2月9日、京商株式会社は、1/5スケール・アスリートヒューマノイド・キット「マノイ PF01」先行販売モデルを4月1日から発売すると発表し、記者会見を行なった。
「マノイ PF01」は、京商のロボットキット「マノイ」シリーズのデザイン重視タイプ。身長40cm、頭の外周は39cm。重量およそ2kg。フルカウルモデルであることを考えると、かなりの軽量ボディだ。ユーザーによる組み立てが必要なキットとして出荷される。
昨年9月に発売された「マノイ AT01」は運動性能を重視したモデルだが、「マノイ PF01」は、親しみやすいデザイン、親しみやすいキャラクターと動き、インテリジェンスを重視したモデルとして開発されたもの。デザインは「ロボットクリエイター」として知られるロボガレージ・高橋智隆氏が行なった。
先行販売モデルは150台限定で、ロマネスクホワイトとプラチナシルバーの2色を使った限定カラーモデルとなる。予約開始日は3月1日、発売日は4月1日。価格は189,000円。バッテリ、チャージャー、ジャイロセンサー2つを含む。
無線操縦に使うプロポは「AT01」同様、近藤科学から発売されているKRC-1を使うが、これはキットに付属せず、オプションになる。また、PF01には処理速度が速くなっている新型のボードが採用されているという。
本生産型は6月からの販売を予定しているが、価格は先行販売モデルよりも高くなるという。
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マノイ PF01
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頭部のおでこの部分にはメッキが施された
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【動画】マノイ PF01限定カラーモデルのデモ
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側面。頭部が非常に大きいのがよくわかる
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背面。後頭部のエラストマーのクッションは着色される予定
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目の部分は2つのパーツから成る
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ロボットをディスプレイするためのスタンドは開発中だという
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本生産モデル。実際の出荷時には塗装される
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京商 ロボットマネージャー・岡本正行氏
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京商のロボットマネージャー・岡本正行氏は会見冒頭、「まず当初の発表より遅れてしまったこと、限定での販売開始となることをお詫びしたい」と述べた。
マノイ AT01のときにも最初の出荷100台は抽選となったが、そのときは京商が直接予約を取った。今回は150台だが、ショップでの店頭受注になる。
その理由として、もともと「マノイ PF01」は試作発表・発売発表からかなりの時間が経っていることから「今すぐ売ってくれ」と強く要望する顧客が存在すること、また、あくまで先行販売であることから、梱包箱が白箱になったり、取り扱い説明書やサンプルモーションは後から発送される可能性があること、先行販売モデルを型修正したものが量産品になる可能性もあることなどから、十分に説明できるショップで販売を行なうことにしたと述べた。
マノイ PF01の特徴は、リチウムポリマーバッテリを使っていること。バッテリはハードケースに覆われており、安全性には自信を持っていると強調した。なお使用後のリサイクルは店頭での回収によって行なわれる。
また後頭部はエラストマーのクッションが用いられており、転倒時のクッションとなっている。記者会見時にはブラックのままだったが、ここは本体に合わせてグレーに着色されるはずだという。マノイ PF01は頭半分が空になっており、内部を衝撃から守れる構造になっている。現在、京商では、頭部内部に搭載できる、音声出力デバイスやセンサー類をオプションパーツとして開発中だという。
なお、先行販売モデルは限定カラーだが、このカラーはパーツ売りの予定もない。購入客に少しでもプレミア感を持ってもらおうと思っている、という。ただしロボットの場合動かすと傷ついたり塗装がはげてしまうこともある。そのためにユーザーが自分で塗装の剥げた部分を修正できるリペアカラーを発売する予定だという。
バッテリなど消耗部品については基本的にもう変更される予定はなく、先行販売モデルに合わせて発売されるという。
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頭部パーツの構造
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【動画】頭部の構造。組み立てているのは高橋智隆氏
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付属のバッテリチャージャーとバッテリ
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ロボットクリエイター 高橋智隆氏(ロボガレージ)
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デザインを行なったロボットクリエイターの高橋智隆氏も会見に出席した。もともと京商での「マノイ」開発は、高橋氏が個人で製作した「クロイノ」をなんとか商品化できないかというところから始まった。それが2004年頃で、「そこから長かった」と語った。「カウルが全てついて、キャラクター性を強く押し出したロボットキットがなかったのは、技術的に難しかったから。われわれも苦労した」という。
記者会見で披露されたモデルも若干の修正を行なう予定だという。たとえば部分的にケーブルが見えている部分があるが、目立たないように配線できるようにしたり、パーツをより綺麗に合うように修正していくことから「ここから格段に見た目はよくなる」という。
今後について「マノイPFのキャラクターを活かしたかわいらしい仕草や、かっこいいポージングなど、モーションのセンスが問われていく。サンプルプログラムとしても面白いモーションプログラムが生まれてくるし、お客さんにも作ってもらいたい」と述べた。
また、オプションのセンサー類を使うことで、ロボットが喋るようになったり、カメラを搭載したりできるようになることから、「いわば簡単なコミュニケーションのようなものが取れるようになってくる」とし、「今までのホビーロボットとは違う、より密な関係が築ければ、この商品を企画・開発した我々は嬉しい」と語った。
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高橋氏とマノイ PF01。マノイのサーボはオフだが自立している
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デザインについては、もともと上述のように「クロイノ」を元にスタートした企画であり、そこから「かわいらしさとともに躍動感があるデザインができないか」と考え、新しいキャラクターをデザインしたという。「当初のデザイン画からほぼそのままに形になった」と喜んだ。
先行モデルはシルバーをベースにした色だが、おでこの部分にメッキが施され、高級感を出している。一方、本生産モデルは黒を基調としたものになる。
高橋氏は「色の好みでどっちを買うか選ぶことになるがどちらも楽しめると思う。今回は初回限定生産の予約販売発表だが、これはスタート。本生産、オプションパーツ、お客さんの手元で生まれる新しいプログラム、今年、これからマノイ PF01が成長していくか楽しみだ」と述べた。
■URL
京商株式会社
http://www.kyosho.com/
製品情報
http://www.kyosho.com/jpn/products/robot/pf01/pf01.html
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( 森山和道 )
2007/02/09 20:46
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