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総合展示会「街づくり・流通ルネサンス 2009」レポート
~綜合警備保障の新型ロボ「An9-RR」など複数台のロボットが出展


セキュリティはロボットの活躍できる分野として複数の出展があった
 東京ビッグサイトで3月3日(火)から6日(金)まで、総合展示会「街づくり・流通ルネサンス 2009」が開催された。同展示会は、セキュリティ&セーフティの「SECURITY SHOW 2009」、建材や建築技術を扱った「建築・建材展 2009」、流通システムの「リテールテック JAPAN 2009」、店舗用総合展示会「JAPAN SHOP 2009」、照明の「ライティング・フェア 2009」、ICカードやRFIDなどの「IC CARD WORLD 2009」、それと1週遅れの10日(火)~12日(木)に開催される「フランチャイズ・ショー2009」も含めて多彩な展示会となっている。

 ロボットとは一見かけ離れているように見えるが、中でもSECURITY SHOW 2009は、複数のロボットを出展。しかも、初出のロボットも多かった。建築・建材展 2009やリテールテック JAPAN 2009などにも数は少ないが出展があり、意外とロボットのいる展示会だったりする。そのほか、最新のカメラシステムやモニターなどの最新製品も展示されており、面白かったものを合わせて紹介したい。


セキュリティや接客、検査などのロボット複数台が出展

 基本的にロボットの出展台数は少なかったのだが、今回が初出展というロボットが複数台あり、綜合警備保障の「ガードロボ」シリーズのように、セキュリティ分野にもロボットの進出が活発になってきている。一定ルートの巡回や、人には危険な場所での点検などは、ロボットに適していると思われるので、今後もっと増えてくることだろう。


・綜合警備保障の最新警備・案内ロボット「An9-RR」

 ロボットの一番手は、ALSOKこと綜合警備保障が2日に発表し、一般への公開は今回が初となる企業向け受付ロボット「An9-RR」(アンナインアールツー)だ。サイズは510×532×765mm(幅×奥行き×高さ)、重量35kgとなっており、同社のガードロボシリーズと比較すると、かなり小型だ。名称は案内を連想させる造語であると同時に、同社の9台目のロボット、9種類の機能を持っているというトリプルミーニングとなっている。RRは、Reception Robot(受付ロボット)の頭文字だ。

 外見は女の子型をしていて、頭部に帽子(カメラ付きなのでヘルメットに見えるが帽子だそうだ)、ピンクの上着に紺のスカートという出で立ちとなっている。タッチパネルを抱えていて、それで訪問者が社内の人と連絡を取れるほか、画像認識機能を有しているのであらかじめ登録と予約設定がされていれば、すぐに担当者に連絡をしてくれる。また、持ち運びできる子機(お母さんには見えないので (笑)、子機というより弟機?)も用意されており、簡単に設置可能なのでスポット的な監視をさせることもできる。子機は2台まで増設可能だ。今年5月から全国販売開始予定で、本体1台と子機1台のセットで4年契約のリースだと月額6万8,250円、購入だと289万2,750円。2日の記事に詳細をまとめてあるので、そちらもぜひ読んでいただきたい。


An9-RR。トリプルミーニングの名称だ An9-RRのリアビュー。スカート姿のOL風であることがわかる スカートの下部にある空間センサー

【動画】空間センサーで訪問者を感知してこちらを追いかけてくる様子 【動画】案内の様子。「いらっしゃいませ、パネルをタッチしてください」。スピーカーは手先にある 子機はカメラを構えている。ノートPCとのサイズ比較でわかるはず

子機はつり下げも簡単 オプションの入館証(ICカード)の発行機 各地で活躍中の同社の8台目のロボット・ガードロボC4も展示

・東京工業大学張研究室が新開発した移動型監視ロボット「bino3」

 今回が初出となるロボットの1つが、東京工業大学精密工学研究所の張暁林准教授の研究室で研究開発中の移動型監視ロボット「bino3」だ。同研究室で開発された3台目のロボットであることから、名称に「3」と入っているのだが、正確には指数の3である。人の眼球運動特性を生理学・解剖学的に解析・モデル化して工学システムにしている監視カメラシステムが技術的な特徴だ。約180度の広い視野と、注目部分の高い画像分解能(視力1.0相当)を両立させている点がまず1つ(そのため、合計4つのカメラを使用)。両眼協調運動とステレオ視による3次元視も実現している。また、ロボット自身の動きによって生じるカメラ画像のブレを前庭動眼反射で抑制している仕組みだ。

