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松村祥史・経済産業省大臣政務官(左)とタカラトミー社長・富山幹太郎氏(右)
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12月18日、東京・青山のTEPIAにて、経済産業省が主催する「今年のロボット」大賞2008の発表と表彰式が行なわれた。「今年のロボット」大賞(経済産業大臣賞)を受賞したのは株式会社タカラトミーによる「Omnibot17μ i-SOBOT」。松村祥史・経済産業省大臣政務官からトロフィーが授与された。
「今年のロボット」大賞は経済産業省が2006年に設置した賞で、ロボット市場の創出に貢献したロボットを表彰する制度。主催は経済産業省、社団法人日本機械工業連合会、独立行政法人中小企業基盤整備機構。財団法人機械産業記念事業財団、社団法人日本ロボット工業会、社団法人日本ロボット学会、社団法人日本機械学会、社団法人人工知能学会、日本人間工学会が協力している。
「今年のロボット」大賞は、サービスロボット部門、産業用ロボット部門、公共・フロンティアロボット部門、部品・ソフトウェア部門の計4部門からなる。3回目となる今年は、65件の応募の中から、8件のロボットを「優秀賞」として選出した。なおこの賞の「今年」とは「2008年6月2日(月)~9月8日(月)」のことで、そのうち「日本国内で活躍したロボット」が対象となる。経済産業省産業機械課長兼ロボット産業室長の米村猛氏は記者説明会で「単にお祭りをするのではなく、使えるロボットにどんなものがあるか『見える化』することがロボット大賞の目的」と述べた。
当日は「今年のロボット」大賞(経済産業大臣賞)を獲得した「Omnibot17μ i-SOBOT」とあわせて、「優秀賞」を獲得した8件のロボットの中から、
・最優秀中小・ベンチャー企業賞として、株式会社西澤電機計器製作所の自動ページめくり器「ブックタイム」
・日本機械工業連合会会長賞として、株式会社安川電機の第10世代液晶ガラス基板搬送ロボット「MOTOMAN-CDL3000D」
・中小企業基盤整備機構理事長賞として、株式会社ゼットエムピーのロボットを活用したエンジニア育成ソリューション「ZMP e-nuvo」シリーズ
・審査委員特別賞として、独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センターの食の安心・安全に貢献する「田植えロボット」
の4件が「特別賞」としてそれぞれ選ばれ、「優秀賞」を獲得したロボットともども表彰された。
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受賞者による記念撮影
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経済産業省産業機械課長兼ロボット産業室長 米村猛氏
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審査委員長の工学院大学学長 三浦宏文氏
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「今年のロボット」大賞 優秀賞を獲得した8件のロボットは以下のとおり。
● サービスロボット部門

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「今年のロボット」大賞を受賞した「Omnibot17μ i-SOBOT(オムニボットワンセブンミュー アイソボット)」
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・「Omnibot17μ i-SOBOT」(株式会社タカラトミー)
【「今年のロボット」大賞】
ギネスにも認定されているタカラトミーの「i-SOBOT」は量産化に成功した世界最小の2足歩行ヒューマノイドロボット。タカラトミーが独自開発した17個の超小型精密サーボモーターを搭載することで、体操や動物の物まねなど約200とおりのアクションを可能としている。単4型ニッケル水素充電池と充電器もセットされており、1回の充電で1時間以上動く。この低消費電力性と、安価であることも合わせて評価された。
これまでの累計販売台数は世界全体で約5万台。ヒューマノイドロボットの市場を拡大したこと、日本ならではの精密なモノづくりが評価された。「i-SOBOT」本体に関しては本誌でもこれまで何度もレポートしているので、もう特に追加することはないだろう。株式会社タカラトミー開発本部 戦略開発室シーズ開発グループ グループリーダー 渡辺公貴氏は「今の子供たちが『i-SOBOT』をきっかけにして優秀なエンジニアに育って欲しい」と語った。
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【動画】i-SOBOT 4台による体操
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【動画】紙コップを抱きかかえて歩くi-SOBOT
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【動画】タカラトミー社長 富山幹太郎氏の受賞コメント
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サミット時に作られた外装バリエーション
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精密に作られた部品群
