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「第2回電通大杯 マイコンカーラリー大会」開催
~画像処理部門に6台が出場!


各地から72台がエントリー。約40mのコースを走るタイムを競った
 2月7日(土)、大阪電気通信大学寝屋川キャンパスの自由工房において「第2回電通大杯 マイコンカーラリー大会」が開催された。主催は、大阪電気通信大学自由工房と電通大杯マイコンカーラリー大会実行委員会。

 第2回目となる今大会は、近畿地区の高校生を中心に北海道など遠方からの一般参加者も含め72台のエントリーがあった。本大会にはない「画像処理部門」を設け、新しい技術チャレンジへの意欲を見せた。

 自由工房とは、大阪電気通信大学が学生課外活動を支援するために設けた組織だ。室長の高木明氏の指導で、学生達がロボット製作などを通じて先端技術やモノづくりのノウハウを実践的に学んでいる。校外から技術講師を招きオープンセミナーも開催。マイコンカーラリーやロボット相撲を題材に実戦演習を行なっている。

 電通大杯は、2008年5~11月に実施したオープンセミナーの総括として、1月31日(土)に「ロボット相撲大会」、2月7日に「マイコンカーラリー(MCR)」を企画した。

 本稿では、MCR大会についてレポートする。


大阪電気通信大学寝屋川キャンパス 実験センター 受付開始時間前から、続々と参加者が集まっていた 控え室は最終調整をする選手達の熱気がこもっていた

開会式風景 高木明氏(自由工房室長) 都倉信樹氏(大阪電気通信大学学長)

マイコンカーラリー(MCR)とは

 MCRは、ジャパンマイコンカーラリー実行委員会の支給する指定マイコンボードを搭載した車輪型ロボット(マイコンカーと呼ぶ)が規定のコースを走行しスピードを競う競技だ。 第1回大会を1996年に開催、年々参加台数が増加している。例年8月~翌1月の間に全国を12ブロックに分けて各地で地区大会を実施、高校生の部は上位選手が全国大会出場権を得る。一般の部は地区大会の上位入賞者と、全国大会へ直接エントリーしたロボットが出場する。

 マイコンカーが走行するコースは幅30cmで、ベースが黒、中央に幅2cmのセンターライン(白色)がある。センターラインの両脇は幅1cmの灰色になっている。コースの両端には幅3cmで白く塗装されている。マイコンカーはセンターラインを検知して、自律でコースの完走を目指す。

 コースは、直線・クランク・S字カーブ・10度以内の傾斜で構成されている。またコース内には、センサーに頼らずレーン移動をしなくてはならない「レーンチェンジ」が設けられている。クランクとレーンチェンジの手前には、2本の白線でマーカーが描かれている。下り坂や直線でスピードが上がった後にクランクやカーブをどのように攻略するか、プログラミング技術が問われる。

 本競技会では2台のマイコンカーが同時に走るが、電通大杯では1台ずつ走行しタイムを競った。ただし、画像処理部門はコースを完走する機体がないため、スタートしてからコースアウトするまでの距離を計測した。それぞれ2回走り記録がよい方を成績とした。


第2回電通大杯 マイコンカーラリー大会コース。全長40.03m 車検は、車体サイズとともにタイヤの粘着力が規定内か、傾斜をクリアできるかチェックする スタート/ゴールゲート。ゲートがオープンしたら計測を開始、ゴールまでのタイムを競う

マイコンカーはゲートが開くのを自動検知してスタートする。手動スタートも許可されている 【動画】難所1/カーブ。直線後のカーブ、S字カーブ、傾斜後のカーブ、それぞれを攻略するために、モーターの制御が必要となる 【動画】難所2/レーンチェンジ。センターラインから路肩への2本線がマーカーになっている

【動画】難所3/10度の傾斜。登りと下りでモーター制御をしなくてはならない。スピードが出すぎると、下ってすぐにカーブを曲がれない 【動画】難所4/クランク。レーンを横切る2本線を検知して、モーターを制御しクランクを通過する 会場外にテストコースが用意されていた

画像処理部門

 画像処理部門は、電通大杯で特別に設けられた部門だ。しかし、公式大会にも画像処理のマイコンカーで出場している参加者たちはいる。現時点では、地区予選で上位に入ることは無理なため、全国大会には直接エントリーしている。

 電通大では、昨年のマイコンカーラリーオープンセミナーに画像処理のマイコンカーを制作している溝上洋三氏(X線技術研究所)を講師に招き講習を実施した。室長の高木氏が「画像処理は技術チャレンジとして面白い取り組みなのでもっと普及させていきたい」と、今大会では部門を独立させた。

 溝上氏のマイコンカー「あいちゃん2009」に搭載されているカメラは、ゲームボーイ用ポケットカメラを分解したものだ。H8マイコンで画像を扱うため処理を簡易化し、PC上では白線位置を数字で表している。MCRでは白と黒を見分けるだけでいいので、これで事足りるのだという。「あいちゃん2009」は1回目の走行で、615cmの記録を出した。