 移動に際しては床や路面にレールを施設したり、ラインを描いたりする必要はなく、所々ポイントとなる部分に目印となるもの(ブースではQRコードを利用)を用意すればよく、指定された目印を自分で見つけて位置の確認とルートの修整などを行なうようになっている。応用例としては、有人によるルート監視の置き換えがまず1つ。特に24時間の監視を必要とするような場合は、年間費用の面で有人監視より安価となるという。また、放射能や高温など危険性が高い環境や、狭隘な空間など人が物理的に入りづらい・入れない環境での監視も挙げている。


bino3。人間の眼をモデルにしたカメラシステムを搭載しているのが特徴 bino3を正面から bino3を側方から

bino3の顔のアップ 【動画】bino3の動作する様子 【動画】bino3のカメラの動作の様子

・成り代わりや共連れなどを防ぐグローリーのゲートロボット

 続いては、一般的なロボットのイメージとは異なるが、広範囲なインテリジェントなシステムという意味でロボットの範疇に属する、グローリーの「ゲートロボット」を紹介しよう。同社は、現金入出金機やカードシステム、セキュリティシステムなどを手がけている企業で、各種認証技術にも強い。今回参考出展されたゲートロボットは、認証済みの人物にくっついて複数名が通り抜けてしまう「共連れ」や、認証済みの人物のふりをして通過する「成り代わり」、内部の共犯者による「招き入れ」などを防げるシステムとなっている。システムとしては、まず共連れと招き入れは、共連れ検出センサーとゲート制御によって防止。IDカードの貸し借りや紛失などによる成り代わりは、顔認証による本人確認で防止している仕組みだ。背の高いゲートやフード構造を採用しているので、通路以外からの不正侵入ももちろん防げる。

 また、セキュリティが厳しいと、非常に通過に時間がかかってしまいそうなイメージがあるかと思うが、スムーズに通り抜けられるのもゲートロボットの特徴。顔認証にかかる時間はほんの数秒間だし、認識を済ませてしまえば、ゲートは素早く開くので、逆にあっさりとしているほどである。そのほか、バリアフリー対応なので、車イスでもスムーズに抜けられる形だ。


ゲートロボット。全高2mほど ゲートを正面から。ゲート自体は透明なのもあり、それほど堅牢なイメージはない 顔認証用のカメラ、入力用テンキー、ICカード用センサーなどが入口には用意されている

顔認証用カメラの反対側(左手)には監視カメラ 【動画】実際にICカードをかざして自分で通って抜けてみたところ。認証されればスムーズに抜けられる 【動画】女性スタッフの方の顔認証で通ってもらった。こちらもスムーズ

・トピー工業は新型の配管点検用小型ロボット「Minie S-1」(仮)を出展

 次は、建築・建材展 2009に出展していた、トピー工業の新型探索用ロボット「Minie S-1」(仮)。75mmの配管に入れるように設計された小型ロボットで、既に発売中の床下点検用クローラ型ロボット「Anie S-90」などと同様にクローラ型だ。80×64mm(奥行き×高さ)となっている。現在、下水管の耐用年数が切れ始めることが問題となっているが、特に人が入れないこうした直径の小さな配管の点検は困難を極めている。ファイバースコープなどを利用しているが、曲がっていたりするとそれだけで大変なため、こうしたロボットに期待がかかっている。Minie S-1はまだ仮称であることからわかるように、今回は参考出品なので、製品として発売になるのはもう少し先の予定だ。


Minie S-1(仮)。クローラとカメラが目立つ超小型ロボットだ 後方から。より一層クローラとカメラが目立つ 【動画】パイプ内を移動する様子

 また、こうした展示会で幾度も披露されているが、Robot Watchでの動画は初披露となる、Anie S-90の走行シーンもお見せしよう。同社がこうした展示会によく持ち込むジオラマを使っての走行シーンだ。Anie S-90は220×380×220mm(幅×奥行き×高さ)というサイズながら、最大85mmの段差をも乗り越えてしまう登坂力・不整地踏破能力を有している。パイプやコンクリの凹凸などさまざまな床下の段差をなんなく乗り越えていくたくましさをご覧いただきたい。そのほか、フリッパー(関節構造のあるクローラ)タイプの「S-92」も展示されていた。


