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【 2009/04/17 】
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二足歩行ロボット競技会「ロボゴング6」レポート
~大阪で、エントリー67機の大規模練習会


 2007年8月11日(土)大阪産業創造館イベントホールにて、二足歩行ロボット競技会「ロボゴング6」が開催された。主催はロボットフォース。今回のロボゴング6には、学生や親子の参加が増え、67機のエントリーがあった。


ロボゴングとは

競技開始前に、全ロボットが安全と勝利を祈願し、のむむ氏製作の巫女さんロボット「サクヤヒメ」と「AMATERAS」のお祓いを受ける
 ロボットフォースが主催するイベントは、バトルトーナメント大会の「ロボファイト」と、ホビーユーザーの交流と練習会を主眼においた「ロボゴング」がある。

 そもそもロボゴングは、二足歩行ロボットに興味があるけれどROBO-ONE大会はハードルが高すぎるというユーザーのために企画された。

 2004年に近藤科学からKHR-1が発売され、ホビーロボットの敷居は低くなったが、残念ながらROBO-ONEはノーマル機では出場できない。ロボットフォース代表の岩気氏が「初心者が集い交流する場がなければホビーロボットユーザーの裾野は広がらない」と考え、定期的にイベントを開催してきた。

 2005年4月に第1回ロボゴングが開催されて以来、関西ではホビーロボットユーザーが増え、確実にレベルアップしてきた。それは、第10回ROBO-ONE大会で優勝したキングカイザーをはじめとする、各大会での関西勢の活躍からも判るだろう。

 昨年から二足歩行ロボット競技会の最高峰であるROBO-ONEが、地方大会を決勝トーナメント出場認定大会と認めるようになったこともあり、全国各地で二足歩行ロボット競技会が盛んに開催されるようになった。こうした流れの草分け的存在が、ロボットフォースが主催する競技会だ。今では、関西だけでなく全国からホビーユーザーが集まるようになった。


ロボゴングの魅力

 ロボゴングのメイン競技であるバトルトーナメントは、3分1ラウンドの3ダウン制で行なわれる。スリップは2回で1ダウンとみなされる。トーナメントは、市販キットベースのSRC(スタンダードレギュレーションクラス)とオリジナル機が中心のORC(オーバーレギュレーションクラス)に分かれて行なわれる。

 基本的には、「ロボファイト」と同じルールが適用されているが、ロボゴングはあくまでも練習会であるため、1、2回戦のジャッジは緩い。「楽しむ」ことが目的のイベントであり、参加者が思う存分バトルを楽しめるように配慮されている。


【動画】KUMACO(HM@みっちー氏) VS Centurion(桃色兎氏)。永遠の10カウントでKOを免れたKUMACO。その後、Centurionからダウンを奪い大喜びするKUMACOを桃色兎氏も会場も暖かく応援している。勝利したのはCenturion
 例えば、1回戦KUMACO(HM@みっちー氏)VS Centurion(桃色兎氏)のように、ロボットが起き上がりに苦労していてもオペレータが努力している間は、永遠の10カウントが適用される。もちろんオペレータが「起き上がれません」と申告すれば10カウントは続行される。こうした救済措置は勝ち進むにつれて厳しくなり、決勝戦では公平にジャッジが行なわれる。

 トーナメントの1、2回戦で敗退した人でも、SRCは2対2でバトルを行なう「2×2トーナメント」、ORCは敗者復活戦が用意されている。せっかくの練習会だから、1試合で終わってしまってはつまらないのだ。2×2のチーム分けは主催者が決定し、なるべく初対面同士が組んで、ユーザー交流できるように工夫されている。

 今回は高校や大学からの出場者が多かった。そこで、各校の代表1名による第1回学校対抗ランブルが開催された。こうした催しがあると、応援に熱が入るので見ていて楽しい。

 他にも、紙相撲のように和気あいあいと楽しむ「ロッポ大会」や、参加者全員が入り乱れてロボットを動かす「バトルカオス」などがあり、1日中、ロボットを満喫できるイベントだ。


