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二足歩行ロボットサッカー大会「第4回 KONDO CUP」レポート

~初めて2日間にわたって開催

 2007年4月29日~30日、東京・秋葉原の「KONDO ROBOSPOT」にて、ロボットサッカー大会「第4回KONDO CUP」が開催された。初の2日間開催となり、初日は「KHRクラス」と「O-50クラス」、2日目は「オープンクラス」が多くの参加者と観客を集めた。


初日は「KHRクラス」&「O-50クラス」

 まず1日目に行なわれたのは「KHRクラス」と「O-50クラス」である。KHRクラスはKONDO製二足歩行ロボットキット「KHR」シリーズをベースにした機体のみで行なわれるクラスで、機体の性能に大きく影響するサーボの交換やフレームの改造などに一定の制限がかかっている。今回新設されたO-50クラスは、“Over-50”という意味で、操縦者が50歳以上に限定されたクラス。機体のレギュレーションはKHRクラスに準じている。

 「KHRクラス」は前回のオープンクラスで採用された「リーグ戦+決勝」システム、「O-50」は2チームのみの募集だったため、チームをシャッフルして2試合を行なうシステムを採っていた。

 今回はゴールデンウィークの初めということもあり、観客が多く来ても対応できるよう、ROBOSPOTのレイアウトは公式コートを中心としたものに変わっていた。また、得点表示や残り時間が表示されるスコアボードも登場し、より試合を見る人に配慮されるようになっていた。


今大会のレイアウト。試合のときにはこの周りに人がぎっしり。社長、ピースしてます 新登場のスコアボード。得点と前後半、残り時間が表示される。チーム名だけはプリントアウト 第11回ROBO-ONEでW優勝を果たしたROBOSPOTの常連さんがパネルで飾られていた。お二人は2日目のオープンクラスに出場

 KHRクラスで注目されるのは、KONDO CUPの同クラスを3連覇中の「RFCバンブーブリッジ」が今回も優勝するのか――というよりも、公式戦6戦無敗、無失点という同チームのゴールを誰が最初にこじ開けるのか、という点だ。

 ……なんて言ってますが、前回までの記事をご覧になった方ならご存知のように、「RFCバンブーブリッジ(以下バンブー)」は本サイトでロボットキットレビューを連載されている石井英男氏と、フリーライターの大塚 実氏、それに私が組んだチームなので、“防衛側”の視点での記事になることをお許しいただきたい。

 前回のKHRクラスは3チームしか集まらなかったために合計3試合、1チーム2試合しかできなかったのだが、今回は個人参加者が組んだ5チームを含め、募集枠8チームが埋まり、2リーグそれぞれで各チームが3戦ずつ、決勝まで進めば4試合がプレーできるにぎやかな大会になった。

 リーグ分けはチーム代表者のくじ引き。しかしキャプテン石井さんが会場に到着する前に他チームのくじ引きが終わってしまい、バンブーは自動的に「Aリーグ」のほうに振り分けられた。Aリーグの残り3チームはすべて個人参加者が当日結成したチームだが、ROBOSPOTの常連さんやROBO-ONEをはじめとする二足歩行ロボット競技会で実績を残している人が混じっているので、油断ならないところである。


 一方のBリーグはROBO-ONE GPに参加しているようなトップレベルの二足歩行ロボットビルダーが組んだ「四川会ジュニア」を筆頭に、工芸大ロボ研(サークルらしい)など、こちらも激戦だ。まずはこのグループリーグで1位になることが目標になる。

 バンブーの緒戦はAリーグ2戦目(その日の3戦目)だったので、Aリーグ緒戦(開幕戦)の「エレキベアー」vs「はやくきてくれ」の対戦を偵察ついでに取材する(←逆だろう)。

 すると、嬉しいことにROBOSPOTのサイト上で公開されている“バンブーモーション”を使っているKHR-2HVが多数いる。筆者は嬉しさのあまり涙で前が見えなくなり――いや、むしろ緊張したのが正直なところ。モーションを公開したときから覚悟していたとはいえ、同じモーションを持っている(少なくとも同レベルの機動力がある)相手はやっぱり手強く感じる。

