Robot Watch logo
記事検索
バックナンバー
【 2009/04/17 】
月刊ROBOTウォッチング
~心機一転、MANOI企画設立!
[12:03]
【 2009/04/15 】
ノモケンの「素組でロボット」
バンダイ 1/100スケール MG「RX-78-2 ガンダム Ver.2.0」(その2)
[14:24]
【 2009/04/09 】
ノモケンの「素組でロボット」
バンダイ 1/100スケール MG「RX-78-2 ガンダム Ver.2.0」(その1)
[15:40]
【 2009/04/06 】
世界最小級の二足歩行ロボット「ROBO-Q」レビュー
~全高3.4cmの超小型ロボットが自律動作する!
[14:09]
【 2009/04/03 】
石井英男のロボットキットレビュー
ヴイストン「Beauto Balancer」
~倒立振子制御を手軽に学べる工作キット
[12:59]
【 2009/03/27 】
通りすがりのロボットウォッチャー
男の憧れか? 女性型ロボット
[01:19]
【 2009/03/24 】
「新型ASIMO」のフィギュアが登場!
~フィギュアで実感、ASIMOの進化~
[02:00]
【 2009/03/18 】
ノモケンの「素組でロボット」
バンダイ 1/72スケール「VF-25F メサイアバルキリー アルト機」(その3)
[14:28]
【 2009/03/11 】
ノモケンの「素組でロボット」
バンダイ 1/72スケール「VF-25F メサイアバルキリー アルト機」(その2)
[00:05]
【 2009/03/06 】
月刊ROBOTウォッチング
~2月はエンタメ路線を爆走!?
[11:31]
【 2009/03/04 】
ノモケンの「素組でロボット」
バンダイ 1/72スケール「VF-25F メサイアバルキリー アルト機」(その1)
[13:05]
【 2009/02/27 】
通りすがりのロボットウォッチャー
脳とロボットを直接つなぐBMI
[00:10]

京商「MANOI AT01」キットレビュー

~組み立て編(その2)
Reported by 梓みきお

 組み立て途中の前回からずいぶんお待たせしてしまったが、「MANOI AT01」の組み立てレビューの第2回をお送りする。今回は機体の完成とホームポジションの設定までを紹介しよう。


工程11~19・足回りの組み立て

 ここからは二足歩行ロボットのキモである足回りの組み立てに入る。

 まず、足首を組み立てる。使用するサーボは一番長い500mmのサーボリードが付いたものだ。サーボリードの先に「CH15」と「CH21」のシールを貼る。足も腕と同様に、左右いっぺんに工程が進むので、混乱しないようにCHシールの貼り付けは忘れないようにしよう。

 このサーボを左右共通のパーツであるフットベースにはめ込んで、ビスで固定する。このとき、サーボリードを反対軸側に出すのが「右足(CH21)」で、出力軸側に出すのが「左足(CH15)」と異なっているので、間違えないように。また、サーボリードはスリット以外の部分から無理に引き出すと断線の原因になるので注意すべし。

 間違いがないようなら、タッピングビスでソールS-01を取り付ける。これは前後の区別がないパーツなので、単純に両方のユニットに今作ったユニットをねじ止めするだけでいい。

 タッピングビスによるねじ止めの注意点には前回も述べたが、もう一度あらためて触れよう。タッピングビスは樹脂の中にねじ山を作りながら入り込んでいくタイプのビスなので、ねじが入りきった状態で強く締め込むと、ねじ自身が作ったねじ山を削ってしまい、ねじが効かなくなってしまう。こうなると部品ごとの買い替えになってしまうので、「ねじ山がねじ穴に入りきって、手ごたえが変わったら、そこでやめる」という感覚を忘れずに。


スリットはサーボリードがぎりぎり通るだけの隙間。それ以外の部分は隙間がないので、サーボリードを挟むとサーボははまらない 裏側から見たとき、CH15(右)のサーボリードがサーボの下をくぐっていて、CH21(左)はくぐっていないのが正解

