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市販機も参加できる小型二足歩行ロボット競技会「ロボファイト8 SRC部門」レポート
~RB2000やRobovie-Xなどの改造機が活躍!


集合写真。後ろにいる人物が主催の岩気さん
 11月2日(日)、3日(月・祝)に、大阪産業創造館でロボットフォースの主催による二足歩行ロボット格闘競技会「ロボファイト8」が行なわれた。初日は、第15回ROBO-ONE決勝出場権認定大会の「ORC」(Over Regulation Class:オーバー・レギュレーション・クラス=大型機)部門を実施。もん☆のなぐさんが優勝した。決勝出場権の全国枠は、準優勝のCavalierのえまのんさんが獲得(なぐさんはすでに獲得しているため)。また、今回から地元枠が設けられ、関西枠はYOGOROZAのだうとさんが獲得した。

 2日目には、ロボットフォースが主催する競技会のロボファイトおよびロボゴングで採用している小型機規格「SRC」(Standard Regulation Class:スタンダード・レギュレーション・クラス)によるトーナメントを実施。ORC部門に引き続き、SRC部門のレポートもお届けする。


SRCとはどんなルール?

 SRCは、市販の二足歩行ロボットおよび、レギュレーションの範囲内での改造機・派生機・自作機が参加できる部門だ。大まかな項目としては、重量が2.9kg以下、突起物を除く高さが40cm以内、前後左右60cm以内というサイズ。足裏サイズは市販機及びその改造機の場合は純正品もしくは同等品を使用し、自作機の場合はROBO-ONE軽量級と同等としている。サーボ数は9個以上30個以下で、市販機でも8軸以下は参加不可。ただし、オプションパーツなどで9軸以上にすれば、自作機扱いで参加可能となる。13kg・cm以上の大トルクサーボは、5個まで。試合のルールは、3分1ラウンド3ダウン制。ポイント制を採用しており、1スリップで1ポイント減、1ダウンで2ポイント減。先に相手から6ポイントを奪った方が勝ちという形式だ。リングサイズは、180×180cmのROBO-ONEでお馴染みの八角形のものを使用している。

 ちなみに、別に記事で既にお届けしているが、このSRCを発展させた全国大会構想が「JSRC」(仮)だ。初日のORCの大会終了後にプレゼンが行なわれたが、2日目にも競技開始前にプレゼンを実施。SRC規格の機体のみが参加できる各地域大会と地域の代表による全国大会を行なうことで、SRC規格の機体を全国的に広め、また全国のSRC規格の機体のユーザーが参加しやすい状況を作るという構想だ。市販機クラスのロボットが活躍できる大会が少ないため、ぜひ広がっていってほしいプロジェクトである。


【動画】大会前の安全祈願の様子 ロボット巫女サクヤ

ロボファイト8 SRC部門には39機が参加

 今回は、関東地区や中部地区からの遠征組もおり、総勢39機が参加し、にぎやかな大会となった。参加ロボット名とオペレーター名(敬称略)は以下の通り。ロボット名の五十音順となっている。

・RL05 Asura/みんなのやす
・I'res/A4
・アストロ/IT-CLUB 001
・@すも/ブッチー
・ACHT/アカツキ ヤマト
・amago-02/アラバマメロン
・AMAGO-03/よしひこ
・EZ-FIGHTER/トモロウ
・エクサ FREEDOM/BIS
・OCT NeeBoMan/新部長
・キヌゴシ/コナーファ
・Captain PEKO/クロイチ
・K/@
・ショ コラ/クリニカ
・ジローちゃん♪/motoぶちょう
・白衛門/akemi
・スパルタン/IT-CLUB 003
・Centurion/桃色兎
・ダイガック/アキツカ
・つばめ/けいすけ
・剣姫/舞鈴堂
・NIKILA/ナッキィー
・ねこ/ヴィー
・春風/有紀ハル
・雛/mujaki
・VRX-0/マサ吉
・ブレイブ・ドラゴン/あるば~と
・ボシュ/ボシュ@SeaThru
・学chan2号/池san
・Lancer/えまのん
・レイター/石田賢司
・レーバテイン/ゆた
・レギュラーロボ1号(仮)/レギュラー1号(仮)
・レギュラーロボ2号(仮)/レギュラー2号(仮)
・レギュラーロボ3号(仮)/レギュラー3号(仮)
・レギュラーロボ4号(仮)/レギュラー4号(仮)
・Red-Hat/IT-CLUB 004
・ROGOBO/久志
・Robovie-XSF/zeno

