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小学生~高校生が参加する自律型ロボット競技会「ロボカップジュニア」
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3月30日、大阪市住之江区南港のATC・ITMホールにおいて、ロボカップジュニア関西ブロック大会が開催された。
ロボカップジュニアは、小中高生が競技参加を目指してロボットを製作する過程で、科学技術を学び、プレゼンテーションや国際協調を目指したコミュニケーションを体験する総合学習を目的としている。競技種目は、サッカーチャレンジ、レスキューチャレンジ、ダンスチャレンジの3種目がある。ロボットは全種目センサ等で動作する自律型だ。小学生~中2までが参加するプライマリ部門、中3~高校生までのセカンダリ部門に別れている。
今大会には、大阪、堺、京都、滋賀、北近江、北近畿、南兵庫の各地区予選(ノード大会)を勝ち抜いた105チームが参加。GWに沼津市で開催されるジャパンオープンへ出場するチームを選抜した。
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ロボカップジュニア関西ブロック大会 開会式
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パドックでは、ロボットの最中調整に余念がない
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レスキューチャレンジの練習風景
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● 激戦の「サッカーチャレンジ」
1チーム2台のロボットが、赤外線を発するボールを使ってサッカーをする。試合は、決勝トーナメント準決勝以上が7分ハーフ、それ以外は5分ハーフで行なわれた。フィールドは白~黒のグラデーションになっており、ロボットは地磁気センサとカラーセンサを併用して自分のポジションとゴール方向を判断している。
サッカーチャレンジは、プライマリ部門50チーム、セカンダリ部門に13チームの参加があった。4~5チームで予選リーグを行ない、決勝トーナメントに進出するプライマリ16チーム、セカンダリ8チームを選出した。各リーグの1位は当確。リーグ2位~3位のチームを勝点で比較し上位チームが決勝トーナメントに進んだ。
プライマリ部門は、準々決勝まで進んだ4チームのうち3チームが予選リーグを全勝で勝ち上がっていた。唯一、予選で3勝1敗だった「ARUMAZIRO」は、決勝トーナメントの1回戦でCリーグ1位の「マイペース」、2回戦でDリーグ1位の「ドラちゃんズ2」と、予選全勝2チームを破って勝ち上がってきた。しかし残念ながら、準決勝で「ドリーム」に6-12で敗れた。
もう一方の準決勝は「ARUMAZIRO」と同じリーグで全勝1位の「ROM」と「AIRS(エアーズ)」の対戦。6-8と僅差で「AIRS(エアーズ)」が勝利した。
決勝戦のドリーム VS AIRS(エアーズ)の対戦は、7-9で「AIRS(エアーズ)」が優勝した。スコアだけを見ると点の取り合いだが、実際のところは、「AIRS(エアーズ)」が前半だけで4得点オウンゴールで失点している。どうやら地磁気センサが誤動作してロボットが真後ろを向いて、ボールをキックしてしまうらしい。ロボットの運動性能では他を圧倒していたので、ジャパンオープンまでにプログラムの修正をし、万全の体制で挑んでほしい。
セカンダリで優勝したのは「nebula」。フォワードの白猫ロボット(名前はミケ)の地磁気センサが不調で、フィールド外に出て調整することが多かった。もう1台の黒いロボットがフィールド内を攻守切り替えて走り回り、2対1のハンデをものともせずにトーナメントを勝ち上がってきた。
黒いロボットの製作者は、昨年アトランタで開催されたロボカップジュニア2007で予選リーグを含め全勝し、優勝したキャリアの持ち主だ。今年の機体は、車輪のオムニホイールを卍に配置しボディサイズを小型化し、小回りが利くように設計したという。チームメイトのミケと共に本来の性能を発揮できれば、「nebula」は今年のジャパンオープンでも活躍するだろう。
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サッカーチャレンジの予選は、プライマリ10リーグ、セカンダリ3リーグで実施した
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プライマリの3位決定戦。センサで自律移動するロボットがサッカーで競う
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【動画】プライマリ決勝戦。オムニホイールで自由に動き回るロボットたち
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【動画】セカンダリ決勝戦。黒いロボットが攻守ともに活躍していた
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【ジャパンオープン出場チーム】
・プライマリ
1位 AIRS(エアーズ)[大阪ノード]
2位 ドリーム[大阪ノード]
3位 ROM[大阪ノード]
4位 ARUMAZIRO(アルマジロ)[大阪ノード]
・セカンダリ
1位 nebula[大阪ノード]
2位 mink[大阪ノード]
● 難易度が高い「レスキューチャレンジ」
ロボットが4つの部屋を探索し、被災者発見などのミッションをクリアしながらゴールまで走破する競技。ゴールが近づくにつれてミッションの難易度が次第に上がっていく。
まず最初の部屋には黒いラインがあり、ロボットはラインをトレースして進む。2つ目の部屋は、ラインが一部とぎれていたり、カーブがきつくなっている。また、ライン上に障害物があり迂回して進まなければならないポイントもある。3つめは部屋というよりも斜面だ。斜面の途中にもカーブがある。このラインの途中には、被災者を模した人型のマークがある。マークは緑と銀色の2種類で、反射率が異なる。ロボットは被災者を発見した時には、マークの上で2秒以上停止してランプを点滅させ、被災者発見の報告をしなくてはならない。最後の部屋には、ラインがなくロボットは完全に自律で部屋の中の被災者を発見した上で、ゴールに向かう。
上記のような被災者発見、とぎれたラインのクリア、障害物迂回などのミッションをクリアする毎にポイントが加算される。ロボットが停止したり、被災者発見の誤報告をすると減点される。かなり難易度の高いチャレンジだ。プライマリに26チーム、セカンダリに12チームがエントリーした。
