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参加ロボット+企業デモアピールのロボットも参加しての記念撮影
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11月最初の連休である2日(日)、3日(月・祝)に、大阪産業創造館で二足歩行ロボット格闘競技会「ロボファイト8」が行なわれた。主催はロボットフォース。
まずは2日に行なわれた、第15回ROBO-ONE決勝出場権認定大会の「ORC(オーバー・レギュレーション・クラス=大型機)」部門の模様からお届けする。
● ロボファイトのルールと今回の参加選手紹介
ORCは、ROBO-ONE本戦仕様に準じた二足歩行ロボットが参加可能だ。ルールは、3分1ラウンド、相手から6ポイントを奪うか、KOを取れば勝ちだ。ポイントは、1ダウンで2ポイント、スリップで1ポイント。タイム宣言(スリップ、ダウン両方でも取れる)をした場合と、リングアウトも2ポイントロストだ。
特徴的なのは、必殺技申請制度と発射体。必殺技を申請した技を使って相手からダウンを奪った場合、自分が転倒してもスリップを取られなくなる。捨て身技の場合、特に有効というわけだ(申請していない捨て身技で転倒したら、相手からダウンを奪っても奪えなくても1スリップで1ポイント減点)。1試合ごとに1種類の技を申請でき、使用回数の制限はないが、技をかけている時間は概ね5秒以内となっている。発射体は、いわゆるBB弾などを発射する飛び道具。試合前に審判に申請をし、なおかつ試合中に発射前に技名や武器名などでそれをコールし(審判への注意喚起)、相手の胴体中央付近に明らかな形で着弾すると、1ダウンを奪ったことになる。発射体による攻撃は2ダウンまで有効だが、それで6ポイント目を奪うことはできないルールだ。装弾数は最大3発までで、観客席まで飛んだり、相手の機体を壊したりする威力があるものは禁止だ。
今回の参加選手数は、22人。五十音順で以下のロボットが参加した。カッコ内はオペレーター名(敬称略)。
・アフ・ロゥ(マサ吉)
・unfix MkII(kantarow)
・EXELION(羽柴【はっし~】)
・F325(BLACK)
・Automo 03(Sandan)(holypong)
・カイレイ(ダイダラ)
・Cavalier(えまのん)
・KZR-6(KAZZ)
・ゴーレムくん(人形つかい)
・ダイガック(アキツカ)
・たかろぼ(HARATAKA)
・で・か~る(道楽、)
・HADES(まつしろ)
・BBR6-(チャーリー)
・MAN01(酉旦那)
・MgROSS(MgROSS1)
・MgAloT(JUN)
・もん☆(なぐ)
・YOGOROZA(だうと)
・ライガー改(HSWN)
・力士マン・朱雀(力士マン・朱雀)
・レグホーン(NAKAYAN)
第15回ROBO-ONE決勝出場権は、認定大会の開催地の地元ロボットの優先枠を設けるということで、優勝者が獲得できる全国枠と、それとは別に関西枠の2名を決定することになっている。
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【動画】安全祈願の様子
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ORCのトーナメント
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● 第1試合は主催者の陰謀(?)による因縁の強豪対決
トーナメントは、司会を務めるロボットフォースの岩気氏が「因縁の対決」とあおる、レグホーン対もん☆という強豪対決からスタート。たまたまトーナメントがそうなったわけではなく、もちろん主催者側の茶目っ気のある演出である(笑)。しかし、レグホーンのオペレーターのNAKAYANさん、初っぱなからキツイ対決が仕組まれた(?)ためか、いまいちテンションが上がらない様子。いつもは愛機よりも大型の機体が相手でも、積極果敢に勝負を挑んでいくスタイルのはずだが、苦手意識があるのか、投げ技の「ナゲット」はおろか得意技のはずの突き「てばスラッシュ」すらあまり出ず、手数が少ない。しかも、もん☆の長いリーチを警戒してか、リングアウトで自爆しそうなギリギリのポジション取りで観客を冷や冷やさせる(1回は実際に攻撃を受けて落ちてしまった)。結局、レグホーンの攻撃は一度も決まらないまま、試合は終了。もん☆は2スリップで2ポイント減となるが、レグホーンから3回ダウンを奪い、勝利となった。その結果、レグホーンは敗者復活戦に回ることになった。
