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【 2009/04/17 】
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ロボラボ、「ロボットショールーム」を期間限定オープン
~全国から招致した29体のロボットを一堂に展示


 大阪市の次世代ロボット産業創出拠点ロボットラボラトリーは5日(木)、「ロボットショールーム」をオープンした。会場は大阪産業創造館17階。開催期間は2009年2月5日(木)~20日(金)(土・日・祝日は除く)まで。時間は9:00~17:00で入場無料。

 ロボットラボラトリーは、次世代ロボット産業クラスターの形成を目標に、実証実験の企画・運営、人材育成や研究会などを実施、ロボット開発を支援してきた。今年は、新たな試みとして「ロボットショールーム」を設け、多くのビジネスマンや経営者が実際にロボットを見る機会とした。月間約2万人が訪れる大阪産業創造館に、さまざまな分野で活躍が期待される多数のロボットを長期間展示し、プレゼンテーションや商談会を実施する。実際にロボットに触れることで、RT(ロボットテクノロジー)の可能性やビジネスにロボットを導入することのメリットを実感してもらうことを目的としている。

 今回は、ロボットラボラトリーが支援してきた企業と、経済産業省が発表した「ロボット大賞」の受賞ロボット計29体を展示。「移動&作業」「コミュニケーション」「ホビー&エデュケーション」「今年のロボット大賞」の分野に分けている。企業プレゼンテーション時を除いて静展示だが、常時動画を流している。

 なお、期間中にロボットロケーター(アクティブ型RFIDタグ)を使った来場者の自動認証の実証実験や、測域センサーを用いた入退場者の流量計測に関する実証実験、空き缶回収・分別・減容ロボット「SHIZUKU」による実証実験など、4つの実証実験を実施する。


期間限定で29体のロボットを一堂に展示 大阪産業創造館

ロボットテクノロジーを応用した実証実験

 ロボットショールームの会場の入り口では、2つの実証実験を行なっていた。

 1つ目は、株式会社NSJが専用無線と受信機を使った来場者管理・セキュリティに関する実験を行なった。展示会場受付前に試験ゲートを設置して、ロボットロケーターを持った来場者がゲートに近づいたことを自動的に認証し、ゲート開閉し記録を残す仕組みと、認証から開扉までの最適な距離、発信IDの正常取得の検証が目的。


【動画】株式会社NSJのロボットロケーターを使った実証実験 受付でRFIDを内蔵したロボットロケーターを来場者に渡し、入退室のチェックをする

 2つ目は北陽電機株式会社が、展示会場受付前の通路両側に測域センサーを設置し、指定エリア内を通過した入退場者数を時間帯毎に記録するしくみの検証を実施。

 この測域センサーは、自律ロボットに搭載され、ロボットが移動する時に周囲の環境を把握するのに使用される。RTの応用として、入退室・人数カウントシステムに使用している。センサーの設置場所を通過した人がいると検知して、その履歴を取る。会場内に入場した人数、退場した人数をそれぞれカウントする。モニターには天井から見た状態で人の動きが表示される。複数のセンサーで検知しているため、人が重なりあっていても、正確なカウントをできるのが特徴。

 同社は、大阪産業創造館1階のエントランスにも測域センサーを設置し、指定エリア内で動いている人に自動的にIDを割り当てて行動を追跡し、その人の移動データを記録するしくみの検証も実施している。


北陽電気株式会社の入退室システム。入り口両脇に測域センサーを設置 【動画】モニターに入場者・退場者数のカウント、移動する人の経路が表示される

エントランスロビーにも測域センサーを設置 【動画】入場者にIDを自動でふり、経路を追跡する様子がモニターに表示される

 なお、空き缶回収・分別・減容ロボット「SHIZUKU」の実証実験は14日(土)から開始される。


コミュニケーションロボット分野

 株式会社ココロと米BeatBots社が「Keepon(キーポン)」を展示した。「Keepon」は、乳幼児の知育や自閉症児の療育支援ツールとして開発された。幼児はリアルなロボットを怖がることが多いため、かわいらしい形状のキャラクタがユニークな動きで、楽しさや興奮などの感情を表現する。カメラの視線を上下左右に動かし、子どもの視線を追うことができる。現在はBeatBots社から大学などの教育研究機関向けに販売中。今後はコストを下げた廉価版を開発し、養護学校や保育園、高齢者介護施設などで利用を促進していくという。


