|
「第1回KONDO BATTLE」の出場者たち
|
2008年4月28日、二足歩行ロボット格闘大会「第1回KONDO BATTLE」が、東京・お台場のフジテレビオフィスタワー1F特設会場にて開催された。ゴールデンウィーク中とはいえ、平日昼間のイベントに23機が出場し、見事なバトルを繰り広げた。
この大会のルールはおおむね第13回ROBO-ONEに沿った形だったが、機体規格の制限はKONDO CUPオープンクラスに準じており、足裏の面積などがROBO-ONEに比べて緩やかになっていた一方、「KONDO製サーボモーターを使用していること」という縛りも設けられていた。ROBO-ONEをはじめ“格闘”のホビー二足歩行ロボット大会は数多く開催されているが、意外なことにKONDOが主催したオープンクラスの(つまりキットベースである必要がない)格闘大会はこの大会が初めて。今大会は記念すべき「第1回」となった。
● ROBO-ONEに劣らぬメンバーと内容のバトル
ROBO-ONEでは残念ながら参加資格審査のスロープで落下してしまい、リングに立てなかった「Nero(RMF-Nero)」は、古豪「Metallic Fighter」と対戦。「一度はリングに立とう」ということで出場したというが、安定した動きでこれを撃破。準々決勝で第11回ROBO-ONE総合優勝の「よこづなぐれーとしらぬい(ドクターギイ)」に敗れたものの、ポテンシャルの高さを見せた。
じつは今回、「Metallic Fighter」を操縦していたのは、製作者・森永氏の息子さん。当の森永氏は重量級に挑戦するデュアルサーボ機体「ヘビメタ」を駆ってトーナメントに参戦していた。機体の調整が間に合わず、デュアルサーボのうち片方しか駆動していない状態での参戦ということもあってか2回戦で敗退。全力を出した「ヘビメタ」を早く見てみたい。
|
|
【動画】Nero対よこづなぐれーとしらぬい戦。重く安定したNeroはROBO-ONEチャンプもよろめかせる
|
【動画】ヘビメタ対ガルー戦。しゃなりしゃなりとした歩きから一気に重心を落としてパンチを見舞うへびめた
|
イガア氏の「ナアガ」は、お正月のわんだほーろぼっとか~にばるで決勝に勝ち上がった実力者だ。この日も緒戦のautomo 03(holypong)を破ると、2回戦でrsv3(吉田ファミリア)も撃破。両手で相手をつかみに行くときの迫力もさることながら、つかんだところから数種類の投げが打てる技の多彩さも相手にとって脅威になっているようだ。これまでROBO-ONE本大会に未出場というのは、不思議で仕方がない。
ROBO-ONEの上位常連ながら、なかなか優勝ができない遊氏のivre-VIN。この日は“異形対決”だった「YOGOROZA(だうと)」戦に勝って準々決勝まで進むものの、前日のKONDO CUPでチームメイトだったなぐ氏「ぺんと」に敗れ、ベスト8にとどまった。長い手が目を引く機体だが、当然脚も長く、この脚を利用した攻撃が見られたのはとても面白かった。今までになかった、新たな攻撃パターンが生まれた瞬間かもしれない。
|
|
【動画】ナアガ対automo 03戦。automo 03は普通のロボットよりも、胴着を着ている分つかまれやすかったのが敗因か
|
【動画】ivre-VIN対ぺんと戦。ROBO-ONEでも足技でダウンを奪っていたivre-VINが、長い脚を活かして押し出す技を披露
|
|
【動画】さくら2号対クロムキッド戦。容赦のないパンチを浴びせるクロムキッドは、とてもやりにくそうだった。……ですよねぇ
|
吉田ファミリアチームの娘さんである、sakuraちゃんが操縦したのが「さくら2号」。ピンク色の機体はお父さんのrsv3で得たノウハウが詰め込まれた、見た目よりもずっと強力な専用機である。洋服も色をそろえるあたり、さすが女の子というべきか。1回戦の自律バトル機「BLACK TIGER NEO(IKETOMU)」に勝利したものの、2回戦はROBO-ONE軽量級チャンピオンを経験している「クロムキッド(くぱぱ)」。さすがに相手が悪かった。
