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「第11回ROBO-ONE IN 後楽園ホール」レポート -予選編-

~1位はハシゴを登ってリングに上がった「OmniZero.4」

 3月24日~25日の日程で、「第11回ROBO-ONE IN 後楽園ホール」が開催された。主な結果は既に速報でお伝えしているとおりで、大会史上最多となる186台のエントリーの中から総合優勝したのは、Dr.GIYさん製作の「ヨコヅナグレート不知火二代目」だった。

 今回、初めて後楽園ホールでの開催となり、入場料2,000円の有料イベントとなった。後楽園ホールは普段は格闘技の大会が行なわれることで知られている。会場の壁に掲げられていた予定表を見るとプロレスやボクシングの名前がずらりと並んでおり、そのなかでの「ROBO-ONE」開催が異彩を放っていることがよく分かる。「ROBO-ONE」を知らない一般の格闘技ファンはこの予定表を見てどう思ったのか少々気になった。


ROBO-ONEチケット。前回優勝の「キングカイザー」がデザインされている 有料となったものの決勝日午後には会場は埋まった

後楽園ホールの予定表。「ROBO-ONE」の名前がが異彩を放つ 決勝戦出場のロボットと製作者たち

予選編 ~規定演技は「縄跳び」と「人の役に立つことをする」

 ROBO-ONEは、予選でデモンストレーションを行ない、その結果、選ばれた優秀な機体だけが本戦へ出場することができる。バトルが行なわれるのは本戦で、予選はデモンストレーションが基本となる。ロボットのデモだけではなく、製作者によるプレゼンテーションも重要な一部だ。ROBO-ONE委員会代表の西村輝一氏は「ロボット技術者にはコミュニケーション能力が重要である」と常々述べており、その考えを反映したものとなっている。

 予選で重要なのが「規定演技」だ。予選で委員会から指定された演技をすることで高得点が狙える。規定演技をこなさないと予選通過は難しい。今回のROBO-ONE規定演技は「縄跳び」と「人の役に立つことをする」こと。

 腕との協調動作が必要だが、いわば前回の規定演技だった「兎跳び」の延長にあると考えられる「縄跳び」はともかく、「人の役に立つ」が具体的に何を意味するのかは指定されていないので、頭の使い方次第のデモンストレーションとなった。

 今回の予選では「雑巾掛け」をやる選手が多かった。ただしほとんどはただ単にリングに敷かれた布の上に両腕をついて脚をジタバタする、といったものが多く、しかもぞくぞくとその手の演技が出てきたため中だるみとなった印象は否めなかった。前進すらしない雑巾掛けばかりのなか、逆に、意外と少なかった「肩たたき」「窓ふき」「目覚まし時計になる」「名刺を出す」「ハンコをつく」「アルコールテスト」、そして「目薬を指す」「服を畳む」「カクテルをシェイクする」など違うことを試みるロボットが目立つ結果となった。

 作業そのものも「ロボットならでは」、と思わせるものは、ほとんどなかった。ただし、一部のロボットは障害物にぶつかったら方向を変えるとなどロボットらしい機能を付加していた(「Cyclops-x」など)。それらはおそらく審査員の評点でも高い得点を獲得したものと思われる。また韓国のロボットのなかには実際のハンディクリーナーをロボットに持たせて掃除動作をさせるものもあった。


【動画】「九共大-疾風」の縄跳び ロボットらしくセンサーで障害物を避けて雑巾掛けする「Cyclops-x」 【動画】足につけたモップで床掃除する「T-Storm」

【動画】窓ふきをする「九共大-ZERO」。学生チームでこれが「僕たちの春休みそのものです」のコメントに会場は爆笑 【動画】カクテル(ペットボトル)を振る「レグホーン」 【動画】爆弾処理をイメージしたデモを行なった「ICARUS1」

【動画】新聞を運ぶ「ケルビム」 【動画】目薬を指す「Neutrino RX」。飛騨神岡高校の生徒によるロボットで、医師に取材してロボットのニーズを探ったという 【動画】頭の大きな「くまたろう」の縄跳び

【動画】ロールケーキを切る「MAC2006」 【動画】縄跳びする「アタモ」 【動画】消化活動を見立てたデモをする「ANGEL」。韓国勢は「見立て」系のデモが多かった

【動画】同じく韓国ロボット「XENA」は釘打ちのデモ 【動画】デモ時間外、おまけに失敗したもののTシャツ畳みに挑戦した「ヒーホーハット」 【動画】太鼓を叩く「rsv3」

