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JAMSTEC「第59回地球情報館公開セミナー」レポート

~次世代の無人探査機開発を見据える技術研究

次世代の無人探査機開発を見据えた新しい航法装置

【写真1】海洋研究開発機構 海洋工学センター・自律型無人探査機 技術研究グループの石橋 正二郎氏
 3月17日、横浜市の海洋研究開発機構 横浜研究所において、「第59回地球情報館公開セミナー」が開催された。今回のテーマは『「次世代の無人探査機開発を見据える技術研究」~航法装置とマニピュレータの性能向上』について。海洋工学センターの石橋正二郎氏が講演を行なった【写真1】。

 海中探査機には人が搭乗する有人型と、人が搭乗しない無人型がある【写真2】。さらに別の視点から探査機を分類すると、自律型探査機(Autonomous Underwater Vehicle、以下AUV)と遠隔操作型探査機(Remotely Operated Vehicle、以下ROV)に大別できる【写真3】。AUVは航法装置を用いて、単独で長時間・長距離を自律航行できる能力を備えている。一方、ROVは、母船とケーブルでつながっており、AUVに比べて稼動範囲は狭いものの、オペレータがマニピュレータを遠隔操縦することが可能だ。


【写真2】海中探査機の大分類。人が搭乗する有人型と、搭乗しない無人型に分けられる 【写真3】別の視点から海中探査機を分類すると、自律型の探査機(AUV)と遠隔操作型の探査機(ROV)に大別できる

 本セミナーでは次世代の無人探査機開発を見据えて、石橋氏が開発している新しい航法装置と、マニピュレータ性能を向上する取り組みについて紹介がなされた。

 まず石橋氏は、AUVの新しい航法装置について紹介。AUVは自身の運動を制御して、目的のミッションを遂行する無人水中ロボットといえる。そこで最も重要な点は、現在の自己位置を把握しながら目的地まで正確にたどりつく航法だ。海中で稼動するロボットの場合、通信時に電波が減衰してしまうため、GPSのように外界からの測量で自己位置を把握できない。そのため通常のAUVでは慣性航法装置(Inertial Navigation System、以下INS)が用いられる。

 INSは、AUVの運動を計測する内界センサのみで構成され、外界とコミュニケーションすることなく自己位置を演算する装置だ。具体的にはジャイロコンパスと加速度計が用いられ、機体の姿勢(ロール、ピッチ、ヨー角)と速さの連続的な変化を測ることで、時々刻々と変化する移動量を計算しながら航行していく【写真4】。AUVでは、このINSの出力情報をベースに自己位置を判断し、自律走行するしくみを採用している。ところがINSによる航法には課題があった。

 INSの出力は、時間経過にともなって精度が著しく劣化してしまうのだ。これは、センサ出力値にバイアスやドリフトの誤差が生じるためだ。したがって、現段階でINSによる航法だけで長時間にわたる自律走行は難しい状況である【写真5】。「仮にある目標地点に向かって計画航路を動いていても、間違った場所に間違った航路でたどり着いてしまう可能性がある」(石橋氏)という。

 以前の記事でも紹介したが、実際に、同グループで開発した巡航型AUV「うらしま」では、超音波を発振し、ある目標物(音響灯台)に対して跳ね返ってきた時間を計測する音響航法も組み合わせることで、このような累積誤差を補完している。

 そこで、位置情報に含まれる誤差を補正する方法が求められる。この問題を解決するために、石橋氏は各センサの持つ誤差を軽減させて、INSの位置情報を向上する方法を考案したという。具体的にはINSを回転台に乗せて回転運動を与えることによって、その誤差の位相を逆転させ、誤差を平均化する(キャンセルする)という発想である【写真6】。この際に、AUVが水平を保持しながら航行する(AUVと地球の座標系の水平姿勢の関係がほぼ同じ状態)という前提条件を満たしているものとする。