Anie S-90 【動画】Anie S-90の走行シーン フリッパータイプのS-92

・PaPeRoが店員さんに!? NECの「PaPeRo&TWINPOS5500Si」

 続いては、流通システムの展示会リテールテック JAPAN 2009に参考出展された、NECの小型ロボット(チャイルドケアロボット)PaPeRoを使ったセルフPOS連携システムの「PaPeRo&TWINPOS5500Si」を紹介しよう。

 PaPeRoの流通向けの用途としては、食品成分など商品情報を買い物客に教えたり、買い物客の年齢に応じた内容のクーポンを発券したりと複数が想定されているが、今回出展されていたシステムは商店でのセルフPOSと連携したシステム。つまり、お客さんが自分で商品のバーコードをスキャナーにかざして会計するというシステムの操作ガイダンス役である。セルフPOSの始め方、商品スキャン、決済までの各種ステップの操作を、PaPeRoがかわいく説明してくれるというわけだ。今回は、同社が独自開発した「FieldAnalyst」という画像認識ソフトにより、PaPeRoのカメラを通して利用者の性別と年代を識別。性別と年代に合わせた会話をし、レシートも一部の広告がそれに合わせた商品になっているという仕組みである。

 ちなみに記者は、孔子の論語いうところの惑わない年齢まであと数カ月なのだが、PaPeRoは結構お世辞が上手なようで、「お兄さん」といってくれた(笑)。「これも追加しちゃおうかなー^^」なんて、余計なものまで買ってしまいそうである。実際に商品化される時期やおおよその価格については、PaPeRoがまだ開発中の製品であることもあって未定。ぜひ導入1号店で買い物をしてみたいものである。


PaPeRoとTWINPOS5500Siのシステム全景 【動画】PaPeRo&TWINPOS5500Siで買い物をしてみた様子 レシートの広告が試した来場者の性別や年代で異なる

 このほか、製品というわけではないが、画像処理やネットワークなどを業務とするブレインズブースでは、千葉工業大学、はじめ研究所、ACCESSと共同で開発し、ロボカップ世界大会2008のヒューマノイドリーグ Kid Size部門で3位となったヒューマノイド型ロボットCIT Brainsを展示していた。


CIT Brains ブレインズの担当は画像処理やネットワークで、ノートPCにCIT Brainsがとらえた映像が表示されている

会場で目を引いたカメラ&モニターたち

 SECURITY SHOW 2009で最も出展の多い分野といえるのが、監視用カメラ。どれだけ小型であるかということをうたっているところが多く、中にはスパイウェア系のものも。ここでは、旋回する様子だけで迫力がある大型のものや、軍事用途としても使われている超高性能カメラ(その分値段も超高額)などを紹介する。またリテールテック JAPAN 2009では、店舗のディスプレイ用のモニターが多数出展されていたが、バーチャル要素のあるもの、見た目の芸術性が高いものなど、最先端の製品が展示されており、見ていて非常に面白かった。続いては、そうしたカメラとモニターを紹介する。


・三井物産エアロスペースが取り扱っていた米FLIR SYSTEMS社製サーマルカメラ

 バーチャルリアリティー関係の製品も多く取り扱っている商社・三井物産エアロスペースが今回出展していた製品の1つが、米FLIR SYSTEMS(フリアーシステムズ)社製の警察や軍隊で利用されている高性能マルチセンサーカメラシステム「Ranger HRC」だ。サーマル(温度)カメラ、レーサー測距計、可視カメラを搭載し3連型になっているのが外見的な特徴。方位角計とGPSも搭載している。


Ranger HRC。本体の重さは20kg以上あり、3脚もかなりガッチリしている 本体のアップ 【動画】Ranger HRCの動作する様子

【動画】解像度。遠距離監視用なので、屋内だと近すぎ、天井の照明を撮影 【動画】サーマルモニタ。肉眼では見えなくても、すぐに犯人やテロリストなども発見可能 コントロール装置

・ミカミの高精度型超望遠カメラ旋回システム

 ミカミは、設置型の高精度型超望遠カメラ旋回システムなどを展示。最も大型なのが、光学86倍ズームの「PTH-9HS」だ。ちなみに光学86倍ズームとは、どのぐらいの性能なのかというと、1km先のクルマのナンバーも読み取れるほどだそうだ。しかも、1秒間に90度も旋回させられるという速さが特徴で、今回はその動きを披露してもらった。

