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大会出場ロボットたち。ほぼ市販ロボットそのままのものから完全自作までバラエティに富んでいる
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5月12日、大阪産業創造館4Fイベントホールにて、二足歩行型のホビーロボット競技会「ロボファイト5」が開催された。主催は株式会社エルエルパレスのホビーロボット事業部「ロボットフォース」。ロボファイト史上最多となる92台(内 棄権13機)がエントリーし、合計123試合(不戦勝含む)を行なった。
「ロボファイト」は市販のロボットキットでも参加可能な「SRC(スタンダードレギュレーションクラス)」と、第11回ROBO-ONE大会の機体レギュレーションに準拠した「ORC(オーバーレギュレーションクラス)」に分かれて、トーナメント方式で行なわれる格闘競技会である。ROBO-ONEとは違って6ポイント制をとっているが、おおむね事実上のスタンダードであるROBO-ONEルールに則っている。
また前回大会「ロボファイト4」と同様、「ROBO-ONE」決勝戦出場権認定制度の認定大会となっている。「ORC」にて優勝したロボットには、第12回ROBO-ONE大会で予選を免除され、決勝へ進出できる資格を得るとあって、ROBO-ONEでお馴染みの強豪陣も多く登場した。
出場台数こそ多いものの、試合はてきぱきと進行した。結果は、「SRC」優勝ロボットは「Super Digger」(ひろのっちさん製作)、「ORC」優勝ロボットは「ivre」(遊さん製作)となった。「ivre」は賞品として香川で開催予定である「第12回ROBO-ONE大会」の決勝トーナメントに出場できる権利を獲得した。
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巫女ロボット「AMATERAS」によるお払いから大会がスタート
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会場風景。3つ並んだリングで同時に試合が行なわれる
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リングの後方に見学席、さらにその後ろはそのまま選手たちの整備用机が並ぶ会場レイアウト
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会場の大阪産業創造館
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市販ロボットでも出場可能な「SRC」だが、実際には原型を留めていないロボットも少なくない。今回決勝戦で対決したのは、ひろのっちさん製作「Super Digger」と、mabotanさん製作の「GUARDIAN」。軍配は「Super Digger」に上がった。
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SRCクラス優勝の「Super Digger」
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SRC決勝戦の様子
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【動画】「GUARDIAN」VS「Super Digger」。実況しているのはロボットフォースの岩気氏
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【動画】トレードマークの盾が外れたあと押しまくられるGUARDIAN。攻めるSuper Digger。試合全体の模様はこちら
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ORCは、最終的には遊さんの「ivre」VS Dr.GIYさんの「YG III 旋風丸」というカード。先頃行なわれた第11回ROBO-ONE大会に酷似した対戦となった。ivreは腕の先部分が改造されていたり、GIYさんのほうは別のロボットといった違いはあるものの、製作者同士はまったく同じ。ライバル同士の間に独特の空気が流れ、それまではわいわいがやがやしていた会場も静まり、全員がリングを見つめた。
ivreは、非常に長い腕と低い姿勢を取る点が特徴のロボット。対する旋風丸は、立ち技主体のロボット。両者は今後のROBO-ONEでも上位進出必至であり、この両者を倒せないロボットに優勝はないと思われる。
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【動画】移動中のわずかな隙を狙ってivreからダウンを奪う旋風丸
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【動画】再び攻撃を交わしてダウンを奪う旋風丸。ivreの長い腕を振り回しながらの攻撃に注目
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【動画】勢い余って上に乗ってしまった旋風丸を放り投げて最後は押し出しを決めるivre。試合全体の模様はこちら
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闘い終わり、再戦を誓って両者握手
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優勝したivre(左)と旋風丸(右)
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製作者の遊さんは「第12回ROBO-ONE出場権」を獲得した
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大会主催のロボットフォースによれば、SRC部門では57台がエントリーし、うち49台が出場。ORC部門ではエントリーが34台、うち29台が出場した。
NAKAYANさん製作のアロハシャツを着たニワトリロボット「レグホーン」は、今回のロボファイトで一番目立ったロボットかもしれない。「手羽アタック」なる腕による突きのほか、相手に組み付いてからの「投げ」を得意とする格闘系のロボットだ。腕(羽根)で相手に組み付いたあとに片側の膝を畳みつつ体重移動することで投げを打つ。自分自身も転倒してしまう捨て身技だが、これまでの捨て身技よりは決まる確率が高い。
第11回ROBO-ONE軽量級で優勝した「クロムキッド」も素早さとパワーで難なく下した。だがその「レグホーン」も「ivre」の速度と間合いの読みには勝てず、自分の試合をさせてもらえなかった。なおよく見るとクチバシ部分も動いていることが分かる。後頭部に仕込んだマイクロサーボでワイヤーを引っ張っているそうだ。芸も細かいロボットである。