 傾向として、今回は中学、高校、大学、専門学校のロボット部やサークルの学生さんたちの参加が多かったようで、その数は20機以上にも及ぶ。クラブやサークルなどで行なう場合、学校の予算がつくという強みがあるし、複数の部員がいる場合は、常に切磋琢磨しあえるというメリットもある。実際、ジローちゃん♪を初めとする大阪産業大学テクノフリーク部の個性際だつRB2000ベースのロボットたちは、非常に強いことで有名。今回も、チーム「大阪工業大学MONOLAB(仮)」の学生さんたちが、仲間同士でスパーリングをこなしてから参戦したそうだが、初参加にも関わらず、かなり健闘していた。ロボットは、Robovie-XやRB2000を使用しており、塗装などはほとんどされておらず、外見的にはほぼノーマル。性能的にも大きく改造してないのではないかと思われるが、それでもレギュラー3号(仮)さんのレギュラーロボ3号(仮)はベスト8まで進んでいた。


SRCのトーナメント レギュラーロボ1号(仮)。同サークルはRobovie-XベースかRB2000ベース 右がレギュラーロボ3号(仮)。こちらはRB2000ベース

目を引いた機体たち

 次に面白かった機体を紹介したい。まずなんといっても石田賢司さんのレイターがトップだ。JSRC構想の紹介記事ですでにその変形シーンのムービーを紹介したが、ロボットからスーパーカーへ、またその逆の変形も自由自在という、まるでトランスフォーマーのようなロボットなのだ。しかも、メカ好きのツボを押さえた、スマートなデザインがとてもカッコいい。クルマに変形した後のスーパーカーのデザインも、ランボルギーニのカウンタック系のデザインで、こちらもなかなか。記者のメカ好きセンサー(その道30年以上鍛えてきた超高感度(笑)センサー)がかなり反応していたほどで、機会があったらぜひ生で見ていただきたい。ちなみに、将来的にはタイヤ(ホイール)もモーターで動かすそうで、クルマへの変形後はラジコンのように操作できるようにするそうだ。

 また、かわいかったのがコナーファさんのキヌゴシ。子供(特に女の子)に喜ばれそうなふんわりしたヌイグルミ系の外観(ちょっと日にちは過ぎていたが、ハロウィン仕様)が特徴。操作システムも凝っていて、6個のスイッチと傾き検出をするスイッチの組み合わせにより操作するコントローラを自作。しかも、ぬいぐるみの中にリモコンをしまってあり、操作性は二の次だが、非常に凝っているのがポイントだ。

【お詫びと訂正】初出時、キヌゴシはWiiコントローラを使って操作すると記述しておりましたが、キヌゴシ製作者のコナーファ氏より、自作のコントローラで操作している旨をご指摘いただきました。お詫びとともに訂正させていただきます。

 また、今回は女の子も2名が参加。記者はシャイなオジサンなので(異論がある人もいるだろうけど)ちょっと恥ずかしくて話しかけられず(笑)、詳しいことは聞けなかったが、akemiさんはクラブ活動でほかの生徒たちと参加していた模様。関西地区でロボットを教育に熱心に採り入れているので有名な学園の生徒さんだ。ROBONOVA-Iをベースにした白衛門(はくえもん)が愛機。ROBONOVA-Iの顔や肩、前腕などに手が加えられており、改造機となっている。紅白というお目出たい明るいカラーリングに塗装してある辺りに、女の子らしさを感じたりする。もう1人は、関西地区のロボット競技会によく参加しているヴィーさん。ロボットは、RB2000ベースのねこだ。顔はねこのぬいぐるみを被せてあり、そこに毛糸で編んだ帽子を被っている。また、胸部に同じく毛糸の胸当て(?)を着けているなど、これまた女の子らしく柔らかい雰囲気のする機体である。


レイター レイター(奥)のリアビューがまたカッコいい 【動画】レイターの変形シーン

キヌゴシ キヌゴシのコントローラー

左が白衛門 ねこ

ベスト8から上は関西地区を中心に活躍する強者揃い

 1、2回戦、ベスト16を勝ち抜いてきたのは、Captain PEKO、ダイガック、Robovie-XSF、Lancer、ジローちゃん♪、レギュラーロボ3号(仮)、RL05 Asura、I'resの8機。関西を中心に活躍している機体、遠征してきた機体、今回初参戦ながら健闘している機体と、さまざまだ。なお、トーナメントの序盤で敗退した機体は、2機1チームの2対2のバトル「2×2(ツーバイツー)」に参加する流れとなっている。2×2の決勝は、後ほどお届けだ。