この第1試合で、もん☆の右腕が非常に強力であり、今大会、猛威を振るいそうな予感を周囲に与えていた。もともと大型の機体でリーチがあるところに、右腕には大きな三叉状の手先を装備しており、それによってさらにリーチと攻撃範囲を増しているのだ。CavalierやYOGOROZAなどの全国区の大型機がトーナメントの反対ブロックにいるため、レグホーンをまず破ったことで波に乗りそうなもん☆であった。
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浪速のケンカ番長レグホーン
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もん☆。この日1番の大型ロボット
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この三叉の右手先がもん☆最大の武器で、非常に強力
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【動画】レグホーン(右)対もん☆。準決勝、決勝クラスの一戦が第1試合に
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● ORC敗者復活戦はレグホーンが優勝
その後、1回戦、2回戦と進んで確実に強豪が残っていく。1、2回戦の敗者はORC敗者復活戦に回れるのだが、そこで会場を沸かせていたのが、女性オペレーター人形つかいさんの操るゴーレムくんが1勝を上げたこと。機体としては大型のゴーレムくんは有線操縦式なのだが、モーションの調整が難航している様子で、残念ながらバトルにはまだ厳しい感じだが、進歩はしている。1勝を上げたことに対して人形つかいさんは「相手が起きあがれないという運の良さもあったのですが、まっすぐ端から端まで歩けたことが勝因だと思います(笑)」とコメントしていた。
敗者復活戦は、初参加の選手、体格的には翌3日に実施されたSRC(スタンダード・レギュレーション・クラス=小型機)のものなどもおり、ロボットの性能とオペレーターの操縦テクニックの総合的な実力でレグホーンが抜きん出ている状態だ。決勝戦は、高校生ビルダー兼オペレーターの羽柴【はっし~】さんのEXELIONとの対決。
しかし、EXELIONは昨日まで学校の文化祭でフル稼動していたらしく、パーツを取り替えても直らないという、片足ヒザの原因不明の動作不良のため不調。それでも敗者復活戦では残ってきたのだが、レグホーンには敵わず。EXELIONは、姫路が地元で、打倒レグホーンを目指して地元の力を結集して製作されたロボットだそうだが、今回も及ばなかった。ORC敗者復活戦で優勝したNAKAYANさんは、「次は万全の状態で闘いたいです」とコメントを残している。ちなみに、レグホーンは敗者復活戦の決勝を制したので、ORCの3位(3位は通常のトーナメントの選手と合わせて2人いる)となった。
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ゴーレムくん。敗者復活戦での1勝に会場から拍手喝采
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世紀の(?)一瞬は、敗者復活戦の対MgROSS戦で実現。左端からここまで歩いたところ
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【動画】敗者復活トーナメントの優勝決定戦。レグホーン(右)対EXELION
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● 強力な機体と試合巧者によるベスト8
ベスト8(準々決勝)の4試合は、Cavalier対unfix MkII、YOGOROZA対ダイガック、もん☆対BBR6-、F325対Automo 03(Sandan)。ここまで来ると全国区のロボットが多くなってくる。
第1試合は、Cavalier対unfix MkII。unfix MkIIも小型機というわけではないのだが(最近の超大型化の傾向からすると小型の部類に入ってしまうのかも)、Cavalierとは明らかに体格差がある。unfix MkIIは懐に飛び込むしか活路がないのだが、あまりにもCavalierはリーチが長い。ロングレンジのアッパー、「Cavalierトルネード」ともいう趣の腰上を回転させる大回転パンチで、あっという間の3ダウン。地元勢のunfix MkIIだったが、Cavalierの前にはなす術がない状態だった。