 さらに、バンブーモーションをただ入れているだけではなく、改良して使っている参加者や、バンブーモーションの上を行くオリジナルのモーションを見せている参加者の存在には驚いた。“バンブーモーション”に含まれる横歩きは、背中側へ弧を描くように曲がるのが仕様だが、これをまっすぐ進む横歩きに変え、さらにさまざまなオリジナルモーションを組み込んでいたのが、「はやくきてくれ」チームのイガア氏「セイガ」。

 特にパントキック(ボールを持ち上げてダイレクトに行なうキック。前大会でもキングカイザーが行なっていた)はKHRクラスでは頭一つ抜けた飛距離があり、この緒戦では後半開始直後にゴールを決めたほどだ。同じ姿勢からスローインや方向転換を行なうこともできるので、フェイントもできる。これは脅威だ。

 試合はそのセイガの1点を守りきった「はやくきてくれ」が勝利。続けて行なわれたBリーグの緒戦では「四川会ジュニア」が「工芸大ロボ研」と1-1で引き分ける結果に。こちらは波乱含みのスタートとなる。


「セイガ」はKHR-2HVをベースに小改造を施した機体。外装は転等時の衝撃吸収の役目も果たしているらしい 【動画】相手がシュートを打ちそうになったところで、セイガがものすごい勢いの横歩きでカット 【動画】「エレキベアー」戦で見事なゴールを決めたパントキック。途中でやめたり、持ってから移動もできる

【動画】「今日はとっても天気がいいぞ」戦。キックオフをするのが聖のパパ氏のKHR-1HV
 バンブーの緒戦は「今日はとっても天気がいいぞ」戦。ROBOSPOTでお見かけしたことのあるイシイ氏(バンブーのキャプテン石井氏とは別人)と、ROBO-ONEにも出場されているSLAN氏、そしてアクリルの外装が付いたKHR-1HVを持つ聖のパパ氏が組んだ個人参加チームだ。

 このチームで注目だったのは、この聖のパパ氏。ひざ下を巻き込むようなフォームからボールにドライブ回転を与え、バンブーよりもかなり飛距離で勝るキックを放つのだ。後半にはあわやキックオフゴールかと思うような鋭いシュートを放っていたし、1HVの旋回軸を活かした、たぐるようなキックも実装していた。

 我々バンブーとしては、まず緒戦が肝心というわけで、得失点差の争いになることも考えて全体を上がり目にコントロールし、なるべく得点を取る方向でプレー。結果としては4-0で幸先のいいスタートを切れた。


【動画】どう見てもマノイAT01の「Lancer」だが、太ももを見るとKHRなのがわかる。「ダースホリホリ」はLEDで光る目を持った機体
 4試合目にもまた、変わったKHRが登場した。遠目に見るとマノイにしか見えない、えまのん氏の「Lancer」である。外装はマノイAT01そのままだが、外装とボディマウント以外はKHR-2HVというハイブリッド(?)ロボットだ。参加者から「不自然なくらいに自然に似合っている」という感想が出る仕上がりで、ボディマウントの組み込み方法など、えまのん氏の工夫がかなり盛り込まれている。「普通の外装じゃ面白くないから」とはえまのん氏の弁だが、同時に「重心が高くなってモーションが安定しない」とポツリ。

 そんなえまのん氏の参加する個人参加チーム「道楽連合」は、やはり個人参加の「ミステイクス」と対戦。この試合ではホリ氏の「ダースホリホリ」が非常に速い横歩きを活かして大活躍。先制点をあげて2-1の勝利に貢献した。

 今回、イベントの解説に登場していた千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)室長の先川原正浩氏が、「KHRクラスはもっと退屈だと思ってたんですけど、充分楽しめますね」と述べたように、今回のKHRクラスはどのチームも良く動くようになっており、好プレーが続出していた。KONDO CUP自体が継続的に開催されてきて、どんな大会かわかるようになり、プレーヤーもロボットのサッカーに慣れてきたこともあるだろう。配布されているサッカー対応モーションや“バンブーモーション”以外にも、「おお、このモーション欲しいな」と思わせるアイデアがそこかしこで見られた。