 参考出品されていた「PTC-600」は、光学35倍ズームレンズと照明器(本来はオプション)による2連装となっており、こちらもまたいかついデザインだ。

 また同ブースでは、意外なところでロボットが活躍していた。ビジネスデザイン研究所の恐竜ロボット「PLEO」が、モデルとして活躍していたのである(かわいいからということで、PLEOにしたそうで、女性人気が非常に高かったとか)。何のモデルかというと、赤外線暗視カメラの性能を見せるためで、通常のカメラではまったく何も映らない真っ暗な画面でも、そのスムーズな動きがくっきり映っていた。近赤外LED照明器「IR-LD518」を装備した小型一体型旋回カメラ「PTC-113」を利用しており、照明器のように目立つことなく照射して対象の動画像を鮮明に撮影できるという仕組みだ。近赤外線の波長は870nm。

 ちなみに、同社の夜間監視システムLED照明装置は複数がラインナップされているのだが、中央にカメラ、両脇に近赤外LED照明器や白色LED照明器というタイプが多く、一見するとリアル系ロボット風味の顔や上半身などに見えなくもなく、個人的に「ロボット顔に見えるで賞」を送りたい(笑)。


【動画】光学86倍ズームの超望遠カメラのPTH-9HSの動作の様子 【動画】参考出展のPTC-600の様子。レーザーやらミサイルやらを発射しそうな雰囲気なのは気のせい? 活躍していたPLEO

PLEOを撮影する近赤外LED照明器IR-LD518を備えた小型一体型旋回カメラPTC-113 PLEOの近赤外映像 ロボットの上半身に見える1台、近赤外LED照明器「IR-LD224」装備の一体型旋回カメラ「PTC-108」

・テクノハウスの透明な円筒形の360度ディスプレイ「Litefast MAGIC」

 続いては、モニターを紹介。まずは、JAPAN SHOP 2009でブースを構えていたテクノハウスの360度周囲から見ることのできる円筒形ディスプレイ「Litefast MAGIC」(独Kinoton社製品)から紹介しよう。ディスプレイ内を高輝度LEDがついてバーが高速回転することで、鮮やかな標示と高い視野角を実現している仕組みで、なおかつ透明なのでディスプレイ内に製品などを置くことが可能となっている。DVI-D端子を備えており、PCを接続すればディスプレイに2面または3面で標示が可能となっている。解像度は、600×2,400ピクセルもしくは600×800ピクセル×3面だ。750×2,170mm(直径×高さ)、スクリーンサイズは2,484mm。

 また、その小型版の「Litefast MINI24」もあり、こちらは240×410mm(直径×高さ)、スクリーンサイズが700×160mm(周囲×高さ)というデスクトップサイズ。解像度は、682×160ピクセルで、静止画を最大25枚まで表示可能だ。専用ソフトでプログラミングし、プログラムとコンテンツは付属のBluetoothインターフェイス経由で本体メモリに記録させて標示させる仕組みとなっている。そのほか、独CREATIVE TECHNOLOGY社製の3D LEDディスプレイの「NOVA」も展示されていた。約40mmの球体状LEDを多数集めてつり下げてさまざまな形状にし、全方位に対してコンテンツをアピールできるという仕組みだ。ブースでは立方体に組み上げられていた。


【動画】Litefast MAGICを周囲から眺めてみた様子 Litefast MINI24 3D LEDディスプレイのNOVA

・エプソン&スリーエムブースの超薄型リアプロジェクションフィルム「Vikuiti」

 エプソンスリーエムの両ブースでコラボレーションという形でデモを行なっていたのが、スリーエム製リアプロジェクションフィルム「Vikuiti」(ビキュイティ)だ(エプソンはプロジェクター)。ガラスなどに貼り付け、後方からプロジェクターで映像を投影できる高輝度スクリーンなのだが、特徴は厚みがわずか0.3mmしかないこと。

 両ブースでは、女性の輪郭に切り抜いた透明なプラスチックか何かのボードの裏面にVikuitiを張り、そこに投影された女性が製品のアピールをしていたのだが、遠目に見ると少し違和感があるものの女性が立っているようにしか見えず、近づいて初めてスクリーンであることがわかり、横から見るとほとんど見えない(見えるのはボードの厚みのみ)という具合。フィルムの全面にマイクロビーズレンズを配列してあり、高輝度・高コントラストで日中でも問題ない非常に明るい映像を再現できるのが特徴。粘着剤付きなので、間仕切りや窓ガラスなどに直に貼れ、またデモの女性型のように好きな形にカットできるといったポイントもある。


