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京商「MANOI AT01」キットレビュー
~組み立て編(その1)


 「1/5スケール・ヒューマノイドロボット」として、2006年9月30日に京商株式会社から発売された二足歩行ロボットキット「MANOI AT01」。「1/5」というスケールを打ち出していたり、発表時点でワンメイクイベントが設定されているなど、これまでの二足歩行ロボットキットとは異なった背景を持った機体となっている。「MANOI AT01」はどんなキットなのか、組み立てとセットアップを3回に分けてレビューしてみる。


アスリートタイプの“マノイ”

 “マノイ”というと、「高橋智隆デザインの二足歩行ロボット」というキャッチフレーズで覚えている方も多いだろう。しかし、じつは『AT01』は、高橋氏のデザインによるものではなく、京商オリジナルのデザインである(高橋氏デザインのものは別モデルの『PF01』)。“マノイ”というのは、京商の送り出す1/5ヒューマノイドロボット全般の「ブランド」であり、その中でのモデル違いと考えればわかりやすいかもしれない。

 今回発売された『AT01』は、各関節の可動範囲を重視したフレーム部分と、それを包むポリカーボネート製の“カウル”部分によって構成されている。「アスリートタイプ」のマノイとして紹介されているが、シルエットを活かすために関節の可動範囲や重量面が多少犠牲になっている「パフォーマンスタイプ」の『PF01』とは、キットの目指しているものが違うという点を強調しているのだろう。

 カウルの材質であるポリカーボネートは、ラジコンカーなどのボディに多く採用されていることでもわかるように、耐衝撃性が抜群である。残念ながら現在の二足歩行ロボットには転倒がつきものなのだが、それくらいの衝撃で歪む可能性はほとんどないだろう。カウルは同時に衝撃を吸収してくれる役目を担っており、サーボ内部のギヤやフレームも保護しているようだ。


今回製作する「マノイ AT01」。フレームをポリカーボネート製の外装が包む構造になっている。
(写真提供:京商株式会社)
これは「マノイ PF01」。サーボモーターとマイコンボード以外、「AT01」とのハードウェア的な共通点はまったくない。
(写真提供:京商株式会社)

発売元の京商株式会社が2006年12月9日~10日に開催した、マノイだけが参加できるイベント「アスリートヒューマノイドカップ」 ボディカウルは成型された状態そのままでパッケージされているので、カットラインに合わせて切り出し、塗装する必要がある

特別仕様のサーボと新型マイコンボード

 AT01に使用されているアクチュエーターは、KONDO製の「KRS-4024SHV」。ロボットビルダーの間では“4000番台”と呼ばれる、これまで二足歩行ロボットキットに使われてきたサーボとは形状からして違うモデルである。すでに同型のサーボ「4014」や「4013」、「4024」などの“4000番台”サーボはパーツとして販売されていたが、キットとして採用したのはマノイが初のモデルとなる。

 4000番台サーボの特徴は、アクチュエータとして(=出力軸をそのまま関節の軸にするように)組み込みやすいよう、サーボケースにフレームに取り付けるためのねじ穴が設けられている点だ。従来のサーボはラジコンサーボの流れを汲んでいたため、ラジコンに取り付けるため最適化されたケースを「サーボブラケット」などのパーツを介すことでロボットに組み込んでいたのだが、4000番台サーボではそういった余分なパーツを廃することができる。マノイのフレームは4000番台サーボのねじ穴を最大限に利用しているので、ロボットキットのパーツ量としては意外なほど「フレーム」が少なくなっているのだ。

 また、ラジコンサーボでは180度以下だった動作角を約260度まで拡大しているのも4000番台の特徴である。動作角の大きさは、人間で言えば「柔軟性」にあたる。コレについては、実際に動作させたときにあらためて触れよう。

 標準装備の「KRS-4024SHV」はマノイのために作られたスペシャルバージョンだ。アクチュエータとしてのスペックは「10.5kg・cm、0.17sec/60度」だから、先行して市販されていた「KRS-4024HV」とまったく同じスペックである。ただ、「KRS-4024HV」が全段プラスチックギヤなのに対し、ファイナルギヤの一段手前が金属製に換装されており、耐久性が向上している。

