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生野金属がエコ・ロボットシステム「SHIZUKU PROJECT」の実証実験を実施


 2009年2月16日(月)~20日(金)の間、大阪産業創造館17階の「ロボットショールーム」内において、生野金属株式会社がエコ・ロボットシステム「SHIZUKU PROJECT」の実証実験を実施した。

 実証実験会場となる「ロボットショールーム」は、大阪市の次世代ロボット産業創出拠点ロボットラボラトリーが期間限定で開催。ホビー・エデュケーション分野、コミュニケーション分野、移動&作業分野、そして「今年のロボット大賞2008」と、ジャンル毎に29体のロボットを展示し、プレゼンテーションや商談会を実施した。


大阪産業創造館 ロボットショールーム。2月5日から20日まで限定オープンした。1日100~150名の来場者があったという

SHIZUKU PROJECTとは

 生野金属は、1947年創業の金属容器の生産販売メーカーだ。一般缶や18L缶の製造・販売のほか、ブリキ板、薄鉄板の販売・加工を行なっている。昨年、製缶企業の視点で、環境問題やリサイクルに貢献できることを考え、空き缶回収システムを開発に着手した。

 SHIZUKU PROJECTは、リサイクルゴミの分別と減容を同時に行なうエコ・ロボットシステムだ。単に飲料缶を分別・減量するにとどまらず、ユーザーがリサイクル活動を楽しめるような工夫をシステム化している。

 空き缶減容・分別ロボット「SHIZUKU」に空き缶のバーコードを読み取らせると、空き缶投入口がオープンする。投入された空き缶は厚さ約10mm、体積約1/5に圧縮後、自動的にスチール/アルミに分別される。

 現在も店頭や自販機の隣にはくずかごが用意されているが、利用者が確実に分別しているかは確認できない。「SHIZUKU」で確実な分別を実現することで、資源ゴミの処理に掛かるコストをトータルで低減し、また減容によりゴミ集積センターへ運搬する際のコストダウンと共に、車両が排出するCO2削減に貢献する。

 展示スペースの都合で今回は設置されていなかったが、空き缶洗浄ユニットもオプションで用意されている。


【動画】空き缶減容・分別ロボット「SHIZUKU」 空き缶投入口。バーコードを読ませるとオープンする 投入した空き缶が転がり落ちてくる。子供が下から見上げた時に様子が見えるように透明になっている

空き缶を潰す機構は、外観デザインをハチドリの巣箱をイメージしている 潰されたスチール缶 厚さ10mm程度に潰される

 上記の本体機能に、オプションとしてIDカードによる顧客管理機能、アンケート機能などが追加できる。「誰が」「いつ」「どこで」「何を」「どれだけ」飲んだのかを把握することで、さまざまなマーケティングにデータを活用が可能となる。メーカーと提携し、読み込んだメーカーの新作CMをモニタに流したり、いつも同じ商品を購入しているコアユーザーに対して試供品の提供をするなど、顧客の囲い込みを目指す。

 ターゲットとしているのは、オフィスビルや大型商業施設、遊園地など。システムのデザインはユーザーの要望に応じてカスタマイズが可能だ。他にも、飲料メーカーの試飲会における運用を検討。試飲会会場に「SHIZUKU」を設置し、空き缶を回収すると同時にアンケートに答えてもらうシステムで、スタッフの削減とアンケート回収率アップを計る。


「SHIZUKU」の操作手順 バーコード読み取り装置 タッチパネル方式のアンケート回答モニタ

【動画】空き缶収集時にアンケートを実施 集計履歴がモニタに表示される メーカータイアップでCMを流すことも可能

小西康晴氏(生野金属株式会社 取締役 企画開発室長)
 同社の取締役企画開発室長である小西康晴氏は「SHIZUKU PROJECTのアイデアは2006年秋に生まれた」という。家庭ゴミの収集について調べたところ、東京や大阪などの大都市ほど、空き缶やペットボトルなどの資源ゴミを潰して欲しいと広報している。ゴミの体積を圧縮できれば運搬のコストを削減できるためだ。

 しかし、実際にはなかなか実施されていない。小西氏が、主婦を対象にヒアリングをしたところ「近所の目が気になるからちゃんとゴミ出ししたいが、完璧に実行するのは難しい」「家電のようなゴミ分別システムがあれば嬉しい」という意見があったそうだ。そこで当初は、家庭向けシステムとして開発を検討した。しかし、販路の確保がネックとなりBtoBへ方向を転換したという。

 昨年11月に国際次世代ロボットフェア ICRT JAPAN 2008で展示した際には、デモンストレーションで子連れの主婦からの反応がよかったという。アンケートには「ロボットが分別減容をしてくれれば助かる」という声が多かったそうだ。

 空き缶投入口は、子供の手が届かない高さに設定されているが、投入口から空き缶が転がり落ちる様子を子供が下から見上げることができるように、透明な素材を採用している。ハチドリの巣箱を模した圧縮機に空き缶が入ると、ガシャガシャンと派手な音がしてぺちゃんこになった空き缶が出てくる。この様子が子供たちに人気で「もう1回やって」と、ねだられることが多かったそうだ。

 小西氏は「ロボットを介することで、空き缶がその場で資源に変わる。人の代替として稼働するロボットではなく、人がしていないことを実行するシステムにロボットとしての存在意義がある」とSIZUKU PROJECTを説明する。

 昨今、エコロジーを意識してリサイクル活動に積極的に取り込む人が増えているが、地味な活動だけに個人の努力や継続する意志が必要とされる。SIZUKU PROJECTは利用者がゴミの分別収集協力したことに対して、店舗や地域のポイント還元などのサービスを付加できる。「地球に優しいことをしたら、自分にもいいことが起こるという好循環で、リサイクル活動を根付かせたい」と小西氏は語る。

 SHIZUKU PROJECTのネーミングとコンセプトは、南米のアンデス地方に伝わる話「ハチドリのひとしずく」(辻信一著/光文社刊)になぞらえているそうだ。この話は、森が火事になり全ての動物たちが逃げ出すなか、一羽のハチドリがくちばしで水を1滴ずつ運び火の上に落としていくという話だ。「私は、私にできることをしているだけ」というハチドリのように、"空き缶を捨てる”という行為を通じ、エコロジーやリサイクルについて思いをめぐらせて欲しいという小西氏の願いが込められている。

 今回のシステムは空き缶対応だが、バーコードが付いているさまざまな商品・容器に応用が可能になっている。「SHIZUKU」は、2009年4月~夏にかけて量産体勢に入る。予価はシステム一式で300万円~。リース契約をメインとし、イベント用に1~2日単位のレンタルも実施するという。


URL
  ロボットラボラトリー
  http://www.robo-labo.jp/
  生野金属
  http://www.ikuno.co.jp/
  SHIZUKU PROJECT
  http://www.robot.vc/

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( 三月兎 )
2009/02/24 18:25

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