工程11を終えると同じ形のユニットが2つできる。異なるのはサーボリードが出ている方向だけだ

ガイドは矢印の部分にある(黒いサーボに黒いパーツなので、写真では見にくくて申し訳ない)
 工程12では、工程11で作ったフットユニットにクロスアームを取り付けることになる。似たようなパーツなのに左右の区別をつけながら組み立てる必要があるので、よく説明書を確認しながら作業しよう。

 まずは両方のユニットについたサーボにアッパーアームをはめ込んでねじ止めする。フットベースにガイドとなる切り欠きがあるので、それを目安にする。そのあとアッパーアームをねじ止め。

 次に、CH15のサーボが組み込まれた「フットユニットL」には、「クロスアームB」を、CH21のサーボが組み込まれた「フットユニットR」には、「クロスアームA」を、それぞれはめ込む。はめ込んだアームに間違いがなければ、アーム自体とサーボの反対軸にねじ止めする。反対軸にはグリスを塗ったボトムブッシュをはめ込む指定になっているので、これも忘れずに。


 いったんフットユニットを置き、今度は“すね”にあたる部分であるニーユニットを作る。サーボモーターも含めて4つのパーツしか使わないのに、この工程13はややこしいので慎重に進めよう。

 まずは400mmのサーボリードが接続されている2つのサーボを取り出し、「CH14」「CH20」のシールを貼り、サーボの皿ビスを緩めて抜く。ここまでは基本どおり。

 次に、ニーアームを2種類、1つずつ取り出す。ニーアームは形が似ているが、丸くなった部分の穴が小さな「A」と、大きい「B」を1つずつだ。このニーアームのうち「A」をCH14のサーボの「出力軸側」に、「B」をCH20のサーボの「反対軸側」にねじ止めする。この時点で、CH14はニーユニットL、CH20はニーユニットRになる。

 工程14は、工程13でできたユニットの出力軸にアッパーアームをはめ込んでから、先ほどいったん置いたフットユニットに接続する。

 ここでのポイントは、「アッパーアームはアングルゲージ1目盛りぶんだけ傾けてはめ込む」という点だ。2つのニーユニットどちらも、出力軸を真正面から見て「左側の1目盛り」に合わせることになる。

 これで「すね」と「足」ができたので、次はこの2つを合わせて「ひざから下」のユニットに組み上げる。「フットユニットR」に「ニーユニットR」、「フットユニットL」に「ニーユニットL」をはめこんだら(当たり前か)出力軸と反対軸をねじ止めして完成。L/Rに従って並べたときに、両足の内側にだけニーアームがあるのが正しい状態だ。完成すればニーアームは両側に付くのだが、この時点では配線処理の関係で仮組み立ての状態になる。


左がニーアームB(丸い穴が大きい)、右がニーアームA(丸い穴が小さい) それぞれのサーボにニーアームを固定。左がCH14のサーボで、右がCH20のサーボ

【動画】クロスアームに“すね”をはめ込む動画 手前側がマノイの正面になるので、左側がマノイの右足、右側が。マノイの左足になる。内側にだけニーアームがあるのが正しい

 工程15「サイユニットの組み立て」では、サーボが2つ組み合わせられた太もものユニットを作ることになる(サイとは「太もも」のことらしい)。といっても、使用する部品はその2つのサーボをつなぐジョイントだけなので、サーボそのものが太ももの構造体として利用される形になる。

 300mmのサーボリードが差し込まれている4つのサーボに、「CH12」と「CH13」、「CH18」と「CH19」のCHシールを貼る。「CH12」と「CH18」のサーボは、皿ビスを両面ともに緩めて抜いておくのを忘れずに。

 まず、簡単な「CH12」と「CH13」のペアのほうを組み立てよう。サーボの出力軸を上にして、逆L字型に配置する。「CH12」が縦、「CH13」が横向きだ。サーボリードは横に逃がしておけばOK。そして方向に注意しながらサイジョイントAをかぶせ、2×15mmのビスで固定する。これでこのペアは「サイユニットL」として仮組み立て完了となる(ニーアームと同じように、配線処理の関係で仮組み立てになるのだ)。

