11月28日(水)~12月1日(土)までの4日間の日程で、「2007国際ロボット展」が開催されている。会場は東京ビッグサイト第1ホールから第3ホール。主催は社団法人日本ロボット工業会と日刊工業新聞社。今年のテーマは「テーマは「『RTが未来を拓く』-ものづくりからパーソナルまで-」。総計199社、66団体が出展しており、ロボット展としては過去最大の規模で開催されている。入場料は1,000円だが、事前登録すれば無料。
会場中で産業用から非製造業に至るまで多くのロボットが動き回り、関連機器の情報が発信されている。特に今年は「産業用ロボットゾーン」に活気がある。そのほか一般消費者になじみ深い「サービスロボットゾーン」や大学のロボットたちが並ぶ「RT交流プラザ」、ベンチャーが並ぶ「ロボットマッチングセッション」など、出展内容を概要レポートする。
● 「今年のロボット大賞」受賞ロボットが多数
まずは産業用ロボットゾーンから。「国際ロボット展」は基本的に産業用ロボットの展示会である。今年は特に、このゾーンに非常に活気があり、あちこちのブースで人だかりができている。企業による設備投資の増大を反映しているのだろう。ごく一部ではあるが展示の様子をご紹介する。
巨大な「第10世代液晶ガラス基板搬送ロボット」の姿に目を奪われる安川電機ブースでは、以前本誌でもお伝えした小倉祇園太鼓で伝統のバチさばきを披露したロボットがデモを行なっている。また先日発表されたばかりの、さらにスリムになった双腕ロボット「MOTOMAN-SDA10」もデモを行なっている。
同社ブースではアーク溶接そのほかの産業用ロボットが多数デモを行なっているのだが、未来の商談ブースをイメージしたスペースでは、やはり先日発表されたばかりの新型サービスロボット「SmartPal V」、プロジェクタ内蔵のロボット「SmartGuide」がデモを行なっている。産業用ロボットが立ち並ぶなか、サービスロボットの開発にも力を入れていることをアピールしていた。
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安川電機・第10世代液晶ガラス基盤搬送ロボット
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【動画】動作の様子
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アーク溶接作業などのデモが行なわれている
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「SmartPal V」
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【動画】「SmartPal V」の挨拶
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【動画】3本の指で産業用ロボットの模型をつかむ
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また、もちろんファナックや不二越、三菱電機等の各社ブースでも大きな産業用ロボットの動きを見ることができる。
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不二越ブース
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部品をピックアップする省スペース設置型垂直7関節ロボット「プレストMR20」
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ファナックブース
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【動画】ファナックの知能化混載パレタイジングシステム
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【動画】ファナックの高速ビジュアルトラッキング箱詰めロボットシステムのデモ
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川崎重工業のブースではロボット性能のアピールのデモがいくつかあった。ルービックキューブの各面をビジョンで見て合わせるロボットや、ビジュアルフィードバックで倒立振り子をロボットが手で立てるデモが行なわれていた。ロボットはいとも簡単に振り子は立てているように見えるが、筆者が実際に手で持って挑戦してみたところ、まったく立てることはできなかった。
なお産業用ロボットにルービックキューブを合わせさせるデモは、産業用ロボットを使ったイベントでのレンタル事業を行なっている株式会社生産技術ブースでも行なわれていた。
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【動画】まずはルービックキューブの一面ずつを見ていく
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【動画】ルービックキューブを合わせるロボット
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【動画】振り子を立てる
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ビジュアルフィードバックによるリアルタイム位置補正技術を使っている
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もちろん普通の産業用ロボットもデモを行なっている
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【動画】ルービックキューブを合わせる生産技術社のイベント用ロボット
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KUKAロボター社のブースでは人間が直接ロボットに接触して操れる「セーフハンドリング」をアピールするほか、食品加工現場で使えるステンレス製ロボットや、可搬重量1,000kgの6軸大量生産産業用ロボット「Titan」を展示している。ただ、セーフハンドリング以外は残念ながら静展示だった。
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KUKAロボターブース
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ステンレス製ロボット
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可搬重量1,000kgの6軸大量生産産業用ロボット「Titan」
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ロボット・FA機器向けオープンネットワークインターフェイス「ORiN(オライン)」協議会のブースでは、パネルや実際の産業用ロボットを用いた利点紹介のほか、近藤科学のKHRを用いたORiNの活用例も見ることができる。なお、2008年1月23日には機械振興協会技術研究所にて、「ホビーロボットを利用したORiN講習会」が行なわれる予定だという。なお「ORiN」は2007年「今年のロボット大賞」で優秀賞を受賞した。