【動画】株式会社ココロとBeatBots社の「Keepon」。4つのモータの動きを組み合わせてユニークな動きをする。ゆるキャラ的ロボット 【動画】「Keepon」は両目に搭載したビデオカメラで、近くにいる人の視線を捉えてコミュニケーションをとる。赤い枠で囲われている人の視線と「Keepon」の視線が合っている イージーオーダーロボット「Pul」。ユーザーのニーズに応じてカスタマイズが可能なコミュニケーションロボットのプラットフォーム

国際バイタルディバイス有限会社の「インファノイド」。色や動くものを見分けて視線で追随する。研究用プラットフォーム ヴイストン株式会社の「Vstone Tichno」。全高1.3m、小学生をイメージした大型二足歩行ロボット 富士通株式会社のサービスロボット「ENON」。オフィスや公共エリアで案内・搬送・巡回をするコミュニケーションロボット

株式会社ビジネスデザイン研究所のコミュニケーションロボット「Hello Kitty ROBO」と「よりそいifbot」 株式会社知能システムのあざらしロボット「パロ」

移動&作業ロボット分野

 ユニークなのは、たこ焼き器の外装をした車両型移動ロボット「クリコアビークル」。製作した電気自動車ロボット研究会は、大阪産業大学と大阪の中小企業7社で構成される。各企業が持つ情報制御やサーボモータなどの技術でロボットを開発した。ベースは車いすで、本体内にノートPCを搭載、前方の測域センサー(北陽電気製)やGPSで自分の位置と周囲の環境を認識し、自律移動する。デモンストレーションを行なった場所が狭い室内で、人が多かったためにウロウロすることが多かったが、前進して人や壁を検知すると方向転換して移動するなどの基本機能を見せた。

 「クリコアビークル」は、一般道を自律で走行するつくばチャレンジ2008に出場した。予選のゴール直前でタイムアウトになり残念ながら本走行には出られなかったが、初チャレンジで自律走行性能をアピールした。


【動画】電気自動車ロボット研究会の「クリコアビークル」。ベースは車いす。つくばチャレンジ2008に向けて開発された 本体内にノートPCを搭載、前方の測域センサーやGPSで自分の位置と周囲の環境を認識し、自律移動する 大阪出身ロボットであることをアピールするため、外装デザインは「たこ焼き器」。突き刺したキリの上にセンサーを配置

 八洲電業株式会社の「車椅子ロボット」は、リチウムイオンバッテリを採用し、フレームをアルミ製にするなどの工夫で軽量化した。床に敷設した磁気テープをセンサーで読み取り自動走行する。病室からロビーや診察室へ移動など、タッチパネルで目的地を指定して走行する用途を想定している。


【動画】八洲電業株式会社の「車椅子ロボット」。床に敷設した磁気テープに沿って自動走行する 【動画】カーブに沿った走行も可能。時速は安全性を考慮し、2km/hに抑えている

【動画】フィグラ株式会社の多目的清掃ロボット「フィグラ・アイ」。4月より発売開始予定 経路往復を繰り返すと、走行ルートに誤差が累積するため、壁との距離を確認して位置をただす

株式会社創機システムズの小型無人機。機体にコンピュータと各種センサーを搭載し、目的地まで自律飛行を行なう NPO法人国際レスキューシステム研究機構のレスキューロボット。瓦礫内を探索し、要救助者を発見する

ホビー&エデュケーションロボット分野

 有限会社創和のデスクトップホビーロボット「PLEN」は、モーション作成を3D画面で行なえるようになった。これまでのスライドバーでサーボの位置を1つ1つ指定していく方式ではなく、モニター上の「PLEN」の腕や足をマウスでドラッグして動かしモーションを作成する。

