エスケイパンから登場した「Gogic Five」(ゴジックファイブ)は、全高約200mm、重量約850gの小型二足歩行ロボットキットである。一般的な二足歩行ロボットキットは、十数個のサーボモーターを搭載しているが、Gogic Fiveはわずか5自由度(5軸)で、歩行や起き上がり、パンチ、キックなど、多彩な動きを実現していることが特徴だ。Gogic Fiveというユニークな名称も、5軸のロボットから発想してつけられている。
パーツが少ないため、組み立ても簡単で、価格も34,650円と手を出しやすい。単に低価格なだけでなく、汎用赤外線リモコンで操作できたり、音声出力機能も装備しているなど、機能も充実している。また、サーボモーターの追加も8自由度までは簡単に行なえ、AD入力も装備しているなど、自分で拡張する楽しみもある。サーボモーターの数が少ないので、モーション作成も比較的容易であり、二足歩行ロボットキットを初めて組み立てるという人にもお勧めの製品だ。
今回は、ハードウェアの組み立て手順を紹介する。
● 小型サーボモーター「Micro2BB/MG」と独自のコントロールボードを採用
Gogic Fiveは、5自由度の二足歩行ロボットキットであり、十数自由度を実現している二足歩行ロボットキットに比べると、パーツの数もずっと少ない。
Gogic Fiveでは、サーボモーターとして、GWS製のMicro2BB/MGが採用されている。Micro2BB/MGは、小型のアナログサーボモーターで、6V駆動時のトルクは6.4kg・cm、スピードは0.14sec/60°と、サイズの割にはハイトルクである。
また、メタルギアとダブルボールベアリングを採用しているので、小型ロボットに向いている。精度はそれほど高くないが、価格も安く、小型ロボットを自作している人の間では、よく使われているサーボモーターである。
コントロールボードとしては、オリジナルの「Gogic Mixer」が採用されている。Gogic Mixerは、2枚の基板から構成されており、SDメモリーカードスロットを備えていることが特徴だ。SDメモリーカード(SDメモリーカードは別売)に、モーションデータやサウンドデータを格納し、サウンドの再生も可能。
標準で最大8個のサーボモーターを制御できるほか、アナログ出力のセンサーなどを接続できるAD入力端子も備えているなど、なかなか高機能だ。電源は、サーボモーター駆動用として単3電池4本、コントロールボード用として006Pを利用する。単3電池は、オキシライド電池かニッケル水素電池が推奨されている。
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Gogic Fiveのパーツ一式が入っている外箱。箱もかなりコンパクトだ
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Gogic Fiveのパーツ一式。5軸のロボットなので、パーツはかなり少ない
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Gogic Fiveでは、GWS製の小型サーボモーター「Micro2BB/MG」が採用されている
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Micro2BB/MGとSDメモリーカードのサイズ比較。一般的な二足歩行ロボットキットに使われているサーボモーターよりも一回り以上小さい
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Micro2BB/MGとSDメモリーカードのサイズ比較(横から見たところ)
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サーボモーターには、3種類のサーボホーンが付属しているが、Gogic Fiveの組み立てで利用するのは、上と中央のサーボホーンである
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サーボモーターに付属するサーボホーン取り付けネジとゴムブッシュも利用するので、なくさないようにすること
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Gogic Fiveでは、サーボモーター用の電源として単3電池4本を利用する。オキシライド電池かニッケル水素電池が推奨されている
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コントロールボード「Gogic Mixer」の基板A。Gogic Mixerは、基板Aと基板Bの2枚の基板から構成されている
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Gogic Mixerの基板Bには、SDメモリーカードスロットが実装されている
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● 最初にサーボモーターの原点出しを行なう
それでは、Gogic Fiveの組み立て手順を紹介することにしたい。まず最初に、サーボモーターの原点出しを行なう必要がある。これは、PWM制御のサーボモーターを利用している一般的な二足歩行ロボットキットではたいてい必要な作業だが、Gogic Fiveの場合、PCにモーション作成ソフトウェアをインストールする必要がなく、Gogic Mixerのジャンパーピンを外すことで、原点出しモードになるので便利だ。
まず、電池ボックスに電池を入れ、コントロールボード用電源も接続する。サーボモーターをサーボ出力端子に接続して、コントロールボードと電池ボックスの電源スイッチをオンにすれば、サーボモーターの出力軸がニュートラル位置に移動する。これで、原点出しはOKだ。原点出しは、全てのサーボモーターについて行なう必要があるが、全部で5個しかないので、作業もすぐに終わるだろう。
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サーボモーターの原点出しを行なうために、まず、Gogic Mixerのジャンパーピンを取り外す
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電池ボックスに電池を入れ(電池ボックスとコントロールボードの電源スイッチはオフにしておくこと)、サーボモーター用電源(単3電池4本)とコントロールボード用電源(006P)をGogic Mixerの基板Aに接続する
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サーボモーターを基板Aのサーボ出力端子(ch1からCh8のどれか)に接続し、コントロールボードと電池ボックスの電源スイッチをオンにする
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● 足裏を組み立てる
