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スタパ齋藤の「京商 マノイAT01 組み立てレポート」(その2)

Reported by スタパ齋藤

マノイ組み立ては簡単、ハードルはPC自作未満!?

 京商の二足歩行ロボット自作キットことマノイAT01を組み立て始めた俺。二足歩行ロボット自作は初めてなので、当初はアレコレ不安だったが、始めて見たらアラ楽しい!! コレって満喫できるホビーだったんですネ!! と愉快な気分に。

 結果、拙宅マノイちゃんは、ほぼ完成状態(後述)で、今後もマノイってゆきたい!! てな心意気であるが、まずはマノイ組み立て初体験の俺における率直な印象をチラホラ書いてみたい。

 結論から言えば、マノイAT01(以下、マノイ)組み立てに関しての難易度は、PC自作よりも低いと感じた。どちらもパーツを接続していけば作れるので、初めての人でもデキると思う。が、マノイの場合、必要なパーツが全部揃っていることと、組み立て手順を詳しく書いた説明書が付属することが、PC自作よりラクかなぁ、と。

 PC自作の場合、ベアボーンならまだしも、パーツをそれぞれ買ってくる場合は知識や調査が要る。また、ハードウェアやドライバの相性で、結果、快適に動かないというケースもある。マノイの場合はそういう面倒がほとんどない。プラモデル等と比べるとパーツ数がスゲく多いので手間はかかるが、組み立て工程で問題が出るケースはほとんどない。

 組み立て中、問題が出るとすれば、ネジ回し作業かも。キットには種類・サイズ違いのネジが複数含まれるが、まず、どのネジがどのサイズだかわからない。ネジの入った袋にサイズとか書いてないんですな。なので、ノギスとか使って自分で測って「このネジが2.6×8mmだな」と見極める必要がある。


キットに含まれるネジ各種。種類は、タッピングビス、バインドタッピングビス、皿ビスで、サイズは各種(使用箇所により異なる) ネジが入った袋にはサイズや種類は明記されていない(上)。ので、袋にサイズ等を書き込んで使った(下)

ネジの種類は説明書の図説をよく見れば理解できるが、サイズはノギス等を使用して自分で測る必要がある

 それから、タッビングビスは締め付ける力加減にコツが要るかも。タッピングビスは木ネジのように、ネジ自らがネジ山を切りつつ締め込んでいくビス。ある程度の力を入れないと締まらない。また、力を入れすぎ・締めすぎると、今度はネジ山を切りすぎる=ねじ山がバカになって締めることができなくなる。

 マノイ組み立てではタッピングビスを多量に扱う(締める)ので、まずは先端のシッカリしたドライバーが要る。また、その先端がネジにピッタリ合っていること。さらに、ネジ締め時の力加減を(どうにか頑張って)把握することが肝要だ。


組み立て所要時間は、初体験でも5~6時間!?

 説明書をシッカリ読み、慎重にネジ回し作業をしつつ、時々「なるほど、ココがこの関節で、こう動くの……かな!?」なんて考えつつ組み立て作業を行なった拙者。結果、組み立て作業のみに要した時間は5~6時間という感じ。


あらかじめ(何となく)用意した工具類。説明書には、サイズ違いのプラストライバー×3本、カッターもしくはハサミが必要とある。あると便利なものとしては、ニッパー、木工きり等が挙げられている こんな状況で作業した。作業スペースとしては50~60cm四方あれば十分な感じ。パーツやネジ類が転がらない皿を用意すると便利かも。組み立て時、ゴミはあまり出ない

 これが長いか短いかよくわからないが、休み休み行なっても1日で組み上がるのではないだろうか? 毎晩少しずつ組み立てる、てな感じだと1週間!? 決してササッと組み上がるキットではないが、まあ、じっくり楽しみながら作れるキットという印象だ。

 組み立て時間はさておき、組み立てて行く過程が楽しいスよ。作業自体は全体的にネジ回しが主体で飽きたりするが、バラバラだったパーツが徐々にロボットの各部位となり、最終的には(アタリマエですけど)人間型のロボになっていくところに、ある種の達成感があってイイ。


腕部分を組み立て中。腕を構成する部分を組み立てている時は作業に飽きがちだが、腕っぽくなってきたあたりでテンションが上がったりする 意外にパーツ数の多い脚部分。これもまた、序盤は飽きるが、脚っぽくなってくると愉快になってきたりして

作業工程が中~終盤にさしかかると、いよいよロボットっぽくなってくる。足首がこうで、膝がこうで、腰のあたりはこんなふうに動くのか!! なんて遊んでるから作業時間が長くなっちゃう拙者かも

 カタチとしてロボットっぽくなる様子も楽しいが、組み立て過程で「待てよ、この○○は、こうじゃなくて、こんなふーにした方がよくない!?」と自分なりのアイデアが生まれてくるところも愉快。

