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研究者たちの「知りたい」気持ちが直接わかる
~理研一般公開でのロボット
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【やじうまRobot Watch】
巨大な機械の「クモ」2体が横浜市街をパレード!
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【 2009/04/17 】
第15回総合福祉展「バリアフリー2009」レポート
~ロボットスーツ「HAL」や本田技研工業の歩行アシストも体験できる
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「第12回 ロボットグランプリ」レポート【大道芸コンテスト編】
~自由な発想でつくられた、楽しい大道芸ロボットが集結!
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北九州市立大学が「手術用鉗子ロボット」開発
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ROBOSPOTで「第15回 KONDO CUP」が開催
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ヴイストン、秋葉原に初の直営店舗「ヴイストンロボットセンター」、29日オープン
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【 2009/04/14 】
大盛況の「とよたこうせんCUP」レポート
~ロボカップにつながるサッカー大会が愛知県豊田市で開催
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人とくるまのテクノロジー展2008レポート
~ロボット化していく自動車の今がわかる展示会


パシフィコ横浜の展示ホールをすべて使って開催された
 21日から23日にかけて、横浜みなとみらい地区のパシフィコ横浜で、「人とくるまのテクノロジー展2008」が開催された。主催は、社団法人自動車技術会。392社が出展し、3日間で約7万名が来場した。開発用ロボットアームやサーボ技術を活用した複数軸を持つ自動車用試験装置など、人型をしたロボットはいなかったが、その要素技術を活用した製品はいくつも展示されていた。また、ソフトウェア面での話になるが、人工知能にもつながる画像認識技術がここ数年のトレンドで、大手自動車メーカーやその参加の電子機器メーカーなどがその展示やデモの実演を行なっていた。そちらもあわせて紹介する。


ロボット分野の運動制御技術がフィードバックされた「Kawasaki Ninja ZX-10R」

 川崎重工業といえば、自動車業界的にはバイクメーカーだが、実際のところは、ジェット機、鉄道車輌、ディーゼルエンジン、H-IIロケット先端の衛星を収納するフェアリングなど実にさまざまなものを範疇としているメーカーだ。今回、2008年型の「Kawasaki Ninja ZX-10R」のカットモデルが展示されていたのだが、同バイクに採用された技術のバックグラウンドとなった、他部門の技術も紹介されていた。その中のひとつがロボット技術。同社製の工業用ロボットアームは有名だが、そこで培われた技術がZX-10Rにフィードバックされているのだ。

 バイクにロボットの技術などというと、変形するのでは? などとワクワクしてしまうが、残念ながらそんなことはない。ECUを駆使した運動制御技術と、ライダーとのインターフェイスがロボット技術からのフィードバックだそうである。同社製ロボットのスモールエンド機「FS03N」を実際に持ち込み、デモも行なわれていた。


Kawasaki Ninja ZX-10Rのカットモデル。その向こうにFS03 【動画】FS03Nがアームを高速で振り回したり、精細な動きを見せるデモ

トヨタの最新車輌運動制御技術「VDIM」を体験できるドライブシミュレータ

 「VDIM」とは、Vehicle Dynamics Integrated Managementの略で、トヨタが開発した運動制御システムの名称。エンジン、ブレーキ、ステアリングなど、これまでは独立して存在していた制御システムをひとつに統合したものだ。従来のABSやTRC(トランクション・コントロール)などは、車輌の限界を検知してから制御を開始する仕組みだった。それに対し、VDIMはアクセル、ブレーキ、ステアリングの操作量から求めたドライバーのイメージする車輌挙動と、各種センサからの情報とのギャップを算出し、限界前から車輌の前後左右全方向の運動状態をアクティブかつシームレスに制御するというもの。要するに、腕が追いつかなくても、車が補正してドライバーのイメージに近い状態で走らせてくれるというシステムだ。もはや、人工知能搭載車という雰囲気で、トヨタの高級車にはすでに搭載されている。