第2試合は、YOGOROZA対ダイガック。レグホーンと関西1、2を争う実力者のYOGOROZAと、中部地区(名古屋)の大同工業大学ロボット研究部のダイガックの対決だ。ダイガックはSRC規定を満たすロボットだが、無差別級のORCでどこまで通用するかと参戦。なんでも、打倒YOGOROZAを目指して開発されたそうである。前日も別の競技会で同じカードのバトルが行なわれ、その時は念願叶って打倒YOGOROZAを実現したという。それがフロックだったのか、実力でYOGOROZAを超えられたのかは、この闘いで明らかになるというわけだ。
序盤は、YOGOROZAがやや有利に試合を進める展開。というよりも、ダイガックのオペレーターのアキツカさんの肩に力が入っているという感じか。経過時間1分を過ぎた辺りからダイガックの調子も出てきて、両者の目を見張る好勝負が展開されていく。最終的には5:5のイーブンに。お互い、あと1スリップで敗北という背水の状況になったところで、残すは1分。果敢に攻め合うが、最後はYOGOROZAのスリップで決着。ダイガックが対YOGOROZA戦で2連勝を飾った。
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【動画】ベスト8第1試合。Cavalier(右)対unfix MkII
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【動画】ベスト8第2試合。YOGOROZA(右)対ダイガック
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続いては、優勝候補の一角のもん☆と、顔がお茶目なBBR6-の対戦。見た目が大人対少年という感じで、体格差がかなりある一戦だ。BBR6-は、手の造作に特徴があるロボット。人の手のひらに近い構造が持たせられており、指が4本あって握って開いてができるようになっているのだ。コブシを握ってのパンチ、開いての突きと切り替えて2種類の攻撃を使えるというわけである。闘いが始まると、予想通りに体格差でもん☆が圧倒していく。BBR6-はもん☆の懐に飛び込んだり、後ろを取ったりして活路を開こうとするのだが、接近したらしたで大回転パンチが待っており、攻めあぐねている状態。しかも、ちょっと隙を見せると、もん☆のロングリーチの突きが襲いかかってきて、一度は場外に突き飛ばされてしまったほど。さらに、体重差が大きく、BBR6-のパンチではもん☆のバランスを崩すに至らない。結果BBR6-の3ダウンで、もん☆の勝利となった。
ベスト8最後の試合は、マノイAT01ベースのF325と、空手着(黒帯)を着た格闘家然とした外観が特徴のAutomo 03(Sandan)の対決。F325は、京商のアスレチクスヒューマノイドCUPでも活躍している機体だ。以前に聞いたところでは、タイムを出せるようにと、フェラーリを意識したロボット名にしているそうだが、バトルではいかに? 一方のAutomo 03(Sandan)は、ROBO-ONEでも活躍する、九州の強豪ロボットの1台。確認はできなかったので勝手な想像だが、戦国武将、九州三国志の大友宗麟(義鎮)にちなんだ命名ではないかと思われる辺りも、黒帯の空手着と合わせて男気を感じるところだ。
勝負は、開始10秒と経たないうちに、Automo 03(Sandan)の正拳突き(正確には真横方向なので正拳突きではないのだが、握られたコブシがとてもそれらしく見える)がまともにヒットして、F325がダウン。Automo 03(Sandan)の黒帯は伊達ではないという感じだ。F325が立ち上がったところで、再びAutomo 03(Sandan)が距離を詰め、正拳突き。今度はヒットしなかったが、もみ合う形になり、F325がスリップ。この時、胸カバーが吹っ飛んでしまうアクシデントもあった。その後もスリップ、ダウンを重ねてAutomo 03(Sandan)が無傷で勝利となった。
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【動画】ベスト8第3試合。もん☆(右)対BBR6-
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【動画】ベスト8第4試合。F325(右)対Automo 03(Sandan)
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● 準決勝は大型機に中型機が挑む2試合に
