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第10回ROBO-ONE大会レポート
9月の山形でも熱い戦いが繰り広げられましたっ!


ROBO-ONE本選出場ロボットと上位入賞者
 9月18日、山形県長井市にある置賜地域地場産業振興センターで、第10回「ROBO-ONE」が開催された。ROBO-ONEは二足歩行ロボットによる格闘競技大会だ。2002年に第1回が開催されて以来、年に2回のペースで開催され、二足歩行ロボットホビーというジャンルを開拓した、パイオニア的な競技会だ。毎度毎度「アンタら何者よ?」と言いたくなるほど、ハイレベルな二足歩行ロボットが多数出場し、熱い戦いを繰り広げている。

 今大会が開催された長井市は、山形県南部の置賜地方、山形新幹線沿いではなく、最上川沿いに位置している。「マイクロマウス」の東北地区大会が約20年前から開催されるなど、古くからホビーロボット大会と縁のある地域だ。地域の工業会の若手により、過去何度かROBO-ONE本大会に参加した実績もあり、第10回ROBO-ONEの開催地として選ばれた。

 大会の競技内容は、基本的にこれまでのROBO-ONEと同じだ。デモンストレーションによる予選と、格闘競技による本選トーナメントの2段階で競われる。格闘競技は「有効な攻撃で相手の足の裏以外が接地するとダウン」というもので、3分のラウンドで3ダウンを先取するか、奪ったダウン数の多い方が勝ちとなる。

 基本的なルールは同じだが、参加ロボットのレベル向上にあわせて、ルールもちょっとずつ向上していくのもROBO-ONEの特徴だ。今大会では、予選デモンストレーションの規定演技として「ウサギ跳び」が取り入れられたほか、レギュレーションなども厳しくなっている。それでも今大会では、100台以上のロボットがエントリーし、73台のロボットが予選でデモンストレーションを行なった。

 73台の予選参加ロボットと、32台の本選参加ロボットによる全試合をご紹介するには、さすがのインターネットでも厳しいので、ここでは印象に残ったロボットと本選試合を中心にレポートする。


韓国製超重量級ロボット「MYRO」

 今大会では、韓国から参加した3台のロボットが本選に残った。いずれのロボットも大きめではあったが、その中でもMyongji Robot製作の「MYRO」は、ROBO-ONE参加ロボットしては最大級のロボットとなっている。


【動画】左手前の黒いロボットが「MYRO」、右奥の骸骨頭のロボットが「Black-Blade」
 まずはいきなりだが、3位決定戦の、Myongji Robotの「MYRO」と日本のTeam Lilacの「Black-Blade」の一戦を紹介しよう。「Black-Blade」は中軽量級とでも言うべき大きさで、重さは2.2kgと公表されている。対する「MYRO」は公表重量4.3kgという超重量級ロボットだ。

 2倍という強烈な重量差により、「Black-Blade」は苦戦を強いられる。ちょっとした攻撃では、「MYRO」を倒せないのだ。しかし「MYRO」は機動力・安定性・操縦者の腕前も十分で、なかなか攻撃の隙を与えない。さらに「MYRO」の側面ストレートパンチは、大きく踏み込んで体重移動を用いていて、空撃ちすると手が地面に設置する、ちょっとした捨て身攻撃並の技となっている。「MYRO」は本選で何度も、相手をこのストレートパンチですっ飛ばし、リングアウトさせている。「Black-Blade」は健闘しつつも、この強烈なストレートパンチによりぶっ飛ばされて、3KO負けを喫する。

 余談だが、ROBO-ONEにはダウン後「ファイト」のコールの後に、さらに歩いてからでしか攻撃できない、というルールがある。韓国勢はこのルールがあまりわかっていなかったようで、何度もコール前攻撃を繰り返してしまう。まだROBO-ONEは国際的な大会といえるほど、海外からの参加が盛んではないが、今後はもっと海外からの参加がしやすいように、整備されたルールとわかりやすいレフェリーコール、英文ルールドキュメントなどが必要になりそうだ。


【動画】手前のシルバーのロボットが「I-one」で奥の丸頭のロボットが「MYRO」
 続いて準々決勝第2試合、I-oneの「I-one」とMyongji Robotの「MYRO」の一戦を紹介する。両者韓国からの参加だ。

 「I-one」は「MYRO」に近い重量級のロボットだ。大きく踏み込むパンチを得意としていて、なんとその側面ストレートパンチは、超重量級の「MYRO」を吹っ飛ばしてリングアウトさせる破壊力を持っている。そんな重量級のロボットが殴り合い、倒れ込んだりリングアウトもするので、近くで見ていると相当な迫力がある。ただ個人的には、リングサイド砂かぶりの位置での取材は、ゴメンこうむりたい試合だ。こんなロボットがすっ飛んできたら、三脚やカメラは簡単に壊れそうだし、体に当たったらケッコウなケガをしそうだ。

【お詫びと訂正】初出時I-oneの重量について2.8kgと表記しておりましたが、実際には5kg近い重量というご指摘を受け、表記を訂正させていただきました。お詫びとともに訂正させていただきます。


【動画】左手前の長い手を持つロボットが「ivre」、右奥のロボットが「MYRO」
 重量を存分に生かした強さを見せつける「MYRO」だが、それを倒したのは意外にも、一見小型ロボットに見える、ゆ氏製作の「ivre」だった。準決勝、「ivre」と「MYRO」の一戦を紹介したい。

