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「KHR 3rdアニバーサリー」開催

~KHRで遊びたおす2日間

 秋葉原UDXのイベントスペース「AKIBA_SQUARE」にて、近藤科学株式会社のホビー用小型二足歩行ロボットキット「KHR」シリーズ発売3周年記念オーナーズイベント「KHR 3rdアニバーサリー」が、6月2日と3日の2日間にわたって行なわれた。

 「KHR」は経済産業省の「今年のロボット大賞」で優秀賞を受賞した小型二足歩行ロボット。大学での教材としても広く利用されている。これまでにKHRシリーズの累計出荷台数は7,000台。二足歩行ホビーロボットのなかでは、もっともメジャーなキットの1つだ。

 近藤科学では1年に1回「アニバーサリー」イベントを行なっており、KHRのユーザーたちが集ってロボット遊びを楽しむほか、これまでホビーロボットを知らなかった人たちへのアピールを行なっている。多くの自作ロボットが登場する他のロボット競技と違って、KHRシリーズ(KHR-1、KHR-2 HV、KHR-1 HV)が競技の主体となるワンメイク競技が基本のイベントで、無改造のKHRでも参加できる。そのため、初心者にも敷居が低い点が特徴だ。

 そのいっぽう、KHRをベースとしつつもさまざまなバリエーションのロボットが登場するのも特徴であり、KHRが持ち主次第で変化するキットであることを実感できるイベントとなっている。

 KHR誕生3年目となる今回も2日にかけて行なわれたが、それぞれ競技が異なり、初日はバトル大会、2日目にはロボットを操縦してサッカーを行なう「KONDO CUP」が開催された。

 リングも2つ、観客席の前に設置されたAステージと、左手に設置されたBステージが設置され、初日、2日目とも、それぞれのリング・コートで競技は同時進行で行なわれた。

 入場は両日とも無料。開放されたイベントスペースで行なわれたため、たまたまUDXを訪問した一般のお客さんも試合を覗いていた。ホビーロボットを初めて見た人も少なからずおり、会場後方に設けられたスポンサー企業ブースで話し込むお客さんも見受けられた。


会場の秋葉原UDX「AKIBA_SQUARE」 近藤科学代表取締役の近藤博俊氏 開会前に参加者たちで記念撮影

1日目・バトル大会

 初日はバトルが行なわれた。バトルは予選として行なわれた2m走のタイムに応じて、上位16台がAトーナメント、残りがBトーナメントと分けて行なわれた。Aトーナメントは観客席前に設置されたAステージにて比較的厳密なルールで行なわれた。

 それに対しBトーナメントは、1回戦は90cm四方のステージ上での4台でのランブル、その後も体全体を使う捨て身技も制限なし、基本的にルールなしの「野良試合」のような形式で行なわれ、これはこれで大いに盛り上がっていた。

 Bトーナメントの決勝戦はSLANさん製作「ANV-1」vs thinkmoverさん製作の「Think02」。ちょうど同じくらいの力のロボットのようで、どちらも譲らぬ闘いとなったが、最後は、先に綺麗な一撃を決めていた「ANV-1」が勝利をおさめた。KHR-2HVの足をベースにした「Think02」に対し、旧型であるKHR-1ノーマルの足をベースにした「ANV-1」が勝つという結果になった。新しいから強いとは限らないのである。

 いっぽうAトーナメント決勝戦はハイパーエアさん製作「ファイマン」vs ほりほりさんの「ホリ・ワン」。まだロボットを始めて1カ月程度の「ホリ・ワン」も善戦したが、とてもKHRベースとは思えない素早く、かつ安定した動きで「ファイマン」が勝った。こちらはROBO-ONEにも自作ロボットで出場しており、モーション作りにも馴れているだけあって、さすがの動きだった。同時に、改造とモーションの作り込み次第でまったく動きが変わる「KHR」というキットの発展性を感じさせた。


【動画】Bトーナメント決勝戦。「ANV-1」vs「Think02」 どちらも「KHR 1stアニバーサリー」の記念プレートをつけた機体 勝利をおさめたSLANさん