【動画】O-50のプレー。今回は勝ち負けが成績としては付かなかったが、人数が増えれば「本気のお父さんたち」が見られそう
 初の試みだった、50代以上のプレーヤー限定という「O-50」は、2チームでの対抗戦。一般のKHRクラスに比べて、非常に慎重なプレーが目立ったのが興味深かった。若いクラスでは「えーい、打っちゃえ」とばかりに多少機体の位置がずれていてもシュートしてしまったのするのだが、O-50の場合、意図したところに機体がくるまで慎重に位置合わせするような場面もあった。やはり年輪を重ねると落ち着いたプレーが多くなるのだろうか。モーション間違い(突然挨拶が出たり)なんてこともあるが、パスが出たり、攻めるところはグイグイとオーバーラップしたり、このクラスの参加者が増えると「本気」になる人も増えそうで、面白くなるのではないだろうか。

 各リーグを勝ち抜いたのは、Aリーグが3戦全勝、無失点で抜けた「RFCバンブーブリッジ」、Bリーグは2勝1敗で抜けた「道楽連合」。この2チームでの決勝戦となった。

 だが、決勝戦が始まる前にバンブーブリッジのキーパーが故障、試合開始が少し遅れた。他人事みたいに書いてるが、故障したキーパーは筆者自身である。

 実は予選最終戦の後半途中で右ひざのサーボがおかしくなり、歩くことすらままならなくなっていたのだ。その試合はすでにリードしていたこともあり、チームメイトに「動けないんで、なるべくこちらのゴールから遠くにボールを運んでください」と頼み、ゴール前で動かないことで切り抜けられた。あのときほどチームメイトがありがたかったことはない。1対1の格闘なら、その時点でKO負けである。


 決勝戦はおよそ30分後だったが、まさかそのまま出るわけにもいかない。というわけで、その試合直後から決勝戦までに、突貫工事で修理することになった。

 ピットでサーボを開けてみると、特にギヤが欠けているわけでもなく、原因は不明。それを追及している時間はないので、とりあえずサーボを交換する。買うか、と思ったが、おあつらえ向きに頭にも同じサイズのサーボがついているので、これをそっくり入れ替えることにした(ただし、異常電流が流れると怖いので、付け替えて頭になった故障サーボはコントロールボードに接続しなかった)。

 作業自体はそのまま入れ替えるだけだが、時間制限があるところでやるとやっぱり焦る。試合開始を遅らせること10分程度で復帰できたのは、周囲の人の助けがあってこそ。ありがとうございます。

 「とりあえず歩いて転ばない」状態で、決勝戦が始まる。すると今度は、道楽連合の「か~る」がサーボからガチガチガチという、明らかな異常音を出してフィールドからOUT。間をおかずに、バンブーが先制点を挙げる(このあたりが“大人気ない”の原因か?)。

 前半終了間際にも1点を加え、2-0で後半に。……もちろん、後半開始前にはか~るの修理があり、しばし休憩タイム。その場でギヤを買えるのはROBOSPOTだからこそか。

 後半、ピッチに戻ったか~るは好セーブを連発。キャプテンが戻った道楽連合は一体となってバンブーの猛攻をしのぎ、時にはカウンターを仕掛けてくる。バンブーは全員が上がるスタイルなので、正直危ない場面もあったが、それでも何とかゴールは守りきり、2-0で勝利。4連覇を達成した。


急いで修理する筆者(大塚さんが撮影)。トリム調整に手間取り、近くに居た四川会のゆみ教授にマニュアルを見せていただきました 【動画】KHRクラス決勝戦前半。相手の人数が揃っている状態ではなかなか決めきれなかったのがよくわかる

【動画】KHRクラス決勝戦後半。か~るが戻ってからは押し気味に進めるものの追加点を奪えず。前半の貯金で何とか勝利 【動画】今回最も危なかった場面といえる、「エレキベアー」戦の一場面。ミスが重なってもう少しでペナルティエリアだった

 優勝者コメントでキャプテンの石井さんが「余裕で勝ってるように見えるけど、実際はそんなに余裕じゃない」と述べていたが、それはメンバー3人ともが感じていることだ。パスがカットされたり、カウンターを喰らうことも多くなっている。

 それでもバンブーが勝っているのは、そこで運を引き寄せる「安定性」を持っているからだろう。カウンターを喰らっても、バンブーの3機は移動で転ぶようなことがないように調整されているので、たいていボールに追いつくことができる。相手チームは、せっかく「チャンス!」となったところで転んでしまったりして、ボールが奪えないことがあるのだ。そこが安定してくれば、さすがにバンブーも無失点・無敗というわけにはいくまい。

