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第2回ナガレンジャー・ファイティングフェスタ in SUMMER開催
~第10回ROBO-ONE開催の地にて育つ、確かな『ロボット』の芽


 2007年7月28日、第10回ROBO-ONEの開催地であった山形県長井市、置賜地域地場産業振興センターを会場に、『第2回ナガレンジャー・ファイティングフェスタ in SUMMER』が開催された。

 本大会は第12回ROBO-ONE決勝出場権認定大会であり、優勝者には9月に香川県高松市にて開催される第12回ROBO-ONE決勝トーナメントの出場権が与えられるとあって、東北のみならず全国から全23台のロボットが集まり、ロボットバトルやロボットサッカー、そしてナガレンジャーFFならではの『ロボットかるた』の競技で、長井市の子供たちを夢中にさせる熱戦を繰り広げた。


機動力と運と、『眼力』が必要?『ロボットかるた』

 最初の競技は、ナガレンジャーFF独自の『ロボットかるた』。15×20cmほどのサイズの札が競技台の上に配置され、読み上げられた札にロボットの一部が接触した状態でロボットが停止し、さらに操縦者が「はい!」と発声したところで、その札を取ったことになる。今回は1枚、札を取った時点で勝ち抜けとなる。今回はロボットバトルのトーナメント決定競技として、勝ち抜けた順からロボットバトルのトーナメント組み合わせの場所を選べるようになっていた。

 ロボットのゼッケン番号が奇数の組と偶数の組の、2つに分けられて行なわれた『ロボットかるた』。移動中、他のロボットへの攻撃は認められる(札に接触している状態のロボットへの攻撃は不可)ものの、安定した歩行とスピードが求められそうなこの競技。しかし、そこに至る前に、思わぬ落とし穴があったのである……。そう、『札が見つけられない』という落とし穴が。この『ロボットかるた』で使用されるかるたの札にはROBO-ONEやナガレンジャーにちなんだ写真と文章、そして文章の頭文字が印刷されているのであるが、操縦者から少し離れたところにあると、ちょっと見づらいサイズの文字なのである。そこで、機動力はもとより、自分のロボットの近くにある札が読まれる『運』と、そして札の文字を見分ける『眼力』が求められる競技となった。

 奇数組ではすがわらゆうすけ氏&ロボット『アフロ』組が、偶数組ではSLAN氏&ロボット『ガシャぺリオン』が一番に札をゲットして勝ち抜いていった。


『ロボットかるた』の様子。競技台はロボットサッカーの競技台と共通。ちなみにロボットバトルではリングアウトによるロボット破損を防ぐために、この競技台の上に白い正方形のマットを敷いてそこからロボットがはみ出した時点でリングアウトとしている(サッカーのフィールドと比べて、白いマットの方がやや滑りやすそうな感じ) 【動画】奇数組の最初の競技の様子。移動中の他のロボットへの攻撃は認められているのだが、どちらかというと札を探すのに必死で、攻撃する余裕がなさそう 『ロボットかるた』で用いられるのはナガレンジャーFFオリジナル、ROBO-ONEロボットやビルダー、ナガレンジャーの画像が満載の札。「自分のロボットの画像が載った札は絶対に取る!」と意気込む操縦者も

23体のロボットが参加したロボットバトル、米沢牛と米10キロは誰の手に!?

 続いて、『ロボットかるた』で決定したトーナメント表に沿って、『ロボットバトル』の競技が行なわれた。このロボットバトルは先にも述べた通り、優勝者には第12回ROBO-ONE決勝トーナメントの出場権が与えられるとあって、ROBO-ONE常連のロボットビルダーが各地から参加する一方、地元山形・長井のナガレンジャーチームや大学・高校のチームも自慢の機体を繰り出し、計23体のロボットが参加し見ごたえのある白熱したバトルを繰り広げた。

 その戦いの中を準決勝まで勝ち残ったのは、すがわらゆうすけ氏&ロボット『アフロ』組とくぱぱ氏&ロボット『クロムキッド』組、NAKAYAN氏&ロボット『レグホーン』組とくまま氏&ロボット『ガルー』組の4組の操縦者&ロボットたち。くぱぱ氏とくまま氏のご夫婦対決の決勝戦となるのか!? それとも宇宙服『アフロ』とツッパリニワトリ型『レグホーン』の、可愛いながらも熱い決勝戦となるのか!?……と、そんな準決勝、3位決定戦、そして決勝の様子を動画で紹介する。


【動画】準決勝2戦目、『レグホーン』と『ガルー』の一戦。『ガルー』の猛攻ラッシュを両手(両翼?)を広げてブロックした『レグホーン』が、後ろに下がりつつ間合いを読み、豪快な投げ技でダウンを奪う。最後は掛け声と同時に繰り出される、リーチの長いパンチ(『手羽アタック』)で一閃、決勝へとコマを進めた 【動画】準決勝1戦目で『クロムキッド』に敗退した『アフロ』と、『ガルー』との3位決定戦。緊迫した戦いの中でも、自らの頭部を叩く“おでこぺんぺんパンチ(?)”を見せた『アフロ』であったが、その隙を容赦なく『ガルー』が攻撃、ダウンを奪って勝利を収めた。ちなみに、3位の賞品は米5kg、4位の賞品は米2kgと、その差3kg 【動画】『クロムキッド』と『レグホーン』による決勝戦。両者とも手数は多いものの、なかなかダウンを奪えない接戦。互いに相手の隙を付く攻撃で両方とも2ダウンと、後のない戦いの中で、『クロムキッド』の背後に回った『レグホーン』ががっしりと『クロムキッド』をつかんで逃がさず、対『ガルー』戦でも見せた投げ技を決め、優勝の栄冠に輝いた