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ORiNブース
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近藤科学のKHRを用いたORiNの活用例
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ORiNの学習用アプリケーション
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日本マルコインターナショナルグループブースでは、非接触回線の「ロータリーリンクコネクタ」が展示されている。ローター回転速度の半分で回転するミラーをコネクタの中央に配置して赤外線光の送受信を行なうことで非接触通信を実現している。
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日本マルコインターナショナルブース
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ロータリーリンクコネクタ
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株式会社応用計測研究所は極限環境適応型モータドライバーと、それを使った東京工業大学 広瀬・福島研究室のロボットを展示している。使用可能温度の範囲はマイナス10度~60度で、雪のなかにロボットを埋めて取り出し、その直後に使うことも可能だという。
ABB株式会社ブースでは、バリ取り用ロボットや3次元ビジョンシステムのほか、毎分150サイクルのハンドリングができる「IRB340」の姿を見ることができる。
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極限環境適応型モータドライバーと東工大広瀬研のロボット
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【動画】毎分150サイクルのハンドリングができる「IRB340」
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ビー・エル・オートテック株式会社は水底清掃ロボットのほか、アスベスト除去ロボットシステム、MR流体を使ったリハビリ支援機器などを展示している。また27日に発表された早稲田大学「TWENDY ONE」に用いられている小型力覚センサも展示されている。なお同社はサービスロボットゾーンにもブースを出している。
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ビー・エル・オートテック株式会社ブース
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水底清掃ロボット
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【動画】水底清掃ロボットのデモ
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アスベスト除去ロボットシステム
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下肢支援ロボット
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小型力覚センサ
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北陽電機株式会社は移動ロボットによく使われている測域センサーを展示してデモしている。
THK社ブースでは、JAXAの宇宙オープンラボに採択された「高出力精細ロボットハンド」が展示されている。小型軽量ながら最大握力400N、指先力40N出せる。宇宙用だけではなく地上用としても、介護補助そのほかを用途として開発を進めていくという。
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THK社「高出力精細ロボットハンド」
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使われているアクチュエーター
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IDEC株式会社ブースでは2007年の「今年のロボット大賞」優秀賞を獲得した小型ティーチングペンダントが展示されている。ソフトウェアの利便性を高めて開発費用を90%削減した点が評価された。これまでに累計14,000台が出荷されている「産業用ロボットの縁の下の力持ち的存在」だ。
株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズのブースにも2007年「今年のロボット大賞」優秀賞のロボット部品がある。小型高精度高出力トルクのACサーボアクチュエータだ。最大0.3Nmのトルクと0.16度の位置決め制御を持ち、直径は13mmしかない。ブラシがないため耐久性に優れている点も評価された。
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IDEC株式会社のティーチングペンダント
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ハーモニックドライブの小型高精度高出力トルクACサーボアクチュエータ
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オムロンは視覚センサー「FZDシリーズ」を出展している。検査・計測工程の自動化を実現することを目的としたセンサーで、2台のカメラで撮像した画像の座標を1つの3次元座標軸で処理する。計測距離は最長2m。計測誤差はその距離から0.1mmだという。ラインのなかで自動車を動かしたままの状態で計測できる点が特徴で来場者の注目を浴びている。また、アプリケーション事例として現在開発中の次世代3次元センサーを搭載した「ロボットピッキングシステム」も展示している。
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オムロンの3次元視覚センサー
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【動画】3次元ピッキングシステム。3つのカメラを用いる
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なおここでご紹介したのは全展示のごく一部であることを改めてお断りしておく。
■URL
2007国際ロボット展
http://www.nikkan.co.jp/eve/07ROBOT/
【2005年12月1日】2005国際ロボット展開催(PC)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1201/irex.htm
( 森山和道 )
2007/11/30 18:35
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