 次回は6月3日に予定されている「KHR 3rd Anniversary」内の「第5回KONDO CUP」に出場を予定し、5連覇を達成したらKHRクラスへの出場は打ち止めにする予定があるというRFCバンブーブリッジ。参加者からは「そんなキレイな解散させませんよ」というコメントも出ていたので、最初に止めるチームがどこなのか、次回を楽しみにしたい。


二日目は「オープンクラス」

 翌30日は、KONDO製サーボを使用していれば自作ロボットもOKというオープンクラス。こちらも8チーム24機のロボットが集まり、2リーグに分かれた総当たり戦→決勝戦という戦いを繰り広げた。

 初日のKHRクラスとの大きな違いは、ロボットのパワーが段違いなので、ボールがフツーに浮くということ。キックオフシュートどころかゴールキックシュートが決まってしまうのがオープンクラスなのである。

 それもそのはず。集まったチームを見てみれば、ほとんどのメンバーがROBO-ONEのトーナメントで見かけるような人々。1対1の戦いもいいが、そんな人たちが本気でサッカーをするのだから、試合前から期待も高まる。

 リーグ分けでは、Aリーグにペンギンロボット・ぺんとを筆頭としたファミリー&友人のチーム「Aero」、第11回ROBO-ONEの軽量級3位と4位のWキングカイザーと、新造のサッカー専用機・キングカイザーFの「カイザー・オールスターズ」、この日唯一の個人参加チームで、Jin Sato氏、SLAN氏、Frosty Design氏が集まった「インフィニティ」に、ディフェンディングチャンピオンとなる、「オープン個人」あらため「トリニティー」チーム。

 Bリーグには、遠く九州からリベンジに訪れた「ロボスクエアーズ」、ダイナマイザー2機とレトロ、予備機もダイナマイザーという「エスプレッソスギウラ」、全員がROBO-ONE本大会の優勝経験者という超豪華チーム「四川会」、そして前回オープンクラス3連覇を阻まれ、今回は予備機に第11回ROBO-ONE総合チャンピオンのヨコヅナグレート不知火二代目を配し、本気度を上げた「ロボット野郎Aチーム」となった。コレが格闘競技なら、どこをとっても「決勝です」と言えるくらいの面子である。


 開幕戦はAリーグの「Aero」vs「インフィニティ」。のっけからぺんとが相手(フロスティ)の頭を超える強力なキックを放ち、どよめきが起こる。前半ぺんとのミドルシュートで1点を先制したAeroは後半に入っても攻勢を強め、ぺんとがロングシュート、キックインからのダイレクトシュート、極めつけはライン際からキーパー(ただし転倒していた)の上を越えるシュートと3本を決め、チームメイトAeroKid2の1点とあわせて5-0の圧勝を飾った。

 第2戦はBリーグ「ロボスクエアーズ」vs「ロボット野郎Aチーム」。当日は何としてもチャンピオンを取り返すと気合いが入っていたロボット野郎Aチーム・旋風丸のDr.GIY氏だが、気合いが入りすぎたのか勢い余ったオウンゴールで先制点を献上。自らセットプレーで取り返したものの、後半にはあと数センチで相手のゴールを割るボールを戻してしまったりと、このゲームは散々お互いに点を取り合う乱戦となったが、よく守ったロボスクエアーズが3-2で勝利した。

 3戦目はディフェンディングチャンピオンの「トリニティー」と「カイザーオールスターズ」の一戦。とにかく速いロボットが揃った一戦で、めまぐるしくボールが動く。オペレーターが若いカイザーオールスターズは反応良く攻めるが、ギリギリのところでゴールを割ることができず、前半は0-0で折り返す。後半もカイザーオールスターズが押し気味に進めるが、後半終了間際にゴール前の混戦からボールキープに入ったキングカイザーごとゴールに押し込む荒業でトリニティーが先制。カイザーオールスターズは何とか取り返そうと、最後はキーパーまで上がっての全員攻撃を見せるが、無念のタイムアップ。1-0でトリニティーとなった。

