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第2回「わんだほーろぼっとか~にばる」開催


出場したロボットたち
 2007年1月7日、東京都文京区の文京シビックセンター4F・シルバーホールにて、二足歩行ロボット競技会「わんだほーろぼっとか~にばる」の第2回大会が開催された。

 「わんだほーろぼっとか~にばる(以下「わんだほー」)」は、バリエーションに富んだ複数の競技で予選を行ない、その上位4名が準決勝、決勝の格闘トーナメントを行なうという競技会である。以下の4競技が予選として行なわれる(競技内容については後記)。

・ダッシュ! 2000
・ボトルトラクション
・サイコロシュート
・風船サバイバル

 決勝はリングこそ違うものの、ROBO-ONEとほぼ同じルールで行なわれるバトルトーナメントとなる。ちなみに今回の「わんだほー」は「第11回ROBO-ONE決勝出場権認定大会」となっており、優勝機は2007年3月に行なわれる第11回ROBO-ONEの予選を免除されることになる。7月に行なわれた第1回「わんだほー」が成功したこともあり、当日は第1回より+10名強というエントリー37機(参加34機)を集めた賑やかな大会となった。


「知力・体力・時の運」が必要な予選4競技

 「わんだほー」における予選の4競技は、ロボットの性能が高いだけではクリアできないラインナップになっている。特に「ボトルトラクション」、「サイコロシュート」、「風船サバイバル」の3競技は、“作戦”と“運”が必要な「わんだほー」ならではのルールを持ち、どんな機体を持っている人でも競技を楽しめる工夫がなされている。

 とはいえ、最初に行なわれる「ダッシュ! 2000」は他の競技会でも多く見られる“徒競走によるタイム勝負”であり、特に変わったルールもないため、機体の性能が成績に直結することになる。性能に自信のある機体はココが最初の見せドコロになるわけだ。

 ダッシュの優勝を飾ったのは4秒83を記録した「繭(製作者:Project MAGI)」。スタート直後は歩幅が小さいが、スピードに乗ると一気に歩幅を広げるモーションで幸先のいいスタートを切った。昨年のアキバロボット運動会でも2mダッシュ競技が行なわれていたが、その優勝タイム(5秒28)とほとんど変わらないのだから、「わんだほー」がおおらかなだけではないことが証明されているといえるだろう。


【動画】ダッシュで優勝した「繭」(向かって右) 有線でコントロールする機体も参加可能。そのうえこの方はスタッフと参加者の二足のわらじをはいていた

 次に行なわれたのは「ボトルトラクション」。かごに入れたペットボトルを1分間でどれだけ移動させられるかを競う競技だ。2m地点にゴールが設定されるが、成績は運んだ距離×かごに積んだペットボトルの本数で計算されるので、2本積んで2mと3本積んで1.5mでは、後者のほうが順位が上になる。さらに「押す」よりも「引く」ほうが難しいため、かごを「引いた」機体には+20cmのボーナスが設定されている。何本積むのか、「押す」のか「引く」のかといった、作戦が重要になる競技である。

 最初の組で「noir(製作者:遊)」が5本積んだかごを押して105cmという記録を作り、いきなり525cmの大会記録を作ったが、その後の組では続々とその記録を上回る挑戦者があらわれ、最終的には「フロスティ(製作者:FrostyDesign)」が5本を2m引っ張って、1,020cmの最長不倒を打ち立てた。自重(2kgほど)を超える重量を引ききった工夫は、微妙に前かがみにした引っ張るための専用モーションと、かごを引っ張る紐を自分で持ち込んで、機体に引っ掛けるのではなく、しっかり結びつけたことだという。特殊な競技だけに、工夫の有無が成績に反映されたようだ。


【動画】5本のペットボトルを引きながら2mを引っ張りきった「フロスティ」(画面左側) 足に紐を結びつけるカラビナ(金具)を付けていた「メカボンB(製作者:みすみロボット研究所)」。見事に4本を2m引っ張り、820cmで2位タイとなった 【動画】ガノア(製作者:ウエダッチ)のトライ。ゆっくりしたモーションだが、まさに“引っ張る”力の入ったモーションが秀逸。記録は2本×140cm+20cmで300cm

 そして、予選は「わんだほー」を象徴する競技と(勝手に)決めてしまいたくなるほど特徴的な「サイコロシュート」競技に移る。ルール自体は180×180cmで作られたコートの向かい合う2辺をゴールラインとし、1対1でぬいぐるみのサイコロを相手のゴールラインより向こうに押し込めば“得点”となる(手を使っても、相手を殴り倒してもかまわない)。

 ただし、得点は相手のゴールラインの向こうに落ちたときの「サイコロの出目」なので、シュート1本が1点のこともあれば6点のこともあるという、運が大きな要素を持っている競技なのだ。得点はそのまま成績の点数に加点されるので、一発逆転も可能。対戦するのが前2競技での成績がほぼ同じ機体同士に組み替えられるので、能力も拮抗しているし、総合順位で考えれば直接的なライバルが相手になる。ここまで下位に甘んじていた人ほど気合いが入る競技だろう。