ここから、組み立てマニュアルにしたがって、組み立てていくことになる。必要な工具は、プラスドライバー(1番と2番)、ラジオペンチ、ハサミのみだが、ネジやナットのゆるみを防止するために、ネジゆるみ止め剤も用意しておくとよい。
まず、足裏フレームにサーボホーンAを取り付け、ネジとナットでサーボホーンAを固定する。ナットにはネジゆるみ止め剤を使用するとよい。同様にして、両足分を組み立てる。
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ネジやナットがゆるまないように、ネジゆるみ止め剤を用意する
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足裏の組み立てに必要なパーツ一式
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サーボホーンA(一番小さいサーボホーン)の一番内側の穴に、M2×5ネジを奥までねじ込む
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サーボホーンAを足裏フレームに取り付ける
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反対側からM2ナットでサーボホーンAを固定する。ナットにはネジゆるみ止め剤を使用するとよい
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同じものを両足分組み立てる
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● 脚の組み立て
次は、脚部分の組み立てだ。こちらもパーツが少ないので、組み立ては簡単だ。サーボホーンBを脚フレームに取り付け、ネジで固定し、脚フレームの外側に強化プレートをナットで固定する。ナットにはネジゆるみ止め剤を使用するとよい。
脚部分が完成したら、それぞれの脚にサーボモーターを取り付ける。サーボモーターをネジ2本で脚フレームに固定すればOKだ。同様にして、両脚分を組み立てる。
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両脚の組み立てに必要なパーツ一式
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サーボホーンB(中間のサイズのサーボホーン)を脚フレームに取り付け、内側からM2×5ネジ2本で固定する
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脚フレームの内側の様子
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脚フレームの外側に強化プレート(菱形のパーツ)を取り付け、M2ナット2個で固定する。ナットにはネジゆるみ止め剤を使用するとよい
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同じものを両脚分組み立てる
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両脚にサーボモーターを取り付けるのに必要なパーツ一式
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サーボモーターを脚フレームにはめ込む
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M3×4ネジ2本で、サーボモーターを脚フレームに固定する
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同じものを両脚分組み立てる
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● 足裏と脚およびスイングフレームの組み立て
さきほど作った足裏と脚を組み合わせて、下半身部分を作る。足裏と脚の角度ができるだけ90度に近くなるようにして、サーボホーンのギザギザをサーボモーターの出力軸にはめ込み、足裏に脚を取り付ければよい。同じものを両脚分組み立てたら、スイングフレームを組み立てる。
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足裏と脚の組み立てに必要なパーツ一式
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サーボホーンのギザギザをサーボモーターの出力軸にはめ込み、足裏に脚を取り付ける。足裏と脚の角度はできるだけ90度に近くなるようにする
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反対側は、M3×8ネジにメタルスペーサーとワッシャーを通して、足裏と脚を固定する
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同じものを両脚分組み立てる
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スイングフレームの組み立てに必要なパーツ一式
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サーボホーンAの一番内側の穴にM2×5ネジをネジ込み、スイングフレーム左に取り付け、M2ナットで固定する。ナットにはネジゆるみ止め剤を使用するとよい
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● 胴体の組み立て
ここまでで、組み立て作業も半分くらい終わっている。次は胴体の組み立てだ。胴体下フレームにGogic Mixer基板Aを固定し、サーボモーターを2個、左右対称になるように取り付ける。
胴体上フレームにもサーボモーターを1個取り付け、胴体下側にスイングフレームをナイロンリベットを使って取り付ける。さらに胴体下側と胴体上側を組み合わせて固定する。
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胴体下側の組み立てに必要なパーツ一式
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Gogic Mixer基板Aに基板接続ケーブルを差し込む。コネクタの向きに注意すること
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基板接続ケーブルを胴体下フレームの中央のスリットに通す
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M2×10ネジと樹脂スペーサー、M2ナットを使って、Gogic Mixer基板Aを胴体下フレームに固定する
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胴体下フレームにサーボモーターを取り付け、M3×4ネジで固定する。サーボモーターは、左右対称になるように反対側にも取り付ける
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胴体上側の組み立てに必要なパーツ一式