 このシミュレータは、それを体験できる内容で、特別企画「最新 くるまの運転技術」のコーナーに設置されていた。ラリーのようなオフロードコースをVDIMなし(標準装備)と、VDIMありで2回走ってその違いを体験できるのだが、VDIMなしだとクルンとスピンしてしまうところを、VDIMがあるとあっさり抜けてしまったりする。コースを1回走って慣れた、という点を差し引きしても、強力なシステムである。なおシミュレータは、ゲームセンターに置いてあってもおかしくないクォリティーのCG画面と、シート下にアクチュエータを装備した本格型。ある意味、アトラクションとしてかなり楽しめる内容である。お台場のトヨタ・メガウェブなどには常設されているので、興味のある人は足を運んでみよう。


トヨタ製VDIM体験型ドライブシミュレータ アクチュエータ部分のアップ 【動画】動作する様子

車輌の運動制御技術ESC体験ドライブシミュレータ

 ESC(エレクトリック・スタビリティ・コントロール)体験ドライブシミュレータも、特別企画「最新 くるまの運転技術」のコーナーにあったシミュレータ。ただし、ハンドルで操作するのではなく、スイングアームに固定されたヘッドマウントディスプレーを目の前にセットして、あとはお任せという内容。いわゆる、ディズニーランドの「スターツアーズ」やディズニーシーの「ストームライダー」のふたり乗り版といえばわかりやすいだろうか。

 アクチュエータがシートを斜めに傾けたりすると同時に、シートの正面には空気流の噴出口があり、車が走っている臨場感を少しでも感じられるような工夫がされている。ちなみにESCという言葉は、実は自動車メーカーごとに異なる呼称が使われているのが現状。非常にわかりにくく、日本国内では普及の妨げになっている側面もあるので、ABSやTRCのように統一しようという動きがあり、このシミュレータを開発したのが、ESC普及委員会というわけだ。現状で同委員会には、アドヴィックス、ボッシュ、コンチネンタル・オートモーティブの3社が加入しているのみ。名称の統一はわかりやすくて良いことなので、大手自動車メーカーにもぜひ参画してもらいたいところだ。


ESC体験ドライブシミュレータ スイングアーム固定のヘッドマウントディスプレーを引き下ろして映像を見る形だ

空気の吹き出し孔 【動画】動作する様子

自動車開発の期間短縮を目的とした鷺宮製作所製「CVH 6自由度振動試験機」

 自動車部品の耐久性などを調べる振動試験機。鷺宮製作所は、6自由度を持つ製品「CVH 6自由度振動試験機」を展示、デモンストレーションを行なった。ちなみに同製品は6自由度の振動に加えて、日産のFFエンジンAssy搭載により、エンジン出力相当のトルク負荷(2軸)を与えて、8軸としている。アクチュエータなどの機構がむき出しで、ロボット系のメカ好きが見たらたまらない機器だ。


CVH 6自由度振動試験機。歩き出しそうな雰囲気 【動画】その動作の様子。上に乗ることができたら、かなり迫力のあるアトラクションになりそう

関東自動車工業の4輪駆動電動車椅子「Patrafour」

 関東自動車工業は、トヨタ製自動車用に、車椅子のまま後部座席に乗り込めるスロープなどの福祉機器を開発しているメーカーだ。また、同社は早稲田大学と協力し、人間共存型ロボット「TWENDY-ONE」の移動部分を開発している。同社は、多数のコマをかみ合わせて車輪を構成している仕組みで、車輪の向きを変えずに横方向へ移動可能な全方向車輪「WESN」を開発しており、それをTWENDY-ONEの移動装置として使用しているほか、4輪駆動電動車椅子「Patrafour」の車輪として使っている。ちなみに、Patrafourに乗せてもらったが、前輪が右左に方向を変えないのに曲がってしまうのは何とも不思議だった。なお、今回は展示されていなかったが、変形機構を搭載し、寝たきりの人でも立ち上がることのできるPatraもあるとのこと。


