転倒という壁を乗り越えた佐藤さんの愛機「F325」
 無線クラスで最後にご紹介したいのが、佐藤公彦さんの愛機「F325」【写真22】です。佐藤さんは公式記録会にも何度か参加してくれていたのですが、直線の速さには目を見張るモノがある分、どうしても転倒しやすいという弱点があって、今までは高記録を出せずに悩んでいる感があったのですが、アスリートカップファイナルではみごとにその弱点を克服してベストタイム更新。実にご立派! トレードマークの“緑の羽根”も普段以上に目立ってました。

 その弱点克服の秘密ですが、ひょっとすると新製品「YOSHIMURAアルミ脚」だったかも知れません。前回の名古屋記録会では装着されていませんでした。アルミ脚は重さが増してしまう一方で、スピードが乗った時点でも歪みや捻れが発生しないので、モーションの微調整が断然少なく済むという利点があります。佐藤さんはこの短い期間にアルミ脚の特性を生かし、スピードが速いからこそ起こる弱点を克服したのだと思います。これで佐藤さんは完全に1つの壁を乗り越えた形なので、今年度は旋風を巻き起こすかもしれませんね~。私も非常に楽しみです。

 最後にご紹介するのは、2008年度のアスリートカップファイナルで殿堂入り(アスリートカップは今回で引退)したDr.GIY【写真23】(写真中央)。GIYさんには今後“モーション・クリエイター”としてMANOI君のモーションをどんどん提案して頂くつもりです(京商HPで公開予定)。そして今年のアスリートカップファイナルでは“ラスボス”扱いで登場!? というのもアリかと思っています(皆さんからの要望もドンドン来てます)。お正月の羽根突きみたいに、1回失敗する(負ける)度に顔に対戦者が墨で落書き、なんてどうですかね~。それとも最初からGIYさんが絶対勝てないハンデ戦にして、参加者(抽選)の皆さんにGIYチューンのサーボモーターをプレゼント! なんていうのも盛り上がるかもしれません。いずれにしても今年のアスリートカップファイナルまでには時間がたっぷりありますから、皆さんに楽しんでいただける企画を考えたいと思います。

 【写真24】はGIYさんの愛機「ミャノイ02」。この機体は今でも5m歴代記録ホルダーですが、今年は記録が更新されるかもしれません。それにしてもGIYさんの技術はモノ凄いです。【写真25】は2分で足のサーボを交換した時。私だったら絶対に10分以上は掛かります。“モーション・クリエイター”Dr.GIYの今年の活躍にも皆様ご期待下さい。


【写真23】東京スクールオブミュージックの学生に挟まれてご機嫌!? のGIYさん 【写真24】モーションクリエイターGIYさんの愛機「ミャノイ02」 【写真25】2分でサーボ交換!恐るべしGIYさんの修理/調整テク

 さてさて、今月もお付き合い頂きありがとうございました。それではこれで、今月の「月刊ROBOTウォッチング」を終わらせて頂きます。来月も皆さんをアッと言わせるMANOI君の活動に、ぜひご期待&ご注目&ご期待下さい。ではまた。





岡本正行(おかもと まさゆき)
京商株式会社ロボットGrマネージャー。1965年神奈川県厚木市生まれ。京商のMANOIプロジェクト発足当時から企画/開発/品質管理/販売促進等の全ジャンルをカバーするプロデューサーとして活躍。ロボット工学系専門学校と工業系大学の非常勤講師も兼務。ROBO-ONE公認レフリー&審査員。


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2009/01/09 11:36

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