【動画】2×2の決勝戦。小さいロボット:G-ROBO1号(ヤスイタカヒコ氏)& 黄色のロボット:lomio(ナ~ゴ氏) VS 青いロボット:ジローちゃん♪(motoぶちょう氏)& 手の長いロボット:アイン (きりんさん氏) 【動画】ロッポ大会での試合の様子。Tiroloppo(まさゆき氏)VS ハロっぽ(うじ氏)。ハロっぽが投げ技でiroloppoを場外へ落とし、拍手喝さいを浴びた 決勝は、ハロっぽ(うじ氏) VS ギガール(しばんず-ぺい氏)。優勝したのは常連のハロっぽ

学校対抗ランブル。優勝は、大阪産業大学テクノフリーク部代表:ジローちゃん(motoぶちょう氏)、左奥の目が光っているロボット 閉会後に行なわれるバトルカオスには、ほぼ全ロボットが参加する。主催者の岩気氏も参加している

【お詫びと訂正】初出時、ロッポ大会決勝にて延長戦が行なわれたと記述しておりましたが、延長はしておりませんでした。お詫びとともに訂正させていただきます。

 ロボットに興味を持っているが最初の一歩を踏み出せずにいる潜在的ユーザーには、ロボゴングの見学をお勧めする。安価になったとはいえ二足歩行ロボットキットは、10万円近い価格だ。身近に先輩ユーザーがいない人にとっては、カタログスペックやデモンストレーションだけを見て購入を決意するのは、少々勇気がいるのではないだろうか? ロボゴングには、各メーカーのロボットユーザーが出場しているので、実際の動きを間近で見比べることができるのだ。

 また、ロボットキットの楽しみはカスタマイズしてオリジナルロボットを作ることにある。ベースが同じロボットであっても、オプションパーツを追加し、モーションの工夫で性能に差がでる。もちろん、自作パーツでカスタマイズしているユーザーも多い。多くのユーザーのカスタマイズ事例を間近に見れば、自分が作りたいロボットの夢が具体的に広がるだろう。

 ロボゴングでは、見学者も事前に登録すれば、整備ブースに入ることができる。会場で気になるロボットがあったら、オペレーターに直接質問してみるのもいい。一般の競技会では、参加者は優勝を目指してピリピリしているので、なかなか話しかけるタイミングが難しいが、ロボゴングの会場では節度と礼儀に気をつけていれば大丈夫だ。


バトルトーナメント

 メインのバトルトーナメントで目立ったロボットを紹介しよう。

 今大会には、G-ROBOTSが2体エントリーしていた。G-ROBOTSのバトル参加は初めてだろう。G-ROBOTSは小さいだけに小回りがきいてよく動く。G-ROBOTS1号(ヤスイタカヒコ氏) VS COBOL(COBOLer氏)の試合では、G-ROBOTSが、COBOLのバックを取り投げ技を決めて会場が湧いた。カウント数で試合には負けてしまったが、ヤスイ氏は、「モーションを作りこめば、G-ROBOTSもバトルで闘えるというのが判って嬉しかったですよ~」と満足気だった。

 SRC3位決定戦は、力士マンJr(robotec氏)VS やまぴー(ペーター氏)のRB2000のカスタマイズ機が対決した。robotec氏は大阪電気通信大学自由工房所属、一方のペーター氏は大阪産業大学テクノフリーク部所属だ。試合中、仲間からの声援が大きく、試合は一層盛り上がった。両機体とも19軸オプションキットを使っている。力士マンJrは、腕と手のパーツを自作し伸ばしている。足首フレームは5mm短くし、歩行の安定性をよくしたという。試合は、リーチ差を活かしたバトルで力士マンJrが勝った。

 SRC部門の決勝戦は、independence(satton氏)vs ×エクサ FREEDOM (BIS氏)。エクサ FREEDOMは腰を落として両手を振り回す攻撃で勝ち上がってきたが、決勝では投げ技を失敗した時に足首サーボを壊してしまい立ち上がることができずKOをくらった。