 例えば配線だが、単に配線できていればイイのか、あるいはよりキレイに配線したいのか、から始まって、可動部分をより邪魔しにくい配線を考えたり。でも結局、説明書どおりにやるのがいちばん効率が良かったりして。


脚部の配線。説明書の解説と注釈のとおりに配線すれば問題はない。が、見栄えがキレイなようにとか、導線により負担がかからないように等々、いろいろ工夫してみたくなる部分だ 足下の配線

腰回りはこんな感じ

 他の部分も、組み上げているうちに「グリスを塗るのはわかるが、どのくらいが最適?」「このパーツの組み立て手順、もっとラクにやる方法は?」てな小さな疑問が出てくる。だいたいは説明書の細部まで読めばアドバイス的情報を得られる。が、時には「説明書よりもイイやり方があるのでは?」と思うことも。

 で、ネットで先人のテクを調べたりして。拙者が主に読ませていただいたのは、梓みきお氏の『京商「MANOI AT01」キットレビュー~組み立て編(その1)』『京商「MANOI AT01」キットレビュー~組み立て編(その2)』。具体的なテクニックや工夫満載。あー最初からこのページ読んどきゃ良かった~、みたいな。これからマノイ自作を始める方は読むのが吉ですな。


一応、完成、したが……

 外装を未装着状態のマノイが完成。一応、二足歩行ロボットが組み上がった。最初は「デキんのかなぁ」と思っていたわけだが、組み上がってみるとあっけないもの、みたいな気分だ。


一応完成したマノイ(フレーム状態)。まだ通電していない状態である フレーム状態になる手前の行程。各サーボモーターからの導線を、胸部に収められたマイコンボードに接続する。繋ぐ導線の数が多く、また導線全体の体積もそれなりにあるので、キレイに収めるのが難しかった

かなり前の行程。腕や脚のみ状態ですな。フレーム状態に組み上げ、通電する前は、「あのパーツは、あの組み立て方でホントに良かったんだろうか?」てな不安がよぎる

 だがしかし、まだこのフレーム状態マノイちゃんは、一度も動いていない。通電させてすらいないのだ。ま、きっと、動くんだろうけど……もしかしたら、腕とか脚とかの組み方が間違っていて、スムーズに動作しなかったら? ていうかゴギギゴガッとか音出して壊れちゃうてなコトない? そんな不安がよぎる。

 が、作業続行。フレーム状態となった後に行なうのは、ホームポジションの設定だ。ちゃんと立つように各サーボモーターの位置合わせをし、これをマイコンボードに記憶させるんですな。

 この作業、マノイとパソコンをUSB接続し、パソコンにインストールした「Heart to Heart 3 ソフトウェア」を使って、マノイの姿勢を整えていく。俺の好きな電子計算機によるロボット制御!! 楽しそう!! 初心者の俺にとっては、この作業が実際オモシロかったりするのだが、ちょっとした問題が。

 ホームポジションの設定は、ソフト経由でマノイの姿勢を決める作業だ。ソフトのスライドバーを動かすと、マノイの関節が動く。この調整作業を17個(実質は首を除いた16個、か、それ以下)のサーボモーターに対して行なう。ので、マノイを片手で持ち上げておいて、もう一方の手でマウスを操作して、という作業になりがちだ。

 しかし、ホームポジションの設定はけっこー細かいサーボモーター調整になるので、時間がかかる。片手でマノイ・片手でマウスは無理っす。疲れ過ぎ。このまま続けたら恐らくマノイなんか大嫌いになるであろーってほど大変(拙者の姿勢が)。


自作の“一応ハンガー”にフレーム状態のマノイを吊す。これで、マノイの脚や腕がどう動いても、支える手を挟まれるとか、手が疲れちゃうという問題がなくなった
 てゅーか、皆さん、どうやってんの? と思って前述の『京商「MANOI AT01」キットレビュー~組み立て編(その2)』を見たら、ななな!! なんか便利そうな道具をお使いである!! その道具の名は“ハンガー”らしい。ベタな名前だが、これは絶対必要っぽい!!

 てなわけで、手近な道具で即席ハンガーを作成。これにマノイを吊してホームポジションを設定したり手足を動かしたり。


ハンガーに吊して動作をさせてみたところ マノイの動作プログラミング時、さまざまなポーズを取らせる必要があるが、その時もハンガーは必須。専用のものを買おうかしら、と思う

 こういったハンガーの類は、二足歩行ロボットのモーションをプログラムする際にも必須のようですな。既にマノイを競技に出したりしている人に訊いてみたら、マノイを置いておくにもプログラミングするにも「ハンガーは絶対要りますよ」とのこと。そう言えば、ホンダのASIMOも、通電してない時はハンガーみたいなのに吊されていたような……。


一応、完成、していなかった~!!