 金属ギヤはたわみがほぼないので、副次的効果として“気持ち”トルク感が上がっているようだ。わずかに重量が増えている(48.5g→52.0g)ものの、メリットのほうが大きい改良だろう。ちなみにマノイ発売とともにサポートパーツとしてリリースされたので、AT01ユーザー以外も「KRS-4024SHV」を単体で購入することができる。

 頭脳となるマイコンボードは、サーボと同じ近藤科学製の「RCB-3 HV」だ。KHR-2HVに採用された「RCB-3J」と違い、シリアルサーボ制御などのフル機能が使えるようになっている(ただし標準装備されているのはシリアル制御できるサーボではない)。ソフトウェアも同様にフル機能版専用の「HeartToHeart3」を使用する。


右は従来のラジコンサーボのケースをベースにして作られていた「KRS-2350HV」。左がマノイ標準装備されている「KRS-4024SHV」 ph06“4000番台”最大の特徴である、ずんぐりとしたケース。この形状にすることで、ギヤの大きさや組み合わせ方をロボットに最適化できたという

RCB-3HV。サイズは“3J”とまったく同じだが、アナログミキシングやシリアルサーボのコントロールなど、全ての機能が使用できるようになっている

組み立ての準備

 キットを組み立てる前にバッテリを充電する必要がある(組み立て途中で必要なのだ)。付属の充電器は急速充電器なので一晩待つ必要はないが、それでも1時間ほどかかるので、キットから充電器とバッテリを取り出し、説明書の注意事項に従いながら充電を始めておこう。

 もう1つ、マノイとPCをつなげるための「シリアルUSBアダプター」のインストールもこの時点で行なっておく(ちなみに、シリアル端子があるPCで、初代KHR-1に付属していたケーブルを利用する場合はインストールの必要はない。特に不便がないならそのままでもいいだろう)。ドライバソフトは付属CDの中に入っているので、それを利用してインストールしよう。

 付属CDにはマイコンボードをコントロールするためのソフト「HeartToHeart3(以下HTH3)」も入っているので、ドラッグ&ドロップでHDD側に持ってきておこう。HTH3は自身と同じディレクトリに設定ファイルなどを自動的に作るので、できればマノイ専用のフォルダを作って、その中にドロップするのがベストだ。

 組み立てに必要な道具は、ドライバーが3本(#0、#1、#2)とカッターorはさみ、カウル用のポリカーボネート専用カラーが最低限のものとなる。そのほかにあると便利な道具は存在するが、それは随時解説していくことにしよう。

 ドライバーをあまり扱ったことがない人には「サイズ」が表記されていることに戸惑うかもしれない。だいたいの大きさを目で見ても判別できるが、確実性を期すなら番手で確かめておきたい(たいてい柄の部分に#●と表示してある)。サイズの合っていないドライバーを使うとあっという間にねじ頭をなめてしまうので注意しよう。

 組み立てに必要なスペースはだいたい(きれいに整理された)机一個分。木のテーブルなど、柔らかい材質の場合は、機体が転倒したときにテーブルのほうを傷つけてしまう可能性があるので、ランチョンマットのような布(静電気がおきやすい化繊は×)を一枚敷くことで解決することができる。ビスなどを落としても転がりにくいので、部品をなくす可能性も減るという副次的効果もある。

 そのほか、ボディカウルを切るための「はさみ」、「カッター」や、穴あけのための「ピンバイス」または「きり」、穴を広げる「リーマー」もあったほうがいいかもしれない。ボディカッターとリーマーに関しては、それぞれ発売元の京商からマノイ専用品が発売されている。


キット付属の充電器。AC100VとDC12Vの2系統の電源から充電ができる。充電電流の調整つまみはあるが、標準バッテリは最小が指定 ドライバー3種類(画面奥から#0、#1、#2)。それぞれ指定されたサイズのビスに使おう