【写真4】AUVの運動(自己位置)を計測するために、INSにはジャイロコンパスと加速度計が用いられている。XYZ軸方向にそれぞれセンサが取りつけられている 【写真5】INSのセンサ出力はバイアス・ドリフトの誤差が生じるため、時間経過にともなって精度が著しく劣化する。INSに依存するAUVでは、長時間にわたる自律走行が難しい 【写真6】石橋氏が考案したINSの位置誤差補償法。INSを回転台に乗せて、回転運動を与えることで、その誤差をキャンセルさせる

 INSに回転を加えることによって、回転軸(Z軸)以外に配置されているジャイロおよび加速度計センサ(X軸、Y軸)の出力に含まれている誤差の位相が逆転するため、結果として回転中であれば誤差が平均化(キャンセル)される方向に働くことになる。

 石橋氏はこの理論を実証するために、3種類の実験を行なったという【写真7】。アライメント中の回転運動による効果、回転方向を切り替えた際の効果、回転速度が及ぼす効果というものだ。INSの位置情報の精度は、何も対策を施さない状態では90分後には900m(RMS値)もの誤差が生じてしまう。これに対して、アライメント中も航法演算中もINSを回転させた場合に、誤差は220m程度まで軽減されたそうだ。

 また1方向だけに回転させると400mほど誤差が軽減されるが、誤差がキャンセルされるように回転方向を360度ごとに毎回切り替えると誤差の範囲が210mに収まるという結果が得られたという【写真8】。さらにアライメント中に回転させ、なおかつ回転方向も切り替えながら、回転速度を0.5~0.8deg/secまで5段階に変化させてみると、最良の場合は170mまで誤差範囲が落ちた。これにより、「位置精度が5倍まで向上できることがわかった」という。AUVが計画航路を進む際に、仮に従来と同じ誤差まで許すならば、5倍の距離まで自律航行能力を得られるということを意味する【写真9】。

 現在、前述のうらしまの潜航深度は3,500m、航続距離は317km。いずれもAUVでは世界記録になっている。しかし、海洋研究開発機構では、10年後には潜航深度6,000m、航続距離3,000kmを実現する新しいAUVを開発しようとしている【写真10】。従来の航続距離を10倍も伸ばさなければならないが、このような研究成果が組み込まれることによって、新AUVの実現に向けて着実な一歩を踏み出しているのだ。


【写真7】実験装置の構成。INSを回転台に乗せて回転運動を与える。RS-232C経由で測定データを収集したり、モータドライバに速度制御信号を送る 【写真8】実験結果の一例。回転方向切り替えによる効果。誤差がキャンセルされるように、回転方向を360度ごとに毎回切り替えることで、何もしない場合に比べて210mまで誤差を減らせる(写真右下のグラフ)

【写真9】実験結果から、最終的に5倍の距離まで自律航行能力が向上できることが分かったという 【写真10】次世代のうらしま2号機は、潜航深度6,000m、航行継続距離3,000kmを目標に掲げており、新しい航法の仕組みが求められる

将来はAUVのマニュピレータによる自律的作業も

 次に石橋氏は、無人探査機用マニュピレータの自律機能に関する研究について説明した。マニュピレータは探査機にとって唯一の作業部にあたるもの。現状の無人探査機では船上のオペレータが遠隔でマニュピレータを操作している。また、しんかい6500のような有人探査機でも、オペレータがマスターモジュールと呼ばれる捜査竿を用いてマニュピレータを操っている【写真11】【動画1】。

 とはいえ、非常に視野の狭いカメラからの映像を頼りにマニュピレータを操作して、海底の温度を測定したり、泥などを採取するため、オペレータは高度な技能を要求される【動画2】。マニュピレータはマスタースレーブ方式で同期して動く。タイムラグなどを含めて、オペレータが細かい制御をともなう操作をすることは大変難しい。探査機から送られるカメラの動揺も、船上もしくは船内の揺れとは異なる。


