1月11日(日)、大阪産業創造館にて二足歩行ロボットユーザー交流会「ロボゴング9」が開催された。 主催はロボットフォース。
ロボゴングは、二足歩行ロボットユーザーの交流会である。市販のロボットキットを組み立てたばかりの初級者や、小学生も参加できる雰囲気が人気の定例イベントだ。バトルトーナメントが中心になるが、参加者みんなが楽しめるようにと、敗者復活戦や6軸以下のロボットが対象のロッポ大会も実施している。
年2回のペースで開催されているが、今大会は同日にJSRC暫定全国大会も実施されたため、大型機クラスのORC(オーバーレギュレーションクラス)は行なわなかった。そのため、練習会らしいまったりムードのイベントになった。
今回は、重量2.9kg以下のSRC(スタンダードレギュレーションクラス)に35体、ロッポ大会に13体、演技部門に2体と、計50体のロボットが集まり1日楽しく過ごした。
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ロボゴング50体とJSRC16体のロボットが集合した
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岩気祐司氏(ロボットフォース代表)
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巫女さんロボット「サクヤヒメ」のお祓いでイベント開始
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● 35体のロボットがバトルで楽しむ
JSRCの応援を兼ねているのか、四国・九州からの遠征者も多かった。SRC部門にエントリーしたロボットとオペレータ名は以下のとおり。
・剣姫/舞鈴堂氏
・エクサ FREEDOM/BIS氏
・アフ・ロゥ/マサ吉氏
・ねこ/ヴィー氏
・ヘルハウンド/シェブサト氏
・Spirito-Oro/場坂氏
・レッド・アイ/川浦志郎氏
・YaMaTo/??田晶太氏
・イプシロン/川端豊氏
・Null/宮谷氏
・べえちゃん/KGU-RW-2氏
・ME-RW/KGU-RW氏
・sharem/土井氏
・電気泥棒/ZAW氏
・旭/関田氏
・den-dera/dauto氏
・つばめ/けいすけ氏
・QUARTER/羽柴【はっし~】氏
・カエルX/miuちゃん氏
・ACHT/アカツキヤマト氏
・PINKO/ながなが氏
・ハルバート/ブッチー氏
・/SLASH//イッスィ~氏
・inverse/たもり氏
・K/@氏
・レーバテイン/ゆた氏
・NeeBoMan・V2/トモロウ氏
・小烏/宮本崇志氏
・やまぴー/ペーター氏
・Dreadnought/POTATO氏
・キヌゴシ/コナーファ氏
・ピクセル/非売品氏
・あしまーる/しばんず-ちち氏
・ザックン/しばんず-いち氏
・いちごちゃん/さや氏
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整備ブースではロボット談義や情報交換が盛んにかわされた
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ロボットの記念撮影用ジオラマ。四足歩行木製ロボットが賽銭箱ロボット(実は妖怪)を転がしている
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ぬいぐるみロボットキヌゴシは“獅子舞バトル”を披露したが1回戦で敗退
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小学生も参加して、大人と一緒にバトルを楽しんだ
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最年少参加者は3歳のmiyuちゃん。ママが自作したロボットのオペレーターだ
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SRCトーナメント表
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準決勝戦までトーナメントを勝ち進んできたのは、旭(関田氏)とDreadnought(POTATO氏)、剣姫(舞鈴堂氏)とアフ・ロゥ(マサ吉氏)だった。
旭は、ロボプロチャレンジカップのレギュレーションに合わせて軽量化するために、片腕を外している。なかなか大胆な軽量化だ。左右の重量バランスが違うと歩行が難しくなるのだが、旭はよく動いていた。
常連の剣姫は、その名の通り剣道着を着た女の子ロボットだ。可愛い外見にたがわずバトルの弱さには定評があり、いつも試合に負けては手足をバタバタさせて泣いていた。それがこの正月休みにどんな特訓をしたのか、するするとトーナメントを勝ち上がってきてみんなを驚かせた。
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【動画】準決勝戦第1試合、旭(関田氏、左) VS Dreadnought(POTATO氏)。小柄な旭がダウンカウント先取と善戦した
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準決勝戦第1試合は、旭(関田氏) VS Dreadnought(POTATO氏)の対戦だ。旭は、市販キットの中でも軽量機に属するRobovie-Xがベースの機体。対するDreadnoughtは、大同大ロボ研らしい自作大型機だ。大同大ロボ研ではSRCレギュレーションのギリギリの機体を通称“スーパーSRC”と呼ぶ。
