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ユニバーサル・シティウォーク大阪で4社7体のロボットを連携して実証実験
〜ネットワークサーバーで情報を共有し、サービスを提供するロボット達


クリスマスムードのユニバーサル・シティウォーク大阪
 12月1日(月)〜12月3日(水)に、ユニバーサル・シティウォーク大阪(UCW)において、複数のロボットが協調し道や店舗の案内サービスを提供するネットワークロボット実証実験が実施された。この実験は、総務省委託研究「ネットワーク・ヒューマン・インターフェイスの総合的な研究開発(ネットワークロボット技術)」の一環として行なわれた。

 今回の実験に参加したのは、株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、三菱重工業株式会社、株式会社イーガー、株式会社東芝、NTTの5社。NTTサイバーソリューション研究所が構築したネットワークロボット・プラットフォーム(NRプラットフォーム)に、4社7体のロボットが接続し連携してサービスの提供を行なった。

 実験の場となったのは、UCW4階の通路とロボットパラダイスと名付けられた室内だ。UCWの通路にはATRのRobovie-IIが4体動き周り、道行く人や案内図の前で立ち止まっている人に話しかけて、道案内をしていた。Robovie-IIは「ロボットパラダイスという店が後にあるんだけど、よかったら行ってみてね」と会場も紹介する。

 ロボットパラダイス内には、三菱重工業のwakamaru(ワカマル)、東芝のApriPoco(アプリポコ)、イーガーのARC(アーク)がコの字型に並んでいた。

 まずwakamaruの前に立ち、店頭で渡されたICタグをタグリーダーにかざすと、wakamaruが自己紹介の後に「詳しく知りたいお店のパネルの前に立ってね」と音声で誘導する。3つある店舗パネルのいずれかの前に立つと、wakamaruが移動してきて身振り手振りを交えて、店舗の案内をしてくれる。

 次に隣のテーブルにいるApriPocoの前に移動しICタグを認識させると、ApriPocoが「暗いから電気をつけるね」と近くにあるアンティーク調のスタンドをつける。その後、wakamaruが説明した以外の店を選んでモニタに表示して紹介する。

 wakamaruとApiriPocoからお勧めのお店を教えてもらったら、6軸アームロボットARCの元へ行ってクーポン券を発行してもらう。モニタに表示されたバーチャルキャラクタの案内に従って、パネル操作をしてほしいクーポンを選択すると、ARCが筒状に丸めたクーポンを取り出してくれる。

 このように各社のロボットが一環したサービスを提供できるのは、ネットワークロボット・プラットフォーム(NRプラットフォーム)のサーバーにあるDBが、ユーザーとロボットのインタラクション(会話)を蓄積し、それぞれのロボットがそのデータを元にしてサービスを提供しているためだ。


通路では4体のRobovie-IIが自律モードで動き、困っている人を見ると自ら話しかける 【動画】NRプラットフォームを使った実証実験について説明もしてくれる 【動画】wakamaruは、店内のカメラの映像から人の立ち位置と視線の方向を認識し、見ているパネルの店舗を紹介する

wakamaruが音声と身振りで店舗案内を開始すると、モニタも同期して映像を流す 【動画】東芝のApriPoco。NRプラットフォームに接続し、wakamaruが紹介していない店舗の情報をユーザーに提供する 【動画】ARCは、NRプラットフォームに接続、バーチャル型ロボットと連携してwamakaruとApriPocoが紹介した店舗のクーポンをディスプレイに表示。ユーザーが選んだ方を差し出す

今回の実証実験には複数のテーマがある。それぞれの実験について説明する。


1人のオペレータが複数台のロボットを遠隔操縦〜ATRの実証実験

 ATRは、今年1月にもこの会場でロボットが人々に道案内やショップの情報を提供する実証実験を行なった。

 今回の実験は前回と同じ環境の中で、新たに開発した遠隔対話方式を用いて1人のオペレータが4体のロボットを操作している。将来、遠隔操縦のロボットによるサービスが実用化された場合、オペレータ1人が1台のロボットを操縦するのでは、作業の効率化が図れない。デパート等のインフォメーションサービスや、夜間警備など複数体のロボットを1人のオペレータが遠隔操作で稼働するシーンは容易に考えられる。今回の実証実験では、そうした状況を想定したもの。

 4体のRobovie-IIは、それぞれが自律で動き回っている。通路を足早に通り過ぎる人には話しかけないが、店舗案内図の前で立ち止まっている人がいると、自分から「地図を見ているようですが、何かお困りですか?」と話しかけ、道案内をかってでる。周囲の雑音で対話が聞き取りづらい時や、Robovie-IIが知らない単語などが出た場合には、自動的に遠隔操作モードに切り替わり、バックヤードにいるオペレータがPCからRobovie-IIを操作して会話を続ける。

 筆者が見かけた場面では、「銀行はどこにあるの?」と尋ねられたRobovie-IIが、「うーんと、うーんと……」と考え込んだ後に「代わりにATMの場所を教えるね」という会話があった。オペレータの遠隔操作が入ったのかな? と思えるシーンだった。

 4体のロボットが同時に人と対話をした場合は、システムが複数のロボットの対話内容をモニタし、ロボットがオペレータを必要とする可能性が重ならないように調整する方式を取り入れた。具体的には、Robovie-IIが自己紹介をしたり「握手しようよ」などと積極的に話しかけて会話の主導権を握って、さり気なくユーザーが質問するタイミングをズラしているという。