 今回の最高記録は、大阪電気通信大学 自由工房の林雄一氏の「未来」が出した840cmだった。林氏は、溝上氏のオープンセミナーはスタッフとして運営にあたっていたため、受講はできなかった。後でセミナー資料とビデオを見て学び、画像処理に挑戦したという。ハードは溝上氏と同じだが、ソフトは自分なりの工夫を組み込んだそうだ。1回目のチャレンジは627cmだったが、2回目は最初のカーブを曲がりS字の中間まで進んだ。記録を大きく伸ばした要因を尋ねると、「外乱に弱いので、ほとんど運だと思います」と笑っていた。


【動画】「あいちゃん2009」(溝上洋三氏:X線技術研究所)1回目の走行で615cmの記録を出した PCで「あいちゃん2009」が取得した画像のデータを表示。カッコ内に数字が入っているところが、白線として認識されている 溝上洋三氏(X線技術研究所)は、大阪電気通信大学自由工房のオープンセミナーで画像処理の解説をした

 林さんは、これまでマイコンカーラリーに参加したことはなく、溝上氏のセミナーで画像処理に興味を持ち、今回初挑戦したそうだ。「プログラミングは自信があったので……」という言葉どおり、直線では安定した走りを見せて司会者から「ほんとに制御しているんですか?」という言葉が出たほどだ。カーブを曲がった時には、観客から一斉に感嘆の声が上がった。


【動画】画像処理部門の優勝ロボット「未来」(林雄一氏:大阪電気通信大学 自由工房)。875cmで新記録達成 溝上氏のセミナーを参考に、初めて製作したマイコンカー。カメラはゲームボーイポケットカメラを分解して使用 画像処理部門で優勝した林雄一氏(大阪電気通信大学 自由工房)

【画像処理部門】
1位未来林雄一氏:大阪電気通信大学 自由工房870cm
2位SCITECS-i登弘聡氏:神戸市立科学技術高校844cm
3位e-eye-ver.1芦野広巳氏:山形県立山形工業高校630cm
4位あいちゃん2009溝上洋三氏:個人618cm
5位i君田辺仁史氏:大阪府立淀川工科高校570cm


【動画】SCITECS-i(登弘聡:神戸市立科学技術高校研究会)。カメラの認識範囲に影ができないようにLEDのヘッドライトを搭載。記録は844cmで2位 【動画】e-eye-ver.1(芦野広巳氏:山形工業)の走行。630cmで3位

高校生部門・一般部門

 電通大杯では、高校生部門・一般部門をそれぞれAクラス・Bクラスに分けてタイムを競った。Aクラスは全国大会出場経験者、Bクラスはこれから全国を目指す参加者が出場する。高校生部門は、公式大会と同様にベーシッククラスもある。このクラスは、サーボモーター、ギアボックスの部品が委員会から指定されている。ハード面を規定することで、初参加者のハードルを下げてMCR普及を狙ったクラスだ。

 経験値が一番高いのはAクラス出場者なのだが、高校生部門は1回目の走行が終わった時、Aクラスは1台も完走できなかった。Bクラスはもちろん、ベーシッククラスも4台が完走しているのだから、決してコースが難しすぎた訳ではないと思うのだが。優勝を目指して調整を厳しく過ぎたのだろうか? 結局、Aクラスは2回目の走行でも「柚子七味唐辛子(藤原祐磨氏:神戸市立科学技術高校)」の1台しか完走できなかった。

 Bクラスは、1回目にリタイアだった「零(三浦将明氏:大阪府立淀川工科高校)」が15秒57で暫定1位に躍り出た直後に、「デンジャー・2(宮北祥吾氏:富山県立砺波工業高校)」が14秒20と1秒以上縮めて優勝した。3位には、1回目の走行で17秒56を出していた「G線上の紀北(山本基弘:和歌山県立紀北工業高校)」が入賞した。1~3位のマイコンカーはいずれも2回とも完走できていない。安定した走行は難しいようだ。

【高校生Aクラス】
1位柚子七味唐辛子藤原祐磨氏:神戸市立科学技術高校16秒33

【高校生Bクラス】
1位デンジャー・2宮北祥吾氏:富山県立砺波工業高校14秒20
2位三浦将明氏:大阪府立淀川工科高校15秒57
3位G線上の紀北山本基弘氏:和歌山県立紀北工業高校17秒56
4位モモタロウ侍中井智貴氏:神戸市立科学技術高校19秒16
5位今村陽介氏:神戸市立科学技術高校19秒38

【ベーシッククラス】
1位BoN本田健太郎氏:兵庫県立尼崎工業高校24秒17
2位エクセリオン櫻井正吾氏:兵庫県立東播工業高校26秒13
3位X-STAGE石田孝志氏:兵庫県立尼崎工業高校26秒33
4位青一真未原真奈氏:神戸市立科学技術高校26秒81
5位φ正木智也氏:兵庫県立東播工業高校27秒63


【動画】柚子七味唐辛子(藤原祐磨氏:神戸市立科学技術高校)。高校生Aクラスで唯一完走した。記録は16秒33 【動画】デンジャー・2(宮北祥吾氏:富山県立砺波工業高校)。Bクラスながら高校生部門で最速の14秒20で1位 【動画】零(三浦将明氏:大阪府立淀川工科高校)が15秒57で2位になった

