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第4回ナガレンジャー・ファイティングフェスタ in Summer 開催
~発祥の地で見えた「決勝出場権認定大会」の意義


 2008年8月30日、山形県長井市にある置賜生涯学習プラザにおいて、「第4回ナガレンジャー・ファイティングフェスタ in Summer」が開催された。前回、前々回のナガレンジャー・ファイティングフェスタと同様に、本大会も第14回ROBO-ONE決勝出場権認定大会であり、優勝ロボットは10月にパシフィコ横浜で開催される「ROBO JAPAN 2008」内にて行なわれる第14回ROBO-ONEにおいて予選演技&大会参加費が免除され、決勝トーナメントから出場することができる。

 全8大会の決勝出場権認定大会もすでに6大会が開催され、残すはこの第4回ナガレンジャーファイティングフェスタと、その翌日に福岡で開催される「第27回ヒューマノイドカップロボットバトル大会」となった。山形→福岡への1日での移動は不可能ではないが、なかなかに困難。参加者にとって認定権を獲得できる、ほぼ(?)最後のチャンスとなったこの大会。全国から34体のロボットが参加登録し、ひたひたと近づいてくるゲリラ豪雨をモノともしない熱戦が、長井の地を舞台に繰り広げられた。


今回から会場が置賜生涯学習プラザへと変更に。温水プールや体育館が併設されており、夏休み中の子供たちがたくさん訪れた ロボットの調整スペースや競技台が吹き抜けのホールに設置されており、気軽に観戦できる雰囲気に 今回も山形の美味しいお米や「出羽ぎゅう汁」などのグルメ、株式会社サンライズ 井上幸一氏のサイン入りPS2ソフト「バトル オブ サンライズ ~リミテッド エディション~」などがずらりと賞品に並ぶ

「やっぱりカルタは手で取らないとねぇ」が現実に?

 最初の競技は、ナガレンジャーFFと言えばこの競技! の「ロボットカルタ」。ROBO-ONEやナガレンジャーにちなんだ文章と画像で構成された、ほぼ人間の手のひらサイズの絵札が競技台いっぱいに配置される。司会者が巨大絵札を掲げながら文章を読み上げ、読み上げられた札に一部が接触した状態でロボットが停止し、かつ操縦者が「はい!」と発声したところで札を獲得したことになる。2枚の札を獲得した時点で勝ち抜けとなり、その順に次の競技「ロボットバトル」のトーナメント表にて、好きな場所を選ぶことができる。競技はゼッケン番号偶数組と奇数組の2組に分けて行なわれた。

 この「ロボットカルタ」、一見微笑ましい競技のようなのではあるが、そのハードルを上げているのが他の大会に類を見ない広大な競技台。とにかく札を早く発見する視力と、そしてそこへと到達する機動力が要求される。しかしながら参加ロボットが全体的に機動力を向上させてきた今大会、各ロボットが次々と札をゲットしては勝ち抜けていく、スピーディな試合が展開された。

 そしてスピードアップや歩行の安定性だけではない進化を見せてくれたロボットも。前回大会で「ロボットカルタ」の競技の様子を見て、審査員であるサンライズの井上氏がつぶやいた「やっぱりカルタは手で取らないとねぇ」の一言を、しっかり実践していたロボットがちらほら。中でも冨樫淳輝氏&ロボット「ランドーザー」のペア、腰のロール軸を用いて札を押さえつつ、反対側の腕を高々と上げるモーションで札をゲット。実はこのランドーザー、昨年2月の前回ナガレンジャーFF、そして今年6月に仙台で開催された知能ロボットコンテストではほとんど思うような動きをできていなかったロボットである。そのロボットが2カ月で見事なカルタ取りを見せてくれたことで、ますます「カルタは手で押さえロボットが手を挙げることで獲得」という新ルールが現実味を帯びてきそうである……。

 奇数組はくぱぱ氏&ロボット「クロムキッド」ペアが、偶数組は吉田ファミリア&ロボット「さくら2号」ペアが一番に2枚の札を獲得し、勝ち抜きとなった。


「ロボットカルタ」の競技風景を上から。競技台のサイズがかなり大きめなので、端の方にある札を見つけるのもなかなかの苦労。機動力がものをいう競技だ 【動画】そんな中で、小回りの利く機体の機動力を存分に生かして、競技台上を横断して札をゲットするくぱぱ氏&「クロムキッド」ペア、早い 発声こそしないものの、しっかりと札を押さえつつ手を挙げてカルタ取りをする冨樫氏&ロボット「ランドーザー」ペア。他にも森永氏&ロボット「メタリックファイター」ペアなどが手を挙げての札の獲得を行なっていた

大型ロボが広い競技台を存分に使って大活躍!