Vikuitiのお姉さんの全身図 【動画】エプソンブースでのVikuitiのお姉さんの様子 【動画】こちらはスリーエムブース版

真横から。土星のリングのように、真横から見るとほぼ見えなくなってしまう 裏側から ちなみにこちらはエプソンの本物のお姉さん

 また、スリーエムブースには、ほかにも面白いフィルムや映像表示技術などもデモを行なっていた。その1つが、「スコッチカル フィルム」シリーズのデモ。同製品を利用した大画面のスクリーンの前で手を振るなど身体を動かすと、空間センサーが拾ったその動きの通りにスクリーンの映像の一部が拭い去られ、フィルム下に備えられているカメラからのスクリーン前の実映像が現れるという具合だ。ガラスの曇りを取って外の景色が見えるようなイメージである。

 もう1つは、参考出品の「ファサラ ガラスシェード 液晶フィルム」。自由に光透過をコントロールできるフィルムで、電源オンで瞬時に不透明(白色)から透明に切り替えられるだけでなく、電圧のコントロールで不透明さも加減可能なのが特徴。大規模な工事なしで既設のガラスに現場で簡単に取り付け工事ができ、ガラス飛散防止効果や遮熱効果もあるほか、プロジェクターのリアからの投影でスクリーンとしても使用可能だ。


【動画】スコッチカル フィルムシリーズの複合現実系デモ 【動画】ファサラ ガラスシェード 液晶フィルムの透明・不透明が切り替わる様子

・そのほか面白かったディスプレイやモニター

 三徳商事が取り扱う中国YES3D社製赤外線方式モーションキャッチシステム「Smart EYE」は、スクリーン上で直接触ってCGを操作できるというシステム。今回は、カード風のウィンドウの回転・拡大縮小を指で直接行なうことができた。仕組みとしては、スクリーン上方にセンサーが設置され、それで指の動きを把握して、CGにフィードバックするという仕組みだ。

 また、非常にきれいだったのが、ハナムラトレーディングの「GLAS LUCE」。鏡の中にディスプレイが埋め込まれている製品だ。サイズは最大で鏡のフレームサイズが1,230×845mm(幅×高さ)、ディスプレイサイズは47インチで1,040×585mm(幅×高さ)、解像度は1,920×1,080ピクセル。最小だとフレームサイズが600×450mm(幅×高さ)、ディスプレイサイズは10.4インチで211×158mm(幅×高さ)の解像度640×480ピクセルといった具合だ。大型のタイプは電源オフの時は姿見として利用できたりするし、小型の場合は鏡を利用しながらテレビを観たりといったこともできる。HDMI端子やS端子など一般的な映像入力端子のほか、アナログRGB D-sub15ピンも用意されており、PC用モニターとしても利用可能だ。


【動画】Smart EYEを操作する様子 【動画】GLAS LUCEのデモの様子

そのほか目を引いた製品や技術たち

 街づくり・流通ルネサンス 2009は、冒頭で述べたようにジャンルとしてはかなり幅の広い展示会が複数併催されており、そのほかにも目を引く製品や技術がいくつかあった。続いては、それらを紹介。


・有紀の電気いらずの自動ドア「オートドア ゼロ」

 自動ドアといったら、電気で動いているのはいうまでもないが、有紀の自動ドアは電気を一切使用しないのがポイント。ドアの前の一般的にマットが敷いてあるようなスペースに仕掛け=踏み台があり、そこに乗ると体重を利用したテコの原理でドアが開くというわけだ。基本は手動ドアなので、手を挟まれたりする心配もない。電気工事費不要、ランニング電気コスト不要、漏電・感電の可能性ゼロ、電磁波ゼロ、メンテナンスが非常に少なくて済むというメリットだらけとなっている。踏み台が沈み込むのは2cmほどなので、車イスなども問題なく通過できる。沈み込む感じはかなり注意していればわかるという程度で、ゆっくりしているためバランスを崩したりする心配もない。記者のように体重の重い人間でもまったく問題なく(開きだした瞬間はドアの速度がかなり速いが、すぐ減速する)、片開きの場合は20kgで動作するので、幼児など体重が軽い子供だと開けられないそうだ。