 結果は「ファイマン5(製作者:AIR)」が19点+勝利点(対戦で勝っていれば+2点)=21点で、一気に順位を上げた。二足歩行ロボットのサッカー競技会「KONDO CUP」ではチャンピオンチームのキーパーを務めているだけに、この競技は“水を得た魚”というべきか。


合計21点を取得した「ファイマン5」(向かって右) 手を使ってもかまわないので、サイコロを「振って」ゴールに入れた「ヨゴローザIV(製作者:dauto)」。このシュートは見事6点。最終的に13ポイントを獲得 【動画】個人的ベストバウト「noir」対「素体kun(製作者:吉田)」。最終スコアは12-9で「noir」の勝利だったが、どちらが勝ってもおかしくない試合だった

 予選の最後はチーム戦の「風船サバイバル」。3体ずつに分かれたチーム同士で戦い、3分間で最終的に残っていた機体が多いチームの勝利となり、勝利チーム全員に8点、敗れたチームないし引き分けた両チーム全員に2点が加えられる。場外に落ちたり、風船が割れたら失格となる。

 チーム分けはここまでの競技で上位だった人と下位だった人がバランスよく混じるように、得点ベースで組み合わせられる。比較的狭いフィールド内を計6機のロボットが動き回るので、落ちないように動くのは至難の業。大きな機体は躓いて転ぶだけで即失格の危機になるし、小さい機体は押し出される危険がある。しかし引き分けは負けと同じポイントにしかならないので、イヤでも戦う羽目になるのだ。

 試合は自爆で失格になってしまう機体も多く、笑いが絶えない競技になった。試合開始早々にチームメイト2体が消えてしまっても、そこから1対1まで持っていったり、うまく立ち回って逆転勝利を呼び込んだり、あるいは冷静にリングアウトさせて作戦勝ちを収めたりと、操縦者が楽しんでいるのが見て取れるようだった。


「風船サバイバル」のフィールド、中央の空いた部分に落ちても失格なので、安全地帯はほとんどない 【動画】合計6体のロボットによって行なわれた「風船サバイバル」

決勝戦が前座になる事態に

 予選4競技が終わって、総合得点1位は関西のロボファイトやロボゴングでも活躍する「ヨゴローザIV」。2位の「クロムキッド」、3位「noir」、4位「かじろう」までが準決勝進出を決め、残りの30機は一堂に会し、5分間で蹴落としあう「ランブル」に進む。

 30機がそこかしこで押し合いへしあいするわけで、ランブルはもはやどこで何が起こっているのかわからない状態になる。ということで細かいレポートはできないのだが、ウワサでは傾向として「1対1ではかなわない強いロボットに集団で襲い掛かる」というような、ある意味ストレス発散の場になっているようだ(あくまでウワサ)。

 ともあれ、和気あいあいとした中でいつの間にか残ったのが前回の総合優勝者「か~る(製作者:道楽、)」と前回のランブル覇者「シロ助(製作者:B.W)」。ガチンコ勝負ではめっぽう不利な「シロ助」は時間ギリギリまで粘るものの、最後は押し出されて「か~る」の勝利となった。


ランブルのリングも中心が空いている「ロ」の字型。周囲を操縦者と観客が一緒になって囲んで観戦する 【動画】「シロ助」の起き上がり。手足あわせて8軸しかないが、背中に起き上がるためだけの「9軸目」がある。面白かったので掲載

 ランブルが終わればあとは決勝トーナメントが行なわれるのだが、準決勝を終えて決勝の顔合わせは「ヨゴローザIV」と「noir」に。じつはこの2機、すでに「ロボファイト4(ヨゴローザIV)」と「第1回ツクモCUPロボット・バトル大会(優勝したのはivreだが、同じ遊氏の機体)」で第11回ROBO-ONEの決勝出場権を手にしているために、二重に獲得することはない。つまり「わんだほー」というイベントでは3位決定戦である「クロムキッド」対「かじろう」の勝者に、ROBO-ONE決勝出場権が与えられるということになったのである。

 ここで主催者側は参加者と観客に「決勝を先にやったほうがいいと思う人~」という緊急アンケートを実施。ほとんどの人がこれに賛成し、なんとイベントの優勝者を決める決勝戦が前座になってしまった。もちろん優勝者がないがしろにされているわけではなく、二足歩行ロボット格闘競技会の頂点ともいえるROBO-ONEの決勝出場権を賭けた戦いだからこそ、ということだろう。

 「ヨゴローザIV」対「noir」は、もともと格闘用ではない(遊氏談)という「noir」が唯一の攻撃技といっていい捨て身技で1ダウンを奪うが、その後は(大きな手が付いた見た目からも想像できる通り)格闘専門機の「ヨゴローザIV」が攻め続け、最終的に3ノックダウンで優勝を決めた。