 これで全チーム登場となる4戦目は「四川会」vs「エスプレッソスギウラ」。全員がROBO-ONE GPに参加しているという豪華な対戦であり、主導権の取り合いの中、うまく抜け出したエスプレッソスギウラが押し込んで先制。そのまま試合終了となり、1-0でエスプレッソスギウラが勝利した。


【動画】ぺんとの「頭越えキック」。先制点もぺんとが決めた。操縦のなぐ氏は「タイガ~、ショ~ット!」と叫んでいるような 【動画】キーパー越えのシュート。こうなるとオープンクラスのキーパーは、ベタリと寝転がるのも有効ではなくなる

【動画】「ロボスクエアーズ」vs「ロボット野郎Aチーム」前半。これぞ点の取り合いという状態になったが、「ロボット野郎Aチーム」はオウンゴール2発が痛かった 【動画】「トリニティー」vs「カイザーオールスターズ」の前半。両チームとも脅威の移動力とキック力を持っている。4分30秒付近の、クロムキッドとキングカイザーの“平行走り”は鳥肌モノ

 オープンクラスの予選リーグは、点の取り合いになった。緒戦の「Aero」が5点を獲ったのを皮切りに、Aリーグでは2試合少ないながらも合計14、Bリーグは22ゴールが生まれた(KHRクラスはAリーグ13、Bリーグ12)。

 KHRクラスに比べてパワーがあるせいもあるだろうが、サッカーのためにモーションを作りこんできたマシンが非常に多かったことが大きいのではないだろうか。「Aero」のぺんとは第2回以来の参戦だが、前回は手が長すぎてハンドを取られるなど、格闘競技仕様から抜け出せていなかったが、今回は「ボールが見えにくいから」(なぐ氏)と、衣装後ろ半分を外し、手も短くしている。衣装の前も邪魔だが、「コレを外すとなんだかわからなくなっちゃうから(笑)」というあたりはこだわりだろう。

 そんな乱戦の中、Aリーグはカイザー・オールスターズが諸般の事情で1戦しただけで残りの試合を棄権(不戦敗)したため、2勝+1不戦勝となったAeroが決勝に進出。Bリーグのほうは「ロボット野郎Aチーム」「ロボスクエアーズ」「エスプレッソスギウラ」が2勝1敗の勝ち点6で並んだうえ、得失点差も「+1」でイーブン。ルールに想定されていなかったため、協議の結果、総得点で順位を決めようとしたが、これも「7」で横一線。ここまできたらしょうがないということで、特別にPK戦のトーナメントで決勝進出者を決めることになった。


【動画】「ロボット野郎Aチーム」vs「ロボスクエアーズ」のPK戦。ゴールこそ決まったが、ワイルダー01はT-Stormのシュートにも反応!
 まず、3チームのじゃんけんで、エスプレッソスギウラがシードに決まる。「ロボット野郎Aチーム」vs「ロボスクエアーズ」は、好セーブの打ち合い。

 特に「ロボスクエアーズ」のワイルダー01が非常にいい動きをしていた。試合の中でも正確なゴールキックでチームに貢献したが、PK戦でも横っ飛びでセーブして大いに盛り上げた。HV(10.8V)仕様のパワフルなロボットが主流になっている中、6V仕様でコレだけのパフォーマンスを発揮しているのだから、九州の“守護神”という二つ名は伊達ではない。

 しかし、T-Stormの弾丸シュートは止めきれず、それが唯一のゴールとなって「ロボット野郎Aチーム」が2戦目のPKに進んだ。

 急遽決まったPK戦ということもあって、どのチームもバッテリの状況は厳しかったこの戦い。「エスプレッソスギウラ」も例外ではなかった。しかし、そんな状況下でありながら、まさに神がかりとも言うべきシュート、そして相手のミスが重なり、「エスプレッソ~」が決勝進出することになった。

 さすがに決勝に来た2チームだけに、一進一退の攻防でなかなか点が入らず、後半終了間際まで0-0。どちらかというと押し気味に進めていたのは「Aero」だが、「エスプレッソスギウラ」のキーパーであるレトロがゴール前でボールを抱え込んで“キープ”をしたり、ぺんとの鋭いシュートがゴールポストを叩いたりと、なかなかゴールを割れない。これはサドンデスの延長戦になるのか……という空気になっていた中、ゴール前に押し込んだ「エスプレッソスギウラ」が、泥臭く! これが見事に決まり、そのまま試合終了。もともと家族でサッカー好きだというファミリーが、悲願の初優勝を果たした。