 ちなみに、どれぐらい導入費用と維持費の差があるかというと、オートドア ゼロの方が圧倒的に安上がり。自動ドアというのは通常、1年に1回のメンテナンスを行ない、10年目にはモーターを交換しないとならないそうで、10年間の合計費用は、導入費30万円、メンテナンス代5万7,000円×8年(2~9年目)、モーター交換&メンテナンス20万円(10年目)、電気代(1日200回の開閉として)1万2,000円×10年、初期電気工事費5万円を合計すると、112万6,000円。それに対し、オートドア ゼロは、導入費用60万円、3年ごとのメンテナンス(つまり、10年間の内には3回)3万円×3で69万円。導入初年度はオートドア ゼロの方がかかるが、5年目には自動ドアの出費が上回り、10年目には43万6,000円もの差がつくというわけだ。

 個人的に惜しいと感じたのは、デザイン性か。社内などで利用する分には問題ないかと思うが、アルミ製にしろ木製にしろ、店舗で利用するには、ちょっと野暮ったい感じがする。CO2削減にとても役に立ちそうなので、ぜひそうした部分を改良して、普及させてほしいところである。


オートドア ゼロ 【動画】オートドア ゼロの実演の様子 【動画】オートドア ゼロの踏み台が沈み込むところ

・防弾ガラスの強度を実感

 防犯・防弾ガラスもいくつか出展されていたが、実際に銃で撃って(小口径のハンドガン)、貫通しない様子を展示していたのが、中島硝子工業。同社は、NASAやペンダゴンのセキュリティを支える米シエラシン社の「OMNI」シリーズを国内でライセンス生産している企業だ。

 今回は、米国での防弾テストで実際に使用した「OMNI LITE」という製品を展示していた。同製品は、ガラス+接着用中間層+ポリカーボネート+接着用中間層+ガラスという3層構造を合わせ持つガラス。耐衝撃性に弱いが熱や化学薬品に強いガラスの芯として、その逆の特性を持つポリカーボネートを組み合わせて使っているというわけだ。弾丸は小口径の物だが、ポリカーボネート上で止められており、その防弾能力の高さを披露していた。なお、最も防弾性能の高い製品では、14.5mmのアーマーピアシング弾(徹甲弾)からも防御できるそうである。日本では、いくら物騒な世の中になってきたとはいえ、一般人がそうそう銃弾を撃ち込まれるような事態が起きることはないと思うが、ガラス破りの家宅侵入に対する防犯性も高いといえるので、こういう製品を普通に購入できるということを知っておいても損はないはずだ。


中島硝子工業のOMNI LITE。3発の弾丸すべてを受け止めている 3層構造。接着させている中間層がキモ ポリカーボネートがもっとぶ厚い物もある

・1kgの鉄球を1.2mの高さから落としても割れない防犯ガラス

 板ガラス協会を含む5団体防犯建物部品普及推進協議会のブースで行なわれていたデモは、来場者が実際に体験できる内容だった。1.2mの高さから重さ1kgの鉄球を落とし、通常のガラスやワイヤー入りガラスと、防犯ガラスの耐久性を比べるというものだ。通常のガラスはもちろん、ワイヤー入りですら1.2mの高さから1kgもの鉄球を落とされたらひとたまりもなく、派手な音と共にバラバラに。その一方で、特殊樹脂膜(スリーエム製)で2枚のガラス板を接着させた防犯ガラス「ハイレンド」は、ひびこそ入るものの、何回落としても割れない。同じガラスでも随分と防犯性に差があるところを見て取れるデモだった。


ハイレンドはひびが入っても砕け散らない 【動画】5団体防犯建物部品普及推進協議会でのデモ。ワイヤー入りのガラスでも簡単に割れてしまう 【動画】特殊コーティングガラスだと、ひびが入るだけ

 街づくり・流通ルネサンス 2009レポート、いかがだっただろうか。初出のロボットだけでなく、インパクトのある製品を紹介できたのではないかと思う。6日の金曜日は雨だったにも関わらず、来場者数は7万人を超え、全展示会の4日間の合計は23万6,740人と、非常ににぎわっていたのが印象的だった。来年は3月9日(火)から12日(金)まで同じ東京ビッグサイトで開催となっている。来年は、隔年開催のライティング・フェアの代わりに、「LED Next Stage2010」が開催される予定だ。


URL
  街づくり・流通ルネサンス 2009
  http://www.shopbiz.jp/


( デイビー日高 )
2009/03/10 17:36

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