【動画】G線上の紀北(山本基弘:和歌山県立紀北工業高校)は、惜しくも2回目の走行に失敗。記録を伸ばせず17秒56で3位入賞 【動画】BoN(本田健太郎氏:兵庫県立尼崎工業高校)が24秒17でベーシッククラスを制した

 社会人や大学生が出場する一般部門は、さすがに完走台数も多くタイムも速かった。Aクラスで優勝した「STIKK(中岡進氏:NAKAOKA Family)」の記録は13秒22だった。

 中岡氏は和歌山県立紀北工業高等学校 生産技術部の顧問を務めている。中岡氏と和歌山県立紀北工業高等学校の生徒たちにMCRの魅力を尋ねると「簡単に始められて、奥が深い」という答えが返ってきた。MCR委員会からマイコンなどの指定があるために、ハード面はほぼ共通なので、参加者はソフトの開発に力を注ぐことができる。人と競うのではなく、自分の記録を伸ばしていく楽しみがあるという。

 MCR競技は中岡氏だけではなく、各校の先生方が積極的に一般クラスに出場しており、生徒と一緒にロボットを作りながら指導している様子が伺えた。

【一般Aクラス】
1位STIKK中岡進氏:NAKAOKA Family13秒22
2位若鷹番土隆氏:TMCC13秒31
3位FREE WAY松井弘幸氏:TMCC13秒68
4位Defiant和田雅也氏:TMCC13秒97
5位GRV-09R鈴木友和氏:山形県立山形工業高等学校14秒02


【動画】STIKK(中岡進氏:NAKAOKA Family)。1回目の走行で13秒27を出して優勝した 【動画】若鷹(番土隆氏:TMCC)。1回目はコース途中で停止してしまった。2回目に13秒31で2位入賞

【一般Bクラス】
1位クシナダ川角哲氏:島根県立出雲工業高校13秒30
2位金属戦隊Gold長船洋二郎氏:兵庫県立小野工業高校15秒67
3位KazuのDX坂本成一氏:兵庫県立東播工業高校20秒94
4位XとんかちX和田貴大氏:大阪電気通信大学 自由工房21秒57
5位下呂崎マグナム中西秀陽氏:東海職業能力開発大学26秒26


【動画】金属戦隊Gold(長船洋二郎氏:小野工業)。1回目の記録をコンマ2秒縮めて、15秒67で2位入賞 【動画】クシナダ(川角哲氏:出雲工業)。1回目に13秒30とダントツのタイムで1位 「第2回電通大杯 マイコンカーラリー大会」の入賞者

ユニークなマイコンカーを紹介

 競技終了後、表彰式までの時間を使って札幌から参加した北田義孝氏(札幌テクノパーク ロボコン同好会)が、これまで製作したユニークなマイコンカーを紹介した。北田氏は、飛行機や新幹線の玩具にマイコンを搭載して走らせたり、コースの上をコース型ロボットが走ったりと、これまで楽しいチャレンジを続けてきたという。

 北田氏は、現在、POSレジで使われているバーコードリーダーをセンサーにしたマイコンカーを試作しているという。バーコードリーダーは、白と黒のラインを見分けて情報を読み取るのだから、MCRにも使えるだろうと考えたそうだ。会場で配布した資料「POS用バーコード・リーダーによるMCR路面判定」は、サイトで公開している。

 同じく札幌から来阪した友広雅樹氏(BUG)は、画像処理でMCRに挑戦することについて「より速いロボットの製作を目指すだけではなく、人が使っていない新しいセンサーを試したり、技術にチャレンジする」という意義を語った。新しいセンサーやマイコンなどのマニュアルは、英語で記載されていることがほとんどだ。将来、技術者として一線で活躍するためには英語力が必須なので、「苦手だから」と避けないで、マイコンカー製作を楽しみながら英語に慣れて欲しい、と高校生たちにメッセージを送った。


飛行機の玩具を改造してマイコンカーを製作した例。ボディに基板を納めるために、基板をカットしたという 飛行機型マイコンカーの駆動部 電車の玩具にマイコンを仕込みMCRに出場したこともある

MCR10周年に製作したマイコンカー。コースの上をコース型ロボットが走るというユニークなアイデア コース型ロボットの内部機構 コース型ロボットは、設計資料と一緒にファイリングできる。「ドキュメント管理は大切です」というメッセージ

POSレジで使われているバーコードリーダーをセンサーとして、活用したマイコンカーを製作中 北田義孝氏(札幌テクノパーク ロボコン同好会)

友広雅樹氏(BUG) 携帯電話用カメラを使った画像処理マイコンカーも製作中(友広雅樹氏:BUG)

URL
  大阪電気通信大学 自由工房
  http://jiyukobo-oecu.jp/
  マイコンカー ビジョン クラス(溝上氏公式サイト)
  http://www.x-x.co.jp/

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( 三月兎 )
2009/02/13 20:56

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