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「第28回全日本マイクロマウス大会」レポート(2)
~マイクロクリッパー競技・ロボトレース競技編


 11月17日、18日に、第28回全日本マイクロマウス大会がつくば国際会議場で開催された。主催は、財団法人ニューテクノロジー振興財団。

 迷路を探索してタイムを競うマイクロマウス競技の結果は既にお伝えしたが、マイクロマウス競技会では他にも、ラインに沿って走行しそのスピードを競う「ロボトレース競技」や迷路内に置かれた円筒を見つけて上下反転してポイントを競う「マイクロクリッパー競技」も開催されている。

 本稿では、上記2競技についてレポートする。


ロボトレース競技

 ロボトレース競技は、ロボットがスタート・ゴールエリアから出発し、白いラインで描かれたコースに沿って1周するタイムを競う。ゴールした後、スタート・ゴールエリアで停止しない場合、または、コース上で2秒以上停止するとその回の走行は無効となる。

 ロボトレースのコースは直線とカーブによって構成された60m以下の周回コースだ。カーブの最小回転半径は15cmとなっており、コースが直線から円弧、円弧から直線、円弧から異なる半径の円弧に変わるところにはコーナーマーカーがある。コースが交差する場所では直進しか許されず右左折した場合は失格となる。持ち時間は3分間で、3回の走行ができ、最も短い時間が記録となる。

 この競技に参加するロボットをロボトレーサーと呼ぶ。ロボトレーサーの規格は幅25cm、長さ25cm。高さ20cm以内。

 ロボトレース競技は、マイクロマウス競技のレベルが高くなり初心者には敷居が高くなったため、1986年から始まった。最近ではロボトレースも知能化が進み、バキューム機能を搭載してコースに吸着してタイトな旋回をしたり、1回目の走行でマーカーの位置を記憶して、2回目以降の走行では直線のスピードを上げたり、旋回時のステアリングの角度を調整して高速走行するロボットが上位を占めている。

 優勝したTake-Three(Roh Hyun-chul氏 所属:ZETIN, Univ. of Seoul, Korea)も、バキュームでコースに吸着して走行している。日本のバキュームタイプと違うのは、1回目から高速で走行している点だ。

 Take-Threeの第1走行は記録が11秒53、優勝タイムを出した第3走行は9秒57だった。
2位の漆風・改(桑迫 真広氏 所属:名古屋工業大学 ロボコン工房)は、第1走行では、バキュームを使わずに走行し、第2走行以降で最速で走っている。両者の第1走行と最速走行を動画で掲載するので違いを見比べてほしい。


【動画】優勝したTake-Three(Roh Hyun-chul氏 所属:ZETIN, Univ. of Seoul, Korea)の第1走行 【動画】Take-Threeの第3走行。優勝記録9秒57

【動画】漆風・改(桑迫 真広氏 所属:名古屋工業大学 ロボコン工房 )。記録は33秒76。第1走行はバキュームを使わずに走行している 【動画】漆風・改。第3走行で9秒62を記録した

 3位入賞のLineLive(五味秀敏氏、所属:諏訪東京理科大学)は第1走行でバキュームを使い10秒27を出した。第1走行の記録では断トツに速いが、その後の走行で記録を縮めることができなかった。また、高校生の為貝尚利氏(所属:埼玉県立狭山工業高等学校)が、13秒54の記録で9位になった。

 来年、両者がどのように記録を縮めてくるのか期待したい。


【動画】3位に入賞したLineLive(五味秀敏氏、所属:諏訪東京理科大学)の第3走行。記録は10秒27 【動画】一二三、三四(為貝尚利氏、所属:埼玉県立狭山工業高等学校)ベスト記録13秒54 ロボトレース競技の上位入賞者達

マイクロクリッパー競技

 マイクロクリッパーは、アームを持ったロボットが迷路内を自立で走行しながら、置いてある円筒を発見して、その円筒を反転させる競技。制限時間内の10分間に反転した円筒の数、または全てを逆さまにした後、スタート地点へ戻ってくるまでのタイムを競う。制限時間内に5回の走行ができる。この競技に出場するロボットを、「マイクロクリッパー」と呼ぶ。