 サイユニットRになる「CH18」と「CH19」のペアは、ちょっとややこしい。まず最初にサーボの出力軸を上にして、逆L字型に配置するのはサイユニットLのペアと同じ。そしてサイジョイントAをかぶせるのも同じなのだが、こちらのペアではサーボリードをサイジョイントAの下にくぐらせて固定するところが違う。サイジョイントAにはスリットが設けられているので、そこからケーブルが抜けるようにしよう。さらに、反対軸側にサイジョイントBをかぶせて固定するのも違う点だ。

 ちなみにサイジョイントA(出力軸側)の固定には2×15mmタッピングビスが指定されているが、後の工程で一度外すことになるので、組み立てに慣れている人なら、別の場所で使う2×8mmタッピングビスで仮留めし、あとの本組み立てのときに2×15mmタッピングビスを使うことにしてもいいだろう。サイジョイントBはこの時点で本組み立てになるので、2×15mmタッピングビスを使用するべし。


サイジョイントは比較的小さなパーツ。サーボ同士をつなぐジョイントだ サイジョイントLを組み立てて、裏から見た状態。横向きがCH13、縦向きがCH12になる

左側にあるのがサイユニットL。右側のサイユニットRには、サイジョイントがA、B両方とも付いている

 工程16、17は「レッグユニット」の組み立てとなり、先だって組み立てた「ひざから下」のユニットと、太もものユニットを組み合わせる作業になる。どちらのユニットも仮組みになっていたのは、この工程でフレームの中をサーボリードが通るためなのだ。

 まずは組み立ての楽な左足(工程16)のほうから手をつける。

 工程14で組み立てたフットユニットLには、ひざの部品として「ニーアームA」が組みつけられているが、「ニーアームA」にはサーボホーンやアッパーアームと同じようにサーボの出力軸とかみ合う“セレーション”と呼ばれる溝が成型されている。ここにサイユニットLの「CH13」側の出力軸をはめ込む。

 はめ込む方向を決めるのがサイユニットLのほうにある「穴」と、ニーアームAにある「突起」だ。セレーションの関係でぴったり合わないこともあるが、なるべくこの「穴」と「突起」が合うようにしてはめ込もう。はめ込みは硬いが、出力軸がだいたい隠れるくらいに押し込んだら3×8mmバインドタッピングビスで固定する。

 今度は足の外側を固定する「ニーアームB」をニーユニットの「CH14」のサーボに組み付ける。このとき、ニーアームBには「CH14」「CH15」の2つのサーボリードを通してから組み付けるのを忘れずに。サーボリードはいったんニーアームBの下にもぐってから、スリットを通ってひざの関節の外側に出てくることになる。ケーブルがたるまないようにまとめ、ケーブルガイドを取り付けたら、ニーアームBを「CH13」の反対軸に組み付ける。

 今ニーアームBを通した2本と、サイユニットの「CH12」「CH13」からくるサーボリードをカラーストラップでまとめる。最短距離ではなく、説明書に示されているように「CH12」のサーボリードは少し回り道する必要があるので注意しよう。

 まとめたら、サイジョイントBをかぶせて2×15mmビスで固定。このとき、サイジョイントBの決まったところをサーボリードが通るようにして、部品の間に挟みこまないようにしよう。また、カラーストラップの向きでうまくかぶせられない場合は、指定された位置をテープのようなもので止めてもかまわない。

 サイジョイントBをかぶせたら、この時点で屈伸させてみて、動きが渋くないか、サーボリードが動きの邪魔になっていないかなどを確認しておく。


突起部分と穴をめやすにして、なるべく近いほうではめ込む はめ込んだところ

左足の作業途中では、片面だけに部品が付いたような状態になる ニーアームBのスリットにサーボリードを通す

ニーアームBをCH14のサーボに固定した状態。写真の下からくる2本のサーボリードがいったん潜って出てきている カラーストラップでまとめた4つぶんのサーボリード

配線した左足。サーボリードのたるみ方などを参考にしてほしい

 右足(レッグユニットR)のほうは左足よりもややこしい。

 まず、ひざ下のユニットにサイユニットRのCH19側を取り付ける。反対軸側なので、位置合わせは必要ない。

 次に、ニーアームAをひざ下ユニットにある「CH20」のサーボに組み付ける。このときの作業は説明書で1つにまとめられているが、説明書とはちょっと違う手順にするとスムーズに進むことがわかったので、その解説をしたいと思う(本来は説明書の通りに組むのがスジなので、自己責任でお願いしたい)。