 「ロボットカルタ」に引き続き、全33体(1体棄権)のロボットによる「ロボットバトル」が行なわれた。とにかく広いこのナガレンジャーFFの競技台。前回までは競技台上にマットを敷き、そこからロボットの全身が出たところでリングアウトとなっていたが、今回はそのマットも取り払われ、サッカーフィールド全体が競技台となった。大型機にとってやや有利かと思われたこの競技台、その予想通り、大型機がその巨体を存分に動かすダイナミックなバトルが繰り広げられた。


普段のROBO-ONEのバトルリングの3倍はありそうな面積の競技台。無線が届かなくなり、ロボットのみならず操縦者までもが靴を脱いで競技台に上る光景も 【動画】1回戦目、KENTA氏&ロボット「ナガレゴールド」ペアと菅原雄介氏&ロボット「たま」ペアとの一戦。バトル開始早々、「たま」の不意打ち攻撃に会場全体が衝撃に包まれる。その衝撃に弱められてしまったが、「ナガレゴールド」の頭部のギミックも面白い、頭部対決 休憩時間にゆっくりと戻ってきた「たま」のあたま。子供たちがつかもうとするとふらふらと上昇し、大人気に

【動画】同じく1回戦、ひっきー氏&ロボット「こぐまたろう」ペアとオマタ氏&ロボット「だんだだん(ナガレシルバー)」ペアのキャラクターロボ対決。負けた悔しさのあまりか、勝負が着いた後にも「こぐまたろう」が「だんだだん」を追撃して、キックキック! の嵐 【動画】フミ氏&ロボット「銀雪」ペアと道楽、氏&ロボット「で・か~る」ペアの1回戦で、見事な巴投げ(?)を決める「で・か~る」。ちなみに「銀雪」の背中のマークはフミ氏オリジナルとのこと バトルとは打って変わって、非常にコンパクトなステージで行なわれた敗者復活戦のランブル。1回の転倒が命取りに

 ゼッケン番号偶数組と奇数組でそれぞれ準決勝まで勝ち上がってきたのは、偶数組は前回・前々回と連続して米を獲得し、今回も米を狙うくまま氏&ロボット「クロムキッド-verF」ペアと、吉田ファミリアの娘さんであるsakuraちゃんが操縦するロボット「さくら2号」。奇数組は巨体をふらふらさせながら不思議と倒れず、妙なプレッシャーを感じてしまうK(くぼ)氏&ロボット「GAT」ペアと、吉田ファミリアの父として負けられない、まだまだ手の内を見せていないようなモノアイのロボット「rsv3」ペアと、どちらも大型ロボ対小型ロボという図式に。実は準決勝までの間に夫婦対決も行なわれていた吉田ファミリアチームが、またしても決勝で家族対決となるのか?! それとも広い競技台を後押しに、大型ロボがそのパワーで押し切るのか!? まずは準決勝2試合の様子を動画でご紹介。


【動画】準決勝、「クロムキッド-verF」VS「さくら2号」の試合。小柄な機体と機動力を武器に「クロムキッド-verF」のリーチの中に潜り込み、足元へと何度も攻撃を行なう「さくら2号」であるが、倒れる気配のない「クロムキッド-verF」。逆に上から長い腕ではたき込むような攻撃を受け、転がされてしまう 【動画】「GAT」VS「rsv3」の準決勝。「さくら2号」と同様、相手の背後へと回り込みつつ足元への攻撃を仕掛ける「rsv3」であるが、こちらも全く倒れる気配のない「GAT」。この後、「rsv3」が1ダウンを奪うも、スリップダウンの差で「GAT」が決勝に進出

 ということで決勝戦は「クロムキッド-verF」と「GAT」の、この広い競技台が普通サイズに見えてくるような巨大ロボット対決となった。くまま氏は別ロボット「ガルー」で、先に行なわれていた「第5回わんだほーろぼっとか~にばる」においてすでに第14回ROBO-ONE決勝出場権を獲得しているのであるが、優勝の副賞は米10kgで準優勝だと米5kg、とナガレンジャーFFならではの大舞台で、ナガレンジャーFFならではのグルメをかけた大勝負となった。


【動画】「クロムキッド-verF」VS「GAT」の決勝戦、開始早々にそれまでスリップダウンのなかった「クロムキッド-verF」が、「GAT」の足元を狙った攻撃を外して転倒。その後はどちらも攻撃を繰り出すもダウンは取れない膠着した試合となり、タイムアップによりたった1回のスリップダウンで「クロムキッド-verF」が涙をのむこととなった 優勝&第14回ROBO-ONE決勝出場権を獲得した、K(くぼ)氏とロボット「GAT」。個人での大会の優勝は初めてということで、喜びもひとしお?


