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ROBOSPOTで「第15回 KONDO CUP」が開催
~常勝・トリニティに最強のチャレンジャー現る


 4月11日(土)~12日(日)の2日間、秋葉原のROBOSPOT(東京都千代田区)において、ロボットサッカー大会「第15回 KONDO CUP」が開催された。キットベースの機体による「KHRクラス」と自作ロボットによる「オープンクラス」があり、それぞれ6チームが参加して優勝が争われた。


秋葉原のROBOSPOT。近藤科学のロボット拠点である KHRクラス。キットベースの機体だが、外装はさまざま オープンクラス。フィールドは縦横に1mほど大きい

KHRクラス

 初日に開催されたのが、近藤科学製のロボットキット「KHR」シリーズのみが出場できるKHRクラスだ。KHR-1/2HV/1HVがベースである必要はあるが、規定の範囲内での改造は認められており、最近では多くの機体がKRS-4013HVなど、強力なサーボモーターを一部に使用している(4個まで換装可能)。

 予選のAリーグには、J-SKY、RFCオータムリーフ、こめた3兄弟の3チームが出場。全機体で太腿と膝をKRS-4013HVに換装し、キック力に優れるこめた3兄弟が試合を優位に進め、2勝0敗で文句なしの決勝戦進出を決めた。J-SKYは初戦4-0で勢いづいたが、こめた3兄弟戦での終盤、キーパーが起き上がりモーション中にボールを引っかけてしまう不運なオウンゴールがあり、涙をのんだ。

■KHRクラス(Aリーグ)
・第1試合 ○J-SKY 4-0 RFCオータムリーフ×
・第2試合 ×J-SKY 0-1 こめた3兄弟○
・第3試合 ×RFCオータムリーフ 0-2 こめた3兄弟○

 Bリーグには、関東支部、ミステイクス、日本工学院八王子専門学校が出場。いずれも強豪であるが、今回はミステイクスの強さが際立っていた。関東支部戦では、前半だけでセイガがハットトリックを達成。もう1体のフィールドプレイヤーであるコアも横歩きが異常に速い。日本工学院八王子専門学校は、今までリーダーだった生徒が卒業してしまったそうで、それも影響したか。

■KHRクラス(Bリーグ)
・第1試合 ×関東支部 0-3 ミステイクス○
・第2試合 ×関東支部 0-1 日本工学院八王子専門学校○
・第3試合 ○ミステイクス 2-0 日本工学院八王子専門学校×

 決勝戦は、こめた3兄弟とミステイクスという、優勝経験者同士の戦いとなった。今回、こめた3兄弟のチームはメンバーが揃わず、網野氏の先輩が代理で出場していたのだが、操縦には慣れていないはずなのに、決勝点を決めたのはなんとこの助っ人氏。コーナーキックをキーパーに当ててゴールに入れるという技ありのプレーで先制、終盤の猛攻をしのいで逃げ切った。

■KHRクラス決勝戦
○こめた3兄弟 1-0 ミステイクス×


【動画】決勝点のシーン 優勝したこめた3兄弟チーム 出場者による記念撮影

 こめた3兄弟はこれで2連覇(前回はチームKometaという名前だったが)。同チームのモーションで面白かったのは、キックで足を上げてから、蹴る方向を選べることだ。通常のキック、ループ、左右方向への計4パターンが入っているそうで、前方でブロックしている相手を避けるのに、かなり有効に機能していた。カシオのハイスピードカメラ「EX-FC100」で、このスロー動画を撮影したので見て欲しい。


【動画】外側に打つシュート 【動画】一方、こちらは内側 【動画】ループシュートも可能だ

オープンクラス

 2日目のオープンクラスには、全てのサーボモーターが近藤科学製であれば出場できる。足裏サイズや腕の長さの比率などに規定はあるが、身長・重量などに制限はなく、巨大ロボットの参加も可能となっている。まさに“オープン”なクラスなのだ。

 予選Aリーグには、4連覇中の常勝王者トリニティのほか、前回準優勝のSKY、そして筆者が所属するRFCバンブーブリッジが出場した。1試合目から、前回の優勝・準優勝チームの対決となったが、トリニティが2-0で快勝。SKYにも後半、何度か絶好のチャンスがあったが、得点機を活かせなかったのが響いた。

 一方、RFCバンブーブリッジは、正キーパーの梓氏が出場できなかったため、Dr.GIY氏に助っ人を依頼、“バンブー野郎Aチーム”とでも言うべき構成での参戦となった。最近のバンブーはディフェンシブに行くことが多かったのだが、今回は趣向を変え「とにかく攻める」ことを試した。一応、筆者がキーパーだったのだが、ほとんどゴール前にいないという有様で、SKYには勝利したものの、トリニティには玉砕。