【動画】Aトーナメント決勝戦 優勝した「ファイマン」は「先週の日曜日に組み立てたばかり」という。KHRをベースに肩や膝など一部サーボをよりパワーのあるものに変えている 「KHRは良いキット」とコメントした

お父さんと一緒に参加した「ホリ・ワン」も善戦 入賞者たち

2日目・サッカー

オープンクラス2連覇した「エスプレッソスギウラ」
 2日目は、ロボットを操縦して行なうサッカー競技「KONDO CUP」である。今回は「学校対抗クラス」、大幅に改造したロボットや自作ロボットが出場する「オープンクラス」、そしてノーマルに近いロボットが出場する「KHRクラス」それぞれに分けて行なわれた。

 学校対抗クラスは学生対抗戦で、今回初めて設置されたもの。今後も拡大していく予定だという。「KHR」は学生にとってはかなり高価なキットだが、参加人数が増えてくればこれほど分かりやすく面白い対戦はないだろう。

 今回は、各クラスのチームを2つのリーグに分け、そのなかで総当りを行ない、勝ち点が高かったチーム同士で決勝戦を行なう形式がとられた。

 KHRクラスで前回優勝した「RFCバンブーブリッジ」、オープンクラスで優勝した「エスプレッソスギウラチーム」、それぞれから優勝カップの返還、そしてロボット代表の「ダイナマイザー」から選手宣誓が行なわれたあと、各試合が開催された。試合は午前中から始まり、夕方4時過ぎに、それぞれのリーグの決勝が行なわれた。

 「KONDO CUP」の結果は、学校対抗クラスの優勝が早稲田大学のWMMCチーム、準優勝は日本工学院八王子専門学校。オープンクラス優勝は「エスプレッソスギウラチーム」、準優勝は、「アニバーサリーマスターズ」チーム。KHRクラスの優勝は「RFCバンブーブリッジ」、準優勝は「ストッパー3」となった。各チームには賞品として、近藤科学の商品やQUOカードなどが贈られた。「RFCバンブーブリッジ」は、5連覇だが、今回でチームとしては解散するとのこと。


5連覇した「RFCバンブーブリッジ」チーム。緑色の機体とサッカーらしい連携プレーが特徴 ROBO-ONEでもお馴染みのロボットたちによる「四川会」チーム。やはり人気がある 迷彩服を着た「ギヤードキッカーズ」チームと、バルセロナカラーの「松ワールド」のロボット。松ワールドは個人参加。人数が足らない場合は近藤科学から追加で入る

学校対抗クラス。「日本工学院八王子専門学校」vs「小三元」の一コマ 「電気通信大学ロボメカ工房」チームは着ぐるみつき 「BLACK TIGER」を掲げるIKETOMさんは57才の最年長参加者。年齢問わず仲間と楽しめるという

【動画】オープンクラス、ぺんとによるキックで大きくボールが跳ねる ボールを掴んでスローインする「ストッパー3」のセイガ

 なお、今回は横移動モーションのときに片手を突き出して移動してたロボットに対し、レッドカードによる退場も出た。バランスを取るためにそうしていたとのことだが、もともと接触が多いサッカーでは、イエローをくらいそうなモーションは危険だ。また、腕の長いロボットが「ハンド」を取られることもあったので、腕が長いロボットの場合は、今後は腕を上げて移動するなど配慮が必要だろう。

 各クラスの決勝戦を振り返ろう。

 「学校対抗クラス」決勝は、「日本工学院八王子専門学校」 VS 「WMMC(早稲田大学)」という組み合わせ。日本工学院八王子専門学校は、「ロナウジーニョ」と名づけられたフォワードだけが積極的に攻撃する変則スタイル。それぞれのロボットがポジションを守るという意味では基本に忠実と言えるかもしれない。またロナウジーニョは一機だけで一試合で3点入れたこともあったという。