 優勝したindependence(satton氏)のバトル歴は、前回のロボファイト5でデビューして、今回が3回目だという。independenceはKHRがベースで、ロボットの外装に拘っている。

 「頭部はツクダのpinoのパーツに塗装してLEDを仕込みました。ボディは家にあったコンセントのケースがちょうどぴったりだったので、切って使ってます。腕や脚のカバーは100円ショップで購入したプラスティックの梱包材を使用して、手先のパーツは床コードカバーです」と、satton氏はいう。


【動画】G-ROBOTS1号(ヤスイタカヒコ氏) VS COBOL(COBOLer氏)。G-ROBOTSがRB2000を持ち上げて投げ飛ばしている。試合は、COBOLがダウンカウント優勢で勝利した 【動画】SRC部門の3位決定戦はRBの改造機対決となった。力士マンJr(robotec氏)VS やまぴー(ペーター氏)。赤いはちまきがやまぴー。改造によって、起きあがりモーションや移動方法が違う点に注目

【動画】SRC部門の決勝戦、independence(satton氏)vs ×エクサ FREEDOM(BIS氏)。両オペレーターとも初の決勝進出で緊張していた SRC部門で優勝のindependence(satton氏)。身近にあるものを上手に使ってカッコいい外装を作っている。塗装も丁寧に仕上げている

 ORCには、ROBO-ONE大会に出場しているロボットも参加できる。特異な容貌で注目を集めていたのが、Gadget Frog(ドクター・ガジェット氏)。蛙をイメージしているらしいが、ぬめぬめと動く舌がカメレオンのようにも見える。上半身を180度回転させて、そのまま前進することができるロボットだ。

 ORCで優勝したのは、最近、各地で活躍しているレグホーン(NAKAYAN氏)。NAKAYAN氏は「バトルが好きで、他のことはあまりやりたくないんです。だから、ROBO-ONEの認定権が欲しくて、地方大会にエントリーしまくりました」と笑う。各地であと一歩のところで逃していた第12回ROBO-ONE大会 決勝トーナメント出場認定権は、先月長井で開催された「第2回ナガレンジャー・ファイティングフェスタ in SUMMER」で獲得した。

 勝ち続けている理由を尋ねたら、「戦法が新しいから、初めて対戦する人は戸惑うんじゃないでしょうか? リベンジを狙っている方が多いから、これから先が怖いです」というコメントだった。


【動画】Gadget Frog(ドクター・ガジェット氏) vs unfix MkII(kanarow氏)。Gadget Frogの独特なモーションが面白い。試合は、unfix MkIIのKO勝ち 【動画】ORC決勝戦。レグホーン(NAKAYAN氏)VS YOGOROZA(dauto氏)。これまでの戦績は3勝1敗でレグホーンが勝ち越している

ジオラマでロボット撮影会

 初めての試みとしてロボットジオラマが用意された。最初は一人一人がロボットを置いて写真撮影していたが、午後になるとロボットを持ち寄りポーズをつけての撮影会になっていった。


女の子の部屋。いちごちゃん(さや氏)が持っているのは、ロボゴングのパンフレット。机の上にある本は、ロボット雑誌を縮小版。細かいところにまで拘っている 森の中はストーリーが作りやすいのか、人気だった。木陰に隠れたSH716TH(しばんず_いち氏)に、アーチェリーが得意なアーチャー(ルチオ氏)と、剣士ガーディアン(まぼたん氏)が立ち向かう

カタパルトに待機するロボット達。後方のHANA(miuママ氏)は、肩からミサイルを発射する機能を持っている ロボット専用靴屋さん。足カバーが売られている。箱の中にもちゃんと商品が入っている

【お詫びと訂正】初出時、上記キャプション内で、しばんず_いち氏製作の「SH716TH」について、KAZ氏製作の「月光α1」と誤って記載しておりました。お詫びとともに訂正させていただきます。


URL
  ロボットフォース
  http://www.robot-force.jp/

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( 三月兎 )
2007/08/21 17:41

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