準決勝の第1試合はCavalier対ダイガックだ。YOGOROZAを下したダイガックに対し、さらなるエキサイトシーンを見せてくれるのではと会場全体が期待をかける中、試合はスタート。その期待に違わず、1回目の接触でダイガックの攻撃の方に威力があったようで、Cavalierをふらつかせる。もう少しでダウンというところで、Cavalierが2撃目を繰り出し、先にダイガックがダウン。この辺は場数を踏んでいるオペレーターえまのんさんならでは、というところだろう。しかし、Cavalierも結局は倒れたためにスリップとなり、ダイガックの攻撃が通用するとして、さらに期待が高まっていく。
しかし、ダイガックのオペレーターのアキツカさんは、YOGOROZAを破った時点で気力が尽きてしまったようで、実はこの試合は集中力がとぎれがちだった。両者立ち上がってしばらくして、あっさりCavalierが2回目のダウンを奪うことに成功。アキツカさんが少々それで慌てたのか、ロングリーチを警戒してダイガックに距離を取らせようとしたら、目測を誤ったようでまさかの自爆リングアウト。1分も経たない短時間で自爆で終わってしまい、会場からはもったいないというため息。対YOGOROZA戦の勢いでいければ、この試合ももっと絡めたのではないかというだけに、少々残念だった。2日連続で目標のYOGOROZAと対戦し、なおかつ勝てたことで、集中力を使い果たしてしまったのだろう。ただし、翌日のSRCにも出場するということなので、この後はネジの巻き直しである。決勝に進出したのは、第14回ROBO-ONE軽量級王者Cavalierであった。
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Cavalier。第14回ROBO-ONE軽量級王者
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ダイガック。名古屋の大同工業大学ロボット研究部所属
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【動画】準決勝第1試合。Cavalier(右)対ダイガック
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第2試合は、もん☆対Automo 03(Sandan)。もん☆の暴風のような破壊力を突破し、Automo 03(Sandan)の男気あふれる正拳突きが決まるかどうか、という一戦だ。開始早々、Automo 03(Sandan)はもん☆の懐に飛び込むことに成功。左右の正拳突きをもん☆の脚部に連打していく。この勢いで連打すれば、難攻不落のもん☆もダウンするのではと会場中の期待が高まったが、なんと倒れたのはAutomo 03(Sandan)。結局、もん☆がビクともしないため、反動で逆にAutomo 03(Sandan)の方がバランスを崩してしまったというわけである。地に根を生やしたような安定感を見せるもん☆だ。おそらくもん☆を倒すには、ヒザ下(スネ)にもん☆の前腕のような平たい手先や前腕を差し込み、すくい上げてバランスを崩させるか、できるだけ上部を勢いよく突くなり叩くなりして、バランスを崩させるしかないはずだ。が、残念ながらAutomo 03(Sandan)はコブシだし、上背はもん☆には届かない。せっかくの正拳突きの威力も、逆に自分に跳ね返ってしまうのでは、手の出しようがないか……。
スリップからAutomo 03(Sandan)が立ち上がった後は、もん☆はつけいる隙を与えない。着実に攻撃を繰り出し、Automo 03(Sandan)も防御が精一杯。そこへ、体重差を活かした圧倒的なパワーの突きやアッパーが決まり、Automo 03(Sandan)の3ダウンがカウントされ、もん☆の勝利。決勝は、Cavalier対もん☆のORCらしい大型機同士の対決となった。個人的には、Automo 03(Sandan)とholypongさんの果敢な闘いぶりに対しては、「スポーツマンシップ賞」とか「漢(おとこ)気にあふれていたで賞」なんかを贈呈したいところである。
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もん☆。初戦を制した後は体格で常に圧倒している
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Automo 03(Sandan)。豪腕空手家ロボが巨大な相手を倒せるか!?