 一通りマノイを完成させ、通電してホームポジションを設定したり、腕とか脚とか動かしたりして、「ムフっ!! これで拙者も自作ロボットデビューなり」とかイイ気になっていたが、これは大いなる間違いであることを理解した。

 マノイのホームポジションを取ったら、あとはマノイ上のマイコンボードにモーション(ロボットの動作)をプログラミングすれば良い。プログラミングはパソコン(Heart to Heart 3 ソフトウェア)で行ない、プログラムをマノイに転送するカタチで、マノイを自律動作させる。


マノイにホームポジションを設定したり、モーションをプログラムする場合に使用するHeart to Heart 3 ソフトウェア。既存のモーションプログラムをマノイに転送する場合もこれを使用。マノイをパソコンにつないだら必ず使うソフトですな
 このHeart to Heart 3 ソフトウェアを使えば、マノイの動きを自由にプログラムすることができるわけですな。すなわち!! 俺独自のモーションを俺のしもべとして生まれたマノイに与えられる!! くわッ!! これだ!! これを楽しんでいきたい!! ……という浅はかな考えも、かなり大間違いであることを理解した。

 結論から言えば、オリジナルのモーションを作るのはすごーく大変だと感じた。手を振る、両手を動かす、くらいなら、難しくない。Heart to Heart 3 ソフトウェア自体の使い方も難しくないので、操作・作業自体はわりとイージーに楽しめると思う。

 が!! オリジナルの二足歩行モーションを作るゼ!! なんて思っちゃうと、これがタイヘン。正直、まだデキた試しがナイっす。例えば「マノイに欽ちゃん走りをさせるのダ!!」とかいう野望。俺にとっては何年かかることか……。第一、二足歩行させるのが難しい。足を一本一本上げて、バランスを取りつつ、前進、って、こーんなに難しいコトなのかーッ!? と痛感。ていうか、再度申しますが、まだデキた試しがないです。未熟者です鍛錬不足です顔洗って出直す前にモーションの試行錯誤です。

 とか書くと、マノイは組み立てても動かせないのか!? と誤解を招くかもしれない。例えば、京商のウェブサイトから入手できるモーションを使えば、踊らせたり歩かせたりすることができる。難しいのは、誰もやってなさそーな“自分オリジナルの(特に二足歩行系の)モーションをゼロからプログラムすること”って話。

 ちなみに、既にマノイってる人に「モーションの自作とかしてますか?」と訊いたら「全部はしてませんねー。既成のモーションに手を加える感じです」とのこと。なので、「最初に二足歩行とか走行とかのモーション作った人って、凄くないスか?」と言ってみたら、「凄いですよ。達人。大感謝ですよ。頭が下がります」とのこと。まったく同意。

 それからもうひとつ。拙者にとってハードルが高いのが、マノイのボディの塗装関係。マノイはボディーパーツをまとって初めて完成形と呼べるっぽいが、このパーツの切り出しが難しい。けっこー硬いパーツで、曲面が多いので、ハサミなんかじゃキレイに切れない。慣れれば美しく切り出せるそうだが、塗装と切り出しの作業、拙者にとってはけっこー大きなハードルとなっている。ので、まだ未塗装・ボディ未装着状態。


キットに付属のボディ用パーツ。半透明樹脂で、塗装してから切り出し、フレーム状態のマノイに装着する。と、マノイの完成形となる フレーム状態のマノイの胸部にも、ボディ用パーツと同素材で作られた電池カバーを取り付ける。これも切り出して取り付ける必要があるが、初心者な俺の場合、この程度の切り出し作業もうまくできないんですぅ~

 てゅーか結局未完成マノイじゃんソレ>俺!! と率先して自分ツッコミを完了させたが、さておき、手を出してみると楽しいモンですな。チャレンジ精神を出すと難関にも出くわすが、組み立て~動作までは誰でもできるホビーだと感じる。ロボット自作、と言うと特殊な趣味に思えてくるが、プラモデルやラジコンの延長線上にある遊び、と言ってしまってもよさそうだ。

 もちろん、上を目指せば競技での勝利や派手なパフォーマンスもある。しかし、それもやはり、ラジコン等と同様。プラモもラジコンもロボット自作も、作って動かして遊ぶ~見せたり魅せたりして楽しむことまで、幅広く奥の深い趣味。ロボット自作も他の趣味と同様、その気になればすぐに入れる世界なので、自分のスタンスで気楽に楽しめばいいのだと思う。

 に、しても、「二足歩行の自律動作ロボットの自作が趣味です」とか言える時代、わしの世代からするとスゴいことだと思う。いい時代ですな。


URL
  京商
  http://www.kyosho.com/

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スタパ齋藤の「京商 マノイAT01 組み立てレポート」(その1)(2007/06/25)


2007/07/05 14:50

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