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二足歩行ロボットバトル大会「ロボファイト6」レポート
~市販キットロボットから、自作ロボットまで107体がエントリー


 2007年11月23日、24日に、大阪産業創造館において、二足歩行ロボットバトル大会「ロボファイト6」が開催された。主催は株式会社エルエルパレスのホビーロボット事業部「ロボットフォース」。

 ロボファイトは、市販の二足歩行ロボットキットを組み立てたままのロボットから、自作ロボットのユーザーまでバトルをしながら楽しく交流する競技会だ。ロボットのレギュレーションが緩やかなことと、トーナメントの1、2回戦で早々に負けてしまった場合も、敗者復活戦や、全員参加の団体戦に参加でき、1日中ロボット三昧できる楽しさがユーザーに支持されて、回を重ねる毎に参加者数を増やしている。

 この大会からROBO-ONE大会優勝ロボットも誕生している由緒正しい大会だ。だが、常連の強いメンバーが初心者に対して厳しいバトルをすると、客席から「大人げないぞ~~」とコールがかかるアットホームな雰囲気がある。

 1日目は、第13回ROBO-ONE大会の機体レギュレーションに準拠した「ORC(オーバーレギュレーションクラス)」、2日目に市販キットベースのSRC(スタンダードレギュレーションクラス)のトーナメント戦が行なわれた。バトルは3分間1本勝負で6ポイント制で、ロボットにダメージを与えない威力の発射体攻撃が認められているなど若干の違いはあるが、おおむねROBO-ONEルールに則している。


ORC(オーバーレギュレーションクラス)

第13回ROBO-ONE大会の決勝トーナメント出場権を目指し35体のロボットが参加した
 ロボファイト6のORC(オーバーレギュレーションクラス)は、第13回ROBO-ONE大会の決勝出場認定大会になっている。今回は、35体がエントリーした。

 決勝は、レグホーン(NAKAYAN氏) VS もん☆(なぐ氏)の対戦となった。第12回ROBO-ONE大会1回戦の再現だ。

 「もん☆」は「モンスター」と読む。「もん☆」は身長54cm、体重5kgの巨体ロボットだ。サーボは全身に34個使っている。モーションエディタを自作したために、ロボットを完成するのに2年かかったという。

 一方の「レグホーン」は、アロハシャツをきた鶏型ロボット。「レグホーン」は、投げ技を「チキンナゲット」、突き技を「手羽クロース」と技名を叫びながら攻撃する。エンターテイメント性も高いバトルロボットだ。

 NAKAYAN氏は、とにかくバトルが好きで、「できればバトルだけで勝負したい」ということで、ROBO-ONE大会の予選免除特典がある決勝トーナメント出場権を強く欲している。今年の春からぐんぐん頭角を現し、各地の大会に遠征して上位進出している。

 試合開始早々「もん☆」が大きくてを広げ振り回す攻撃で、「レグホーン」からダウンを連続で奪った。「レグホーン」は巨体の「もん☆」を相手に攻めあぐねていたが、「もん☆」の背後からタイミングよく手羽クロスを放ちダウンをとった。だがその後リング際で、「もん☆」のすくい上げるようなパンチが「レグホーン」にヒットしてリングアウト。「もん☆」が優勝を決め、第13回ROBO-ONE大会の決勝トーナメント出場権を獲得した。


【動画】決勝戦。「もん☆」は「レグホーン」が攻撃した後に体制を崩したところへタイミングよくパンチを当ててダウンを取っている レグホーン(NAKAYAN氏)ともん☆(なぐ氏) ORC上位入賞者の面々。左から2番目が優勝したなぐ氏

 その他、興味深いロボットや対戦を紹介する。

 第12回ROBO-ONE大会でメジャーデビューした木製風ロボットの「Kinopy(小田利延氏)」は、台詞をしゃべるようになりキャラクタ性が一段とアップしていた。「Kinopy」の声は、声優をやっている友達に頼んで製作した。「Kinopy」が歩く時の歩行音も右足と左足で効果音が違っていて、面白い。


【動画】「Kinopy(小田利延氏)」。「Kinopy」は、小学生低学年位の男の子という設定になっている。台詞も元気で可愛い Kinopy(小田利延氏) VS FANTASYSTA(mabotan氏)のキャラクタロボット対決 【動画】Kinopy VS FANTASYSTAの試合。童話の中のバトル風景を見ているようである

【動画】長い舌を使って起き上がる「Gadget Frog」。「YOGOROZA」の逆立ちからの脳天踵落としは見事に決まってダウンを取った 【動画】KZR-v6(KAZZ氏) VS クロムキッド(くぱぱ氏)。「KZR-v6」は横っ飛びに移動しながら低い位置からパンチを放つ。両者ともリング際の操縦がうまい 【動画】RB2000SF(zeno氏)VS 成龍(シェンロン)(きゃのん氏)。ロボファイト特有ルールの発射体攻撃を受けてたつ男らしい「成龍(シェンロン)」

SRCトーナメント

開会式では、巫女さんロボットの「AMATERAS」と「サクヤヒメ」による必勝祈願が行われる
 ロボファイトのメインイベントは、初級者向けのSRCである。今大会には、関東や九州からの参加も含めて69体がエントリーした。

 優勝したのは、九州から参戦した「Super Digger(ひろのっち氏)」。ひろのっち氏は、第4回からロボファイトに出場し、三連覇を達成した。

 ひろのっち氏は、九州でロボスクエアを拠点として活動をしている。約1年半前、関西勢が九州のイベントに遠征した時、関西メンバーのdauto氏から歩行モーションなどのアドバイスをもらい、表敬訪問として関西のロボファイトに遠征したのがきっかけだ。