 まず、いきなりニーアームAをCH19の出力軸にはめ込んでしまう。もちろん、ゲージは合わせてだ。次に、ニーアームAを回転させて、スリットにサーボリードを通せる状態にした後、ひざ下の「CH20」と「CH21」のサーボリードを通す。これは左足と同じ要領だ。そのうえで、サーボリードをはさまないようにニーアームAを「CH20」のサーボに組み付ける。

 ケーブルガイドを付けたら、サイユニットの出力軸側についていたサイジョイントを外す。工程15で「仮止め」していたものだ。その後、左足と同じようにストラップでサーボリードを止め、サイジョイントを再度固定する。このとき使用するビスは指定されている2×15mmビスなのを間違えないように!


こちらは右足の組み立て途中 ゲージにあわせてニーアームAをはめ込む。画像では行なっていないが、ニーアームAを固定する3×8バインドタッピングビスも止めていい

そのままニーアームAを回転させて、スリットが空く状態にする ここでスリットにサーボリードを通す

【動画】ニーアームAをちょっと浮かせてずらし、CH20のサーボにかぶせる。サーボリードを挟まないように 仮止めしていたサイジョイントをいったんはずす

ストラップで固定するのはこのあたり 右足の完成写真

 工程18は「ヒップユニットの組み立て」。次の工程19「ヒップユニットの接続」までをセットで行なってしまうほうがいいだろう。

 まず、方向に注意しながら前後共通のヒップブリッジという部品で200mmのサーボリードが付いた「CH11」と「CH17」のサーボを挟む。説明書では「CH11」の出力軸側=「CH17」の反対軸側のヒップブリッジを仮止めにする指示が出ているので、慣れている人は2×8mmビスで止めてもいいだろう。

 次に、アッパーアームをそれぞれの出力軸にはめ込んで固定する。ここではめ込みの目印になるのがヒップブリッジにある「凹」だ。例によって“なるべく目印に近い”ところではめよう。

 その後、クロスアームAを「CH11」に、クロスアームBを「CH17」にはめ込んで、それぞれ指定のビスで固定。先ほど仮止め指定が出ていた「CH11」の出力軸側=「CH17」の反対軸側のヒップブリッジをはずすと、左右の足を接続する準備ができる。

 それぞれの足(レッグユニット)にアングルゲージを貼り付け、アッパーアームを「真ん中より1目盛り傾けたところ」にはめ込む。レッグユニットLを「CH11」のクロスアームに、レッグユニットRを「CH17」のクロスアームにはめ込んで、各反対軸をビス止めする。これで“両足”が“腰”に接続された。

 締めは“下半身”全体のケーブルをまとめる作業だ。各レッグユニットからのケーブルに、ヒップユニットのサーボリードを加えてケーブルガイドで配線する。最後に外していたヒップブリッジの下に配線を通して、固定したら下半身の完成となる。


ヒップブリッジのビスは細身のドライバーでないと締められない部分があるので注意 ヒップユニットにクロスアームをはめ込んだ状態。上下逆さだが、手前側がマノイの正面になる

下半身、正面から。サーボリードがキレイに収まっている 下半身、背面から。右足を見るとサーボリードがどう走っているかがわかりやすい

コアユニットの製作と各部の接続

 ユニットとしては最後の組み立てとなるのが「コアユニット」だ。マノイの頭脳であるコントロールボードが収まる部分であり、マノイの手足が接続される、文字通りのコア(核)となるユニットである。この工程から先は、これまで各部分で組み立ててきたユニットを組み合わせてAT01の形を作っていく作業になる。

 まず、工程03(第一回参照)で組み立てたPCBユニットをロアフレームにねじ止めする。PCBユニットの方向や上下は後で接続するケーブルの取り回しにも影響するので間違えないように。

 そして工程08で組み立てたショルダーユニットLとRをコアユニットに固定すればコアユニットは完成。ショルダーユニットは上下を逆にしても付いてしまうので、図をよく確認して取り付けよう。