【動画】「Aero」vs「エスプレッソスギウラ」前半 【動画】「Aero」vs「エスプレッソスギウラ」後半

 オープンクラスの試合は、KHRクラスに比べてロボットも大きいし、パワーもある。フィールドが狭く感じられるほどで、解説席に座っていた近藤社長は「次回からはボールを大きいものにしようかと考えているんです」という話も出ていた(注:第5回からROBO-ONE Special Cupと同じボールになることが後に発表された)。

 一方、オープンならではの楽しみは、自作や改造が許されているからこそできる、多彩なモーションの数々である。


 特に注目したのは、今回から新設された「キーパーがボールに3秒触れたら“キープ”として、ゴールキックから始める」というルールに対応した、四川会・Metallic Fighterである。このルールなら足が触れているだけでもOKだが、それではキングカイザーのように押し込まれてしまう可能性がある。そこでMetallic Fighterは、その特徴的な長い手で、目の前にあるボールをがっしりと掴むモーションを製作し、絶対に押し込まれないようにしたのだ。

 また、九州からの遠征組である「ロボスクエアーズ」は休暇を最大限利用して事前にROBOSPOTでの合宿を行ない、サッカーに対応したパワーアップや改造を行なったという。その力の入れ方が、この結果に繋がったのではないだろうか。バンブーも大会前の練習試合を「ロボスクエアーズ」の一部メンバーと行なったが、automo02の細かい位置あわせができる旋回や、ワイルダー01の横っ飛びなど、プレーの質が高く、見ていても楽しい、そんなロボットたちだったことを付け加えておこう。


密度が高いタイムスケジュール

 今回新設された「O-50」以外は、それぞれ8チームの募集枠がすべて埋まり、4チームでの総当たり戦(3試合)+決勝進出チームは決勝戦(1試合)というスケジュールで行なわれた。1日で4試合と考えるとそれほど多く感じないが、実情としては1試合が10分(5分ハーフ)なので、多くの格闘競技で採用されている1試合3分で換算すると、ロボットが動いている時間は最大で13試合分を超えることになる――1日でだ。

 格闘競技のリングなら、動きっぱなしだとしても大した距離ではないが、サッカーは4倍以上の面積があり、しかもその中を行ったり来たりする。筆者は予てからロボットのサッカーは格闘よりも機体に負担をかけないのではと書いていたが、こういった状況を考えると、「サーボの消耗」という点ではこちらのほうが負担は大きいのかもしれない。

 とはいえ、(自慢にならないが)私のKHR-2HVはほぼノーメンテでここまで動いてきたので、軽い機体であればそれほどのダメージはないのかもしれない。時々ケースを開けてギヤ周りを清掃し、グリスを補充するメンテナンスを行なっていれば、快調に動ける期間はもっと長くなるだろう。また、今回のように原因不明だが調子が悪い、となったら近藤科学のユーザーサポートまでサーボを送れば、修理してもらえるので「なんだかおかしい」と思ったらぜひお願いしてみよう、

 見ているほうからすれば、これだけロボットが動きっぱなしで、かつ、わかりやすい競技はなかなかない。ぜひ多くの人に見てもらいたいが、ROBOSPOTでは窓の外まで人が鈴なりになり、見やすいとはいえない環境になってしまう(住宅街なので近隣への迷惑にもなってしまうだろう)。大会として大きくなってきたら、やはりイベント開催スペースで行なうのがベストなのかもしれない。

 ちょうど次大会は、毎年恒例となっている「KHR 3rd Anniversary」と同時開催なので、同じ秋葉原でも駅からすぐのUDXビル2F・AKIBA SQUARE(アキバロボット運動会の会場)で行なわれる。見て損はない面白さなので、ぜひ来て見てほしい。もちろん、ロボットを作って参加すればもっと楽しいことは請け合いだ!


KHRクラス参加者集合写真(写真協力:近藤科学株式会社) オープンクラス参加者集合写真

URL
  KONDO ROBOSPOT
  http://www.robospot.jp/index.html
  KHR 3rd Anniversary
  http://www.kondo-robot.com/html/KHR3rdANV.html

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( 梓みきお )
2007/05/14 16:08

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