■オープンクラス(Aリーグ)
・第1試合 ×SKY 0-2 トリニティ○
・第2試合 ×SKY 0-1 RFCバンブーブリッジ○
・第3試合 ○トリニティ 3-1 RFCバンブーブリッジ×

 Bリーグには、関東支部、メタリック3兄弟、スピード☆スターズが出場したが、新チームのスピード☆スターズが2試合とも4-0で快勝。圧倒的な強さを見せた。このチームは、ROBO-ONEサッカーMVPのサアガを筆頭に、これまた快足のストライカー(※これがロボット名)、そしてゴール前にはGATが文字通り壁となって立ちはだかる。


GATの大きさ。頭がゴールの上に出ている 座ると枠の半分が埋まる。まさに最強のキーパー

 見ていて面白かったのは、GATは大きいとはいえ、ゴール前に居座っているわけではなく、セットプレーの時など、積極的に前線まで上がってくることだ。特に、メタリック3兄弟戦で見せたダイレクトプレーは必見。スペースに走り込むGATにスローインを当て、ゴールを決めた高度なプレーで、こういった練習を何度もやったそうだ。


【動画】これがそのプレー。じつはGATではなく、サアガを狙ったという話はナイショだ 【動画】失敗するときもある。しかし、フィールドプレイヤーの2体があっという間に戻る

■オープンクラス(Bリーグ)
・第1試合 ○関東支部 4-0 メタリック3兄弟×
・第2試合 ×関東支部 0-4 スピード☆スターズ○
・第3試合 ×メタリック3兄弟 0-4 スピード☆スターズ○

 というわけで、決勝戦の組み合わせは、トリニティとスピード☆スターズ。予想通り互角の戦いになり、前半を終わってスコアは0-0。前半終了間際、サアガがゴール前に抜けだし、絶好のチャンスを得たが、ここで笛。あと数秒あれば……というシーンだった。トリニティには、クロムキッドがギア欠けで途中交代という不運もあった。

 後半は、トリニティにしては珍しい連携のミスがあり、早々に失点。キーパーのさくら2号が積極的に上がるなどしたが、今度はCavalierまで機体トラブルで退場してしまい、万事休す。さすがのトリニティも、2体ではスピード☆スターズの守備を崩すのは難しい。終盤には猛攻も見せるが、ゴールを割るまでには至らなかった。

■オープンクラス決勝戦
×トリニティ 0-1 スピード☆スターズ○


【動画】決勝戦の前半 【動画】決勝戦の後半 【動画】筆者が特に注目したプレーはこれ。ゴールにはならなかったが、連携が速すぎる……

 「クロムキッドは最初から調子が悪かったし、Cavalierも途中で壊れた。今回の優勝は相手の不調に助けられたもので、実力ではないと思う。次回が本当の対決になりますね」とサアガのオペレータ・イガア氏は謙虚だが、互角といえる強さを持っていたのは事実。ここしばらくトリニティの無敵状態が続いており、正直、少しマンネリ感もあったので、大会の活性化という意味でも望ましいだろう。

 一方、またもや4連覇で記録が途切れてしまったトリニティは(第6回~9回も連覇していた)、さぞやガッカリしているかと思いきや、意外とサッパリした表情。強敵の出現に、ある種の嬉しさもあるように見えた。「巨大なキーパーの対策も考えないと」とは、ガルーのオペレータのくまま氏。また、Cavalierのえまのん氏は「こっちも巨大なキーパーを作ってきます!」とまで述べていた。


出場者による記念撮影 優勝したスピード☆スターズ

新サーボはトルク60kg・cmオーバー

 会場では、新型サーボ「KRS-6003HV」の展示も行なわれており、来場者が熱心に見入っていた。このサーボは67kg・cmというトルクの高さが特徴だが、スピードタイプのギヤも発売する予定とのこと(その場合トルクは下がるが、それでも40kg・cm程度にはなりそう)。ちなみに、なぜ6003という数字なのかは不明だ(社長も知らなかった)。


新型サーボ「KRS-6003HV」。断面は4000シリーズと同じだが厚い ボトム側。ボトムケースのみ樹脂製になっている コネクタはここに配置。シリアル通信専用となる

ボトムケースをオプションで変更可能。右端はダブルサーボ用 ホーンも従来より厚くなり、丈夫に。ネジ止め式になった 新サーボのラベル。トルクタイプとの表記が見える

 また、初日には近藤科学の近藤博俊社長が解説者として来場しており、閉会の挨拶において「次回は6月のKHRアニバーサリーになります。ここで新製品を発表できるかも」というサプライズ発言も飛び出した。同社のKHRシリーズには、2006年11月のKHR-1HV以来、しばらく新製品の発表がない。KHR-3(?)の存在もウワサされており、正式発表を待ちたいところだ。


URL
  近藤科学
  http://www.kondo-robot.com/
  ROBOSPOT
  http://www.robospot.jp/

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( 大塚 実 )
2009/04/16 13:17

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