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「わんだほーろぼっとか~にばる・ぷち」レポート
~紅白に分かれて秋のロボットぷち運動会


 2008年11月2日(日)、二足歩行ロボット“以上”のロボットが参加するホビーロボット競技会「わんだほーろぼっとか~にばる・ぷち」が埼玉県・草加市「草加ふささら祭り」内特設ブースにて開催された。


多脚ロボットも登場

 年2回開催されている、二足歩行ロボットによる競技会「わんだほーろぼっとか~にばる」。既存の二足歩行ロボット競技会とは微妙に違う競技と雰囲気もあってか、毎回参加申し込みが開始されると、1日もたたずに出場枠がいっぱいになってしまうほどの人気を誇るイベントである。

 今回は「ぷち」と題され、年2回のレギュラー開催の時よりも競技を減らし、「草加ふささら祭り」内のイベント「第2回草加ロボットフェスティバル」の1日目として開催された(2日目については別記事参照)。

 「ぷち」で実施されたのは、1m先のパイロンをまわって帰ってくる「ダッシュ! 2000」、カゴに荷物を入れて運び、重さと距離を競う「ボトルトラクション」、即席チームに分かれて5個の立方体をより多く自陣に引き込む「キューブ」の3競技。普段の“わんだほー”は、個人成績で順位を争うのだが、今回は紅組/白組に分かれて、チームでの勝利を競う形になった。また、主催者側の「お祭りなんで、いろんな形のロボットが見られたら面白いだろうな」という考えのもとに、参加機体のレギュレーションが「二足“以上”のロボット」となっていたため、多脚ロボットを含めた23機がエントリー。数を合わせるための助っ人ロボットを加えた24機が競技を行なった。

 普通のロボットイベントと違うのはそれだけではない。一般的なロボットイベントは屋内で行なわれるのが当たり前だが、今回はリングが特設テント内。バックヤードもテントという、ピクニック気分すら感じられる環境で行なわれた。幸いにも天気は快晴だったので、屋外であることが大きな問題になることはなかった。


右奥に見えるとがり屋根のテントが「第2回草加ロボットフェスティバル」会場のテント 控え室/整備ブースもテント ロボットビルダーに絶大な支持を得ている「ねじあさい」こと浅井製作所は草加が地元。ココでイベントが催される理由の1つ

6脚ロボットの「シグマ」(シマケン)。独特の動きは競技の動画参照 出場待ちで袖に居るシグマが子供に囲まれる。シグマに限らず、観客の子供たちはロボット全般に興味津々 簡単にひな壇も設けられたテント内は、ロボットが動いていれば常にこれくらいの人数が観戦していた

多足何するものぞ、と二足が頑張ったダッシュ! 2000

 最初の競技は「ダッシュ! 2000」。紅白にの1機ずつが走るものの、1/100まで争うダッシュ競技もある現在の二足歩行ロボットの世界にあって、走行レーンが分かれていないうえに「1/10以下切り捨て」というラフな計測で行なわれる。進路が重なることがあっても、譲り合いの心(?)で競技するあたりが、“わんだほー”の暖かい(ゆるい)雰囲気を如実にあらわしているといえるだろう。

 最初に登場した白組「GAT」(K)対紅組「サアガ」(イガア)は、巨大ロボ対小型ロボの凸凹コンビ。ROBO-ONEにこそ出場していないが、ここ最近さまざまな二足歩行ロボットイベントでで活躍しているサアガは、ここでもそのスピードを発揮。いきなり11秒という高速タイムを記録する。

 続く2組目の白組「ガルー」(くまま)対紅組「GY不知火」(Dr.GIY)では、不知火がほとんど横歩きを使わずに11秒を記録。紅組の2連勝で幕を開けた。

 白組の反撃は、3組目の白組「エンドレスさとぼ」(B作)対紅組のシグマから。6脚ロボットであるシグマと、かわさきロボット競技会に参加していたエンドレスさとぼという、多脚対決は今回注目の組でもある。段違いに速いことが予想されたエンドレスさとぼは、パイロンをクルリと一周余分に回るハンデを背負って1回目がスタート。シグマが勝利した。しかし、フィールドが狭いこともあいまって、ハンデがだいぶ厳しいということがわかったため、あらためてハンデをなくして再計測。2回目はエンドレスさとぼが10秒の最速タイムで勝利した。