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【動画】「レグホーン」と「クロムキッド」の対戦
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【動画】「レグホーン」VS 優勝ロボット「ivre」の対戦
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【動画】ivreが単に低姿勢だから強いロボットではないことが分かる一戦
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ロボファイトは競技会形式ではあるものの、基本的には、丸一日、二足歩行ホビーロボットで楽しむことを主目的としている。1対1のバトルの他、ロボット2台ずつで組みになって行なうチーム対戦「SRC2×2」や、ORC敗者復活戦、そしておよそ40台のロボットが入り乱れて陣地争いをする団体戦「バトルカオス」なども行なわれた。
そのほか、興味深いロボットや対戦をご紹介する。SRCでは近藤科学のKHRシリーズや京商のマノイシリーズのほか、日本遠隔制御のRBシリーズを使った参加者が目立った。
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【動画】リング上をぐるぐると回りながら攻撃を行なう「RB-2000 SF」、迎え撃つ「Captain PEKO」。どちらも日本遠隔制御のロボットキットRBシリーズがベース
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「SRC2×2」決勝戦。女性参加者も増えてきた
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【動画】お互い低い姿勢で闘う「ivre」と「KZR-5」
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鎧武者そのままの「カブト」と「マジンガア」
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【動画】攻撃はむしろ忍者風の「カブト」
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SRC2×2の一試合。ぬいぐるみのような「KUMACO」は感触もぬいぐるみのようだった
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【動画】大きなロボット「もん☆(モンスター)」と「KZR-5」の対戦。長い腕を振り回して攻撃する「もん☆」に対し、小回りを活かして巧みに攻撃を交わしていく「KZR-5」
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【動画】ペットボトルを使った太い腕が印象的な「RYUYOU 竜洋?」と「Captain PEKO」
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【動画】ロボファイト独特のルールが発射体。「ミサイル発射!」などと宣言してから、発射させる。ボディの中央に命中した時のみ1ダウン扱いとなる(撮影:三月兎)
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【動画】双月(製作:ひろ研氏)は、刀型の家庭用ゲームコントローラーをつかって操縦する。上段切りや突きで、ロボットが大技を出す(撮影:三月兎)
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リング4つを合わせたフィールドでお互いの陣地を取りあう団体戦「バトルカオス」。ピラミッドのような障害物が中央にあり、相手の陣地に自軍のロボットが多いほうが勝ち
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【動画】バトルカオスの様子。さすがに92体を一斉に動かすことができないため、3回に分けて行なわれた。30体余りのロボットが、青・赤チームに分かれて陣取り合戦をする(撮影:三月兎)
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会場外ではスポンサー企業のブースが設置
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大阪・日本橋のロボットショップ「ロボットファクトリー」の店長・向井義智氏
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「ロボファイト」の雰囲気や全体の流れなどについては、これまでの記事もご覧頂きたい。
● ロボットで更けていく大阪の夜
大会終了後の懇親会は大阪の名物としても名高い道頓堀の「くいだおれ」にて行なわれた。懇親会にもワンフロアを貸し切りにするほどの人数が集まり、参加者達はロボット談義に花を咲かせた。また料理を早々にたいらげた参加者達は、「くいだおれ」が用意してくれた専用の板の上でロボットバトルに興じた。
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懇親会の様子。乾杯の発声は「ロボットフォース」代表の岩気氏
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特設リング@くいだおれでロボット遊びに興じる参加者たち
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賞品も出た。写真は「成龍(シェンロン)」のきゃのんさん。福岡からの参加
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ロボットフォース提灯。常連になるとこのような提灯を作ってくれるのだという
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なお本誌では近日中にロボファイト主催者である株式会社エルエルパレスの岩気裕司氏のインタビューをお届けする予定である。
■URL
ロボットフォース
http://www.robot-force.jp/
【2006年5月10日】二足歩行ロボット競技会、ロボファイト大阪3開催(PC)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0510/robofight.htm
■ 関連記事
・ 2足歩行ロボット格闘競技会「ロボファイト4」レポート(2006/11/22)
( 森山和道 )
2007/05/16 00:04
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