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【動画】準決勝第2試合。もん☆(右)対Automo 03(Sandan)
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● 3位決定戦は壮絶なインファイトの打ち合い
決勝戦に先立ち、まずは3位決定戦から行なわれた。ダイガック対Automo 03(Sandan)の闘いである。両者とも今大会の中では中量級。機動力もあり、攻撃力もある、好勝負が期待できるカードだ。試合が始まって、まずはお互いに足を駆使したポジション取りの闘い。お互いに横方向へのパンチを最も威力のある武器としているが、その射程に相手を収めようと、位置取り合戦だ。最初にダウンを奪ったのは、Automo 03(Sandan)。ダイガックの左側面という危険なポジションではあったが、密着してしゃがみ込みつつも連打し、最後は右フック(空手だから、右カギ突きという言い方の方が正解かも)一閃。これが見事に決まり、ダイガックは前のめりにダウンとなった。
しかし、気合いを入れ直したダイガック、ここから反撃開始。ポジションの取り合いのさなか、偶然のはずだが(狙ってやったのならすごいテクニック)、ちょうど手先が空手着のえりに引っかかり、腕を戻した際にAutomo 03(Sandan)が背中を見せてしまう。有効の射程内に絶好の角度という状態で、Automo 03(Sandan)も逃げるに逃げられず、しゃがみ込んだままになってしまう。そこへダイガックがすかさず突き、上から打ち下ろして頭部を叩いたかと思ったら、続いてアッパーを繰り出し、防御姿勢にも関わらずAutomo 03(Sandan)がダウン。開始から30秒ほどで1ダウンを奪い合う、迫力満点のインファイトに会場も沸く。
だが、この後Automo 03(Sandan)がスリップを3回重ねてしまい、それが勝負の分かれ目に。どうもパンチがダイガックに当たった時に、ダイガックの姿勢によっては反動で倒れやすくなってしまうらしく、相性が悪いところがあったようだ。それでも粘りを見せ、先ほどと同じ右フックを一閃し、ダイガックから2度目のきれいなダウンを奪う。ポイントは4:5だ。そのあとのポジションの奪い合いでは、ダイガックが再び絶好の角度をゲット。Automo 03(Sandan)は防御姿勢でこらえたが、アッパーが空手着の裾に引っかかり、それで威力が増してダウン。Automo 03(Sandan)のキャラクターを成す重要な要素の1つである空手着だが、今回はちょっと運が悪かったようだ。なにはともあれ、両者に惜しみない拍手を送りたい。
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インファイトのド突き合いを展開した、ダイガック(右)とAutomo 03(Sandan)
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【動画】ダイガック(右)とAutomo 03(Sandan)による3位決定戦
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● 大型機同士の対決の決勝戦、2kgの重量差が!?
そして、Cavalier対もん☆の決勝戦。両者が対峙すると、なかなかの迫力だ。上背は、アンテナ部分を含めるとCavalierの方が10cmほど高いが、実質ほぼ同じ50cmほど。ただし、重量はCavalierが3kg弱に対し、もん☆は5kg弱。どんな格闘技でも体重に勝る武器はなく、ましてロボットバトルでは2kgの差はかなり大きい。その辺りはオペレーターのえまのんさんもよくわかっているようで、強引な接近戦は試みず、距離を置いたアウトボクシングでまずは様子見。しかし、ここぞと見たのか、必殺のアッパー気味の横突きを繰り出す。が、やはり2kgの差は大きい。跳ね返される形でバランスを崩してしまい、先に1スリップ。
その後も距離を取るCavalier。それに対し、もん☆は様子見なのか、あまり激しくは動かない。しかし、1スリップ時にCavalierを力押しできると判断したか、徐々に動き出す。そして、アッパー気味の横突きでCavalierの脚を狙う。その一発が決まり、重心を崩すCavalier。両者絡んでしまい、もん☆も1スリップとなってしまう。しかし、この1ダウンで大きかったのは両者が絡んだことで、Cavalierが不調をきたしたこと。立てないため、えまのんさんがタイムを宣言し、調子を見る。これでCavalierは5ポイントのロスト。後がない状態となってしまった。