 マイクロクリッパーは、迷路を移動しながら通路にある円筒を持ち上げて上下を反転して、走行の邪魔にならないように後方や横方向に置く。ということは、競技中に円筒の位置が変り迷路のルートは常に変化している。一度反転した円筒を、再度反転した場合はポイントとならないので、自分が反転させた円筒を記憶しておく必要もある。円筒を反転させる機構や動作がさまざまで、ユニークなマイクロクリッパーが多い。

 マイクロクリッパーは、例年シンガポールからの参加者が優秀な成績をおさめている。今年も、好調でパーフェクトを達成するか? という期待があったのだが、ソフトにバグがあったようで、途中から一度反転した円筒を再び反転してしまい、どんどんポイントを下げてしまった。シンガポールからは複数の参加者がいるが、学校単位でロボットを製作しているため、機体の構成もソフトも共通している場合があり、他の競技者も同じバグが出て、途中でリタイアしているのが残念だった。

 2位になったMINI SHUN(Goh Ming Hui氏 所属:Ngee Ann Polytechnic)は、中央の円筒を保持しそこねて反転することができなかった。その後、残りの円筒を全て反転してスタート地点に戻ってきた。今回、全ての円筒を反転してスタート地点に戻ってきたマイクロクリッパーはいなかっただけに、たった一つのミスが惜しまれる。


【動画】MINI SHUN(Goh Ming Hui氏 所属:Ngee Ann Polytechnic)。中央の円筒を返すのに失敗してしまった。この後、残りを全て返してスタート地点に戻った シンガポールのマイクロクリッパー。性能がよく成績もすばらしいのだが……。左から2番目が2位になったMINI SHUN

 優勝したのは最後に走行したShinka(大島章氏 所属:筑波大学つくばろぼっとサークル)だった。

 去年準優勝した機体をベースにして、タイヤの径を大きくし電圧もアップして移動スピードを上げた。一区間ずつ止まっていたのをソフトウエアを変更し、前進しながら考えているという。壁に機体をあてて、位置を微調整したり、円筒を掴んだ後にアームを一旦ゆるめてしっかりホールドするなど工夫がされている。

 円筒を反転する際にも、4方を壁に囲まれている場合はその場で反転、進行方向にあるものは移動の妨げにならない場所を選らんで置くなど、ソフトが高度になっていることが見て取れた。全ての円筒を反転した後、まだ迷路を探索していない場所があったため走行を続けた。大島さんは、「もう少しスピードがあれば、時間内にスタート地点に戻れたと思う」と語った。


【動画】優勝したShinka(大島章氏 所属:筑波大学つくばろぼっとサークル)。円筒を掴む前に前後の壁に車体を当てて位置を制御している 【動画】円筒を反転する時に、走行ルートの邪魔にならないところを選んで置いている 【動画】存在しない円筒を掴む動作を何度か見せたが、無事に全ての円筒を返すことに成功した

優勝したShinka(大島章氏 所属:筑波大学つくばろぼっとサークル) マイクロクリッパー競技の上位入賞者達

 たかしくん(江嵜竜臣氏)は、角度センサーを用いて円筒をホールドしたことを確認し確実に反転していた。残念ながら、途中から一度反転した円筒を元に戻してしまい、最終的な記録は10個にとどまったが、反転した回数では大会最高だった。来年のチャレンジに期待が持てる。

 今年は二足歩行のマイクロクリッパーも登場した。NIT-ZAKKY(島崎洋一氏 所属:日本工業大学)は残念ながら円筒を返すことはできなかったが、チャレンジ精神を評価されバンダイナムコホールディングス賞を受賞した。


【動画】たかしくん(江嵜竜臣氏)は角度センサーを用いて、円筒をホールドしたことを確認している 【動画】二足歩行のマイクロクリッパー、NIT-ZAKKY(島崎洋一氏 所属:日本工業大学)

URL
  ニューテクノロジー振興財団
  http://www.robomedia.org/index.html

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( 三月兎 )
2007/12/17 14:46

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