【動画】散髪する「GADGET-III」 【動画】散髪で落ちた髪をハンディクリーナーで掃除する「GADGET-III」 【動画】雑巾掛けする「ICARUS2」。このロボットの雑巾がけは本物っぽい動作

プラモデルにサーボモーターを仕込んだ「X-20A STRIKE-FREEDOM」 【動画】縄跳びする「X-20A STRIKE-FREEDOM」

「Stormwaves2007」 【動画】「Stormwaves2007」が肩たたきしているところ 【動画】「ゲジモン」。予選審査は通らなかったが特別にデモされた。ツメの動きや吹き込まれたボイスコメントがユニーク

段違いのレベルを感じさせた「ROBO-ONE GP」組のデモ

 また今回の予選では、ROBO-ONE上位から構成される「ROBO-ONE GP」出場選手達のデモンストレーションは、予選全体の最後にまとめて行なわれた。「GP組」は、一段レベルの違うデモンストレーションを行ない、既に時間も遅くなりかなり長く続いたデモにややお疲れ気味だった会場の空気を一変させた。

 中でも目立ったのが、前回優勝の「キングカイザー」、お馴染みの外見と機体性能で有名な「マジンガア」、そして今回予選一位通過となった「OmniZero.4」である。

 マルファミリーの「キングカイザー」は得意のハイジャンプを使って、二重跳びを見せた。調子のいいときは3重跳びも可能だという。動画をスローで見てみると、足がジャンプの頂点に達する前に既に2回、縄が足の下を通過していることが分かる。なるほど確かに3重跳びもできそうだ。何より、他を圧倒する性能を持った機体のデモと、はきはきした自信に満ちたプレゼンテーションが気持ちよかった。

 光子力研九所製作の「マジンガア」は、ぴょんぴょんと人間のような二回連続の縄跳びを見せた。連続でジャンプするためには着地後素早く機体を安定化させて次の状態に持っていくだけのスピードが必要だ。確かに縄跳びの見本のようなジャンプだった。

 また、予選一位通過の「OmniZero.4」は、自前のハシゴをリングに立てかけ、それをロボットに登らせて登場。製作者の前田武志氏によると、もともとROBO-ONEにリングアウトが登場したときに、自力でリング外から復帰できたらダウンとは見なさない、という話があったことから発想したものだとのこと。なおビジョンやセンサーは使ってないそうだ。「OmniZero.4」は続けてずば抜けた運動性能を披露したあと、卵を割ってフライパンを動かすというデモを行なった。まったく不安を感じさせない動きで、文句なしぶっちぎりの一位の結果となった。

 重量級で優勝した「ヨコヅナグレート不知火二代目」も力強い演武を披露し、翌日のバトルを期待させた。動画で各ロボットのデモを紹介する。


【動画】「二重跳び」を行なうキングカイザー 【動画】「役に立つこと」として地雷探査を想定したデモを行なうキングカイザー

前田武志氏と「OmniZero.4」。近くで見るとかなりごつい 【動画1】【動画2】自力でハシゴを登ってリングに登場する「OmniZero.4」

【動画】「OmniZero.4」の連続縄跳び 【動画】ゆで卵を持ってひざで割る

【動画】「縄跳びの見本を見せます」と豪語して5回連続縄跳びする「マジンガア」 【動画】そして人間のような本当に連続した2回連続縄跳びを行なう 【動画】カンがスチールかアルミか分別して捨てる「マジンガア」

【動画】かめはめ波ポーズを披露する「ヨコヅナグレート不知火二代目」 【動画】ゴミを持ち上げて捨てる「ヨコヅナグレート不知火二代目」 【動画】片足で縄跳びする「ヨコヅナグレート不知火二代目」

【動画】お茶をたてる「プティ」。ロボットといえばお馴染みのクランク回しから発想したのだろうか 【動画】ほうきと塵取りで掃除する「ARIUS」

【動画】手品する「レトロ」 【動画】拍手に合わせてロケットを飛ばす「アフロ」

予選通過者と「決勝戦出場権」獲得者たち
 こうして選ばれた27台に、認定試合で決勝戦出場権を得た5台を加えた32台が本戦でバトルトーナメントを戦うことになった。本戦編は後ほどレポートする。





URL
  ROBO-ONE
  http://www.robo-one.com/
  【2006年5月30日】ロボット業界キーマンインタビュー「ヴイストン株式会社」(前田氏のインタビューを収録)
  http://robot.watch.impress.co.jp/cda/column/2006/05/30/8.html

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( 森山和道 )
2007/03/27 16:15

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