6月5日(木)から8日(日)までの日程で東京ビッグサイト西ホールにて「東京国際消防防災展2008」が開かれている。主催は東京消防庁と株式会社東京ビッグサイト、東京国際消防展2008実行委員会。財団法人日本消防協会、全国消防長会、アジア消防長協会、日本臨床救急医学会が特別協力している。展示規模は212社・団体。入場料は無料(当日登録制)。
本展示会は屋外展示も行なわれており、そちらでは各種消防車両の展示、消防技術の実演のほか、実際にはしご車に乗る体験なども可能だ。また消防音楽隊によるミニコンサートも随時開催されている。災害時のトイレ問題や緊急速報・安否確認技術など真面目に消防防災に関心がある方はもちろんだが、「働く自動車」の類が好きな人たちも楽しめる展示会となっている。会場では実際に現役消防士と思われるいかつい男性たちや自治体関係者と思われるスーツ姿の人々たちに交じって、子供たちの姿も見られた。本誌では主に、ロボットやレスキューシステム等に関連した技術展示をご紹介する。
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各種消防設備の展示が行われている東京消防庁のコーナー
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消防用ヘリの中にも入れる
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ステージで行なわれていた救助訓練デモ
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財団法人東京防災指導協会による災害体感シアター
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各国の消防服
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消防職員も募集中
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屋外での消防救助デモンストレーション
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はしご車の体験乗車も可能
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その他、災害用給水装置などのデモも。これは株式会社ライズが販売している「アクアセーバー」
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三菱電機特機システム株式会社は小型クローラ移動ロボット「FRIGO-M」を出展している。外見は変わっているが、中身は昨年の危機管理産業展に出展されていたものと同じだ。
総務省・消防庁消防大学校・消防研究センターが開発した「FRIGO」を基本に共同研究で実用化したロボットで、災害現場や作業現場の情報収集を支援する。サイズは長さ45cm×幅36cm×高さ26cm、重量はおおよそ15kg(バッテリ含む)。防水・防塵で、消防隊員などが1人で扱える大きさ・重さとなっている。最高速度は平地で時速4km、40度以上の登坂能力と持ち、50cmの段差を乗り越え可能だ。バッテリはニッケル水素で連続走行時間は1時間以上。無線LANで操作する。特に離れた場所から遠隔操作したいときには長距離操作用のオプションも用意されている。
積載可能質量が5kgあり、基本構成に加えて、ガスセンサー、温度センサー、磁気探査センサー、放射線検知器、赤外線カメラ、消炎剤や中和剤、マニピュレータなどを搭載できる。これらのオプションを組み合わせることで同社では災害のほか、床下点検、設備点検、セキュリティ、車底監視などの用途に使えるとしている。
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「FRIGO-M」
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【動画】坂を上る「FRIGO-M」。水槽のなかでの動きにも注目
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消防現場で動くため防塵・防水はデフォルト
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さまざまなオプションをデモ。奥はガスセンサを付けたタイプで、手前はより遠距離(100m程度)から操縦できるようにしたタイプ
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操縦は手元のコントローラーから無線LAN経由で
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モリタブース
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消防車メーカーとして知られる株式会社モリタのブースではワイヤレスガス検知モニターや、携帯式の複合ガスモニターなどのほか、瓦礫の下に閉じ込められた生存者の動きを捉えることのできる人命探査レーダ「レスキュースキャン」他が展示されている。意識がまったくなく身動きできない生存者であっても、呼吸によるわずかな胸の動きを捉えてリアルタイムに伝えることができるという。捜索深度は4.5m程度。同一現場で複数のシステムを同時に動かすこともできる。
また、現在開発中の小型軽量の筋力補助装置「スマートスーツ」を出展。北海道大学システム情報科学専攻 システム創成情報学講座准教授の田中孝之氏らとの共同研究で、背中につけられた曲げセンサーの値に応じてモーターを使ってゴムを引っ張り、背中に張力を与える。モーターが直接パワーをアシストするのではなく弾性体を使うことで間接的にアシストを行なう。
一人で着脱でき、軽量で、かつ前面には何もないため作業を妨げない。非常に簡単な仕組みながら、筋肉の活動量を測定すると未装着時に比べて14%の疲労低減が可能だという。乾電池で動作する点も大きな特徴だ。全部の重量はモーター、バッテリ含めて1kg以下とすることを目標としている。同社では消防・防災のほか、長時間の繰り返し作業が必要な農作業や、倉庫での作業者などへの適用を検討中だという。
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各種ガスモニターやガンマ線モニター装置
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人命探査レーダ「レスキュースキャン」
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携帯電話サイズの携帯型サーモグラフィー。重量325g
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スマートスーツ。ボックス内にモーターがある。実際にはその横にバッテリボックスが付く