不調はケーブルか何かが外れた程度だったようで、その場で調整が終了し、無事動き出す。そして一矢報いんと、余裕ができたためか正面から向かってくるもん☆に必殺の横突き。今度は体重が乗っており、ダウンを奪うことに成功した。しかし、Cavalierにとって痛いのは、もう1つの必殺技ともいえる、大回転パンチが通用しないこと。あの暴風のような攻撃が、もん☆には受け止められてしまうのだ。それでも、もう一歩踏み込んでから大回転パンチを繰り出してぐらつかせ、そのあとの横突きでもう1ダウンを奪って同点! と見えたが、もん☆倒れきらず。そこでちょっと焦ってしまったのか、腰が浮き気味の状態で横突きを出してしまい、逆に反動でバランスを崩し、スリップ。結果もん☆の勝利となった。
試合後、もん☆のオペレーター兼ビルダーのなぐさんは、「体重差が2kgもあるので勝てて当然なんですが、五分の闘いでしたし、危なかったです」とコメント。一方のCavalierのえまのんさんは、自分的には五分の闘いとは見ていないらしい。「反省点がいっぱい見つかりました。次はもっと強くして帰ってきます」と、前向きなコメントを出している。
また試合後に、それとは別に単独でなぐさんに勝利者インタビューをもらうことができたので、それもお届けする。なお、第15回ROBO-ONE決勝出場権の全国枠はなぐさんは獲得しているので、準優勝のえまのんさんが獲得となった。
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【動画】Cavalier(右)対もん☆の決勝戦
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【動画】もん☆のオペレーター兼ビルダーのなぐさんの勝利者インタビュー
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● 第15回ROBO-ONE決勝出場権の関西地区代表枠をかけた一戦
第15回ROBO-ONEの決勝出場権の関西枠をかけた一戦は、トーナメントの関西勢の中で上位2選手ということで、ベスト8に進出したunfix MkIIとYOGOROZAが激突することとなった。両者を比較すると、攻撃力の場合、把持機能もある大型の前腕を持つYOGOROZAの方が、クロー付きのガントレットを装備しているunfix MkIIよりもリーチが長く高い。機動力もYOGOROZAの方が若干上回る感じ。体格的にはあまり両者に差はないようだ。また、オペレーターの戦績もだうとさんの方が上だろう。試合は、序盤は攻撃を出し合っての最中の1スリップずつとなって互角のように見えたが、unfix MkIIがもったいない単独スリップ。オペレーターのkantarowさん、少々緊張気味か。
見せ場は、1分近く経過した時のクロスカウンター気味の両者の交錯シーン。一瞬、両者が絡んだため、動きが止まり、まさに「あしたのジョー」のアニメのようである。ダウンしたのはunfix MkIIだ。その後、機体同士が絡んで1スリップずつ加えられ、unfix MkIIは後がない状態。そして試合再開のあと、YOGOROZAが単独スリップして、ポイントは5:3。あと1ダウンで同点と油断したのか、それともコントロール系に不調が発生したか、試合が再開するとunfix MkIIがリング際で棒立ち。すかさずYOGOROZAが距離を詰め、絶好の角度から横突きを入れると、unfix MkIIまともに食らってダウン。YOGOROZAの勝利となり、関西枠をゲットした。
勝利者インタビューでだうとさんは「本来ならkantarowさんにもROBO-ONEに出てもらいたいのですが、まだ早いかな、と(笑)」と辛口のコメントで、場内爆笑。ただ、それには理由があって「僕を軽く倒せるぐらいになって出てほしい」ということだった。ちなみにその間、kantarowさんは腹いせ(?)で、こっそり止まっているYOGOROZAを攻撃していた。
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unfix Mk2(右)
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YOGOROZA
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【動画】第15回ROBO-ONE決勝出場権の関西枠をかけたunfix Mk2(右)対YOGOROZAの一戦
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● 全ロボット参加のランブルで優勝したのは!?