 ダッシュで注目だったのは、わんだほーの常連で、毎回カワイイ機体を登場させてくれるカイン技師の「マヌイ」である。見た目重視の外見にかわいい歩行を想像していた観客のド肝を抜くような高速歩行で、なんと24秒(全体の9位)というタイムを記録した。

 ダッシュ! 2000では12組が走り、紅組が7勝、白組が4勝、引き分け1という結果。しかしタイムを基準にした上位10機では紅組6機、白組4機と僅差のまま、2競技目に進んだ。

 なお、動画に登場するロボット名は基本的に奥から順に記載している。


【動画】「GAT」対「サアガ」 【動画】「シグマ」対「エンドレスさとぼ」1本目 【動画】「シグマ」対「エンドレスさとぼ」2本目

【動画】観客のどよめきで驚きがわかるマヌイ(手前)の速さ。ゴールしたあと応援にまわるあたりも芸が細かい 【動画】最も僅差だった「MetalArthur」(Kuro)と「メカボンBRX」(みすみロボット研究所)の対戦。同タイム! 【動画】「VARIANT-I」(東京理科大学I部無線研究部)の変形シーン。きれいにサイコロ型になってしまう

“おみやげ”を積載した特別版ボトルトラクション

 2競技目の「ボトルトラクション」は、その名の通りペットボトルを制限時間内に何本、何cm(最大200cm)運ぶことができるかを競う競技である。重さ×距離で記録が採用されるために、多くの本数をある程度の距離だけ動かしたほうが、少ない本数を運び切るよりも得点が高くなることがある。だが、今回はお祭りということで、ペットボトルではなくさまざまな“おみやげ”をかごに入れ、150cmを運びきったらかごの中のものをもらうことができる、というルールに変更された。スタート後に荷物を減らすことは可能だが、積み増すことはできないというルールも同様である。

 となると、選手のほうは運び切れる重さでチャレンジするほうが“オイシイ”わけで、紅白のチームに対する貢献よりも、「欲しいもの」を積んでいたように見えたのは筆者だけだろうか。いや、それが正解なのだとは思うが。

 ウエイトは獲得されたら補充されないので、パワーのある機体(ROBO-ONEなどで実績を残している機体)からスタートすると、ごっそり無くなってしまう可能性がある。その対策もあってか、チャレンジは機体のパワーが小さい機体からとなった。

 いろいろ積んだものの、結局あまり運べずに“おみやげ”無しに終わる人も居れば、制限時間を大幅に残してゴールし、「もっと積めばよかった」という人も。“おみやげ”の中にある日本酒「惣右衛門」は、わんだほーに参加したフラワー戦隊ナガレンジャーの地元、山形県長井市の銘酒。誰が運び切るかと注目されていた(一部の参加者は「自分の番まで残れー」と念を送っていたとか)が、「奥さんに持って帰ります」という紅組「竜鬼II」(AZM LAB)が狙ってゴール。記録のほうも2.14kg×150cm=321と、全体の8位の好記録となった。

 結果的に全体の1位と2位が対戦することになったのは、最後から2番目の組である、YG不知火対ガルー。多くの機体が運び切ったために、ほとんどの“おみやげ”がなくなっていたことから、自前でペットボトルを持ち込んでの5.15kgを体全体で引っ張るYG不知火に対し、アルミ板や箱入りねじ(1箱で500gはある)を満載して5.51kgとしたガルーも力自慢の腕で引っ張る対決に。結果は両者150cmをクリアし、白組のガルーが826.50の記録でトップを獲得した。

 重い“おみやげ”ばかりではない。大量に用意されていた名物の草加せんべいをどっさり積み込んだGATは、記録こそ2.24kg×150cm=336(6位)だったものの、獲得した草加せんべいを観客に配り、やんやの喝采を浴びていた。

 最終的には17機が運び切ったものの、記録上位10機は紅組5機、白組5機とイーブン。総合成績ではわずかの差ながら白組が逆転し、総合で紅組256pt、白組258ptと発表され、最終競技に進んだ。


ボトルトラクションで運ぶための商品兼“ウエイト”。古本やアルミ板、日本酒もあり 【動画】普通に歩くよりもよっぽど安定していた「薬魔」(湘南工科大学ロボット技術研究会)と、時間ギリギリ(残り1秒)で運びきった「ガシャペリオンMk-II」(SLAN)の対戦 【動画】竜鬼IIは日本酒「惣右衛門」を楽にゲット。見た目重視モーションだったので「運べないかと思っていた」という「Kinopy」(小田利延)も時間ギリギリでゴール