ATRのコミュニケーションロボットRobovie-II。カメラ・マイク・スピーカーを搭載、全身11カ所の関節(頭に3自由度、片腕4自由度)を動かし、ジェスチャーを交えて会話を交わす 【動画】4体のRobovie-IIが一斉に動き出す場面。足早に通り過ぎる人には話しかけない 【動画】案内図の前に立っている人には、Robovie-IIから積極的に話しかける

【動画】「握手しようよ」と自分から話しかけて、さり気なく質問されるタイミングをズラしている バックヤードにいるオペレータが1人で4体のRobovie-IIを遠隔操作していた 操作画面。4体それぞれのステイタスやロボットの周囲の映像がモニタに映し出されている

 このように自律モードと高度なネットワーク遠隔操作を併用することで、きめ細かなロボットサービスの実現が可能になると期待されている。今回は4体までを操作するシステムとなっていたが、今後は対象とするロボットを増やすことも検討するという。

 また、通路に設置されたモニタには、ロボットが案内サービスを提供するために計測した人の流れなどの情報を表示していた。通路を行き交う人を黄色の丸で表し、各人の移動スピードや方向に従い丸が動く。エリア内に存在する人数と、4体のRobovie-IIの稼働状況も表示されていた。

 こうした情報の取得は、通路の天井や床に複数のカメラや無線タグリーダ、レーザ・レンジ・ファインダなどのセンサー群を設置し、それらの協調・連携によって、数cm〜10cm程度の精度で三次元位置や軌跡情報などの物理的な観測量を保存することで可能となっている。Robovie-IIが、自分から話しかける対象を選ぶことができるのは、環境側に設置された複数センサーの情報から、「移動中」「立ち止まっている」「うろうろしている」という“行動の意味”を識別しているからだ。


天井に設置されたカメラ(16台)と無線タグリーダ(9台) UCWのイメージに合わせて青く塗装されたレーザ・レンジ・ファインダ(6台) 【動画】通路に配置された複数のセンサーが得た情報を、ビジュアルで表示している。人の動きを認識し、ロボットが自律で動く様子がわかる

ネットワークロボット・マネジメントによる複数サービスの提供

 ネットワークロボットとは、複数のロボットをネットワークでつなぎ、ロボット同士が連携・協調することによってロボット単体で動くときよりも複合的なサービスを提供する技術をいう。

 ネットワークロボットでは、前述のカメラやセンサー、ICタグやタグリーダも一種のロボットとして考える。これらをアンコンシャス型ロボットと呼ぶ。人型ロボットに代表される身体を持ったロボットはビジブル型ロボット、物理的な体を持たずモニタに表示され、人に情報提供などを行なうキャラクタをバーチャル型ロボットと呼ぶ。

 今回の実験では、Robovie-II・wakamaru・ApriPoco・ARCがビジブル型ロボット、通路やロボットパラダイス内に設置されたカメラやレーザ・レンジ・ファインダ、ICタグリーダーがアンコンシャス型ロボット、ARCの隣モニタに映るキャラクタがバーチャル型ロボットにあたる。


モニタ上で情報提供するバーチャル型ロボット 中にICタグが入っているRobovie-Rのストラップ。これもネットワーク・ロボットの一種

 三菱重工は、人の位置・行動を認識する技術とwakamaruを連携させたサービスの実証実験を行なった。人が3枚ある店舗パネルの前に立つと、天井に設置された3つのカメラで立ち位置を確認、パネル前のカメラでユーザーの視線を捉えて、どのパネルに注目しているか確定する。そして、その人が見ている店舗のより詳細な情報を提供する。

 東芝のApriPocoは、ネットワークを介してネット家電とロボット連携、ネット未対応の家電制御を行なった。NRプラットフォームのデータから、wakamaruがユーザーに紹介した店舗を確認し他の店を紹介。その際、ネットワークを通じてネット家電のモニタに映像を表示した。

 イーガーのARCは、ネットワークを介して複数の他社ロボットと連携したサービス提供の実験をした。ARCをNRプラットフォーム接続し、WakamaruやApriPocoがユーザーにどの店舗の情報を提供したのかを把握し、バーチャルロボットがクーポン発行の案内をするのを待ってから、該当クーポンを取り出す。


【動画】三菱重工のwakamaru。複数のセンサーと画像処理機能を内蔵、人を検知し視線を合わせて簡単な会話を行なう 【動画】東芝のApriPoco。周囲の雑音の中から人が話しかける音声を聞き分け、腕や頭を動かしながら会話し、家電を制御する イーガーの6軸アーム型ロボットARC。産業用ロボットを生活空間に融けこませ家庭で活用する方向を模索

 なお、今回の実証実験のベースとなっているNRプラットフォームは、2009年1月に公開が予定されているという。


URL
  ATR知能ロボティクス研究所
  http://www.irc.atr.jp/index-j.html
  プレスリリース
  http://www.atr.co.jp/html/topics/press_081125_j.html
  ネットワークロボットフォーラム
  http://www.scat.or.jp/nrf/index.html
  総務省:ネットワーク・ヒューマン・インターフェイスの総合的な研究開発
  http://www.soumu.go.jp/menu_02/ictseisaku/ictR-D/051020_2_1_1.html
  三菱重工業株式会社
  http://www.mhi.co.jp/
  株式会社イーガー
  http://www.eager.co.jp/
  株式会社東芝
  http://www.toshiba.co.jp/index_j3.htm
  NTTサイバーソリューション研究所
  http://www.ntt.co.jp/cclab/ccsouken/sl/sl_index.html

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( 三月兎 )
2008/12/05 18:58

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