2007年12月16日、東京・上野の国立科学博物館で開催中の『大ロボット博』内特設ステージにて、第8回KONDO CUPのKHRクラスが開催された。
● 国際ロボット展内のイベントとして開催
今回開催されたのは、参加機体がKHR-1、KHR-2HV、KHR-1HVの3機種、ないしその小改造機に限定されたKHRクラスである。従来はオープンクラス(サーボモーターが近藤科学製であれば自作機OK)と同時に開催されていたが、珍しい分割開催となった(オープンクラスは12月8日に京商アスレチクスヒューマノイドカップと同時開催されている)。
KHRシリーズにとって、大ロボット博の会場はまったく縁が無い場所というわけではなく、自身(KHR-2HV)が展示されている舞台であり、販売されている場所でもある。今回はその縁もあっての開催となったのだろう。
コートが置かれたのは会場内の「体感ステージ」部分で、試合開始がアナウンスされるごとに黒山の人だかりができていた。大ロボット博自体、入場制限が行なわれるような人気ということもあり、人垣が絶えることのない一日だった。
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「愛・地球博」でも披露された、「汎」の眼下で開催された
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試合中は常に観客が鈴なりの状態。子供専用の観戦スペースが最前列に設置されていた
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KHR-2HVの体験操縦コーナーも試合の合間に何度か開催されていた
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● 予選を突破したのは無敗の2チーム
参加したのは8チーム。4チームずつに分かれたA、Bの2リーグで勝ち点制の総当りを行ない、1位のチーム同士が優勝を争うという、おなじみのシステムである。Aリーグには「キングファイター」「デカメロン(個人参加チーム)」「ミステイクス」「A.U.T」、Bリーグには「チームアロエ」「SYSYEM-LAB」「ガンバ上野」「第三小隊(個人参加チーム)」という振り分けで予選リーグが始まった。
Aリーグを引っ張ったのは、過去にKHRクラスの優勝経験がある「ミステイクス」チーム。愛知工科大学の学生たちで構成されている「A.U.T」との緒戦を5-0の大差で快勝すると、続けて「デカメロン」チームを2-1で降し、最後の「キングファイター」チームにも1-0で勝って、3戦全勝で決勝進出を決めた。一方のBリーグは、2勝0敗同士となった「第三小隊」との直接対決を1-0で制した「チームアロエ」が、リーグ戦無失点で決勝に進んだ。
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【動画】「ミステイクス」対「A.U.T」。ミステイクス側の動きの無駄の無さに強さを感じる
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「キングファイター」対「デカメロン」。キックオフしようとしている「キングファイター」は北海道からの参戦!
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【動画】「ガンバ上野」対「第三小隊」。なかなか点が入らないのも、KHRクラスのもどかしい面白さ……かも
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【動画】「チームアロエ」対「SYSYEM-LAB」。あまりに綺麗に決まったゴール
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● 得点を取り合っての延長戦に大興奮
「ミステイクス」対「チームアロエ」の顔合わせとなった決勝戦。リーグ戦では両チームともに無失点、総得点が「8点」で並ぶという、力の拮抗した2チームがぶつかったことで、想像していたよりもずっと熱の入ったものになった。
キックインからの直接ゴールが得点にならないことを理解したうえで見送ったり、キーパーにボールキャッチ(3秒以上接触)させるために味方がキーパーにボールを押し付けたりと、お互いにルールをよくわかっている試合が続き、ゴールギリギリまではボールが行くものの、得点にはならずじまいで前半が終了。後半も半分を過ぎ、解説席から「このままだと延長戦になりますね」というコメントが出た矢先、「ミステイクス」のホリワンが2列目から飛び出し得点! 残り2分を切って1-0とリードを奪う。
しかし「チームアロエ」はそこでがっかりせず、キックオフで相手陣内にボールを押し込み、たまらずクリアしたボールからのセットプレーで得点を奪い返す。試合はそのまま終了し、1-1の同点で延長戦へ。
延長戦はサドンデス方式(どちらかに得点が入ったらその時点で終了)で行なわれたが、それもまた後半戦に突入。最後は1点目を決めた「ミステイクス」のホリワンがわずかの隙を突いて押し込んで、試合を決めた。
両チームともにKHRシリーズなのは当然ながら、キットそのままという機体は少なかった。KHRクラスのレギュレーションには、全身のうち4個までしかサーボを強化することができない制限があるが、その制限いっぱいまで、キック力や移動速度に直結する脚部を中心に強化している機体が目立ち、その能力を発揮してきびきびとしたプレーを見せていたように思う。
ちなみに、「ミステイクス」のキーパーは予選中からサーボの故障で起き上がりができなくなっており、チームにしてみると薄氷の勝利だったという。「ミステイクス」はこれでKHRクラス2回目の優勝を果たしたが、前回(第7回)の同クラス優勝だった「日本工学院八王子専門学校」が参加していなかったことが残念らしく、「前回勝っていないので、今度はぜひ対戦して勝ちたい」と、早くも次回への課題を挙げていた。
● エキシビジョンマッチに加え、来年に向けてのニュースも
この日は「オープンクラス」は行なわれなかったが、「オープンクラスとはどういうものか」を紹介するということで、先日の第8回KONDO CUPオープンクラスの決勝戦を戦った「トリニティ」と「RFCバンブーブリッジ」の2チームがエキシビジョンマッチを行なった。スピードの違い、キック力の違い、スローインなどの多彩な動きを見せる両チームに、観客は歓声を上げていた。試合自体は「トリニティ」が連覇中の王者の貫禄を見せ付ける形で2-0の完封勝利を挙げた。
ちなみに今回、試合後のコメントで、近藤科学の代表取締役・近藤博俊氏から「来年はフィールドを一回り大きくして開催する」という発表があった。現在のフィールドは幅270cm、奥行き450cmで行なっているが、これを90cmずつ拡大して幅360cm、奥行き540cmとするという。同時に「KHRクラスを4体で1チーム(オープンクラスはこれまでと同じ3体1チーム)にするかも」という話が出ていたが、これに関しては流動的とのことだった。KONDO ROBOSPOTなどのサイトで告知が行なわれるはずなので、来年のリリースを待ちたい。
■URL
大ロボット博
http://www.robo2007.jp/
近藤科学
http://www.kondo-robot.com/
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( 梓みきお )
2007/12/26 19:07
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