Patrafour 【動画】Patrafourの動く様子。前輪がまっすぐ前を向いたままなのに方向転換しているのがわかる 【動画】WESNが前進しながら横方向に動ける様子

KUKAロボティックスジャパンのレーザーアプリケーション用高性能ロボットアーム

 続いては、ロボットアームがいくつか展示されていたので、その働きぶりを紹介する。最初は、大型ロボットアームのKUKAロボティックスジャパン製「KR60 HA」だ。ポリテックジャパン社のスキャニング振動計センサを組み合わせたことで、レーザー溶接および切断、計測を世界で始めて自動化したという。デモでは、計測用の装備で、対象物を3方向からスキャンして計測を行なっていた。


KR60 HA 自らの意志でもって動いて、じーっと観察している感じがするような「顔」部分 【動画】計測の様子

ナカリキッドコントロールのロボットディスペンサ

 カワサキ製ロボットアームなどをベースにして、接着剤の線引き塗布などのシステムを開発しているのがナカリキッドコントロール。ロボットディスペンサたちの働きぶりを見させてもらった。当たり前といえば当たり前だが、その精密な動作ぶりをご覧あれ。


紫外線ですぐ乾くタイプの接着剤を塗布するロボットディスペンサ 接着剤で同社のロゴマークを描くデモを演じていたロボットディスペンサ 【動画】カワサキ製ロボットアームを使ったロボットディスペンサ。バイクのタンクにシーリングをするデモ

塗り絵感覚で測定できるファロージャパンの3次元レーザー測定器

 ファロージャパンが展示していたのが、ロボットアーム型の3次元レーザー測定器だ。「FaroArm Quantium」と「Faro GAGE PLUS」のふたつを展示していた。FaroArm Quantiumは、先端部分が銃型になっていて、それを対象物に向けてトリガーを引くと、レーザーが照射され、PCにスキャンしたデータが取り込まれ、3D画像が表示されていくという仕組みだ。Faro GAGE PLUSは、FaroArm Quantiumよりも小型で、先端部分はシャープペンシルのようになっている。同社のロボットアーム型3次元レーザー測定器は、ひとつの座標を基準にして計測を行なうので、一度にデータを取れなかった部分があっても何度でも行なえるのが特徴。塗り絵感覚で計測できるので、実に楽しそうであった。


Faro GAGE PLUS FaroArm Quantium

【動画】FaroArm Quantiumのアームの動き 【動画】塗り絵感覚でスキャニングする様子

クラッシュテストでお馴染みジャスティのダミー人形

 続いては、ロボットというわけではないが、人型をしていて身体の各所にセンサを搭載したジャスティのダミー人形を紹介。自動車のクラッシュテストに載せられ、フロントガラスを突き破ったりする高速度撮影の映像などでお馴染みのダミー人形である。立ち姿勢の男性型「HYBRID-III 50th 歩行者ダミー」、乗車姿勢の男性型「HYBRID-III 50th」、同女性型「HYBRID-III 5th」などが展示されていた。

 ダミー人形は、モデルは欧米人なのだそうで、日本人より手足が長いのだが、なぜか日本の法律では日本人体型のものを作る動きはないそうである。また、各自動車メーカーは何十体も所有しているそうで、まるまる1体の納品というのは数が少ないそうだが、最も負荷のかかる首のパーツなどが痛みやすいので、パーツの交換が多いそうだ。


乗車姿勢の男性型HYBRID-III 50thと女性型HYBRID-III 5th 立ち姿勢の男性型HYBRID-III 50th 歩行者ダミー 皮膚はベストのようになっており、背面にジッパーがある。内部骨格を見せてもらった