京商純正の「ラウンドカッター(2,625円)」 同じく「ナイフエッジリーマー(2,000円)」

まず最初は“アーム”を組み立てる

 ハードウェア部分の組み立てで最初に行なうのは、樹脂アーム部分の組み立てだ。まず「シングルアーム」と呼ばれるパーツを“仮組み立て”する。シングルアームの完成形は「コ」の字型になるのだが、ここではその中心となる「アームベース」に片側の「ボトムアーム4000A」をはめ込み、とりあえず「L」字型のものを作るので“仮”なのだ。

 注意点としてはアームベースの向きが挙げられる。これを間違えると、後々サーボの向きが合わなくなってしまったりもする。また、はめ込みの手ごたえは固めだが、最後まで押し込むのも注意したい点だ。同じものを8つ作ることになる。

 はめ込んだ後、2.6×8mmバインドタッピングビスをつかって、ボトムアームをアームベースに固定する。

 このとき注意しなければいけないのは、「まっすぐねじ込む」ことと、「ねじ込みすぎないこと」だ。タッピングビスというのはねじ山を自分で作りながら(これが“タッピング”)相手の中にもぐり込んでいくので、一般的なねじのように“ねじ込めなくなって止まる”ことはない。力いっぱい締めていけば、締めただけもぐり込もうとして、最終的にはタッピングする力によってねじ山を削り取ってしまう。こうなるとねじ穴はただの穴に早変わり(俗にねじがバカになる、という状態)。部品を買い換える羽目になる。

 じつはこの“どれだけ締めこむとねじ穴がバカになるか”の感覚は経験しかない(ヒドい話だが)。あいまいな表現だが「ねじ山がねじ穴に入りきって、手ごたえが変わったら、そこでやめる」という感覚で行なってほしい。AT01はほとんどのところでこの“タッピングビス”が使われているため、この感覚をつかめるかどうかは仕上がりに影響する。アームベースやボトムアームは比較的安価なので、万が一失敗してもダメージは少ない。ここで8つねじ込む間に感覚を掴んでしまおう。


これが「ボトムアーム」。穴が大きい アームベースのこちら側の面が、必ず「コ」の字の内側になる

ボトムアームの凹と、アームベースの凸を合わせてはめ込む 8つできあがった“シングルアーム”

ねじ込んで、「ねじ山がねじ穴に入りきった」状態(マノイの黒いアームではわかりにくかったので、KHR-2HVのアームが代役)

画面左側が「クロスアームA」、右側が「クロスアームB」
 次に、今作った「L」字型のシングルアームにさらに1つずつボトムアームをはめ込み、「クロスアーム」にする。これは2種類違う向きのものを作るので注意して欲しい。

 シングルアームにはめ込んだボトムアームを手前に向けて、新たに左側にボトムアームをはめ込んでできるのが「クロスアームA」、右側にボトムアームをはめ込んでできるのが「クロスアームB」だ。それぞれ2つずつ作り、シングルアームのときと同じように、2.6×8mmバインドタッピングビスで固定する。そろそろタッピングビスの感覚はつかめただろうか?

 この時点で、クロスアームがA、Bそれぞれ2つずつと、シングルアームが4つできているはずだ。構造体はいったんここで小休止するので、出来上がったシングルアームとクロスアームは入っていた袋にしまっておこう。


ロボットの運命を決める原点出し

 とてつもなく大げさな見出しだが、大げさすぎるともいえない。ここで原点出しをきちんとしておかなければ、この後どんなにしっかり作っても「まっすぐ立たない」、「可動範囲が左右で違う」、「サンプルモーションがうまく再生できない」というような悲劇に見舞われる可能性が高い。省略せずにきちんと行なおう。

 と脅かしてしまったが、難しいことではない。出荷状態のサーボは出力軸がズレている可能性があるので、一度通電させて正しい位置(“ニュートラル”と呼ぶ)に戻す作業なのである。このために最初の作業が「バッテリを充電する」になっていたわけだ。

 まずはPCBベースにRCB-3HVを取り付け(工程03)、全てのサーボモーターにサーボリードを挿し込む。このとき、サーボケーブルの長さがさまざまなので、「同じ長さのサーボケーブルを持つサーボ」を束ねておくことをお勧めする(あとで「**mmのサーボリードが付いたサーボ」という形で探すことになる)。