今回唯一「自律でバトルする」機体だった「BLACK TIGER NEO(IKETOMU)」。相手を見つけると近寄り、パンチ。攻撃を放ったあとで距離をとることもある。起き上がりも自分で判定するし、何よりちゃんとバトルになっていたのがすばらしい。リングのフチを見るセンサがないためにリングアウトしてしまったりもしたが、ひたすらサーチしつつ、冷徹に攻撃する“ロボットらしい”姿には興奮した。
|
|
|
【動画】BLACK TIGER NEO対さくら2号戦。最後のほうでリング際に自分から寄ったのは、sakuraちゃんにセンサが反応したため
|
【動画】ランブルでは周囲に常にロボットがいるので、見失うことはないものの、複数の相手では対応しきれないようだった
|
【動画】数回に分けて行なわれたランブル。大型機が入ると数機でもリングが狭い
|
準決勝の第1試合では、よこづなぐれーとしらぬい対ガルー(くまま)。市販サーボを改造した“悪魔のサーボ”を搭載するよこづなぐれーとしらぬいのほうがパワーは優るが、長いリーチを持つガルーが、よこづなぐれーとしらぬいを寄せ付けず、序盤から試合の主導権を握る。間合いを詰めようとして飛び込むのだが、そのたびにカウンターを食らってしまい、最終的には3-0でガルーが決勝に進出した。
準決勝のもう1試合、ぺんと対クロムキッドでは、やはりリーチを活かすクロムキッドに対して、ぺんとがヒットアンドアウェイを狙う展開からスタート。飛び込めないと見ると、両腕を振り回す攻撃を見せるが、逆にぺんと自身がスリップダウンしてしまう結果に。結局ダウンを奪われたのは1回だけながら、4スリップで自滅してしまい、決勝進出はクロムキッドとなった。
本誌でもインタビューをしている通り、クロムキッドの「くぱぱ」氏とガルーの「くまま」氏はご夫婦。スパーリングも何度となく行なっている間柄のバトルだ。
わかっている同士だけに、技のタイミングが全く同じだったり、間合いの間隔も同じ。そんな中で、ガルーが自分の出したパンチの勢いを抑えきれずに転んでしまう場面が続き、ダウン数で不利に。お互いに積極的に攻めたものの、安定度の差が出たのか、最終的に6スリップでガルーが自沈。クロムキッドが優勝した。
くまま氏は「早いパンチを出すとバランスを崩すんですが、そこを調整し切れなかったのが敗因です」と語ってくれたが、この日のほかのバトルでは安定していただけに、ここ一番で安定できなかったのは残念だろう。
一方、夫婦対決で旦那さん、かつ両機の製作者であるくぱぱ氏はやりにくかったのかと思いきや、そんなこともなかったという。むしろ、さくら2号戦(2回戦)のほうがやりにくかったと教えてくれた。「ああ、あのときはくぱぱさんが悪者でしたからね」と筆者が相槌を打つと、くぱぱ氏は「いや、相手の機体が低かったんで、なかなかパンチが当たらなくて」と、あくまで内容の面でやりにくかったのだと、あくまで真面目に訂正してくれた。
KONDO BATTLEは「第1回」と銘打たれているが、特に定期開催する予定があるわけではないという。主催する近藤科学としては、自作機中心の格闘大会は他のイベントでもたくさんあるので、KHRシリーズ限定の格闘やもっと他で行なわれていない競技をフォローしていくつもりのようだ。ちょうど来月、6月7日~8日には、恒例の「KHR 4th Anniversary」が浅草ROXで開催される。ここではBLACK TIGER NEOが見せたような自律バトルなどの、新たな競技が開催される予定である。こちらも注目してみたい。
■URL
近藤科学
http://www.kondo-robot.com/
第1回KONDO BATTLE
http://www.kondo-robot.com/information/kondobattle.html
■ 関連記事
・ 「KHR 3rdアニバーサリー」開催(2007/06/05)
( 梓みきお )
2008/05/22 16:38
- ページの先頭へ-
|