日立との共同開発で誕生したスバル「EyeSight」

 スバル(富士重工)の主力モデル「レガシィ」シリーズに登載されているのが、運転支援システム「EyeSight」だ。ステレオカメラを利用して前方の障害物をすべて立体的にとらえる仕組みを持っており、自動ブレーキで衝突事故の被害を最小限にするプリクラッシュセーフティや、設定した速度での一定走行や前車に追走するクルーズコントロールなどとも連動しているシステムである。車輌だけでなく、2輪車、歩行者などもすべて識別するほか、駐車場や車庫入れの際のアクセルとブレーキの踏み間違いなどをしてしまっても、障害物(壁など)がある場合はエンジン出力などをコントロールするという仕組みだ。開発は、日立製作所と共同で行なわれた。


EyeSightの中核をなすのが、このステレオカメラ 【動画】日立製作所ブースで流されていたEyeSightのムービーの一部。画像認識の様子がわかるはず

デンソーは研究開発中の画像認識技術でデモンストレーション

 トヨタ系の車載電子機器メーカーのデンソーは、「イメージマイニング」と名付けられた画像認識技術を展示していた。イメージマイニングは、ドライバーの周辺視野の対象物を認識して探索負荷を軽減し、快適で安全・安心感を与える車輌走行を実現することを目的とした技術だ。道路標識などを見落としてしまっても、ドライバーに変わって検出してくれるというわけである。また、その応用でパズルのピースの写真の内容から、全体の内のどの位置のものかを識別するシステムをデモとして披露。スキャン位置にピースを置くと、長くても1~2秒で認識され、モニタ上ですぐにどの位置のものかが示されていた。ピースは斜めだろうが逆さまだろうが関係なく認識され、また3分の1程度を隠しても問題ないという認識率の高さがアピールされていた。


【動画】道路標識を認識するデモ映像。商品化の際は、もっとスッキリした見せ方になるそうだ 【動画】ピースが全体のどの位置かを瞬時に認識するデモの様子

東芝は画像認識を2種類の用途で参考出展

 東芝が参考出展した画像認識技術を応用したシステムは2点。ひとつが、「出会い頭衝突防止支援システム」だ。非優先道路から優先道路に左折して合流する場合、ドライバーの意識として、優先道路の車の流れを見たいがために、右側ばかりを気にしてしまうもの。すると、左側から来る歩行者や自転車などに気がつかず、発進したら衝突してしまった、といった事故がある。そこで、左側の歩道をカメラで監視し、交差点に接近する歩行者や自転車の様子をビデオカメラ(歩行者・自転車感知センサー)でとらえ、画像認識技術で検出し、ETCなどで利用されているDSRC無線通信システムを介して情報を車(ドライバー)へ送って、事故を回避しようというのがこのシステムの狙いだ。

 もうひとつが、車の後方視認のためのミラーと置き換えようという「認識機能付き電子ミラー表示システム」だ。正面のインパネ部分にモニタを設置する形で、ドアミラーほど視線を動かす必要がなく、なおかつ画像に映った障害物(他車線の車輌など)を認識し、スーパーインポーズでその存在を警告するという仕組みだ。車線変更時に後方から接近してくる車輌などを認識しやすいというわけである。


【動画】出会い頭衝突防止支援システムで、歩行者や自転車が認識されている様子 【動画】認識機能付き電子ミラー表示システムで、他車線の車輌が認識されている様子

 車とロボットというと、あまり関係がなさそうなジャンル同士に思われるが、近年は車の電子化がだいぶ進み、徐々にロボット化しつつある。この次の大きなシステムはやはり自動運転だろう。現状で、スバルのEyeSightのようなシステムは各社から製品化されてきており、その兆しは見えつつある。モーターショーと異なり、車関連の技術のみを扱う同展示会は、今後の技術なども見ることができ、車のロボット化が進んでいることを肌で実感できる。毎年、無料で入場できるので、興味を持った方はぜひ来年以降、足を運んでみてはいかがだろうか。


URL
  人とくるまのテクノロジー展2008
  http://www.jsae.or.jp/expo/
  自動車技術会
  http://www.jsae.or.jp/

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( デイビー日高 )
2008/05/29 13:57

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