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マイクロソフトとZMP、Robotics Studio活用で協力開始
~「イノベーション・ジャパン2007」内で発表、デモ


マイクロソフトブースにてデモ中の、ZMPが開発した二足歩行シミュレータ
 9月13日、マイクロソフト株式会社と株式会社ゼットエムピー(ZMP)は、ZMPが「Microsoft Robotics Studio」上で開発中の二足歩行ロボットエンジンの製品化と教材開発、国際展開で協力していくと発表した。

 まずは二足歩行ロボットエンジンの一環として開発された二足歩行ロボットシミュレータを、東京・有楽町の国際フォーラムにて9月12日(水)~14日(金)の日程で開催中の「イノベーション・ジャパン2007」(主催:独立行政法人科学技術振興機構、新エネルギー・産業技術総合開発機構)内で出展、物理シミュレーションのデモンストレーションを行なっている。

 今回の発表は、「イノベーションジャパン」内で行なわれた「マイクロソフト・イノベーション・センター」の活動報告、そしてさまざまな基礎技術、プロトコル、データフォーマットなどの通信技術、ソフトウェア・コンポーネントなどを提供するために今回から新たに始まった取り組み「IP(知的財産)ライセンシングプログラム」の事例の一つとして発表されたもの。ベンチャーそのほかが持つ技術と、マイクロソフトが提供する技術を組み合わせることでイノベーションを進めることが目的だという。

 「マイクロソフト・イノベーション・センター」とは、2006年11月に設立された組織で、ベンチャー支援プログラムや、産学連携のために2005年7月に設立された組織「マイクロソフト産学連携研究機構」などを通じて、国内IT産業における技術研究、製品開発・検証を支援する取り組みを行なっている。

 なお、ここで言う「ソフトウェア・コンポーネント」とは、製品にはなっていないが既に実証実験や実証研究段階にあるようなもの、優れた技術ではあるがマイクロソフトの製品ラインナップにはのらないもののことだという。「IPライセンシングプログラム」で提供される技術の価格は無料有償さまざまで、技術ごとに異なる。


マイクロソフトから提供されるIP(知財) マイクロソフトによるIPライセンシングの狙い ZMPとの協業もIPライセンシングの事例の一つ

リアルタイムの物理シミュレーションが実行されている VPLで書かれたプログラム 【動画】シミュレータの様子

マイクロソフト株式会社CTO 加治佐俊一氏
 今回のマイクロソフトとZMP両社の協力は、ZMP社による2足歩行ロボット「nuvo」でのWindows Embedded CEの採用や、音楽プレーヤーロボット「miuro」でのWindows Media Playerへの対応などの延長線上にあるという。

 今後ZMPは、二足歩行ロボットエンジンを活用したロボット製品や教材の開発を行ない、「マイクロソフト・イノベーション・センター」にて、マイクロソフトリサーチで開発が進められている顔認識や音声認識技術などのソフトウェア・コンポーネントを組み合わせた製品の開発に取り組む。そしてZMP社製品での利用可能性を検証する。

 一方マイクロソフトはZMPの教材を監修。教育機関へのカリキュラム展開や、国際展開でのマーケティング活動を支援していく。

 マイクロソフト株式会社CTOの加治佐俊一氏は、ZMPを協力相手として選んだ理由として、ZMPが家庭用ロボットを既に販売していることと、ロボットの教育利用において販路を持っていることを同社の強みとして挙げた。


株式会社ZMP技術戦略室室長 坂井亮介氏
 いっぽう株式会社ZMP技術戦略室室長の坂井亮介氏は、ロボットの研究においては人工知能や行動計画、画像認識などの上位アルゴリズムの研究と、ロボットのハードウェア開発の間が乖離しており、両者を繋げられる環境としてRobotics Studioを選んだと述べた。今後は、リアルなロボットだけではなく物理シミュレータ上で動くバーチャルなロボットを用いることで、開発プロセスの加速を目指すという。

 坂井氏は「ハードウェアとソフトウェア、双方の研究者がアプローチしやすいことがRobotics Studioを使うことのメリット」と語った。いっぽう今回のシミュレータ作成を通して確認できたポイントとしては、Robotics Studioは上位から考えていくのは効率的だが、アクチュエータ数が多く計算機の能力を必要とする二足歩行ロボットの制御などにおいては、サービスベースの工夫が必要だったとし、「どのレベルまでをRobotics Studioが担当し、どこから下をハードウェアが担当すべきか。切り分けについては研究が必要だし、最終的に処理能力を高めていくためにはいろいろ実験する必要がある」と述べた。

 マイクロソフトの加治佐氏は「Robotics Studioはロボット単体の動作の制御だけを考えているのではなく、ロボットが複数台動いたり、コンピュータ環境がバックエンドにある状況までを想定しているが、まだそこまで実証できていないのが現状。実用的になれるようにコラボレーションをすすめていきたいと考えている」と述べた。

 ZMPが開発した今回の二足歩行シミュレータは、韓国で10月に行なわれる「ROBOTWORLD 2007」、ならびにアメリカで10月に行なわれる「Robo Development Conference and Expo 2007」でも出展される。


マイクロソフトとZMPの協業体制 ハードウェア開発とソフトウェア開発の間の溝が課題

ソフトウェアモジュールの共通化を行なう 物理シミュレータを活用して開発の加速を目指す

URL
  マイクロソフト
  http://www.microsoft.com/ja/jp/
  ニュースリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3188
  ZMP
  http://www.zmp.co.jp/
  ニュースリリース(PDF)
  http://www.zmp.co.jp/data/20070913_ZMPMSRobotics_Final.pdf

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( 森山和道 )
2007/09/13 18:22

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