 ベスト8(準々決勝)第1試合は、クロイチさんのCaptain PEKO対アキツカさんのダイガック。ORC部門のレポート記事で紹介済みだが、ダイガックはSRCのロボットながらORCで3位に入った実力を持つ機体。名古屋の大同工業大学ロボット研究部の大学生アキツカさんの機体で、スーパーSRCともいうべき自作機だ。一方のCaptain PEKOは関西圏で活躍するクロイチさんのロボットの1つで、RB2000ベースの改造機体。海賊がモチーフらしく、ドクロマークがあしらわれているが、セサミストリートのマペットのような、結構愛きょうのある顔をしていてかわいい。試合は、ダイガックが完全に戦闘力が上回っている状況。しかし、アキツカさん自身の体調に不安な面が。というのも、前日のORC大会後、選手や関係者らを交えて懇親会が開かれたのだが、そこに参加したアキツカさんはしこたまお酒を飲まされ(ハタチです)、それがかなり残っていたのだ。ダイガックの実力を警戒し、選手を二日酔いにしてしまおうと(?)、ライバルたちにお酒を飲まされまくったのかもしれない。しかし、最終的にダイガックの圧勝という形に終わった。


Captain PEKO ダイガックを真横から 【動画】Captain PEKO(右)対ダイガック

 第2試合は、zenoさんのRobovie-XSF対Lancer。zenoさんは、以前から関西地区でシンプルファイターというロボットで活躍していた有名なロボットマンで、末尾のSFはそこに由来する。ちなみに、今回で引退という噂が聞かれたがはたして? 機体はその名の通りにRobovie-Xベースだが、かなり機動力や攻撃力をアップさせている改造機だ。一方のLancerは、関東から遠征してきたえまのんさんが、SRC用に使用している2番目の機体。えまのんさんといえばCavalierが有名だが、手先に扇状のクリアパーツを使っているなど、一部に同じコンセプトがうかがえる。ただし、Cavalierと異なり、Lancerの体型は人型だ。勝負は、ベテラン同士のバトルだけに、スキの少ない好勝負が展開。序盤はLancerがリードし、中盤にRobovie-XSFが追いついた後、Lancerが右足の故障で棄権。Robovie-XSFの勝利となった。


左がRobovie-XSF。後ろ姿もカッコいい Lancer 【動画】Robovie-XSF(右)対Lancer

 ベスト8第3試合は、motoぶちょうさんのジローちゃん♪対レギュラー3号(仮)さんのレギュラーロボ3号(仮)。RB2000ベースの機体同士の対決の上、大阪産業大学テクノフリーク部対大阪工業大学MONOLAB(仮)という、大阪にある大学のロボットサークルの覇権をかけた(?)注目の一戦だ。とはいっても、冒頭で述べたように、レギュラーロボ軍団は今回が対外試合初参戦。数々の優勝経験も持ち、実戦をくぐり抜けたテクノフリーク部のエース機とでは、現段階では実力差が確実にある。機体も同じRB2000ベースではあるが、ジローちゃん♪の方が背が高かったり、腕が長かったりと改造の度合いが高く、外見からも大きな違いがあるのがわかる。試合は、ジローちゃん♪が1分に満たない間に3ダウンを奪って圧勝。しかも、その内2回は必殺技登録(攻撃側がその技を出して倒れてもスリップにならない)の投げを繰り出しており、まさに格の違いを見せつけた形となった。


レギュラーロボ3号(仮) ジローちゃん♪ 【動画】レギュラーロボ3号(仮)(左)対ジローちゃん♪

 ベスト8最後の試合は、みんなのやすさんのRL05 Asura対A4さんのI'res(ムービー中のプレートはI'gesだが間違い)。みんなのやすさんはアキツカさんの先輩で、大同工業大学ロボット研究部のOB。自らも名うての選手でありながら、アキツカさんを鍛えた名伯楽のようだ。RL05 Asuraは自作のスーパーSRC系。足を大きくハの字に開いた、走り屋の車でいうところのネガティブキャンバー状態になっている点が大きな特徴で、横方向への力にかなり強い。一方、A4さんはmotoぶちょうさんと同じテクノフリーク部所属で、いつもパンダの着ぐるみを着ている自作機なのだが、今回は中味だけで勝負だ。体格差がかなりあり、L05 Asuraに対してI'resは子供のようである。試合は、序盤は圧倒されたI'resだったが、RL05 Asuraの股下に手を通してお尻の辺りを引っかけて倒すなど、逆に小さいことなどを活用して奮戦。しかし、最後はI'resの頭をつかんで引き倒したRL05 Asuraが勝利となった。