【写真11】オペレータはマスターモジュールと呼ばれる捜査竿を用いてマニュピレータを操るが、その操作にはとても高度な技能が必要だ 【動画1】しんかい6500での作業。マスターモジュールと呼ばれる捜査竿を用いて、マニュピレータを操っているところ 【動画2】マニュピレータでバキュームを把持して海中の生物を吸引しているところ。また温度計を持たせて温度を測定しているところ

 石橋氏は「それでも世界に類をみないさまざまな成果を上げてきたのは、ひとえにオペレータが優秀だったからだ」という。しかし、逆に言えば現状では経験豊かな熟練オペレータがいなければ、このような高度な作業はできないことになる。

 そこで石橋氏は、マニュピレータに自律機能を持たせ、熟練オペレータでも難しい作業を自動化する研究も行なっている。たとえば、マニュピレータ先端を作業位置に繰り返し到達させる作業や、障害物や遮蔽物のある環境での作業、複数のマニュピレータを協調させる作業などが該当する。

 こういった作業を行なう場合に、モニター上で作業場所をポインテングしてコマンドを送ることによって、自律的にマニュピレータを動かせれば、とても便利だ。作業の種類や情報をオペレータが提示し、その後は自律機能にゆだね、事前にプログラミングされた作業の動作計画によって、マニュピレータがミッションを自動遂行していく形だ。

 では、このような動作計画を実現していくにはどのようにすればよいのであろうか? 石橋氏は、障害物回避に関する動作計画を例にして、研究内容を紹介した。本研究では冗長マニュピレータを対象としている。通常、3次元で手先の位置と姿勢を決定するには6つの関節数が必要になるが、さらにもうひとつ余分な(冗長な)関節を持たせ7関節とする。具体的な作業計画については、作業空間を定義して、マニュピレータの先端位置を決める。そして、計画した複数の位置と姿勢を繰り返し指定して、最終的に作業を行なう場所までマニュピレータを誘導させるという流れになる【写真12】。

 人間の場合は、目で物を見てどこに対象物があるか空間的に認識することができる。しかしマニュピレータではそうはいかない。そこで、ある作業空間において、空間をキューブによって分割した離散化空間を考える。もし仮にその空間内に障害物があった場合は、その障害物を完全に包み込むようなキューブ群として、障害物領域を定義する。このような作業空間に対して、マニュピレータの先端位置を計画することになる【写真13】。これは、いま置かれているマニュピレータ先端が、ゴール地点となる目標まで達するのに必要な軌道をつくる作業だ。

 マニュピレータの先端は、キューブで分割された空間上を動いていくので、軌道もそのキューブに沿って動くことになる。マニュピレータをスタートからゴールの位置まで移動させるには、3次元空間をX-Z平面で切って考え、X-Z平面に属するキューブ群から最適なキューブを選択すればよい。同じようにゴール方向に向かって分割されたX-Z平面で、この作業を繰り替えして実施することによって、軌道となるキューブ列を計画していく仕組みだ【写真14】。


【写真12】マニュピレータに自律的な作業をさせるための動作計画の流れ。マニュピレータの先端位置を決め、計画した複数の位置と姿勢を繰り返し指定しながら、最終目標までマニュピレータを誘導させる 【写真13】ある作業空間に対して、マニュピレータの先端位置を計画する方法。空間をキューブによって分割する。障害物領域は、その障害物を完全に包み込むキューブ群として定義する 【写真14】スタートからゴールまでは、3次元空間をX-Z平面で切って考え、X-Z平面に属するキューブ群から最適なキューブを選択する。この作業を繰り替えして実施することによって、軌道となるキューブ列を計画していく