 「ivre」は腕先に大きな武器を持っていて、長リーチのパンチを繰り出す。機動力も操縦者の腕前もよく、「MYRO」の隙を狙って、絶妙にパンチを打ち込み、捨て身攻撃なしのパンチのみで3ダウンを奪い勝利する。

 実は「ivre」、見た目は小型だが、重量は2.7kgとそれほど軽くない。安定性と格闘能力を補強するために、あえて重量を増やしているようだ。それが良かったようで、超重量級の「MYRO」にもパンチが通用している。ただそれでも、絶妙な位置とタイミングで的確な攻撃を繰り出せる「ivre」操縦者の腕前あっての勝利だろう。


まさに王の中の王、「キングカイザー」

 本選の上位に進出するロボットともなると、調整不足や故障に見舞われない限り、どのロボットもよく動くため、それなりの試合を展開してくれる。とくに最近のROBO-ONEでは、2kg半ばの中量級ロボットによる、高機動戦闘が見所となっている。


【動画】右手前の黒いロボットが「Black-Blade」で、右奥の赤いロボットが「キングカイザー」
 まずは準決勝第1試合、Team Lilac製作の「Black-Blade」とマルファミリーの「キングカイザー」の一戦を紹介しよう。「Black-Blade」は2.2kg、「キングカイザー」は2.5kgと、両者ともに中軽量級で、戦闘スタイルも似ている。

 注目は両ロボットの操縦の腕前だ。両ロボット、機動力・安定性ともに高く、操縦者の腕前が勝負を決めている。操縦者の腕前でいうと、「Black-Blade」も平均以上だが、マルファミリーは結局1ダウンも奪われることなく、3ダウンを奪って勝利する。

 マルファミリーは、マシンを父が担当し、操縦は長男(小5)と次男(小2)が担当している。この子どもたちの腕前がすばらしく、マシンの性能を存分に生かした的確な位置取りと防御、攻撃を見せてくれる。

 しかし試合中、両ロボットが背中で向かい合ったとき、とっさに両者ともバックダイブではなく、フロントダイブしてしまうあたりは、なんというか、かわいらしい。

【追記】上記の、背中合わせとなった両ロボットが前に倒れるシーンは、フロントダイブしたのではなく、実は両ロボットが至近距離から同時にバックダイブをしたため、跳ね返って前に転倒したと、マルファミリー(父)のナオ氏よりご指摘をいただきました。ご指摘、ありがとうございます(筆者)。


【動画】左手前の手の長いロボットが「ivre」、右奥の赤いロボットが「キングカイザー」
 続いては決勝戦、ゆ氏の「ivre」とマルファミリーの「キングカイザー」の一戦を紹介しよう。2.7kgの「ivre」と2.5kgの「キングカイザー」で、重量はほぼ同じ。ともに腕先に可倒式の腕節を持ち、射程の長いパンチを繰り出せるが、その射程・威力は、銅のインゴットをそのまま腕に使っているような「ivre」の方が強い。一方の「キングカイザー」は、パンチだけでなくフロントダイブ、バックダイブ、前転など、素早い捨て身攻撃モーションも得意としている。

 もちろん両ロボット、ともに操縦者の腕前も高い。攻撃・防御の反応の良さ、位置取りのうまさともに、非常にうまい。

 途中、絡み合ってしまい、レフェリーによるタイムが取られるが、マシントラブルを起こすこともなく、試合は接戦となる。結局、延長戦にもつれ込み、最後は「キングカイザー」が得意の前転攻撃を決めて、勝利する。決勝戦にふさわしい、見事な試合だ。

 マルファミリーは、ROBO-ONEの出場経験で言うと、長い方ではない。ROBO-ONE本大会は第9回からの参加だ。しかしROBO-ONE J-classやKHR-1 ANNIVERSARY、ロボファイトなどさまざまな競技会に積極的に参加し、優秀な成績を残し続けている。短い期間でこれだけ完成度の高いロボットを作ったマルファミリー父の技術力、そのロボットの性能を存分に発揮させる操縦者の腕前、ともに素晴らしい。


競技会として成長を続けるROBO-ONE

 ROBO-ONEも開催回数が10回を迎え、ますます大会として成熟しつつある。二足歩行ロボット競技会のパイオニアとして、最強のロボットが全国から集まり、非常にレベルの高い競技会となっている。回数を重ねるごとに参加者のレベルも上がり、同時にルールも変更が加えられ続けているが、それでも観戦していると、やはり限界を感じることも多い。

 たとえば、ROBO-ONEでは参加ロボットに身長の規定(20cm〜120cm)はあっても、重量の規定はない。重量のあるロボットが必ずしも有利というわけではなく、重量級ロボットを小さなロボットが倒す試合は見応えがあるが、まったくコンセプトが異なる1kgクラスの軽量ロボットと4kgクラスのロボットが戦うのはムリがある。そこでROBO-ONEでは重量クラス制の導入を検討していて、次回大会では2クラスでの試合開催を予定しているという。

 なお、それに併せてROBO-ONE J-classも本大会に吸収してしまうという。その代わり、地方で開催されている独自の競技会の優勝者に、ROBO-ONE本大会の本選への出場権を付与することで、初心者にも参加しやすくするという。

 ROBO-ONE本大会の参加ロボットのレベルはどんどん上がり、見応えの多い試合も増えている。その一方でこうした初心者にも参加しやすいように、地方の大会も盛り上がっていくことも期待したい。


URL
  ROBO-ONE
  http://www.robo-one.com/
  【2006年3月20日】第9回ROBO-ONEレポート(PC)
  http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0320/roboone.htm

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( 白根雅彦 )
2006/09/20 01:32

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