小柄な旭は、足を広げ腰を落として攻撃。試合開始わずか5秒でDreadnoughtからダウンを奪った。旭の攻撃は必殺技申請しているため、攻撃後に倒れてもスリップダウンはとられない。試合再開でDreadnoughtが反撃に転じ、旭をリング際に追い詰めてパンチを決めてリングアウトさせた。その後もDreadnoughtが攻め続ける。旭も果敢にパンチを放つが、防御姿勢を取られると軽量の旭は逆に滑ってしまっていた。フットワークを活かして善戦したが、決勝戦にはDreadnoughtが駒を進めた。
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【動画】準決勝戦第2試合、アフ・ロゥ(マサ吉氏、左) VS 剣姫(舞鈴堂氏)。剣姫が多彩な攻撃で積極的に戦って初の決勝進出を決めた
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準決勝戦第2試合は、アフ・ロゥ(マサ吉氏) VS 剣姫(舞鈴堂氏)のカード。剣姫は安定した歩行でちょこちょこと動き回りながら、いいポジションについてアフ・ロゥを攻撃する。こう見えても、剣姫は意外と多彩な攻撃パターンを持っている。棒状の両手をクロスして相手を挟み投げる大技もあるのだ。先にアフ・ロゥがパンチを放ってダウンを先取したが、その後、剣姫がパンチに投げ技+投げ技+プッシュと怒濤の反撃でダウンを奪い返した。アフ・ロゥが放ったパンチを避け、相手がバランスを崩したところを攻めるなど、剣姫がタイミングのいい攻撃を続けた。そして最後は、両手の正拳突で背後からアフ・ロゥを倒して3ダウンKO。堂々と決勝戦進出を決め、観客から喝采を浴びた。
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【動画】3位決定戦、アフ・ロゥ(マサ吉氏、右) VS 旭(関田氏)。アフ・ロゥが3ダウンを奪い勝利を決めた
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3位決定戦は、アフ・ロゥ(マサ吉氏) VS 旭(関田氏)。メダルを意識したのか、慎重な試合運びとなった。アフ・ロゥは旭の攻撃力がない左側方へ回り込もうとするが、身軽な旭をなかなか捕まえることができない。一方の旭は歩き回りすぎてスリップダウンを重ねてしまった。ポイントを失い消極的になった旭に対し、アフ・ロゥのパンチが決まった。アフ・ロゥが旭の足に乗り上げてしまいスリップダウンを取られる場面がもあったが、最後はパンチで倒してKOで勝利。アフ・ロゥが3位の座をものにした。
そしていよいよ決勝戦。小柄な剣姫(舞鈴堂氏)が巨体Dreadnought(POTATO氏)に果敢に挑む。ロボゴング常連の剣姫だが、決勝戦は初体験だ。剣姫がDreadnoughtの懐に飛び込み、パンチを放つ。迎え撃つDreadnoughtのパンチは、剣姫の頭上を越えてしまう。リング中央で打ち合いになると、Dreadnoughtのサイドパンチを剣姫が後退して避ける。そしてすかさず反撃。息をのむ攻防に客席も沸いた。
Dreadnoughtは小さな剣姫を攻撃しづらそうだった。手数は剣姫の方が多いが、体重差もあり自爆スリップダウンをしてしまう。結局、最後までお互いダウンすることなく試合終了。ポイント優勢でDreadnoughtが優勝となった。POTATO氏は「ここまでダウンを奪って勝ち上がってきたのに、こんなに苦戦するとは思いませんでした」と悔しそうなコメントをしていた。
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【動画】決勝戦、剣姫(舞鈴堂氏、左) VS Dreadnought(POTATO氏)。剣姫が善戦したが、Dreadnoughtの巨体を倒すことはできなかった
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【動画】決勝戦で敗れ悔し泣きの剣姫(左)
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ロボゴング9 SRCトーナメント結果
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● 敗者復活戦はランブル方式で実施
トーナメント1・2回戦の敗者は、ブロック毎に5~6体で予選を行ない、勝ち残った2体が決勝に進む敗者復活ランブルに参加した。ランブルはロボットをリングから落とし合う競技なのだが、決勝戦も含め1体も落ちない試合が複数あった。リング際でロボットが転んでいても、近くにいるロボットは落としに行かないでリング中央に戻ってしまうなど、ランブルらしくないまったりとした雰囲気だ。
見ている側としては盛り上がりに欠けてしまうが、正月らしいのんびりとした空気も感じる。試合に勝つことよりも「みんなと一緒にロボットを動かして遊ぶ」というのが優先している、いかにも練習会らしい雰囲気の新春ロボゴングだった。
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トーナメントブロック毎に敗者復活戦ランブル。3分間の落としあいで、最後に2体残ったロボットが決勝ランブルに進める
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倒れてもいいが、リングアウトしたら負け。複数ロボットが残っている時はリング端のXマークに近いロボットが勝ち
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【動画】敗者復活ランブル決勝戦。優勝は足がマークに近かったNull(宮谷氏、手前)に決定した