 また、コントローラーもモバイル型タッチパネルを採用。パネルの下から上に直線を書くと前進、上から下に書くと後退。時計方向に○を描けば右旋回する。左旋回は反時計回りの○だ。ロボットが移動中にパネルに“トン”と触れればモーションを停止し、より直感的な操縦が可能となった。


【動画】有限会社創和のデスクトップホビーロボット「PLEN」。モーション作成画面が新しくなった 【動画】「PLEN」をタッチパネルで操縦するデモンストレーション。より直感的な操縦が可能となった。“レ”を書くと起き上がる

 共立電子産業株式会社の「プチロボシリーズ」は、マイクロソフトが提供する「Microsoft Robotics Developer Studio 2008」に対応している。ベネッセコーポレーションが展開するIT・RT学習の裾野を広げるために学校向けに教育プログラムの教材として採用されている。


共立電子産業株式会社の「プチロボシリーズ」。“ブロック玩具”のような感覚でオリジナルデザインのロボットを製作できる 新製品の「プチロボシリーズ専用」16ch無線モジュール「WR-2R4」 【動画】専用ツール「WondeRoid MotionMaker」を使い、オリジナルモーションを作成。学校用教材として多数の採用実績もある

 ヴイストン株式会社は2月中旬出荷予定の「Beauto Balancer(ビュート バランサー)」の映像を流していた。制御の仕組みや理論を学習するための倒立振子制御学習キット。ジャイロセンサーとロータリーエンコーダの入力値を用いて、モータの出力値を調整し車輪を制御して、二輪ロボットを安定して動かす。映像では、スロープを上ったり、シーソーを渡ったりするモーション、赤外線センサーやPSDセンサーの拡張例を披露していた。


【動画】ヴイストン株式会社の「Beauto Balancer」。バランスを取りながら移動してスロープやシーソーを渡る ビー・エル・オートテック株式会社の学習用ロボットキット「VariBo」と「VariBo-ND01」

【動画】有限会社はじめ研究所の「HAJIME ROBOT 36」。身長約1.1mで5kgと軽量なのが特徴 【動画】ロボカップヒューマノイドリーグの参加チームに採用されている「HAJIME ROBOT 18号機」

「今年のロボット大賞2008」受賞ロボット

 「今年のロボット大賞2008」受賞ロボットは、パネルと静展示で紹介されていた。受賞者講演会も開催される。スケジュールは以下のとおり。いずれも無料だが、事前申込が必要。

「実用化間近! レスキューロボット最前線」
講師:田所諭氏(NPO法人国際レスキューシステム研究機構 会長)
日時:2009年2月9日(月) 15:00~16:30

「ロボットの実用化に欠かせない触覚センサー技術」
講師:下山勲氏(東京大学IRT研究機構 機構長 情報理工学系研究科 研究科長 工学博士)
日時:2009年2月9日(月) 16:40~17:40

「タカラトミーが考える、おもちゃとテクノロジーの融合が生み出すもの」
講師:渡辺公貴氏(株式会社タカラトミー 戦略開発グループ グループリーダー)
日時:2009年2月12日(木) 13:50~14:50

「介護・福祉分野のニーズに応える、柔軟な発想を実用化する方法とは?」
講師:小林英敏氏(株式会社西澤電機計器製作所 技術部長)
日時:2009年2月12日(木) 15:00~16:00

「市場拡大中のロボット教材分野における成功のポイントとは?」
講師:金子康行氏(株式会社ゼットエムピー 営業部 部長)
日時:2009年2月18日(水) 14:00~15:00


「今年のロボット大賞」を受賞したロボットは、パネル展示で紹介 【動画】最優秀中小・ベンチャー企業賞を受賞した、読書支援ロボット「ブックタイム」(株式会社西澤電気計器製作所)

「今年のロボット大賞」を受賞した「i-sobot」(株式会社タカラトミー) 部品・ソフトウェア部門(部品)で受賞した「超小型MEMS3軸触覚センサーチップ」。米粒より小さいため、顕微鏡で拡大してモニターに表示

URL
  ロボットラボラトリー
  http://www.robo-labo.jp/
  今年のロボット大賞
  http://www.robotaward.jp/

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( 三月兎 )
2009/02/09 16:55

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