 あるX-Z平面で軌道に最適なキューブを選択する方法として、石橋氏は遺伝アルゴリズム(Genetic Algorithm)を採用したそうだ【写真15】。「数え切れない複数の対象から最適解を選ぶ際に、ひとつずつ対象を選んでいては時間が掛かりすぎるので、遺伝子の進化の過程を利用した」という。アルゴリズムにおいて、遺伝子の形にあたるものは、X-Z平面のキューブの位置、つまりXとZの座標となる。ランダムに生成された複数のキューブに対して、遺伝子操作を与えることによって、淘汰されるものと次世代に残るものが生まれる。これを繰り返すことによって、ある地点における最もよいX-Z平面上のキューブの位置を見けられる。

 最適なキューブを選択するためには3つの指標があるが、石橋氏は選択したキューブが障害物に接触しない場合(マニュピレータと障害物がぶつからない)を前提とした評価方法について紹介した。前述のように障害物の定義は、障害物を完全に包み込む複数のキューブ群として表される。その障害物領域の中心を求め、キューブの位置を結んだ直線上の距離から、障害物と接触していないかを算出する【写真16】【写真17】。もし、算出された距離がキューブのサイズよりも小さい場合には、隣り合うキューブ、あるいは障害物領域に含まれるものと推断される。こうのような場合は、マニュピレータの先端位置として計画しないように除外していく。これによって、あるX-Z平面におけるキューブの位置(マニュピレータの先端位置)を求めていくのだ。


【写真15】最適なキューブを選択する方法として、遺伝アルゴリズム(Genetic Algorithm)を採用。ランダム生成された複数のキューブの位置に対して、遺伝子操作を与える 【写真16】最適なキューブ選択するために3つの指標を設定。ここでは、マニュピレータと障害物がぶつからないことを前提とした評価方法が紹介された 【写真17】算出距離がキューブのサイズよりも小さい場合には、隣り合うキューブあるいは障害領域に含まれるものと推断される。このようなキューブは、軌跡として計画しないように除外していく

 次に、計画されたマニュピレータの先端位置に対して、実際にどのようにマニュピレータが誘導されればよいのか、姿勢を決定する。ある先端位置に対してとれる姿勢は、冗長マニュピレータでは一意に決定できず、たくさんの姿勢が考えられる【写真18】。そこで、このような姿勢を複数生成しておき、それらを姿勢候補として定義し、最もよい姿勢を評価することになる。評価方法はマニュピレータの軌道を求めたときと同じように遺伝子アルゴリズムを用いたという。

 姿勢候補を選ぶ際には、各関節の角度を遺伝子パラメータとみなす。あるX-Z平面で最適なキューブの位置を実現するような、すべての遺伝子(関節の角度)を抽出しておき、これらを姿勢候補として決定する【写真19】。候補の中から最も良い姿勢を評価する場合にも、やはりいくつかの方法がある。石橋氏は、マニュピレータ先端位置の評価と同様に、障害物への衝突の危険性が少ない姿勢を選ぶ評価方法について説明した。

 どのような多関節マニュピレータでも直列リンクの形によって姿勢が決定される。そこで1つの直列リンク上に連続する単位点を定義し、それらと障害物領域の中心を結んだキューブの距離をすべて求める。さらに、それらの平均距離を直列リンクにおける障害物領域の衝突危険度の指標とする。ここで、障害物に接触しているかどうかは、各単位点の球の半径(球にする理由はリンクの肉厚を考慮しているため)と、その算出距離の関係から推断する。もし算出距離が球の半径よりも短い場合には、その直列リンクの単位点で障害物と接触しているか、あるいは障害物領域に入ってしまっていることになる。このような姿勢ケースはすべて排除する【写真20】。あらかじめマニュピレータの肉厚を設定しておけば、実際に扱うマニュピレータの形状に見合った詳細な干渉チェックが実現できるという。

