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大阪で二足歩行ロボットバトル大会「ロボファイト7」開催
~個性的なロボットが大集合!


 2008年5月17日、18日に大阪産業創造館でロボットフォースが主催する二足歩行ロボットバトル大会「ロボファイト7」が開催された。 関西を中心に、関東や九州からもロボットビルダーが集結、総勢90体のロボットがトーナメント形式でバトルを楽しんだ。

 初日には市販キットを組んだばかりのユーザーも気軽に参加できる「SRC(スタンダードレギュレーションクラス)」、2日目に第14回ROBO-ONE大会決勝トーナメント認定大会になっている「ORC(オーバーレギュレーションクラス)」が行なわれた。


大阪産業創造館 試合前の安全祈願

バトルだけではない二足歩行ロボットの面白さ

 「ロボファイト7」はバトルをメインにした競技会だが、参加ロボットの増加に従い、優勝以外にも楽しみを見出す参加者が目立ってきた。予選なしで全員がリングに立てるため、レギュレーション内でいかに個性的なロボットを製作するかにこだわる人たちだ。

 今回のゆるキャラ系No1は「キヌゴシ(製作者:コナーファ氏 大同工大ロボ研)」だ。見た目が巨大な「キヌゴシ」はKHRがベース。戦闘力アップのために発射体を搭載しようとしたが、メカメカしい機構をそのまま搭載しても「キヌゴシ」のコンセプトに合わない。そこで「キヌゴシ」に兎のパペットを持たせ、パペットが発射体を抱えているデザインにしたという。予想以上にパペットが似合うため、別バージョンのパペットも製作した。女の子は首が回り、クマは拍手、ライオンは口パクと、全て機能が異なる。結果として、戦闘力よりもネタ度が70%(製作者比)アップしたという。

 SRCの1、2回戦で敗退したロボットは、2×2バトルに出場できる。そのためネタ系・キャラクタ系のロボットは、2×2で本領を発揮することになる。ユニークなロボット達を動画と写真で紹介しよう。


【動画】「キヌゴシ(製作者:コナーファ氏 大同工大ロボ研)」 パペットが発射体を抱えている。パペットもコナーファ氏の手作りだ 演技部門に出演した「リッコ・デヤンス(製作者:りっこ氏)」

【動画】お人形さんのような「たぬたぬさんX(製作者:ほり氏)」も、パンダのぬいぐるみ「I'res(製作者:A4氏 大阪産業大学テクノフリーク部)」もロボットだ 【動画】「踊るカエルX(製作者:miuママ氏)」に、ハリセンしか攻撃手段がない「アームドール(製作者:K氏)」 キャラクタロボットだけを集めてランブルも実施した

正統派ロボットに半泣きでバトルを挑む「Tiroloppo(製作者:まさゆき氏)」 「Tiroloppo」の頭上の発射体は、本物のチロルチョコだ 【動画】一人ぼっちになっても頑張って戦う最小ロボット「春風(製作者:有紀ハル)」

 一方ORCにも、個性的なロボットが出場している。「続・直線番町(製作者:スキマ重工氏)」は頭に搭載した無限砲台で、相手を攻撃。ORCの第1試合では、「ゴーレムくん(製作者:人形つかい氏)」を容赦なく叩きのめしていた。

 今大会最大ロボットの「GAT(製作者:K氏)」は身長80cm、体重約4kg。巨大ではあるが、バトル重視というよりはお笑い系に走っている。ダウンするたびに、外装が剥がれ落ち“野球拳ロボット”というキャッチコピーが生まれていた。


【動画】「続・直線番町」から一撃を喰らいあえなく倒れる「ゴーレムくん」 【動画】巨大ロボット「GAT」。ダウンするたびに外装を脱ぎ捨てる。観客の期待を裏切らない野球拳ロボットだ 「GAT」とSRC最小人型ロボットの「春風」とツーショット

SRCバトルトーナメントは、大いに盛り上がる熱戦となった

 まず3位決定戦は「アフ・ロゥ(製作者:マサ吉氏)」vs「エクサFREEDOM(製作者:BIS氏)」。「エクサFREEDOM」がダウンを取られたうえにスリップしてしまい、3ポイントを失ったのだが、冷静にポジション移動し、「アフ・ロゥ」に対して両腕を大きく広げて抱え込んで投げ飛ばし、見事ポイントを奪い返した。しかしその後「エクサFREEDOM」のパンチを肩先でかわした「アフ・ロゥ」が、カウンターを放ってダウンを奪い返し、カウントが5-5のイーブンとなる。お互い1スリップも許されない状況の中、「エクサFREEDOM」が踏み込んでの投げ技を掛けようとするが不発。自爆スリップにより3位は「アフ・ロゥ」に決定した。

 決勝戦は「ジローちゃん♪(製作:motoぶちょう氏 大阪産業大学テクノフリーク部)」vs「フィアス'LL(製作:399氏)」の対決だ。RB2000ベースの小柄な「ジローちゃん♪」は、SRC最重量の「フィアス'LL」が腕を振り回すだけで吹っ飛ばされてしまう。だが、素早い運動性能を活かしながらリング内を動き回り、果敢に巨体に挑む。「フィアス'LL」の懐に潜り込み、投げ技を決めて場内から喝采を浴びた。その後、ダウンカウント5まで追い詰められつつ、「フィアス'LL」の後ろに回り込んで体当たりでダウンを奪ったものの、「ジローちゃん♪」自身もスリップダウンを取られKO負けに屈した。


【動画】3位決定戦の「アフ・ロゥ」vs「エクサFREEDOM」 【動画】決勝戦は「ジローちゃん♪」vs「 フィアス'LL」 【動画】「ジローちゃん♪」がスピードを活かして善戦したが、「フィアス'LL」のパワーに敗れた