PCBユニットの取り付け方向 コアユニットにショルダーユニットRを取り付けるところ。コアユニットの隙間にショルダーユニットをはめ込んでからビスで固定する

左右のショルダーユニットを組み込んだコアユニット

 次に接続するのは工程07で完成させた左右のアームユニット。準備段階としてそれぞれのアームユニットにアングルゲージを貼り、アッパーアームを“なるべくまっすぐに”はめ込む。

 アッパーアームを固定したら、コアユニットのCH02にアームユニットL、CH06にアームユニットRを接続。反対軸も固定したら、アームユニットからのサーボリードをコアユニットのスリットに通しておく(ここではまだ接続しない)スリットを通した後でアームユニットの指定の位置にケーブルガイドを付ける。


両腕をつけた状態 腕からくる2本のサーボリードはスリットを通してコントロールボード付近まで配線

ちなみにジャイロを搭載するならこの時点で組み込んでおくと作業が楽

 次は、思わず「Aパーツ、Bパーツ、ドッキング!」と言いたくなる工程、ボディフレームの接続だ。(世代によるかも)

 工程19で完成させていた下半身(フットユニット)と、直前で完成させた上半身(コアユニット+アームユニット)を合わせて、ビス4本で固定する。

 注意点としては、このビス穴部分はしっかりと組み合うように凹凸がついているので、これがきっちりとかみ合うようにすることと、下半身のサーボリードの束を腰の背中側にまとめ、上半身の背中側(つまりコントロールボードの端子が見えている側)に引き出して組むことの2点だ。うまく合わないのはたいていこの2点が原因なので、確認しながら作業しよう。

 接続したら、上半身と下半身のサーボリードをコントロールボードに差し込んでいく。サーボリードにはすべてCHシールが貼られているはずなので、それを確認しながら、コントロールボードの該当CHに差していけばいい。コネクターの方向は、サーボリードを見ながら「黒が外」になるように。コネクターの方向を確かめたら端子にコネクターを乗せ、指先でまっすぐ押し込むとスムーズに行くだろう。

 コントロールボード付近はとても狭いので、コネクターを挿す順番も考えたい。筆者の印象ではCH02からCH07を差し込んだら、次はCH21からCH17、最後にCH15からCH09を差し込むようにするのが楽だった。適当に差し込んでいくと指が入る隙間がなくなってしまうことがある。また、狭いからといって金属製のピンセットやラジオペンチの使用は避けよう。

 最後に接続するのは工程10で製作したヘッドユニット。

 まず、電源スイッチハーネスの白いコネクターをコントロールボードのバッテリ端子に接続し、ついでにCH01にサーボリードを差し込んでしまおう。その後、ケーブルを挟み込まないように注意しながらショルダーユニットとPCBベースにヘッドユニットをかぶせる。要領はロアフレームにショルダーユニットを差し込んだ時とほぼ同じだ。

 固定するビスは2×6mmが計6本。ショルダーユニットの接続に使う4本は難しいところはないが、PCBベースに固定するビスは、頭のサーボ(CH01)を適当に(手動で)回しながらねじ穴が見える状態にして締める必要がある。


写真よりも「合体!」な雰囲気が良くわかってもらえる説明書の図 頭を除くCH02~CH21のサーボリードを挿した状態

ココのビスは頭のサーボを回すと楽に締めることができる

 ココまでくるとマノイの姿かたちがほとんど見えている。あと少しだ。

 工程25で取り付けるのは、コントロールボードをカバーするバックトレー。AT01のコントロールボードであるRCB-3はモーション製作やデータ転送のためにPCと接続する端子があるが、通常はこのバックトレーを開ける必要がないように、コントロールボードからの延長コネクターが組み込まれている。その結果、ロボットの中でも一番デリケートな部品であるコントロールボードを完全に囲うことができるので、衝撃にも強いのだ。

 まず、バックトレーに延長コネクターをはめ、バインドタッピングビスのねじ頭で押さえて固定する。また、マノイの背中側のボディを未定するボディポストもねじ止め。

 そして、延長コードをコントロールボードの高速シリアル端子に接続したら、サーボリードも含めたすべてのケーブルをコアユニット内に収めて、バックトレーをねじ止め。最後は工程26でバッテリカバーを切り出し、胸側に固定すればマノイAT01の“フレーム”部分の作業が完了する。