 石橋氏は、このように動作計画によって、実際にマニュピレータが障害物をうまく回避していく実験をビデオで披露した。【写真21】のように、2つの青い障害物となる柱を設置し、その空間でマニュピレータが自律的に障害物をうまくすり抜けてゴール地点にあるサンプルを採取するというもの。サンプルを把持できる姿勢を3次元空間で選びながら、障害物に接触せずに最適なルートで移動できることがわかったという【動画3】。


【写真18】先端位置に対してとれる姿勢は一意に決定できない。図のようにたくさんの姿勢があるため、姿勢候補の中から最適なものを選んでいく 【写真19】姿勢計画の評価のアルゴリズムには、先端位置の計画と同じように遺伝子アルゴリズムが用いられる。姿勢のパラメータは各関節の角度になる 【写真20】姿勢計画における干渉チェックの評価方法。算出距離がリンクの単位点にある球の半径よりも短い場合には、障害物と接触しているか、障害物領域に入ってしまっている。このような姿勢ケースはすべて排除する

【写真21】動作計画方法を実行したデモンストレーション例その1。障害物を避けて目的物を把持する 【動画3】障害物に接触しないようにマニュピレータが目的物に近づいていく。さらに目的物を保持できるような最適な姿勢も選択

 また石橋氏は、2つのマニュピレータを協調させながら作業させる例についても紹介した【写真22】。右手のマニュピレータでラチェットを、左手のマニュピレータでボルトを把持して、壁のホールにボルトを挿入していくというもの。これにより、オペレータがマスタースレーブ方式で操作することが難しいような作業もできるようになったという【動画4】。

 このような研究以外にも、石橋氏は映像系の補助機能についても研究している。たとえば、視野の広い映像を見る技術、対象となるものを捕捉してトラッキングする技術【動画5】、マニュピレータの全体像を異なる視点から把握する技術などだ。

 以上のような研究を通じ、従来ROVに搭載されていたマニュピレータが、将来的に次世代のAUVにも装備され、自律航行してマニュピレータで作業できる可能性もあると示唆した【写真23】。自律型のマニュピレータを搭載した次世代AUVで海底計測装置を設置・回収したり、海底泥や岩石サンプルを採集したり、海底構造物の構築・修理などができれば、無人探査機を必要とする研究者にとって、より手軽で運用が簡単な新しいツールになるはずだ。


【写真22】動作計画を実行したデモンストレーション例その2。協調動作によるサンプリングオペレーションとボルト締め作業の例が示された 【動画4】マニュピレータ×2を同時に協調させる作業の動画。ラチェットとボルトをそれぞれのマニュピレータで把持して、壁のホールにボルトを挿入しているところ

【動画5】映像系の補助機能に関する研究。常時対象となるものを捕捉してトラッキングする。ここではカメラが常に黄色い魚を追っている 【写真23】従来ROVに搭載されているようなマニュピレータが、将来的に次世代のAUVにも装備され、自律航行してマニュピレータで自律的に作業できる

 なお、海洋研究開発機構の地球情報館では、有人潜水調査船「しんかい6500」~17年の軌跡、と題したパネル・ビデオ展示を3月17日より開催している【写真24】【写真25】。しんかい6500は、今春に通算1,000回の潜航を達成した。このイベントは、その記念として行なわれているものだ【写真26】。しんかい6500のような6,000m級の有人潜水調査船は世界でも4隻しかない。光の届かない深海底の貴重な様子を生々しく伝えてきた有人潜水調査船の軌跡をたどることで、新しい発見があるかもしれない。


【写真24】有人潜水調査船「しんかい6500」の17年の軌跡と題した展示も3月17日より開催されている 【写真25】海洋研究開発機構 横浜研究所の地球情報館2Fギャラリーの様子。パネル・ビデオによって、しんかい6500などの歴史が紹介されている 【写真26】しんかい6500は今春に通算で1,000回の潜航を達成したという。1年間で58回潜航したことになる。かなりの回数だ

URL
  海洋研究開発機構
  http://www.jamstec.go.jp/

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( 井上猛雄 )
2007/03/19 17:03

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