最後は、全ロボットの参加によるランブル。3組に分けてまず予選1ラウンド3分を行ない、生き残った3機が本戦に出場し、本戦は9機で争われるというものだ。予選で3分経過した際、4機以上いる場合は、リングの6角形の頂点の観客席に近い1点のそばに×印が記されており、ここに近い方から3体選ばれるというルール。決勝でも3分経過時に2体以上いる際は、最も×印に近い選手が優勝となる。
予選はまずAグループから、で・か~る、BBR6-、YOGOROZAが進出。で・か~るはAutomo 03(Sandan)とほぼ同時に落ちたが一瞬後だったため、3体目となった。ちなみにCavalierもいたが、予想通りにみんなに寄ってたかって押し出され、決勝に残れず。Bグループは、unfix MkII、HADES、ライガー改が決勝進出。この組にはもん☆がいたが、それ以外の選手が紳士協定(?)を結べず、なかなかもん☆を落とせなかったが、それでも集中砲火を浴び、何度かダウン。変な音がしたため、オペレーターのなぐさんが棄権とした。Cグループは、F325、MAN01、力士マン・朱雀の3選手。このグループにはレグホーン、ダイガックがいたが、早々に退場となった。
決勝戦は、F325がリングアウト、MAN01が棄権、ライガーが棄権、YOGOROZAがリングアウトと、1台また1台と減っていく。戦力的にはYOGOROZAが一番上かと思われたが、やはりランブルは別物で、中盤に消えることとなった。続いてはで・か~るがリングアウト、HADESがリングアウト。HADESは必殺技(?)の兜脱ぎを披露した直後の脱落だ。残る3体、戦力的には、unfix MkIIとBBR6-がORCベスト8でほぼ互角、力士マン・朱雀は初参加ということもあって厳しそう。しかし、そんな力士マン・朱雀とは闘いづらいと感じたのか、unfix MkIIとBBR6-でぶつかり合う。結果、BBR6-がリングアウト。残るは2体だが、unfix MkIIの勝利が確実と見えた矢先、まさかの右ヒザサーボの不調が発生してしまう。起きあがりができなくなったかに見えたが、うまく体勢を直し、なんとか立ち上がる。が、力士マン・朱雀に攻撃をしたところまたダウン。そうこうしている内に3分が経過、気がつくと力士マン・朱雀の方が×印に近く、まさにビギナーズ・ラックで優勝となった。
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【動画】予選Cグループのランブルの様子
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【動画】ランブル決勝戦。勝ったのはなんと……
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なお、競技はここで終了となったが、岩気氏が、「二足歩行ロボットスタンダードクラス競技会全国ネットワーク構想『ジェイサーク(JSRC)』(仮)」のプレゼンを行なった。これは、また別記事で詳細を報告するが、簡単にいうとROBO-ONEが大型化して初心者が入りづらくなっているため、その下のクラスを設けようというもの。小型機オンリー、市販機ベースとして初心者が参加しやすく、費用も抑えられる形の競技会を、全国のROBO-ONE決勝出場権認定大会を行なっている競技会で統一規格として行なうという主旨である。
そして最後に表彰式となり、ロボファイト8のORC大型機部門の終了となった。バックに流れる佐々木功氏風の往年のロボットアニメ風の「ロボファイトのテーマ」、そして岩気氏のエンターテインメント性あふれる実況と、非常に楽しませてもらえた大会だった。翌日のSRC小型機部門についても、別記事でレポートさせていただくのでお楽しみに。
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まずは1~3位、関西枠取得、ランブル優勝ロボットだけで記念撮影
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続いてオペレーターも入って記念撮影
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オペレーターとロボットの記念撮影バージョン2
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ダイガックを左右から小突く(?)レグホーン(右)とYOGOROZAというショット
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■URL
ロボットフォース
http://www.robot-force.jp/
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( デイビー日高 )
2008/11/10 16:21
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