ロボスクエアで、ロボットパフォーマンス新作発表会開催
~福岡で黒田節ロボットとロボットダンスチームの初公開
12月23日、福岡市早良区百道浜にあるロボスクエアで、「ロボットパフォーマンス新作発表会」が行われ、黒田節ロボットやRobovie-Xを使ったロボットダンスが披露された。
●ロボスクエアのクリスマスイベントとして行われた発表会
今回の発表会は、ロボスクエアの冬休みクリスマスイベントとして実施されたものだ。毎年ロボスクエアでは、クリスマス前後に冬休みのイベントの一つとしてロボットイベントを行っている(2008年のクリスマスは、ヴイストンの二足歩行ロボット・ヴイストンティクノとアルクノンが登場した)。
しかし、今回は「九州発のロボット」ということをテーマとしており、いずれも九州に関わりのあるロボットによるパフォーマンスを披露するイベントとなった。
●黒田節ロボットが九州初公開
今回の目玉は九州初公開となる黒田節ロボットだ。黒田節ロボットは博多発のロボットを目指して、クラフトハウス製のメリッサ・エクシードをベースとし、頭部は博多人形師の臼杵康弘氏、衣装は博多織のデザイナー・天本誠司氏が担当したロボットだ。
黒田節ロボットのベースとなっているメリッサ・エクシードは、福岡市天神にあるクラフトハウスが製作した二足歩行ロボットで、近藤科学のサーボモーターKRS4014を24個とKRS2552を1個使用している。
脚部には九州ロボット練習会で開発されたリンク脚(製品名「メリッサ・マーキュリー」)、腕にはクラフトハウスが開発したハンド(製品名「メリッサハンド」)を使用した、九州での成果が盛り込まれたロボットとなっている。
この黒田節ロボットは、11月18日にロボスクエアで関係者のみに公開された後、11月25日から28日まで東京で開催された国際ロボット展2009で公開されて話題を呼んだ。そして今回のイベントがロボスクエアでの一般への初公開となる。
黒田節ロボットは、地元福岡のマスコミが集まった中、酒杯と槍を持った黒田節の舞踊をミスなく行い、来館した観客から拍手が起こっていた。
クラフトハウスの栗元一久氏に話を聞いたところ、「無事に終わってとにかくホッとしました」との感想が返ってきた。
実はハンドの調子がいまいちで、舞の途中で槍を落とすのではないかとひやひやしていたらしい。
実際には黒田節ロボットは何の問題もなく、九州での初お披露目を終えた。
黒田節ロボットは、これからはロボスクエアで1日に1回程度、舞を披露する予定である。
●Robovie-Xのダンスチーム登場
ロボスクエアでは、AIBOやROBO-NOVAのダンスが毎日のように行われ、来館者の人気を得ていた。しかし、さすがに機械的に古くなってきたことや、またロボスクエアオリジナルのパフォーマンスを開発したいとの意向もあり、新しいロボットでの新しいダンスが考えられるようになった。
そこでいろいろと検討した結果、ヴイストン社のRobovie-Xを使用することになった(ロボスクエア内にヴイストンロボットセンター福岡ロボスクエア店が存在したことも影響したようだ)。
またロボスクエアでは福岡市文化芸術振興財団の仲介で、福岡で活躍しているダンサーの真崎千佳氏にロボットの振り付けを、舞台音楽家の吉川達也氏にダンス用音楽の作曲を依頼。
ダンスチームはRobovie-Xを4台使用(特別な改造はなくノーマルのまま)。モーションは九州大学大学院生チームが担当した。
こうして出来上がったロボットダンスが、今回披露された「ボン・ヴォヤージュ 百道の海から世界へ」である。
水兵をイメージしたカラーリング(シールを使用)の4体のRobovie-Xが登場。ロボスクエアのある百道浜から出発し、途中で嵐に遭いながらも世界へと羽ばたいていくというストーリーを表現したダンスとなっている。ダンスは4台が連携した動きの他に、前転や側転などのダイナミックな動きを取り入れており、観客を飽きさせない工夫がなされている。
振り付けを担当した真崎千佳氏は、「ロボットにどんな動きができるのかが、まずわからなかった」そうで、Robovie-Xの動きの把握から始めなくてはならなかったそうだ。
作曲を担当した吉川達也氏も「ロボットがどれくらいの時間で手を挙げることができるのかがわからなかった」と、ごく基本的なことの把握から始める必要があったとのこと。
またモーション作成に関しても、ロボットが前転や側転などの大技を行った時にロボットの位置が大幅にずれるので、それをどう収めていくのかという苦労もあったらしい。
しかし、ダンスの振り付け側とモーション作成側がお互い意見を出し合う中で歯車が噛み合っていき、ここ1ヶ月で納得できるものになっていったという。
当日は真崎千佳氏と吉川達也氏も駆けつけ、ロボットたちのダンスを見守っていた。
ダンスが終了した後、真崎千佳氏は「ロボットに魂を吹き込めたのではないか」と語っていた。
これからRobovie-Xのダンスは、毎日ロボスクエアで披露されるとのことである。
●九州ロボット練習会のロボットもパフォーマンスを披露
今回のイベントは「九州発のロボット」がテーマということもあり、九州ロボット練習会も協力し、パフォーマンスを披露した。
最初に登場したのは、八幡高校の中村君が製作した拓歩だ。拓歩はJSRCに九州地区代表として参加するなどの活躍で他地域にも知られているが、今回披露したのは鉄琴演奏だ。
拓歩は両手にバチを装着し、「ジングルベル」「ドレミの歌」などの曲を鉄琴を叩いて演奏することに成功した。
次に登場したのは九州共立大学ロボット工房の3台のロボットだ。九州共立大学ロボット工房は、去年の12月から福岡県のあちこちでダンスを披露しており、今回もそのダンスを披露。音楽の入ったCDを忘れるというアクシデントはあったが(結局、パソコンから音楽を流していた)、息の合ったダンスを見せていた。
当日は地元マスコミの注目度も高く、その中でしっかりと九州発のロボット技術をアピールできたのではないかと思う。
鉄琴の位置あわせをする中村君 | 鉄琴を叩く拓歩 | 九州共立大学ロボット工房のダンス |
九州共立大学ロボット工房のダンスその2 | 【動画】「ジングルベル」を演奏する拓歩 | 【動画】九州共立大学の3台によるダンス |
12月27日にロボスクエアで行われる二足歩行ロボットサッカー大会のアピールもやっていた |
2009/12/25 17:22