レスキューチャレンジは、午前中に試走会を行ない、午後の本走行を実施した。本走行の順番は、試走会の上位から自分の好きな順番を選択できる。つまり昼休みから本走行までの間に、ロボットの調整を行なうのだ。ちなみにロボカップジュニアでは、選手がロボットを調整するパドックには、保護者は入室できない。参加者は自分のロボットの調整もプログラムのデバッグも全て自分自身で行なっている。
プライマリは「ステッピー7」が試走会でポイント138、本走行はポイント180で優勝した。「ステッピー7」の製作者は、昨年、夏休みの自由研究で掃除ロボットを作ったのがロボット初体験だという。そのロボットをベースに改良を重ねてレスキューロボットを開発した。ロボットの名前は、ステッピングモーターを使用しているので“ステッピー”、7は7号機の意味だ。「今回のルールに対しては満足できる性能なので、2008年ルールの公開後、ミッションに対応できるようにプログラムをバージョンアップしたい」と、製作者はジャパンオープンに向けて抱負を語った。
惜しかったのは、試走会でポイント135で2位につけていた「T.F*5」だった。「T.F*5」は、坂道検知センサを搭載し、斜面ではモータの出力を変えて登坂速度をアップしていた。試走では、これがしっかりと機能してタイムも4分34秒よい記録を出していた。だが、本走行では坂道検知がうまく働かずその性能が発揮できなかった。実力のある機体だけに残念だった。来年のチャレンジを期待したい。
セカンダリは「匿名希望」がポイント105、タイム5.24で優勝した。「匿名希望」は、ダイセン工業の自律型ロボットキット「Top Junior3」をベースにしたロボットだ。タイヤが滑って坂道が上れなかったため、滑り止めにシリコンシートをつけたり、反射率の低い緑の被災者を発見するためにカラーセンサを追加したり工夫しているという。
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【動画】プライマリ優勝の「ステッピー7」。競技中、観客から「満点でクリアね」と感嘆の声が上がっていた
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坂道で苦戦した「T.F*5」。プレゼン資料も充実していた
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セカンダリ優勝の「匿名希望」
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【ジャパンオープン出場チーム】
・プライマリ
1位 ステッピー7[大阪ノード]
2位 にわとり隊[大阪ノード]
・セカンダリ
1位 匿名希望[大阪ノード]
● 創造性とプレゼンテーションが問われる「ダンスチャレンジ」
ロボットと人が、6×3.6mのステージ内で音楽に合わせて2分間のダンスを行なう競技だ。競技前に、個別でダンスのテーマや、ロボットの性能・プログラムについてオリジナリティをアピールするインタビュー審査がある。
ステージ上でも、ロボットの自律性能やダンスの演出だけではなく、演技前のロボットや小道具のセッティングをする準備段階から、演技後の審査員との質疑応答までが審査対象となる。プログラミングや創造性だけではなく、プレゼンテーション能力も問われる競技だ。プライマリ、セカンダリにそれぞれ2チームが参加した。ダンスチャレンジは、プライマリとセカンダリの区別をつけずに順位を決定する。
優勝したのは、セカンダリの「スウィング」だった。「スウィング」のテーマは、楽しく歌って踊ることだ。女の子ロボット“アンディ”が製作者が一緒にトランペットを吹くと、ペットのネズミ“たくや”が庭を走り回る。
アンディは曲に合わせて手を動かし、トランペットを吹いたり手拍子をする。たくやはライントレース中に、赤いハートを見つけると立ち止まって、しっぽのLEDを光らせながら頭を動かす。しっぽと耳はラダーチェーンで連動、カムで頭と手を連動させるなど少ないモーターで複数のモーションを作っている。
製作者は、「背景にLEDを仕込むなどロボット化、アンディのモーションをもっと大きくするなど改良したい」とジャパンオープンへの意気込みを語った。
2位の「RobotMate」は、猫踏んじゃったの曲に合わせて、庭に忍び込んだネズミの周りを猫が走り回って追い払うダンスを披露した。ネズミには、96個の赤外線LEDを搭載。猫ロボットは、タイマー制御ではなく赤外線センサでネズミの位置を感知して走る完全自律型ロボットだ。技術的なチャレンジに意欲的に取り組んだ点が審査員に評価された。
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優勝した「スウィング」。音楽とダンス、ロボットの動きのタイミングがばっちりだった
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「RobotMate」のセンサを活用し完全自律ロボットに挑戦した
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「ショコラ」はおしりかじり虫の曲に合わせて、かわいいダンスを披露
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【ダンスチャレンジ】
1位 スウィング[大阪ノード]
2位 RobotMate[大阪ノード]
3位 ショコラ[北近畿ノード]
● GWにロボカップジャパンオープン2008開催
ロボカップジャパンオープン2008は、5月3日~5日に静岡県沼津市で開催される。会場は、キラメッセぬまづ(静岡県沼津市大手町1丁目1-4)と、沼津市民体育館(静岡県沼津市高島本町1-4)の2カ所。ロボカップジュニアは沼津市民体育館で実施する。入場料は、前売1日券1,000円/当日1日券1,200円、未就学児童は無料。
ロボカップジュニアはそれぞれの競技で各部門上位3チームが、7月に中国の蘇州で開催される「ロボカップ2008」に出場する権利を得る。
■URL
ロボカップジュニアジャパン公式サイト
http://www.robocupjunior.jp/modules/news/
ロボカップジャパンオープン2008
http://robocup-numazu.com/
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・ ロボカップ ジャパンオープン2007 大阪開催(2007/05/24)
( 三月兎 )
2008/04/09 17:08
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