RL05 Asura I'res。トーナメントにはパンダの着ぐるみを脱いで参戦 【動画】RL05 Asura(右)対I'res

準決勝の2試合はどちらも市販改造機vsスーパーSRC戦に

 準決勝第1試合は、スーパーSRCダイガック対市販改造機のRobovie-XSF。機体性能は、総合力でダイガックの方が若干上だろう。ただし、オペレーターの経験ではzenoさんの方が上だ。試合で1ダウンを先取したのはダイガック。リング際のRobovie-XSFに詰め寄ると、左腕の多彩なパンチを連打。一見するとエルボーのような雰囲気で、ガントレット風の手先を叩きつけ、ダウンを奪った。Robovie-XSFは発射体で形勢逆転を狙うが、命中しない。約1分が経過した時点でスリップも2つを数え、4ポイントのロスト。対してダイガックは無傷だ。その後は、お互いに有利なポジションの奪い合いをしつつ、攻撃を加えていくが有効打が出ない。しかし、最後はダイガックが上からパンチを打ち下ろしてRobovie-XSFの頭をとらえ、ダウンを奪取。ダイガックの決勝進出と相成った。

 準決勝第2試合は、ジローちゃん♪対RL05 Asura。こちらも市販改造機と自作機の対決だ。試合は、RL05 Asuraの攻撃力を警戒してか、ジローちゃん♪がベスト8での闘いぶりとは裏腹に、警戒して距離を取るなど慎重に進めていく。しかし、背中を見せて移動するRL05 Asuraを追っていったところに、罠だったのかカウンター的にパンチをもらってしまい、ジローちゃん♪がまず1ダウン。さらに、きれいな右のパンチが決まり2ダウン。開始30秒で早くもピンチに。最後は、両手パンチにいったところをRL05 Asuraに弾かれ、3ダウン。RL05 Asuraが決勝に進出し、大同工業大学ロボット研究部の現役対OBの先輩後輩対決となった。


【動画】ダイガック(右)対Robovie-XSF 【動画】ジローちゃん♪(右)対RL05 Asura

3位決定戦は市販改造機同士のバトルに

 3位決定戦はRobovie-XSF対ジローちゃん♪。両者、甲乙つけがたい性能を持った市販改造機だ。ともに試合巧者のバトルは、間合いの測り合いからスタート。10秒強が過ぎてから初めてお互いが接近。攻撃が交錯し、ジローちゃん♪は反動で倒れそうになるも踏ん張るが、後ろ姿を見せてしまう。それでも、後方への両手パンチを繰り出すなどして、ジローちゃん♪も防戦する。だが、そのチャンスをRobovie-XSFは逃さず、きれいなパンチを入れると、前のめりに倒れたジローちゃん♪から1ダウンを奪った。

 そこでジローちゃん♪は距離を取ると、機動力を駆使して背後に回り込む作戦に。しかし、Robovie-XSFが今度は動いたため、正面から向かい合う形となり、またも打ち合いに。いいポジションを押さえたのはRobovie-XSFの方で、再びきれいな右の裏拳を繰り出すと、ジローちゃん♪は前のめりに2ダウン目。このあともスリップして一気に後がない状態に至ってしまうジローちゃん♪であった。

 後がなくなったジローちゃん♪だが、それでも果敢に挑む。Robovie-XSFが得意の自重の乗ったアッパーを繰り出すと、直後にそのままのモーションのまま一瞬固まってしまいそこを突いて1ダウンを奪い返す。しかし反撃はそこまでで、攻撃が交錯した際に運が悪く倒れ、終了。機動力を駆使した好勝負であった。


ジローちゃん♪(右) Robovie-XSF 【動画】ジローちゃん♪(左)対Robovie-XSFの3位決定戦

決勝戦は先輩に後輩が挑む一戦に

 決勝戦はダイガック対RL05 Asura。ダイガックのオペレーターのアキツカさんに、ロボットの手ほどきをしたのが、RL05 Asuraのオペレーターで先輩のみんなのやすさんだ。先輩越えで恩返しするか、まだまだという先輩の高い壁を見せつけるかが見どころの一戦である。