ORCトーナメントも激しいバトルが展開

 第14回ROBO-ONE大会決勝トーナメント認定出場権が掛かっているORC(オーバーレギュレーションクラス)には、バトル重視のロボットが集まり、非常に見応えのある試合を展開した。

 3位決定戦は「クロムキッド(製作者:くぱぱ氏)」vs「ガルー(製作者:くまま氏)」。ROBO-ONEでも有名な夫婦対決だ。ロボファイト特有のルール、発射体を搭載しての出場だ。試合早々に「ガルー」が発射体を放つものの失敗。一方「クロムキッド」は「ガルー」のボディに命中させてカウントを取ったが、その後は「ガルー」が積極的に動き回って反撃。「クロムキッド」に連打を浴びせてリング際まで追い詰める場面もあった。しかし要所要所で「クロムキッド」が攻撃を決め、動き回る「ガルー」はスリップを重ねてKO。3位は「クロムキッド」となった。

 決勝戦の組み合わせは、「ivre-VIN(製作者:遊氏)」vs「cavalier(製作者:えまのん氏)」。両ロボットとも手足が長い大型重量機体だ。これだけ大きなロボット同士の対決になると、見ていて迫力が違う。客席までパンチの音が聞こえてきたほどだ。

 「ivre-VIN」は、前回ROBO-ONE大会の機体をベースに手先を軽量化して、バトル時のバランスを調整してきた。一方のえまのん氏は、これまでとは全く違うコンセプトで製作した新型機での参戦。えまのん氏は第1回ロボファイトからの参加者で、ROBO-ONE大会にも古くから参加しているが、これまで優勝など目立った戦歴はない。今回は「勝てるロボット」をコンセプトに絞って設計した。長い足はがっしりした構造で、パワー重視の「ivre-VIN」の攻撃にもびくともしない。逆に「ivre-VIN」を2回もリングから押しだして、見事に優勝した。

 えまのん氏は、GWに名古屋で開催された「ROBO★CHAMP」でも優勝しており、既に第14回ROBO-ONE大会決勝トーナメント認定出場権を獲得している。そのため、ロボファイト7での認定出場権は準優勝の遊氏が獲得した。

 上位と面白かったバトルを写真と動画で紹介する。


【動画】3位決定戦の「クロムキッド(製作者:くぱぱ氏)」vs「ガルー(製作者:くまま氏)」。序盤の発射体合戦がどこかほのぼのしている 【動画】決勝戦の「ivre-VIN(製作者:遊氏)」vs「cavalier(製作者:えまのん氏)」。重量級の迫力あるバトル 【動画】敗者復活戦決勝。「HAUSER(製作者:クラフトマン氏)」vs「Robobie-XSF(製作者:zeno氏)」。HAUSERが素早く動き回って善戦したが、重量差で「Robobie-XSF」の勝利

【動画】「コーネリアス(製作者:HIDE氏)」vs「YOGOROZA(製作者:dauto氏)」。試合開始早々「YOGOROZA」の右腕が脱落。だが、不利な状況を抜群の操縦技術でカバーして勝利した 第14回ROBO-ONE大会決勝トーナメント認定出場権を獲得した遊氏 ORC入賞者達

ロボファイトの魅力

主催者の岩気裕司氏
 世の中には格闘技を好きな人がいる一方で、生理的に拒絶反応を示す人もいる。イベント主催者から、「ロボットコンテンツを実施したいが、格闘技は教育的にどうも……」と難色を示されることもあるらしい。


 ロボファイトに限らず二足歩行ロボットバトル大会が、ニュースなどでスポット的に紹介される時には、トップレベルで活躍したロボットや製作者に焦点が集まる。そして記事も「二足歩行ロボットが激闘!」だったり「白熱のバトル」などという大いに盛り上がるタイトルになる。もちろん、今回紹介したように決勝戦ともなればロボットの性能も高く、迫力あるシーンを見ることもできる。

 けれど、それが事実の全てかというと「微妙」であると言わざるを得ない。現在のロボットバトルは記事内で紹介したように、実際はかなりほのぼのとした試合内容になっている。大きいロボットが小さいロボットと戦う時には、そ~っと攻撃したり一瞬で試合を終わらせないなど、暗黙のルールも参加者の中にある。それは“バトル”ではなく“コミュニケーション”を第一に楽しんでいるからに他ならない。

 だから、ロボファイトはバトル系ではない人達の参加も多く、リング外でも積極的に交流を楽しんでいる。親子で参加している常連メンバーもいるし、高校の部活でロボットを作っている参加者もいる。イベントは、幅広い年齢層が“ロボット”というツールを通じて、情報交換やコミュニケーションをする場だと理解して欲しい。

 実際、市販キットが充実してきたとはいえ、二足歩行ロボットで遊ぶのは初心者にとってそれなりにハードルが高い。だからこそ、こうして楽しく情報交換する場が必要になる。

 ロボットイベントや展示会というと、必ず「子ども達の理科離れを懸念して……」と言われるが、大人が本気で楽しみながらロボットを操縦している姿を間近で見て、「すごい! 面白い!!」とワクワクするのは、子供たちにとって一番吸引力があるのではないだろうか。

 次回は8月9日(土)に同じく大阪産業創造館において、初心者を対象としたロボット交流会「ロボゴング8」が開催される。親子で楽しめるロボットイベントを、ぜひ見てほしいと思う。見学は無料だ。


JRブース FUTABAブース KONDOブース

URL
  ロボットフォース
  http://www.robot-force.jp/

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( 三月兎 )
2008/05/23 00:09

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