バックトレーを裏側から見たところ。奥まった端子を延長して背面に出している マノイの“フレーム”

ホームポジション設定は“フレーム”状態で

 マノイAT01の完成形は、ポリカーボネート製の外装が付いた形だが、各関節などのシビアな調整を行なう際には、組み立ての際に貼り付けたアングルゲージやガイドを見ながら行なうので、外装は邪魔になってしまいかねない。そのため、初期設定は“フレーム”状態で行なうことになる。

 まず最初に設定するのは、AT01がきちんと直立できるようにする「ホームポジション」だ。組み立て時に行なった“原点出し”と位置あわせは「サーボの可動範囲を有効に使える」ように設定されているので、あらためて「まっすぐ立つ」ようにするのである。

 組み立てた状態でAT01にバッテリをつなぎ、PCからシリアルUSBアダプターを介してバックトレーのコネクターまでもつなぐ。電源を入れ、説明書に従って通電させると、1つ1つの関節が妙なポーズになっていくはずだ。手が挟まれないように、マノイのわきの下あたりを持って作業するといいだろう。

 サーボを通電させていくと、手足が物理的に接触してサーボがうなるような音を立てるときがある。このとき、サーボには大きな負荷がかかっているので、すぐにトリムボタンを押し、通電させたサーボのCHを接触しないところまで▲▼で動かそう。

 CH01~CH21を通電させると、だいたい写真のような姿勢になっているはずだ。この姿勢の状態から、HeartToHeart3の「トリム」機能を使って説明書に掲載してあるホームポジションの位置まで動かすことになる。

 基準に使うのは、部品の組み立てに使用したガイドやアングルゲージだ。大きく動かすと指を挟んだりするので、スライドバーではなく左右のボタンを使って少しずつ動かすほうがいい。


組んで通電させた状態。見ての通り自分で立つことはできないので、ハンガーがあると便利だ 接触したままでいると、サーボが焼け付いてしまう。通電させていくたびに接触がないか確かめよう

ひじはアングルゲージの真ん中に 肩のピッチ軸は“見た目”で肩のラインが平行になるように

肩のロール軸が一番多く動く。ゲージの一番端の目盛りに合わせ、まっすぐ下に下ろした形に 足の付け根のロール軸も組み立てに使用したゲージを使う

足の付け根のピッチ軸はサーボリードが邪魔になるので、手で避けて確認。写真の右側がマノイの正面になる 足首のピッチ軸。写真の右側がマノイの正面

足首のロール軸は“かかと”にある凹にアッパーアームの印が合うように。左右それぞれの片側を大体あわせたら、同時に、左右を揃えることにも注意を払う

 ポイントは各写真のキャプションに挙げたとおり。特に足は2本の足で合計10の関節を微妙に合わせていくので、一回でぴったりと決めるのは難しい。トライ&エラーで繰り返してほしい。

 一例として筆者のトリム合わせの方法を紹介しておくと、最初に全体を“だいたい”で合わせたら、まずトリムを使って右足をほぼ水平になるまで上げてしまう。それから左足→右足の順で各関節のピッチ軸をあわせる。右足をいったん上げれば、“内股”のほうにある左足のアングルゲージを真正面から見ることができるからだ。(もちろん右足のピッチ軸をあわせるときは垂直まで戻す)その後、足の付け根のロール軸を合わせる。ゲージでは微妙な違いがわかりにくいので、参考に付け根のクロスアームと足首のクロスアーム部分で比較する。最後が足首のロール軸。サーボが斜めについており、近くに寄って合わせていると感覚がずれる気がするので、ゲージで合わせたら遠目から見て微調整している。


右足を水平まで上げた状態。腕と接触しないように注意
 実際に床に下ろして転ばないのが確認できたら、ホームポジションとして登録。その後、サーボのリバース設定を行なう。この設定を行なうことで、モーションを作る際のデータの値が「増えたら腕が前に動く」「減ったら腕が後ろに動く」というようにわかりやすくなる。付属のサンプルモーションはこの設定が行なわれている前提でデータが作られている。設定を忘れると歩くこともできないので、合計7つのサーボについて、説明書を参照しながら設定しよう。