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報道陣に囲まれて「i-SOBOT」を見る松村祥史・経済産業省大臣政務官とタカラトミー社長・富山幹太郎氏
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自動ページめくり器「ブックタイム」
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・自動ページめくり器「ブックタイム」(株式会社西澤電機計器製作所)
【最優秀中小・ベンチャー企業賞(中小企業長官賞)】
「ブックタイム」は人がページをめくる指の動きを1枚分離機構で再現し、簡単なスイッチ操作により、右めくり・左めくりができる読書支援ロボット。自力で本のページをめくれない人でも自分のペースで読書ができ、QOLの向上や介護者の負担軽減が図れる。
操作はワンボタンインターフェイスか、圧力センサーを応用した呼気・吸気で行なう。これによって使いやすさ、安全性などのユーザビリティを追求した。A4判~文庫本サイズ、厚さ3cm以下の本に対応している。最初に紙を折り曲げてページをずらし、そしてめくっていくため、写真集など分厚い紙を使っている本はめくることができない。価格は35万円程度で、これまでにおおよそ100台売れている。なお、補助金などは残念ながら出ないそうで、それも今後の課題だという。
株式会社西澤電機計器製作所技術部部長小林英敏氏は、介護者と介護される側双方の負担軽減を目標に装置を開発したと述べた。中小企業なので技術はない、だから産学官連携によって地元の信州大学等、およそ20の個人・団体で開発研究会を立ち上げ、実際のユーザーに試作を評価してもらって改善するという過程を何度も繰り返して行なったという。
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【動画】雑誌のページを繰る様子。左右どちらからでもめくることができる
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【動画】実際に文庫本のページをめくって西澤電機計器製作所の方が解説
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ボタンだけでなく呼気でも操作可能
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無人田植機
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・食の安心・安全に貢献する田植えロボット(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター)
【審査委員特別賞】
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構の無人田植機は、位置を高精度GPSで、車体の傾きや進行方向を姿勢センサーで計測し、コンピュータで操舵、車速、植え付け部等を制御して自動で田植えを行なえるロボット。予めGPSで計測した水田の形状に合わせて設定した作業経路に沿って田植え作業を行なえる。およそ30アールの水田を約50分かけてノンストップで完全無人移植作業を完了できる。
CANバスを採用しているため将来は統一した通信プロトコルを用いて、耕うん、収穫等、他の農作業ロボットと、センサー、制御装置等を共用化することにより、機材費の低減が可能となる可能性がある。また栽培時の施肥や農薬散布等の作業履歴情報も容易に記録できる。ロボットにとって難しい屋外作業を可能にしたこと、人手問題に直面している農業への貢献が期待される点が評価された。
農林水産省 農林水産技術会議事務局 研究専門官(元・独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構中央農業総合研究センター主任研究員、研究担当者の1人)長坂善禎(よしさだ)氏は「予想もしていなかったので光栄に感じる。まだこのロボットは研究開発段階にあるが、実現すれば世の中が変わる」と述べた。
・ロボットを活用したエンジニア育成ソリューション ZMP e-nuvoシリーズ(株式会社ゼットエムピー)
【中小企業基盤整備機構理事長賞】
ZMPのe-nuvoシリーズは、機械、電気電子、制御、ソフトといった多様な技術の融合であるロボットの特徴を活かし、産業界が求めるエンジニアに期待される工学要素を網羅した、優秀なロボット教材。基礎から順を追って高度な実践技術力を習得できるよう、4種類のロボットで構成されている。学習支援カリキュラムも提供されている。国内では理工系大学や工業高専のほか、自動車、家電等のメーカーでの納入実績がある。これまでの納入台数は合計1,500台以上。
株式会社ゼットエムピー代表取締役社長の谷口恒氏は「ものづくり教育はモノがないと教育にならない。実際に手を動かしたことは頭に残る。もっと発展させて次世代の技術が学べる教材も出していこうと考えている」と述べ、17日にリリースされたカーロボティクス教材についても言及した。ZMP/ロボテストでは理工系大学学部・専門学校・高専学生を対象にメカトロニクス/ロボット検定も行なっている。
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ZMP e-nuvoシリーズ
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【動画】デモの様子
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● 産業用ロボット部門