 闘いが始まると、両者ともに様子見などせず、一気に真っ正面から向かっていく。そしてお互いを射程内にとらえたところで攻撃が繰り出され、3秒でダイガックがダウン。その後も打ち合いの中でダイガックがスリップし、開始40秒でポイントの半分をロストしてしまう。みんなのやすさんが先輩の壁の高さを見せつける展開だったが、流れが変わったのは約1分経過の頃。パンチとパンチが交錯した反動で、今度はRL05 Asuraがめったに倒れない横方向に倒れてしまったのだ。ここで、ダイガックのオペレーターのアキツカさん、カウンターを取るタイミングをつかんだのかも知れない。RL05 Asuraが空振りしたところで、その手先を叩くという形だ。残り1分30秒近くなって、カウンターがきっちり決まり、3-3の同点となった。

 残すは1分強という時間帯になって、不運が訪れたのはRL05 Asura。操縦不能になってしまったようで、立ったまま硬直してしまう。それをチャンスと見たダイガックは突進し、ラッシュ。なんとか倒れずに粘っていたRL05 Asuraだったが、ダイガックの攻撃で遂にダウンしてしまう。5ポイントロストで追い込まれたが、RL05 Asuraはこのダウンで目が覚めたようなので、幸いである。しかし、最後はRL05 Asuraのスリップで終了。ダイガックがロボファイト8 SRC部門の優勝を飾ると同時に、念願の先輩越えを果たした。

 アキツカさん、まだとっておきのモーションを用意していたようだが、RL05 Asuraのコントロールが不調のため、それは使わなかったという。恩人の先輩からの初勝利に対して全身で喜びを爆発させていたが、RL05 Asuraが万全でなかったことと、最後はスリップで決まってしまったことを残念がっていた。また、単独の勝利者インタビューも行なったので、動画をぜひ見ていただきたい。


ダイガック(右)とRL05 Asura 【動画】ダイガック(右)対RL05 Asuraの決勝戦 【動画】アキツカさんの優勝者インタビュー

2×2の決勝戦はブレイブ・ドラゴンが話題独り占め?

 敗者復活戦的な位置づけの2×2。1、2回戦の敗者がペアを組んで、2対2のトーナメントを行なうという内容だ。ルールは、ペアに対して6ポイントが与えられ、どちらがダウンしても2ポイント減、1スリップで1ポイント減だ。弱い方をいかに守るかがポイントとなるバトルである。

 決勝は、akemiさんの白衛門とナッキィーさんのNIKILA(Robovie-Xベース)組と、あるば~とさんのブレイブ・ドラゴン(自作機)とレギュラー4号(仮)さんのレギュラーロボ4号(仮)だ。会場を少々違った意味で沸かせていたのが、ブレイブ・ドラゴンだ。ブレイブ・ドラゴンは外見スーパーロボット風で、SRC規格の中ではかなり体格の大きな1機。しかし、今回、未調整のままの強行出場だったようで、立っているので精一杯という状態だった。歩くこともままならない状態だったが、それをレギュラーロボ4号(仮)がカバーし、あれよあれよと勝ち残ってきたという具合である。どうも、まともに動けない機体を攻撃するのは、対戦相手も逆にしづらかったようで、それもある意味、作戦といえるかもしれない。観客に弱い者いじめ的に見えることもあり得るので、なかなか攻撃しづらかったったのだろう。

 しかし、決勝はちょっと勝手が違った。相手ペアに10代の女の子がいたのだ。男性オペレーターになら、会場からのブーイングもありだが(現に、みんなのやすさんはヒール扱いされていた)、女の子にそれは少々酷である。とはいっても、白衛門も序盤は遠慮しており、NIKILAともどもすぐにはレイブ・ドラゴンに迫らない。NIKILAが2対1は卑怯と思ったのか、後退して、闘いはいつしかブレイブ・ドラゴンを巡る白衛門対レギュラーロボ4号(仮)という変則マッチの様相に。結局、白衛門はレギュラーロボ4号(仮)から1ダウン、ブレイブ・ドラゴンから2ダウンを奪い勝利となった。なんとも不思議なハンディキャップマッチ的2×2を楽しませてくれた4人である。これを演出した(?)あるば~とさんに拍手を送りたい。


