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受賞者と審査員、最終選考に残った作品の製作者
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フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン株式会社は7月9日、同社の8bitマイコンを使った電子工作キットの競技会「第二回電子工作キット製作コンテスト」の最終選考会と表彰式を開催し、その模様を報道機関向けに公開した。
この競技会は、ものづくりの楽しさを通じて日本の科学技術力の維持向上に寄与するため、フリースケールが主催し、九十九電機が後援して昨年に始めたもの。優秀な作品は昨年と同様に、夏に開催予定の「フリースケール夏休み電子工作教室」の題材に利用される予定である。
審査にあたったのは、デンソー 専務取締役 情報安全事業グループ総括の加藤光治氏、九十九電機 代表取締役社長の鈴木淳一氏、フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン 代表取締役社長の高橋恒雄氏、同社CEポータブルグループ ジェネラル マネージャーの薄井明英氏の4名である。
最終選考会と表彰式は、東京・秋葉原のヒロセビル5階イベントホールで開催された。会場には最終選考に残った作品すべてが展示された。まず、この中から受賞作品を選ぶ選考会が開催され、作品の製作者は順次、審査委員に工作キットの内容を制限時間内で説明した。各説明の完了後、審査委員は別室で協議し、表彰作品を決定した。最終選考に残ったのは16作品。そのなかから最優秀作品1点、部門賞3点(初心者向け部門、中級者向け部門、上級者向け部門の各1点)、審査員特別賞1点、ツクモロボット王国賞1点が選ばれた。
最優秀賞を受賞したのは、「カラーフロッグ」(製作者:小寺匠氏)。カエル(フロッグ)の形をしたプリント基板を色の付いた紙の上に置くと、基板上の白色発光ダイオード(白色LED)が読み取った色と同じ色に光る。白色LEDで赤色、緑色、青色の3原色光を下方に順次照射し、反射光をフォトトランジスタで検出することで色を読み取る。読み取った色と同じ色を、基板表面の白色LED2本で光らせるしくみ。LEDが光ると、カエルの目が光っているように見える。さらに、カエルのように鳴くという大変ユニークな工作キットである。
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最優秀賞を受賞して挨拶する小寺匠氏。小寺氏は、昨年の第一回コンテストでは「一般向け教材部門賞」を受賞している
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最優秀賞の受賞作品「カラーフロッグ」の展示。カエルの形をしたプリント基板裏面には白色LEDとフォトトランジスタが取り付けてある
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色の読み取り原理を説明した図面
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「カラーフロッグ」の作品紹介とセールス・ポイントの説明図面。カエルの鳴き声に相当する音声を発生する機能を備えており、読み取った色に応じて音程を変えられる。異なる色の帯を並べた上を走査することで、楽曲を演奏することもできる
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初心者向け部門賞を受賞したのは、「Ir-Spider」(製作者:濱原和明氏)。小さなラジコンカーのリモコンをエミュレーションするキットである。リモコン基板には加速度センサーを搭載しており、基板を傾けることでラジコンカーを操縦する。ラジコンカーとリモコンとの通信には赤外線を使用した。
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初心者向け部門賞の受賞作品「Ir-Spider」の展示。なお製作者の濱原和明氏は、第一回のコンテストで「最優秀作品賞」を受賞している
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「Ir-Spider」の作品紹介とセールス・ポイントの説明図面
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中級者向け部門賞を受賞したのは、「遊歩ロボット・ニジーク」(製作者:川野亮輔氏)。二足歩行する小さなロボットで、赤外線リモコンで操作する。ロボットの上方には翼のような腕が2本突き出ており、リモコンでこの腕を旋回して体の向きを変えることができる。二足歩行にモーターを1個、腕の回転にモーターを1個使っていることから、2軸(にじく)をもじって「ニジーク」と名付けた。
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中級者向け部門賞の受賞作品「遊歩ロボット・ニジーク」の展示。なお製作者の川野亮輔氏は前回のコンテストで「小学生高学年、中学生向け教材部門賞」を受賞している
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「遊歩ロボット・ニジーク」の作品紹介とセールス・ポイントの説明図面
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上級者向け部門賞を受賞したのは、「“くもくんでゲーム機つくろうよ”」(製作者:飯塚連也氏)。USBアダプタ型の8bitマイコン開発キット「USBSPYDER08」をゲーム機器本体に見立てた携帯型ゲーム機である。ゲームディスプレイには小型有機ELディスプレイを使用している。
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上級者向け部門賞の受賞作品「“くもくんでゲーム機つくろうよ”」の展示。マイコン開発キット「USBSPYDER08」に押しボタンと有機ELディスプレイを載せた、非常にシンプルなデザインである。なお製作者の飯塚連也氏は、フリースケールの「68K/ColdFire アプリケーション・プログラム・コンテスト」で最優秀賞を受賞している
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「“くもくんでゲーム機つくろうよ”」の作品紹介とセールス・ポイントの説明図面
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また審査員特別賞は、「昆虫型 6足歩行ロボット」(製作者:山王丸浩昭氏と大湯健介氏)が受賞した。12個のサーボモーターを割り込み制御することで、6本の足を動かすロボットである。そしてツクモロボット王国賞は、「Rolling Mouse(ゴロゴロマウス)」(製作者:濱原和明氏)が受賞した。プラスチックの大きなボールがマウスになるという変わったキットである。ボールにはスイッチとして電界センサー、X軸およびY軸のカーソル移動用に加速度センサーを取り付けた。
このほか参考出品として、フリースケールの社員による作品が展示された。
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審査員特別賞の受賞作品「昆虫型 6足歩行ロボット」の展示。ノートパソコンと比べると、かなりの大きさがあることが分かる
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「昆虫型 6足歩行ロボット」の作品紹介とセールス・ポイントの説明図面
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ツクモロボット王国賞の受賞作品「Rolling Mouse(ゴロゴロマウス)」の展示。プラスチックの半球を貼り合わせて転がるマウスを作った
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「Rolling Mouse(ゴロゴロマウス)」の作品紹介とセールス・ポイントの説明図面
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フリースケールの社員が製作した作品の一覧
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■URL
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン
http://www.freescale.co.jp/
第二回電子工作キット製作コンテスト
http://www.freescale.co.jp/event/contest/8bit_2007.html
九十九電機
http://www.tsukumo.co.jp/
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( 福田 昭 )
2007/07/10 14:09
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