・第10世代液晶ガラス基板搬送ロボット MOTOMAN-CDL3000D(株式会社安川電機)
【日本機械工業連合会会長賞】
安川電機の第10世代液晶ガラス基板搬送ロボット「MOTOMAN-CDL3000D」は液晶薄型テレビの生産性向上のために大形化が進む液晶ガラス基板を搬送するロボットだ。昨年12月から販売されている。業界で初めて昇降軸に安川電機独自の「ダブルリンク式支柱」を採用し、3×3m、畳5畳分を越える「第10世代」と呼ばれる超大形マザーガラス基板の高速・高精度搬送を実現した。
従来の昇降軸に比べて埃が出ないこと、より高精度安定搬送ができるようになったこと、太陽電池など大きな基板への対応が期待される点が評価された。
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「MOTOMAN-CDL3000D」。重量の関係でパネルのみの展示
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畳5畳分を越える大面積のガラスを精密に搬送
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「組込型ロボット XR-Gシリーズ」
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・組込型ロボット XR-Gシリーズ(株式会社デンソーウェーブ)
デンソーウェーブの「組込型ロボット XR-Gシリーズ」は自動生産設備の大幅な生産性向上に貢献する小型組立て搬送用ロボット。直動軸と回転軸を組み合わせ、動作を大幅に高速化するとともに、天吊り構造により対象物の搬送距離を最短にでき、作業の高速化を実現。この構造により、生産設備を小型コンパクト化できる。設置面積をデンソーウェーブの従来機に比べて40%も削減したという。2008年4月発売後、自動車、電機・電子、工作機械業界向けに販売中。
● 公共・フロンティアロボット部門

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能動スコープカメラ
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・能動スコープカメラ(東北大学、国際レスキューシステム研究機構)
「能動スコープカメラ」は東北大学大学院情報科学研究科の田所諭教授らの研究グループが開発したロボット。瓦礫の中など、人が入れない幅3cm程度のすきまを8mまで進入し、内部の映像を取得できる探索ロボットだ。ケーブル部の繊毛の振動により前進し、手元でねじることにより進行方向を変えられる。実際にはもっと長く伸ばすことも可能だという。
2008年1月には実際に米国Jacksonvilleの倒壊事故の原因調査に用いられた。その実用可能性の高さが評価された。
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先端部。傾斜した繊毛に振動を与えることで前進する
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海外の現場で実際に用いられたことも
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● 部品・ソフトウェア部門
・超小型MEMS 3軸触覚センサーチップ(東京大学、パナソニック株式会社)
「超小型MEMS 3軸触覚センサーチップ」は、先頃発表された東京大学IRT研究機構のキッチンロボットのエンドエフェクタにも搭載されていたものだ。圧力だけでなく2軸のせん断力(摩擦力)が検出可能なセンサーで、大きさは2×2×0.8mm。「ロボットハンドにセンサーチップを実装することで、掴んだ物の滑りや重心位置を認識することが可能となり、より確実なハンドリングが期待できる」とされている。2010年頃の量産開始を目指す。
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超小型MEMS 3軸触覚センサーチップ
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2×2×0.8mmの極小サイズ3軸センサーチップ
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19日(金)~21日(日)まで、展示は一般公開される。入場は無料。また19日(金)と20日(土)には受賞ロボット8件を一般公開する「今年のロボット」大賞展がTEPIAにて開催される。両日には受賞者・招待者による講演会も行なわれる。12月20日(土)、21日(日)にはロボットを使ったワークショップも行なわれる。
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「今年のロボット」大賞2008展
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20日(土)、21日(日)にはワークショップも
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■URL
今年のロボット大賞
http://www.robotaward.jp/
ニュースリリース(PDF)
http://www.robotaward.jp/release_081218.pdf
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( 森山和道 )
2008/12/19 03:04
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