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胴体上フレームにサーボモーターを取り付ける
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サーボモーターをM3×4ネジで固定する
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ゴムブッシュを胴体上フレームから左右に飛び出しているネジ(短いほう)に取り付ける
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胴体下側にスイングフレームを取り付けるのに必要なパーツ一式
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ナイロンリベットを利用して、胴体下側にスイングフレームを固定する
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反対側も同じように、ナイロンリベットで胴体下側とスイングフレームを固定する
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胴体下側と胴体上側を取り付けるのに必要なパーツ一式
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胴体上側のサーボモーターに、スイングフレームのサーボホーンを取り付け、サーボホーン取り付けネジで固定。ナイロンリベットで、スイングフレームと胴体上側を固定する
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胴体カバーフレームのスリットに基板接続ケーブルを通し、樹脂スペーサーとM2×10ネジを利用して、Gogic Mixer基板BをM2ナットで固定する
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● 胴体と頭部、脚、腕の取り付け
今度は、胴体に頭部と脚を取り付ける作業だ。胴体上フレームに胴体カバーフレームをかぶせて、頭部フレームを上からかぶせ、ナイロンリベットを使って固定する。さらに、胴体に脚パーツを取り付け、サーボホーン固定ネジで固定。最後に腕フレームを胴体に取り付け、袋ナットを使って固定すれば、外観はほぼ完成だ。
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胴体と頭部の取り付けに必要なパーツ一式
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胴体上フレームに胴体カバーフレームをかぶせ、基板接続ケーブルを基板Bに差し込む
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頭部フレームを上からかぶせ、穴位置をあわせて、ナイロンリベットを使って固定する
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胴体に脚パーツを取り付け、サーボホーン固定ネジで固定する
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脚パーツの取り付けが完了したところ
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腕フレームを胴体に取り付け、袋ナットを使って固定する
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● サーボモーターの配線とカバーの取り付け
今度は、スピーカーやサーボモーターの配線を行なう。サーボモーターのコネクタを接続する際は、位置や向きを間違えないようにすること。配線が終わったら、プラスチック製のカバーの不要部分をハサミで切り取る。胴体に前カバーをはめ込み、下カバーをナイロンリベットで固定すれば、Gogic Fiveは一通り完成だ。ネジやパーツの数も少ないので、初心者でも2時間もあれば、十分組み立てられるだろう。
Gogic Fiveを動かすには、モーション作成ソフトウェアをPCにインストールして、トリム調整やモーション作成、転送などを行なう必要があるが、そうした手順は次回紹介したい。
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スピーカーをGogic Mixer基板Bのコネクタに接続する
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サーボモーターのコネクタを、Gogic Mixer基板Aに接続する。接続するコネクタの位置と方向を間違えないようにすること。基板の外側に茶色のリード線がくるように差し込めばよい
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カバーには切り取り線が書かれているので、その線に沿ってハサミで不要部分を切り取る
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カバーの不要部分を切り取ったところ
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前カバーについては、さらに4カ所に切り込みを入れる必要がある
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下カバーをナイロンリベットで固定する
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後ろ側も同様に、下カバーをナイロンリベットで固定する
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完成したGogic Fiveの正面図。口がSDメモリーカードスロットになっているのもかわいい
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完成したGogic Fiveを側面から見たところ
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完成したGogic Fiveを背面から見たところ
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ユーモラスで親しみの持てるデザインだ
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■URL
株式会社エスケイパン
http://www.sk-pang.co.jp/
■ 関連記事
・ エスケイパン、小型ホビーロボット「Gogic Five」を発売(2006/12/13)
2007/08/10 00:02
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