 「Super Digger」は、KHRをベースにフレームをオプションに換装した。膝はKONDOのオフセットアームを2つ組み合わせて、深くしゃがみこめるように工夫してある。だが、今大会では一度もしゃがんだ防御態勢を取らなかった。ダウンもしていないという。

 製作者のひろのっち氏は、「攻撃力やスピードは他のロボットの方が優れていると思う。自分のロボットが勝てるのは、操縦ミスが少なく相手ロボットに対するポジションの取り方が上手にできているからだと思う」と語った。福岡では、月に1~2回仲間が集まって、熱心に練習しているという。


【動画】SRC決勝戦。i'ves-proto-(A4氏) VS Super Digger(ひろのっち氏) 3連覇を達成した「Super Digger」。手先のキッズ用コーナーガードは、リングに手をついた時、肩のサーボの衝撃を緩和するために装着

【動画】「i'ves-proto-(A4氏)」は、可愛い顔をして結構きつい台詞で相手を挑発していた SRC入賞者達

 「BLACK CAT(zeno氏)」は、客席から遠目に見ても、キレイな仕上がりのロボットで目立っていた。実は「BLACK CAT」は、ヴイストン株式会社が開発中の17軸ロボット「Robovie-X」の試作品だという。ご覧のようにボディが薄いのが特徴。これは外装をつけて楽しむことを前提にしているからだという。先日記者発表会も行なわれた。


【動画】「BLACK CAT(zeno氏)」。このときはモーションのエラーで前進ができなかった。横移動モーションは、RB2000に似ている 「BLACK CAT」は全身17軸。薄型でスマートな印象のロボットだ 「BLACK CAT」を背中側から撮影。足を深く曲げることができる

【動画】コーネリアス(HIDE氏) VS キウイ(たかの氏)。「コーネリアス」は顔が少し幼くなっていた。首を揺らしながら歩行するのが可愛い 【動画】KISS Ver2(redari氏)VS 白衛門(akemi氏)。「KISS Ver2」は手先の爪と攻撃モーションがかっこいい。白衛門は参加するたびに動きがよくなっている

 SRCでは、1、2回戦で負けたロボットがが2台ずつでペアを組みトーナメントを行なう「2×2バトル」がある。単なる敗者復活戦ではなくチーム戦にしているのは、初参加の人が自然に他の参加者と会話できるようにという主催者の思惑がある。

 2×2バトルの決勝戦にいきなり現れて注目を集めていたロボットが「den-dera(dauto氏)」だった。「den-dera」は試合開始までに完成しなかったためにトーナメントでは不戦敗。2×2バトルは、ペアの「BLACK CAT」が1人で決勝まで勝ち上がってきた。

 SRCは、レギュレーションでパワーのあるサーボの使用数に制限があるので、「den-dera」は膝への負担を減らすために足を平行リンクで構成したという。見た目は、背中合わせに2体のロボットを合体させたようなデザインだ。このデザインでサーボの実数は21個。サーボ数が見た目より少ないのは、前足の足首や後足の腿のサーボはケースだけで中身がないからだ。


【動画】「SRC2×2」決勝戦。「den-dera(dauto氏)」の動きが怪しくて注目を集めていた den-dera(dauto氏)

オプションイベント

 会場では、10月末に発売されたばかりのi-SOBOTが7体集まり、バトル大会が行なわれた。
もちろん、メーカーはi-SOBOTでのバトルは推奨していない。だが、二足歩行ロボットのユーザーは、そもそもメーカーが想定していないラジコンサーボの使い方でロボットを自作してきた。i-SOBOTのような魅力的なロボットはすぐに購入し、そして、ロボットを持ち寄ったらバトルが始まるのは必然なのだ。

 バトルといっても、リングはi-SOBOTへの衝撃緩和を考慮して柔らかいポリウレタン製。リングサイズも30cmと小さい。ほとんど紙相撲のようなノリだった。「ロボットバトル」という言葉のイメージがもつ迫力はないものの、同じ型のロボットが集まって遊ぶのは楽しい。


i-SOBOTが集合し、バトル大会を開催 決勝戦は、大てつ人17の予定 VS automo04。紙相撲を彷彿させるかわいらしいバトル大会だった

【動画】オペレータがコマンドを覚えていないため、司会者の岩気氏が口頭でアドバイスをしているのが可笑しい ジオラマに並べて記念撮影。いざ、バトル大会会場へ!

 他には、メカ工房Hotproceedが、レーザー光線を使った対戦ゲーム「Blaser(ブレーザー)」の勝ち抜き戦を開催した。「Blaser」は、KHRの腕に専用レーザー光線銃(ブレーザーシステム)を搭載し、可視光レーザーを使用した実践型ロボットゲーム。1回のトリガーで、レーザーは5回発射できる。ロボットの胸には、受光用センサーを5個設置してあり、レーザーが命中するとロボットが脱力モードになってダウンをとることができる。
BlaserはKHR-1HVやMANOIに搭載できる。今回は試作品が披露されたが、近日発売予定。


【動画】レーザーを相手ロボットの胸の十字の穴に命中させると、ダウンが取れる。スモークの中でレーザーバトルするとかっこいい 【動画】勝ち抜き戦でバトルを行なった。2対2でゲームをすると面白いという 今後、「Blaser大会」のイベントも企画するという。ホビーロボットの新しい遊び方に期待したい

URL
  ロボットフォース
  http://www.robot-force.jp/

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( 三月兎 )
2007/12/14 18:06

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