立ち姿はなかなか勇ましいブレイブ・ドラゴン(左)だったが…… 2対2のはずが、ブレイブ・ドラゴンを巡る1対1の闘いとなった2×2決勝戦 【動画】2×2の決勝戦

ランブルは予選を4回に分けて実施

【動画】ランブルAグループの予選
 ランブルは出場台数が多いので、4回に分けて予選が実施された。Aグループの見どころは、やはり強行出場のブレイブ・ドラゴン。一度倒れるとまともに起きあがれないため、ほかのロボットたちがリング外に押し出そうと寄ってくる。なかなか落ちないのだが、そのハラハラ感がある意味、すばらしい演出となっていた(結局、Centurionに蹴落とされた)。

 LancerとVRX-0が決勝進出。


【動画】ランブルBグループの予選
 Bグループは、変形ロボのレイターがいるグループ。レイターも注目されていた。メインリング上で変形を披露するのは初めてだったので、未見の観客から感動の声が上がる。しかし、そのレイター、クルマ状態の時にリング際ギリギリの所に追いやられてしまい、変形して戻ろうとしたところ、リングアウト。決勝には残れなかった。

 最終的に決勝に残ったのは、白衛門とエクサ FREEDOMだ。


【動画】ランブルCグループの予選
 Cグループの目玉はキヌゴシ。一際大きな体格のため、目立つ(かぶり物の先端まではSRC規格をオーバーしてしまうが、中が空洞なので全高に含まないという特例)。ちなみに、パンダ(I'resのかぶり物)、ネコ、つばめと動物系ロボットの多いのもCグループの特徴であった。

 ジローちゃん♪とつばめが決勝進出。


【動画】ランブルDグループの予選
 Dグループは、ダイガックの性能がずば抜けている状態で、1人でちぎって投げてとできそうな状態。さすがにそれは控えることにして、押し出すだけに。かき回す役に徹して、残り4人になった時、自らリングアウトした。

 春風とACHTが決勝進出した。


 8台による決勝は、なかなかリングアウトするロボットがおらず、5台による延長となった。最終的に、えまのんさんのLancerが優勝した。


【動画】ランブル決勝 【動画】ランブル決勝戦の延長

 このあと、表彰式が行なわれたのだが、この会場の間取りがいいのは、観客席後方に長テーブルが置かれ、ビルダーのための作業スペースとしている点。要するに、観客席越しにメインリングやスクリーンなどが見えるので、台本でも用意してあるのではないかというほど、MCの岩気氏のやり取りに対して合いの手が入ったり、かけ声が飛んだりするのだ。ただし、MCの岩気氏は意外と大変で、ロボット名などを言い間違えてしまうと、そこら中からツッコミが入ったりしていた。何はともあれ、非常にいい雰囲気の大会であった。

 ちなみに表彰式で岩気氏をはじめ、ビルダー仲間やスタッフから総出でイジられていたのが、Robovie-XSFのzenoさん。自分的にはまだ引退するつもりはどうやらなかったようなのだが、岩気氏が「後輩も育って、心おきなく……」などとマイクでいい始めたものだから、ビルダー仲間から「長い間ありがとうございました!」的な言葉が飛び、本人の意志はそっちのけで(笑)勝手に引退に追い込んでいく。挙げ句の果てには、スタッフの方が即興で、エアキャップ(いわゆるプチプチ)を丸めて花に見立て、それをちょっとした紙でくるんで贈呈用の花束にして手渡すという、本当に台本があるのではないかという絶妙な連携プレーぶり(取材したところ、「台本なんかないですよ(笑)」という岩気氏およびスタッフの返答)。会場中の連係プレーで勝手に引退に追い込まれたzenoさんは、「ちょっと待って!」と両手を合わせて必死に引退を否定。「あともうちょっとだけ!」と手を合わせ続けた必死さが功を奏したのか、2009年1月11日(日)のロボゴング9内で行なわれるJSRC暫定全国大会のロボファイト代表選手に選ばれることとなった(もう1人はジローちゃん♪のmotoぶちょうさん)。ぜひ全国大会できっちり優勝して、次こそ花道を飾っていただきたいところである(笑)。

 そんな思わず笑ってしまうこともしばしばの、また取材したくなるロボファイト8だった。


まずはロボットたちだけで撮影 続いて、SRC表彰台の3人と、2×2優勝チームの5人

URL
  ロボットフォース
  http://www.robot-force.jp/

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( デイビー日高 )
2008/11/17 15:58

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