 次にサーボと反対側のコネクターをRCB-3HVにつなぐのだが、コネクターの方向は、端子面を正面から見て、「RCB-3HVの外側が黒い線」になるようにする。RCB-3HVにつなぐ3端子のコネクターは、例外なく「外側が黒(アース)」なので、つなぎ直すときに迷ったら「外が黒」を思い出して欲しい。

 説明書にしたがって通電させると、サーボが“ニュートラル”に戻る(「ジッ」という音をたててサーボが動く)。ものの1秒もかからずに終了したが、17個全部に一度通電させたら、そこで原点出しは終了だ。RCB-3HVはしばらく使わないので、サーボリードや電源ハーネスをはずして、もともと入っていた静電気防止袋にPCBベースに付けたまま入れておくこと。


サーボ側はコネクターがサーボの中に完全に隠れるまで押し込む。抜くときはサーボリードをつかんで(ゆっくりと)真上に引き抜く サーボをグループ分けした状態

“黒が外”に気をつけてCH01~CH17までの端子にサーボリードを挿すとこんな状態になる RCB-3は精密機械なので、静電気防止袋に入れておかないと故障してしまう可能性があるのだ

腕の組み立て

 ここからいよいよ本格的な組み立てに入る。前述したように、このキットにはタッピングビスが多く使われているので、組み立てが続くと手が痛くなる人もいるだろう。工程ごとに作業を進め、切りのいいところで休憩することをお勧めする。

 さて、まずは腕の組み立てだが、左右いっぺんに行なうので混乱しがちだ。転ばぬ先の杖ということで、各作業工程で指定されている「サーボリードへのシールの貼り付け」は忘れずに行なおう。

 最初に組み立てるのは“二の腕”部分。サーボリードが200mmのものを2つ取り出し、フリーなコネクターに近いほうにCH03とCH07のシールを貼る。ラジアルマウントAとエルボーアダプターを組みあわせ、同じものを2つ作り、それぞれにサーボを組み付ける。ここまでは流れ作業でOK。

 注意したいのはシングルアームを取り付けるところだ。CH03のほうは、サーボの出力軸を上にして左側にボトムアームが来るように、CH07は同じく出力軸を上にして右側にボトムアームが来るように組み付ける。


ラジアルマウントAとエルボーアダプターの接続の向き。ラジアルマウントAの出っ張っている部分がエルボーアダプターの切り欠きのところに来るようにする サーボを止めている皿ビスをはずす。皿ビス以外ははずしてはダメ

サーボリードに付けるシールは、これくらい離れていたほうが、後でとり回しやすい

アングルゲージの正しい方向
 次は「手」の組み立てだ。サーボリード400mmのサーボを取り出し、CH05とCH09のシールを貼り、CH05の出力軸側とCH09の反対軸側にそれぞれ「ハンドベース」をとりつける。

 次の作業で取り付ける「アングルゲージ」は、組み上げた後に機体を設定する上で重要な役目を果たすので、飾りだと思って省略しないように。また、貼る方向を間違えても意味が無いので、そのあたりも慎重に作業してほしい。

 アングルゲージを貼り付けたら、「アッパーアーム」をサーボの出力軸にはめ込む。「アングルゲージの中心の目盛りにアッパーアームのゲージを合わせるように」と指示があるが、これは滅多にまっすぐ合わないので、「もしかして不良品では」と心配になる必要はない。

 この位置合わせのときには、アッパーアームを乗せた状態で、出力軸の真上からアッパーアームを軽く押さえる。押さえたままアッパーアームを動かすと、サーボの出力軸のセレーション(ギザギザの事をこう呼ぶ)とアッパーアームのセレーションが一山ごとにかみ合うのがわかるはずだ。これで「かみ合っている状態」で、かつ「最も目盛りの中心に近いところにゲージがくる位置」を見つけ、押し込めばOK。探している途中にもしサーボの出力軸を動かしてしまったら、そのサーボは先ほどの「原点出し」をやり直しすること。