 大阪で活躍するdauto氏が関東に遠征してきたのは、普段関東勢がよく大阪に遠征してくるので、その返礼のような意味合いもあったという。「やってるうちに熱くなってきて、優勝までしちゃいましたけど」と笑ったdauto氏だが、格闘が強いだけではなく、独特なルールの予選もしっかりトップ通過しているあたり、さすがといえるだろう。

 優勝商品は協賛の大日本技研での「ヘッドパーツ加工権」。KHR-1用のスコープドッグ外装やオリジナル外装、第10回ROBO-ONE優勝「キングカイザー」のヘッドパーツを手がけていることでも知られる同社だが、dauto氏の「ザクレロみたいなのがいいですね」という希望に、同社代表の田中誠二氏が頭を抱える一幕もあった。

 そして本日のメインイベントとなった3位決定戦「クロムキッド」対「かじろう」。両者ともROBO-ONE本大会で決勝トーナメントに残ったことがある実績機である。開始直後から「クロムキッド」のスピードに翻弄された「かじろう」は立て続けに2ダウンを奪われ、一気に不利な展開に。何とか踏ん張ろうとはするものの、結局「クロムキッド」が3ダウンを奪い、第11回ROBO-ONE決勝出場権を手にした。

 くぱぱ氏は「(準決勝の)ヨゴローザIVと戦って、まだまだ実力が足りないのかなと思いました。ROBO-ONEではまだ勝ったことがないのですが、バトルモーションの練習をして挑みたいです」と、本選に向けての意気込みを語ってくれた。もともとROBO-ONEの予選を突破できる力があった「クロムキッド」だけに、より時間をかけて決勝トーナメントに集中できれば、さらに好成績が望めるのではないだろうか。


【動画】前座的な扱いになってしまった決勝戦。しかし、その内容は決勝戦にふさわしいもの 【動画】3位決定戦の様子。上位2者が他の大会で優勝し、すでに権利を有するため、3位のロボットがROBO-ONE決勝進出権を取得することに 左が優勝した「ヨゴローザIV」、右が第11回ROBO-ONE決勝出場権を手にした「クロムキッド」

趣味だからこそ楽しく

 「わんだほー最高!」という言葉が口々に漏れてくる大会だったが、それはユーザー主導で行なわれた、「楽しむための大会」というコンセプトがうまく機能した証拠だろう。

 特筆すべきは、予選開始前に自己紹介コーナーがあり、「人」と「ロボットの姿」が結び付けられる手助けが行なわれていることだ。大会に参加し始めて日が浅い人は「一人で来て誰とも話さずに帰る」なんてことになりがちだが、自己紹介コーナーがあれば話しかける(or話しかけられる)きっかけにもなるだろう。おおらかなルールだけでなく、そういった面からも敷居が低められた大会になっているのだ。

 大会を主催するいしかわ氏は「ある参加者の方に“わんだほーに来る人は勝ち負けより、ロボットを持って遊びに来ている感覚の人ばかりだね”と言われたんです」と笑う。これは「思い立ったが吉日」というサイトを運営するロボットビルダーでもあるいしかわ氏自身が、かつて競技会に参加した経験から「こうだったらいいな」と考える、「ユーザーから見た理想的な競技会」として運営されているからこその感想だろう。

 あくまで趣味として楽しむ二足歩行ロボットだからこそ、高価なサーボや機体が壊れてしまうような格闘競技よりも、工夫次第で勝てそうな競技を充実させて、できるだけ楽しめるようにしているのだと、いしかわ氏は語ってくれた。

 「わんだほー」はおおらかな雰囲気で敷居も低く、機体レギュレーションも「二足歩行ロボットで競技ができる大きさであればOK」という、ゆるい縛りだ。しかしそのゆるい中で、参加者同士は真剣に競技に参加している。真剣かつ“楽しむ余裕がある”からこそ、大会終了後に多くの参加者が笑顔で帰途につくことができるのだろう。

 次回の「わんだほー」は、夏ごろが予定されているという。それまでにも、同氏や「わんだほー」のスタッフが中心となって運営されている「関東組ロボット練習会」が定期的に開かれているそうなので、「やっぱりいきなり“競技会”はちょっと」という人はそこから参加してみるのもいいかもしれない。「ロボットは一人で遊んでいても面白くないですからね」という参加者のコメントが、「わんだほー」の趣旨をもっとも表していたのでは、と思った週末だった。


前日は福島でROBO-ONE GPに出場していたDr.GIY氏も駆けつけて参加。もちろん同氏も自己紹介を行なうのだ ボランティアが運営する競技会だが、名だたるロボット関連企業から提供していただいた賞品が充実 本誌ライターの石井英男氏もプライベートで参加。ロボット大好きな娘さんがかぶりつきで見られるアットホームさ

URL
  わんだほーろぼっとか~にばる
  http://www.page.sannet.ne.jp/y_ishikawa/wndrb/index.html


( 梓みきお )
2007/01/10 16:43

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