【動画】多足ロボットがこういった競技でいかに強いかがわかるシグマ対エンドレスさとぼの試合。エンドレスさとぼの方はまったく苦労していない 【動画】見ているだけで力が入るモーションを持っているYG不知火対ガルーの戦い

勝負の分かれ目となったキューブは絵に描いたような結末に

 最終競技は3対3のチーム戦である「キューブ」。5個ある9cm四方の“キューブ(立方体)”を2分後に自陣により多く引き込んでいたほうのチームが勝利となる(ただし、キューブがフィールド外に落ちた場合はグレーゾーンに戻される)。2分間の途中経過は勝負に影響しないので、2分間、最後の最後までロボットがキューブを巡って入り乱れる戦いとなる。

 緒戦は白組のエンドレスさとぼが猛威を振るうものの、紅組の不知火も対抗して一進一退。時間切れが近づいたところで、角突き合わせる他の機体を尻目に、フィールドの端で地味ながら確実にキューブを運んだ紅組メカボンBRXと白組「薬魔」(湘南工科大学ロボット技術研究会)が1個ずつ自陣に引き入れてドロー。

 2戦目は、開始直後に紅組のサアガがキューブをまとめて引き込んでスタート。白組はNOVAGON(KENTA)やナガレイエロー(フラワー戦隊ナガレンジャー)がフィールドから落とそうと試みるものの、逆にフィールドから落ちたり落とされたりで、最後はチームメンバーがマヌイだけという状態に。3対1では状況を打開するのは難しく、紅組の勝利。

 逆に3戦目は、白組のガルーがキューブをまとめて運ぶモーションを見せて、全てを自陣に持ち込む。紅組の6脚ロボット、シグマも対抗するものの、巨大なGATにゆく手を阻まれ、追い詰められてフィールドから落ちてしまう。運び込んだキューブに番人のように控えたガルーはその後もキューブを守りきり、白組の勝利となる。

 ほとんど差がなかった2競技目までの結果から言っても、このキューブ4戦目で勝利したチームが総合優勝になるのは確実。なのに、開始直後からキューブとは関係の無いところでマノイオー(アニメイダー)とMetalArthurがバトルを始めるスタートに。肝心のキューブのほうは突進力のある紅組・竜鬼IIが運んだものを白組・Kinopyが抱えて奪って来る……という流れとなる。残り時間が少なくなったところで、VARIANT-Iが立方体(サイコロだけど)で待機していたのだが、本当に最後の最後で立ち上がってしまい、両チーム1個ずつのドローとなった。ちなみに審判はVARIANT-Iがサイコロのままだったらキューブとして数えた、と明言していたことを付け加えておこう。そんなむちゃくちゃな、と思うかもしれないが、それが“わんだほー”なのである。


【動画】キューブ1戦目 【動画】キューブ2戦目

【動画】キューブ3戦目 【動画】キューブ4戦目

次回“わんだほー”は2009年1月11日(日)開催

 ということで、最後のキューブが白組1勝、紅組1勝、2分けとなり、たった2点の差で白組が勝利した。勝利チームには特製メダルが授与され、個人総合でトップの得点を獲ったサアガの製作者イガア氏にはトロフィーが贈られた。

 「ゆるゆるな“わんだほー”を、さらにゆるくしたのが『ぷち』なんです」という、主催者の石川康弘氏。「堅苦しいこと無しで、みんなで楽しんで、面白かったねって帰ってもらえば」と、今回の企画意図を紹介してくれた。次回の“わんだほー”は、場所こそ未定ながら、来年1月11日の開催は決定しているとのこと。見学/観戦が楽しいのはもちろんだが、参加するとさらに楽しくなること請け合いのイベントだけに、ロボットを持っている人はぜひ参加してみては。


最後は紅白に分かれて結果発表を待った。総合成績は、2点差で白組(リング右側)の勝利 勝利チームに配られた記念メダル

URL
  わんだほー ろぼっと か~にばる
  http://www.page.sannet.ne.jp/y_ishikawa/wndrb/

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「第5回わんだほーろぼっとか~にばる」レポート
~ミセス対決、リターンズ(2008/08/05)



( 梓みきお )
2008/11/11 17:38

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