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テムザックとアラコム、警備ロボ「T-34」を共同開発
~FOMA携帯電話から操作、ネットランチャーを装備


 ロボットベンチャーの株式会社テムザックと警備会社のアラコム株式会社は22日、携帯電話で遠隔操作可能な新型警備ロボットを共同開発したと発表し、記者会見を行なった。

 テムザックとアラコムは、経済産業省による平成18年度「サービスロボット市場創出支援事業」に採択された「警備業務向け高速自律移動を行う現場状況確認ロボット開発事業」をきっかけに、ロボットの共同開発を行なってきた。今回発表されたロボット「T-34」は、その試作機。520×600mm(幅×高さ)、重量12kg。走行速度は最大およそ時速10km。カメラ、人感センサーなどを備え、侵入者を網で捕まえる防犯対策機器ネットランチャーを搭載している。スキップバック録画機能を持ち、センサーが反応する10秒前からの映像を合計20秒間まで記録できる。バッテリは今回のロボットではニッカドとニッケル水素電池を組み合わせて使っている。


T-34 側面 正面

外装を取ったところ FOMA携帯電話から操作する 概要

【動画】前進の様子 【動画】前進・後進の様子 【動画】不審者目線でネット発射の様子

【動画】ロボット目線でネット発射の様子 【動画】本当に絡まってしまった

 「ネットランチャー」は日本工機株式会社の製品として販売されている防犯機器。瞬時にガスを発生させて、その勢いでネットを不審者に向けて打ち出す。不審者に触れることなく遠距離から、また、さすまたのように訓練していなくても使える点が特徴だ。ネットは、不審者がもがけばもがくほど絡まるようになっているという。価格はおよそ2万円強で、主に学校などを対象に1万7,000台以上の納入実績がある。購入後4年ほどは保つという。今回のロボットは、そのカートリッジ部分をそのまま搭載している。


ネットランチャーのカートリッジ 人が持って撃つタイプのネットランチャー。全長27cm 同じカートリッジが使われている

テムザック代表取締役社長 高本陽一氏
 T-34は施設内のインフラシステム構築なしにロボット単体でも導入可能であることと、携帯電話で遠隔操作できる点が特徴だ。今後は警備システムの中にロボットを組み込み、センサーの自動発報に応じてロボットが自動応答することも目指す。テムザックの代表取締役社長 高本陽一氏は、同社でも「T-63アルテミス」のような高性能かつ高価な警備目的ロボットを開発してきたことを踏まえ、「高級なロボットを1台作るよりは、安価なロボットを各階にばらまいたほうが効果的ではないか」と語った。

 アラコムの専務取締役 執行役員の長谷川一彦氏は「警備員とロボットが連動した新しい警備になりうると考えた」と述べた。アラコムは1971年創業の警備会社。売り上げは56億円で、業界では1,000社中およそ30位くらいの中堅に位置づけられる警備会社だという。

 ビル警備においては異常信号の発報後、警備員がまず駆けつけることになっているが、それには時間がかかる場合も少なくない。また突発的に起こるため、警備員が火災時の炎や煙に巻かれることもある。だが、もし近くに移動ロボットがあれば、直ちに現場に移動して状況・環境データを知ることができ、第一次の対応をとることができる。現場の状況に応じて警備員も準備した後に現場に向かうことができる。そのためロボットは警備員の安全向上に繋げることができるという。


アラコム専務取締役 執行役員 長谷川一彦氏 ビル警備の現状 現状の警備の問題点

今回のロボットの将来イメージ 今後の開発ステップ

 テムザックでは、家庭用留守番ロボット「ロボリア」を開発、販売している。今回の試作機は「ロボリア」の施設向けの上位機種という位置づけになる。実際問題としては、0.8秒程度のタイムラグがある携帯電話からの映像を見ながらの操作では、狙った位置ぴったりに止めることは極めて難しい。旋回半径が大きいこともあり、屋外のイベント会場警備や不法投棄現場など広い場所での運用を考えているという。今後も研究開発を進めていき、バッテリその他の改良以外にも、ネットランチャーの装着位置などを含めて外装デザインなども変えるとのことだ。

 また、50万円程度での製品化を目指し、できれば年内にも商品化したいという。高本氏は「ロボットをイベントやデモンストレーションだけではなく、商売になるところから片っ端から入れていきたい」と語った。


URL
  テムザック
  http://www.tmsuk.co.jp/
  アラコム
  http://www.alacom.co.jp/
  日本工機
  http://www.nippon-koki.co.jp/

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( 森山和道 )
2009/01/23 15:09

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