 いっぽう早稲田大学のWMMCはたくみにパスを回しながら移動して攻めていくスタイルだった。最後は相手の機体トラブルもあり、勝利はWMMC。


【動画:前半戦】【動画:後半戦】学校対抗クラス決勝戦。手前のチームが日本工学院八王子専門学校チーム、奥が早稲田大学 WMMCチーム 早稲田大学のWMMCチーム。サンプルモーションだけだったが連携プレーで優勝 対する日本工学院八王子専門学校チームは、頭の上に皿をかぶった「ロナウジーニョ」のみが攻撃するスタイル

 「オープンクラス」決勝戦は、家族でチームを組んでいる「エスプレッソスギウラ」vs、ガノア、フロスティ、ファイマンからなる「アニバーサリーマスターズ」という組み合わせ。こちらの試合はどのロボットも比較的動きが良くて実力伯仲。結局一点も入らず、延長戦となった。結果は、相手の一瞬の隙を見逃さず、しかも即座に的確な動作を繰り出せたエスプレッソスギウラチームの勝利となった。


【動画:前半戦】【動画:後半戦】オープンクラス決勝戦。手前が「アニバーサリーマスターズ」チーム、奥が「エスプレッソスギウラ」チーム 2連覇した「エスプレッソスギウラ」チーム 【動画】延長戦。一瞬の隙に即座に動くスギウラチーム

 ノーマルキットに近い状態のロボットが参加する「KHRクラス」は、本誌でも活躍中のライター陣たちから構成された「RFCバンブーブリッジ」VS「ストッパー3」。「RFCバンブーブリッジ」はこれまで4連覇してきた。それどころか負けたことがないチーム。無駄のない動きとチームワークが特徴のチームだ。いっぽうストッパー3チームも足が早く素早く移動できるロボットを擁し、移動速度ではバンブーチームを上回っていた。試合は一進一退となったが、よりうまくパス回しを行なったバンブーブリッジの勝利となった。

 これで「RFCバンブーブリッジ」は5連覇となった。しかも全試合通じて失点は今大会での「松ワールド」チームによる1点しかない。かなりの強豪チームだが、試合後、リーダーの石井英男氏から「5連覇を達成したので『バンブーブリッジ』チームは解散」する旨が発表された。チームは解散するがメンバーはそれぞれ個別に活動し、今後はKHRクラスだけではなく、オープンクラスへの発展含めて、「KONDO CUP」で活躍していきたいと述べた。これに対し解説の先川原氏は、「普通のおじさんに戻りたいということですかね」とまとめ会場を笑わせた。

 最後に近藤科学代表取締役の近藤博俊氏は「決勝戦は毎回、極めた人たちが出てくる。練習の成果だと思う。来年もKHRアニバーサリーをやる」と述べた。


【動画:前半戦】【動画:後半戦】「KHRクラス」決勝戦。手前が「ストッパー3」チーム、奥が「RFCバンブーブリッジ」チーム いったん解散するというバンブーブリッジ。全試合通じて失点は1点のみ 準優勝した「ストッパー3」も非常にいい動きだった

 なお、初日の休憩時間にはエキシビションマッチとして「プレス対抗戦」のサッカーが行なわれ、記者やライター、編集者たちがぎこちない手つきでロボットを操作した。4つのチームが出場し、結果は本誌「Robot Watch」とオーム社「ロボコンマガジン」のライター合同チーム「Robot Watch・ロボコンマガジン・チーム」が勝利をおさめた。そして筆者がMVPに選ばれて賞品として「KHR-2HV」を頂いた。これを使ってもっと記事を書けということだろうが、体験記などはまた後日とする。


解説の先川原正浩氏とMC小林光一氏 同じくMCの田中真貴子氏。3氏によるバランスのとれた軽妙なやりとりも会場を沸かせた

的確な分析をしていた解説の株式会社サンライズ井上幸一氏と、ツクモRobot王国の荒井店長 最後に参加者全員で記念撮影

URL
  近藤科学
  http://www.kopropo.co.jp/
  KHR 3rdアニバーサリー
  http://www.kondo-robot.com/html/KHR3rdANV.html

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二足歩行ロボットサッカー大会「第4回 KONDO CUP」レポート(2007/05/14)


( 森山和道 )
2007/06/05 00:09

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