 押し込んだら、アッパーアームをねじ止めする。これもタッピングビスなので、あまり強く締めすぎないように。


位置あわせの実例 左の写真のほうよりは右の写真のほうが中心に近いので、後者を選択するのが正解

左右の“手”が完成した状態。ハンドベースは対称についているが、アッパーアームは片側に揃うのが正しい

 「二の腕」と「手」ができたところで、説明書の工程は「アームユニットの組み立て」になる。要するに腕を組み立てる工程だ(そのままか)。

 ココで注意すべきなのは、やはり左右の違い。「エルボーユニットR」はCH07、「ハンドユニットR」はCH05のシールが付いたサーボのユニットだ。それぞれのユニットを見つけたら、最初に行なった「シングルアームの組み立て」の要領で、ハンドユニットのアッパーアームをエルボーユニットのアームベースに押し込み、ビスで固定。

 そして、今度はサーボの反対軸側を固定する。ボトムアームより大きな凹みには「ボトムブッシュ」を入れる。このボトムブッシュには付属のグリスを薄く塗ってから入れるように指定されている。グリスなしだと、負荷がかかったときに固着することがあるらしいので、面倒でも忘れずに。ここは3×12mmタッピングビス1本で固定するのだが、締め込みすぎるとこの軸(ひじの軸になる)がスムーズに回転しないので、締め込んだ後に確認すること。動きが硬いなと感じたら少しずつ緩めて、「軽く回転する」かつ「一番締め込んだ状態」を見つけよう。


アームユニットを組み立てる。サーボもアームも黒いのでわかりにくいかもしれないが、ガッチリつかんでグッと押し込むべし グリスはチューブから直接塗るよりも、爪楊枝などに取って薄く広げるほうがいい

肩と頭の組み立て

 作業は工程08、ショルダーユニットの組み立てに移る。ここで使用するのはサーボリードが100mm(一番短いもの)のサーボが2つ。例によってCH02とCH06のシールをサーボリードに貼り付けたら、両方の出力軸側にショルダーサポーターを乗せて、ビスで固定する。

 次に行なうのが、サーボホーンへ皿ビスをねじ込む作業。普通ねじ止めといえば複数のパーツを固定するためだが、ここでは皿ビスを単独でねじ込む。じつはコレ、サーボが回り過ぎないようにするストッパーの役目を果たしている(ショルダーサポーターのほうにストッパーの“受け”がある)。ちょうど皿ビスの皿部分が見えているくらいまでねじ込めばOK。その後、出力軸にサーボホーンをはめ込む。ここでも「真上に来るように」と指示があるが、先ほどと同じように「一番近いところ」を探せばいい。

 今度は「サイドフレーム」をそれぞれのサーボの反対軸側に取り付ける。部品自体はまったく同じものなので区別する必要はないが、サーボリードの取り回しが異なるので、図を良く見て確認しておこう。

 最後は先ほど取り付けたサーボホーンにシングルアームを組み込む。右肩になるほう(CH02)は、サーボホーンを真正面から見て1時半方向にボトムアームが来るように、左肩のCH06は同じく4時半方向にボトムアームが来るように取り付ける。このとき、先ほどねじ込んだ皿ビスのねじ部が飛び出ているので、それを除いた3箇所でシングルアームを固定する。


サーボホーンの表側から見るとねじ山部分が丸見えなので落ち着かないが、キモは裏側の頭部分なのでコレでOK サーボホーンはここまで押し込む(ショルダーサポーターとの段差がない)。ここまで押し込めないときは、皿ビスのねじ込みが足りない可能性が高い

右肩になるCH02の取り付け方向 左肩になるCH06の取り付け方向

 工程09→工程10は、頭部の組み立てだ。使用するサーボは200mmのサーボリードが付いたもの。特に複雑な部分は無いので、サーボの出力軸へサーボホーンを取り付けるときに、「なるべくまっすぐ」になるようにすることと、ねじを締めすぎないことに注意して進める。

 これで、「マノイ AT01」の組立工程のおよそ半分を終えた。次回は足の組み立てと全体の組み上げ、サンプルモーションが再生できるところまでをレポートする。


電源スイッチハーネスはこんな感じでアッパーフレームに入れる 工程09が終わり、アッパーフレームユニットの完成イメージ(裏側から)

工程10を終えた段階。サーボの向きに注意

URL
  京商株式会社
  http://www.kyosho.com/

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( 梓みきお )
2007/02/08 00:00

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