 このようにして、身長80cmの巨大ロボとは思えない安定した歩行を実現し、多少の打撃にはびくともしない重量感とインパクトで会場の注目を集めた、K(くぼ)氏&ロボット「GAT」ペアが優勝、米10kgと第14回ROBO-ONE決勝出場権を獲得した。10月の横浜でも、この迫力とダイナミックさを生かした活躍を期待したい。

 熱戦が続いたためにだいぶ時間が押してしまった「ロボットバトル」だが、それに引き続き4チームに分かれての「ロボットサッカー」が行なわれた。前回よりも10台ほど参加ロボットの増えた本大会、前回は1チーム4体のロボットが競技に参加していたが、今回からは1チーム5体のロボットが一度に競技に参加することに。ただでさえ大型ロボットの参加の多い本大会、さらに台数が増えたために、広く見えていたはずの競技台がロボットで埋め尽くされるような試合となった。

 トーナメント方式で行なわれた今回の試合、「チーム道楽」と「チームナガレイースト」の対決となった決勝戦も5分間の競技時間では勝負がつかず、勝負の結果はPK戦へ。PK戦では「チーム道楽」のリーダー道楽、氏とロボット「で・か~る」がリーダーとしての意地をかけてキーパーにキッカーにと大活躍。見事PKを決めて、2大会連続でサッカー優勝の栄冠を手にした。


【動画】際どいところで見事なゴールクリアを連発する、ゴールキーパーのオマタ氏&ロボット「だんだだん」 【動画】勝負を決める最後のPK。「で・か~る」が速度のあるシュートを決め、見事ゴール 「ロボットサッカー」優勝の「チーム道楽」。サッカー優勝の賞品は長井商工会議所青年部が開発し「平成鍋合戦」で優勝した、ビーフシチュー風の「黒牛のすねかじり 出羽ぎゅう汁」

 競技の後にはエキシヴィジョンマッチとして、世界初!「ロボットによるノーロープ有刺鉄線電流地雷爆破デスマッチ」が行なわれた。2面には電流が通された有刺鉄線、2面にはロープがなく下には地雷原が広がる危険な勝負。「たま」の操縦者の菅原氏が司会を、「だんだだん」の操縦者のオマタ氏がレフェリーを行ない、ひっきー氏&ロボット「こぐまたろう」ペア VS くぱぱ氏&ロボット「クロムキッド」のデスマッチが繰り広げられた。


プロレスリング上でにらみ合う2体のロボット。針金ではなく有刺鉄線(電流つき)、プチプチではなく地雷原、である 【動画】有刺鉄線に少しでもロボットが触れると激しい音とともに電流が! しまいには白煙まで立ち上る緊迫した勝負に 「こぐまたろう」が地雷原に落ちると同時に激しい地雷の爆発が!

ROBO-ONE常連にも負けない、山形発のロボットが熱い!

 ナガレンジャーFFも今回で4回目を迎えたが、今回の大会の様子を見ていると、地元ナガレンジャーチームや高校・大学生のチームの技術が回を追うごとに進歩していることがわかる。第10回ROBO-ONEが長井で開催されたことを受けて実施されることとなった地方大会でのROBO-ONE決勝認定権制度、その認定大会を地方で行なうことの意義が、まさに原点の地で開催されているナガレンジャーFFにて示されているのではないだろうか。


地元山形、フミ氏のロボットの「銀雪」。競技中は取り外していたが、肩部に怪しげな装置が…… 実はこの装置、コイル砲。使い捨てカメラのフラッシュ基板を用いた充電装置で300Vをコンデンサにため込み、一気にコイルに流すことで電磁誘導を起こして金属製の玉を打ち出す 【動画】コイル砲、発射の様子。本当は腕に取り付けてロボット自身が引き金を引いて装填するようにしたかったそうだが、重量の関係で断念。次回の大会が楽しみである

長井市で5月に開催される「ながい黒獅子まつり」の黒獅子を模したロボットも展示 【動画】黒獅子ロボットの動き、歯をかみ合わせるところなど、本当の獅子舞のようである

 このナガレンジャーFF、そして翌日に開催された「第27回ヒューマノイドカップ」をもって、第14回ROBO-ONEの決勝出場権認定大会はすべて終了し、認定ロボットが下記の通り決定した。

・RoBo☆CHAMPベイシティ杯: 認定ロボット「Cavalier」、えまのん氏
・ロボファイト7: 認定ロボット「ivre-VIN」、遊氏
・夏戦IV in RoboCountryIV: 認定ロボット「レグホーン」、NAKAYAN氏
・第5回わんだほーろぼっとか~にばる: 認定ロボット「ガルー」、くまま氏
・姫路ロボ・チャレンジ第6回大会: 認定ロボット「ヨコヅナグレート不知火二代目」、Dr.GIY氏
・第27回ヒューマノイドカップ: 認定ロボット「スーパーディガー」、ひろのっち氏
・ロボプロ競技会in私のしごと館Vol.4: 認定ロボット「rsv3」、吉田ファミリアチーム
・第4回ナガレンジャー・ファイティングフェスタ in SUMMER: 認定ロボット「GAT」、K(くぼ)氏

 地方での決勝出場権認定大会の開催によってROBO-ONE本選の決勝の舞台へと立つことになった、これらのロボットたち。それぞれの地方大会の思いを伝える競技を、本戦で見られることが楽しみになってくる。


URL
  第4回ナガレンジャー・ファイティングフェスタ in SUMMER
  http://www.nagai-cci.or.jp/robot/nff4.html
  フラワー戦隊ナガレンジャーの日々
  http://blog.livedoor.jp/fsn0601/

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( せとふみ )
2008/09/08 14:48

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