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● 和気あいあいと盛り上がった“こたつ方式”のロッポ大会
ロボゴングの名物ともいえるロッポ大会。6軸以下の小さなロボットが直径30cmのリング上で落とし合いをするミニバトルだ。リングの周りに参加者がぐるりと囲んで、次々と試合が行なわれる、いわゆる(!?)「こたつ方式」を取り入れている。
全国に数ある二足歩行競技会の中でもダントツに地味な競技だが、これが割と面白く、常連も多い。二足歩行ロボットを作っていると、キットのサーボを強力なものに換装してサーボが余ることもある。そうした予備パーツを使って気軽に作れるのも魅力だろう。また子どもが楽しく参加できる点もポイントが高い。参加ロボットとオペレータ名は以下のとおり。
・ごーすぱー/sakia氏
・チビ虎(仮名)/たかぽん氏
・アフ・ロッポ/マサ吉氏
・ハロっぽ/うじ氏
・パンダさん/miuママ氏
・カエルさん/miuちゃん氏
・C-6PO/ナッキィー氏
・Roppoido/山口辰久氏
・太郎/白龍氏
・スペーチック/アヒンサー氏
・モモッポ/桃色兎氏
・ギガール/しばんず-ぺい氏
・シンプルファイター/zeno氏
ロッポ大会は、数秒で決着がつくことが多い。ノリとしては紙相撲である。ところが、決勝戦まで勝ち上がったスペーチック(アヒンサー氏)とアフ・ロッポ(マサ吉氏)は、本格的なロボット競技会にも参加するバトル経験者だけに、操縦がうまい。スペーチックはリングから足が半分はみ出ている状態からも復帰するという離れ業を見せた。試合はリング中央で転んだアフ・ロッポをスペーチックが全力で押し出して優勝した。
優勝したスぺーチックの製作者アヒンサー氏は、ROBO-ONE本戦に出場経験もあるビルダーだ。今は新作ロボットを製作中で、マイコンボードから自作しているという。今回は、マイコンボードの動作検証を兼ねてロッポ大会に出場したそうだ。「途中で大会に出ないと、作っていてつまらなくなるんすよ~」といい、久しぶりに会う仲間達と情報交換を楽しんでいた。
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ロッポ大会は参加者全員でリングを取り囲んで「こたつ方式」で開催。アットホームな雰囲気だ
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【動画】造形が見事なC-6PO(ナッキィー氏、リング左)。頭がくるくる回るのが可愛い
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【動画】ロッポ大会決勝戦、スペーチック(アヒンサー氏、手前) VS アフ・ロッポ(マサ吉氏)。スペーチックはマスタースレーブ採用で動きがいい
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【動画】ロッポ大会のランブルトーナメント
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ロッポ大会参加者達
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ロッポ大会トーナメント表
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演技部門では、りひと氏がレスキューロボットコンテストに向けて社会人でチームを組み、制作中の四足歩行ロボット「プロトタイプ」を発表した。
会場の外にはスポンサー企業のブースもあり、各社の最新情報を知ることができる。JR PROPOは、小さなサーボを首に追加したRB2000で二足歩行ロボット用レーザーバトルシステム「Blaser(ブレーサー)」を構えるデモンストレーションを披露。RB2000の視線が銃口を追う動きがリアルで面白かった。
次回は、5月9日(土)に「ロボファイト9」が開催される。こちらは競技会の位置づけになっており全国各地から強豪ロボットも集まる。観戦は無料のためロボットに興味がある人は、気軽に見に行ってほしい。
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りひと氏が、レスコン出場に向けて開発中の四足歩行ロボットを紹介した
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ボディはベニヤ板で構成、四足歩行のマスタースレーブ方式を実現するためマイコンボードから自作
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ロボゴング9の入賞者達
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会場外ではスポンサー企業のブースがある。HPIのロボットを熱心に見つめる来場者
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【動画】JR PROPOは、小さなサーボ(DS386)を首に追加したRB2000のデモを披露。銃口を視線が追う動きがリアルだ
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■URL
ロボットフォース
http://www.robot-force.jp/
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( 三月兎 )
2009/01/19 18:12
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