と、ご覧いただいたように、くまま氏&ロボット『ガルー』組とくぱぱ氏&ロボット『クロムキッド』組のご夫婦ロボットビルダーを次々と投げ技でリングに沈め、優勝したのは大阪から参戦したNAKAYAN氏&ロボット『レグホーン』組! 5月のロボファイト大阪では準々決勝で優勝ロボット『ivre』に敗退、そして7月の姫路ロボチャレンジではバトルでは優勝したものの総合で2位となり、これまで2回のROBO-ONE決勝出場権認定大会を惜しいところで逃してきたNAKAYAN氏&ロボット『レグホーン』組が、初めての大会優勝の栄冠と第12回ROBO-ONE決勝トーナメントの出場権を獲得した。


優勝したNAKAYAN氏と、ロボット『レグホーン』。ロボットのサイズとしては大きめで、重心も比較的高いのであるが、それを感じさせない安定感のある攻撃モーションが見事 親子で参戦したCurtis(カーチス)氏とロボット『Purple Star(パープルスター)』。4歳の息子さんが操縦者である。本選では初戦で敗退したものの、『負け犬の遠吠えバトル』では見事勝利を収めた。審査員をしていたサンライズの井上幸一氏によると、ROBO-ONE本選・決勝出場権認定大会において勝利を収めた中では最年少とのこと 賞品には第10回ROBO-ONEでもトロフィーとして用いられた長井市名産『巨大けんだま』を始め、米沢牛や米、はてまたぬいぐるみやかぶりもの、第12回ROBO-ONEの賞金100万円にあやかって『100万円貯まる貯金箱』などが並んだ。参加ロボット23台に対し、27つもの賞が設けられているのも、地方大会ならではのアットホームさ(?)

 ロボットバトルの後には、4チームに分かれてのロボットサッカーが行なわれた。先の『ROBO-ONE Special CUP』からのROBO-ONE新競技である、『ROBO-ONE Soccer』の競技規則にほぼ準拠したルールで行なわれたロボットサッカーであったが、競技自体の激しさに、ロボットバトル後の消耗も相まって次々とロボットが倒れていく激戦となった。


【動画】ロボットバトル、『ナガレイエロー』と栃木県産技大ロボワン研究部のロボット『みんみん』との対戦でのハプニング。ダウン後に絡んだ2台のロボットを審判が離そうとして…… 【動画】ロボットサッカーの様子。次々とロボットが倒れていく中を乗り越えて、シュートを決めた長井工業高校機械システム科のロボット『K^3』。シュートを決めた後、自らも力尽きて倒れる 今回、長井に集結したロボット&ロボットビルダーの方々

長井の街に、確かに根づいたロボットの『芽』

 筆者は今回のナガレンジャーFFと同じ会場で開催された、第10回ROBO-ONEの本選も見学していたのであるが、今回の大会において感じた第10回ROBO-ONEの本選との大きな違いは、とにかく『ロボットとの距離が近い』こと。見学に来た子どもたちが、手を伸ばせば届きそうなくらい近くでロボットを見ることができる。

 ロボット『アタモ』の製作者であるオマタ氏も、「長井の子どもたちに『楽しい空間』を提供できる場にしたい」と述べている通り、ROBO-ONE本選で小型ヒューマノイドロボットやROBO-ONEの存在を知った子どもたちが、さらに近くでロボットに触れ合うことができ、さらに興味を持つことができる場としても、このナガレンジャーFFは意義ある大会なのではないだろうか。


会場の一角では『発明王は君だ!』と題して子どもたちに「こんな機械・ロボットがあればいいな」という思いを描いてもらうコーナーも 身を乗り出して、競技中のロボットに見入る子どもたち

 また地元の工業会が中心となって結成され、第10回ROBO-ONEを誘致し、前回及び今回のナガレンジャーFFも企画・運営した『フラワー戦隊ナガレンジャー』のメンバーの水際立った活躍が目立つ大会であった。企画から会場設営、大会の運営にその後の懇親会(そして大会翌日の観光ツアー)をハンドリングした、地方大会ならではのホスピタリティは多くの競技者に「次回も参加したい」と感じさせるものであったと思われる(実際、今回ROBO SPOTが企画した、東京からのナガレンジャーFFツアーは、あっという間に定員が埋まってしまった)。


お揃いのバックプリントのTシャツを着た『フラワー戦隊ナガレンジャー』のメンバーたち。『ナガレイエロー』『ナガレブラック』など、現在10色以上のナガレンジャーが活躍中。関東支部もある(らしい) 懇親会会場にて開催された、『一升瓶争奪ロボダッシュ大会』。会場を飛び出し、他のお客さんと交流するロボットの姿も見られた 筆者はロボットビルダーの方々の懇親会に参加するのは初めてだったのであるが、アルコールが回るとロボットが登場するのが自然な流れ、というのにちょっと驚いた

 すでに来年2008年2月2日(土)に、『第3回ナガレンジャーファイティングフェスタ in 雪灯り回廊 ~冬はやっぱり すきやきパーティ!! 米沢牛を喰らい尽くせ!』が会場を同じくして開催されることが決定している。冬の山形の寒さに負けない熱戦と、寒さを感じさせない暖かなホスピタリティが、今から期待できる大会ではないだろうか。


URL
  第2回ナガレンジャー・ファイティングフェスタ in SUMMER
  http://www.nagai-cci.or.jp/robot/nff.html
  フラワー戦隊ナガレンジャーの日々
  http://blog.livedoor.jp/fsn0601/

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( baby touch )
2007/08/08 01:38

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