 基本的な設定の最後が、スタートアップモーションの登録だ。スタートアップモーションとは、機体の電源を入れたときに、まずホームポジションまで自動的に戻るようにしたモーションデータで、付属CD-ROMに含まれている。これも説明書に従って機体に登録し、設定する。

 これでサンプルモーションを再生できるところまではたどり着いた。この時点で、サンプルモーションがしっかりと動くかの確認を行なっておこう。

 サンプルモーションは付属CD-ROMに収録されているものや公式サイトに公開されているものがあるが、これらはコントロールボード内に保存することで初めて使用できる。初期状態では真っ白なので、HeartToHeart3にモーションデータをロードし、「書き込みボタン」を使ってシリアルUSBアダプター経由でAT01に1つずつ転送していく。

 標準状態では、モーション再生のコマンドがシリアルUSBアダプター経由で送られるため、モーションのはじめにPCと有線で繋げる必要がある。競技会などに出ることを考えるなら、発売元で推奨しているKRC-1無線コントロールユニットの搭載をお勧めする。


ネットに公開されているサンプルモーション 【動画】サンプルモーションの「ダンス」。歩きこそしないが、意外と派手に動くのでコレが再生できれば各部のトリムは大体あっている

ポリカーボネート製のボディは塗装も自在

 AT01の特徴は、ポリカーボネート製の外装を持っている点である。ポリカーボネートはラジコンカーのボディ素材として実績があり、衝撃吸収性や復元性の高さ、軽量という点など、見た目が変わることももちろんだが、機能部品としても優秀な一石二鳥の存在なのである。

 ボディの塗装はユーザーの好みでできるので、オリジナル塗装をがんばれば、ロボットキットにありがちな、「大会に行くと似たようなロボットだらけで自分の機体の見分けがつかない」なんてこともない。

 このボディを取り付けるために、まずはボディマウントを“フレーム”に取り付ける。もともとフレームについている穴にねじ止めしていくだけなので作業自体は難しくないが、ボディマウントの形状が別々かつ非常にそっくりなので、部品番号を確認し、ランナーから切り離したらすぐにその部品を指定の位置に取り付けることをお勧めする。また、メンテナンスなどでボディマウントを外す時は、位置を書いた付箋を貼っておくなどして区別できるようにしよう。

 ボディはユーザーが自分でカット/塗装しなければならない。これについては公式ページに詳細なガイドがあるので、そちらを参照してほしい。

□京商(株)サイト内「マノイ テックガイド」
・MANOI AT01ボディカット&塗装ガイド
http://www.kyosho.com/jpn/products/robot/techguide/body.html


ボディマウントが装備された状態。ボディマウントがフレームと別体なので、今後は別の形のボディの登場も期待できそうだ 完成正面。大部分がボディで隠されている。重量はバッテリ込みで1,665g。ボディがあるために全体的に大柄な印象だが、重量自体はそれほどでもない

完成背面。足部分は屈伸などの動きを妨げないようにボディがない 完成左側。肩部分が大きく空いているのも可動範囲を大きくするためだ

キットは組み立てた後からが本番

第一回KYOSHOアスリートヒューマノイドカップの出場機体。全員がAT01ベースだが、“同じ”外装の機体は1つもない
 2回にわたってマノイAT01の組み立てを紹介したが、この製品に限らず二足歩行ロボットキットは組み立てた後からが本当の“遊び”の領域である。

 サンプルモーションを使用して家で動かすだけでも楽しいが、年末に予定されている京商アスリートヒューマノイドカップを頂点とした、各地で行なわれる京商株式会社主催の記録会に参加したり、本サイトでも紹介している練習会や二足歩行ロボットイベントに出場する楽しみ方もある。競技会で勝ち負けすることは二の次としても、同じ趣味を持った人たちと交流するのはもっと楽しいはずだ。

 せっかく作ったAT01を眠らせることなく、ぜひ連れ出して遊んでほしい。


関連記事
京商「MANOI AT01」キットレビュー
~組み立て編(その1)(2007/02/08)



2007/04/26 00:57

- ページの先頭へ-

Robot Watch ホームページ
Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.