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前から見たところ。作業者の邪魔にならない
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スマートスーツの仕組み
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防災の総合商社を掲げる帝国繊維株式会社(テイセン)ブースには水中で撮影を行なうテレビカメラロボットや、振動センサーを最大6個、音響センサーは最大2個接続し、6通りのセンサー信号を表示できる地中音響探知機や、260度の高温で8分の耐久性能を持つ熱画像装置が出展されている。
また、日本海洋株式会社ほかのブースでも水中ロボットは展示されている。
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テイセンブース
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三井造船の水中テレビロボット「RTV.N-100EXY」
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キューアイの水中テレビロボ「DELTA150」
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デルサーの地中音響探査装置「LD3」。リチウム電池または乾電池で駆動
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熱画像装置
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日本海洋ブース
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おおよそ水深200mくらいまで耐えられるという
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株式会社ヨネブースでは、有効射程70m、遠隔操縦で水泡放射する自動放水銃「マルチロボ・モニター」のほか、カメラヘッドを先端につけて瓦礫の隙間から被災者を探す「プロアイ951-S」が展示されている。先端部のカメラはリモートで手元から操作できパンできる。カメラ視野角と合わせて231度の視野角を持つ。またマイクとスピーカーも内蔵されている。水中50mまでの防水機能を備える。ロッドは3mまで伸びる。
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株式会社ヨネブース
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自動放水銃「マルチロボ・モニター」
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ロッドの先のカメラで瓦礫の隙間から被災者を捜す「プロアイ」
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独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は理研やレスキュー研究機構そのほかと共同ブースで、防災システムの研究のポスター発表を行なっている。レスキューロボットや環境情報を収集する「レスキューコミュニケータ」等、一部研究については実物も展示されている。
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NICTブース
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レスキューロボット「Kenaf(ケナフ)」
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レスキューコミュニケータ
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電子タグを使った測位システム
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株式会社フォーラムエイトブースでは、イギリス・グリニッジ大学で開発された避難解析/火災解析ソフトウェア「EXODUS / SMARTFIRE」でシミュレートされた結果を、同社が開発した3次元リアルタイムVRソフトウェア「UC-win/Road」で3次元CGとして見せた例をデモ。人と人、火災、構造物などの相互作用をシミュレートして分かりやすく提示できるという。
NECブースでは災害現場を支援するための「リアルタイム状況表示ソフトウェア」システムが目をひいた。タッチパネルでアイコンをタッチすると、それぞれの場所の状況を示した情報が提示されるというものだ。今回のデモでは災害支援という形になっているが、基本的にはプラットフォームであり、提示される情報はAPIに準拠していれば何でも乗る。元来は防衛システムとして作られたものとのこと。情報提示の方法も属性別のほか、時系列などもあり得るという。
気象庁は緊急地震速報をウルトラマンを使ったポスターでアピール。株式会社パトライトブースでは緊急地震速報端末も展示されていた。
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3次元VRをデモする株式会社フォーラムエイトのブース
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NEC「リアルタイム状況表示ソフトウェア」
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ソフトウェアの構成
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気象庁ブース
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株式会社パトライトのブース
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緊急地震速報端末
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そのほか、日本ギア工業株式会社は東京工業大学と神奈川県産業技術総合研究所と共同開発した災害用レスキュージャッキ「ガレキング」を出展している。またナップエンタープライズ株式会社は100デシベルの騒音下でも会話できる無線機用イアホンマイク「inCore(インコア)」を出展している。インコアは、人間の声は耳からも出ていることに着目した製品で、耳の中の音を捉えて伝える。耳は密閉されているのでクリアな音声だけを拾うことができるという。
また、自販機で知られる株式会社ジャパンビバレッジは、災害時にも自販機を動かすことのできる太陽光発電システムを展示しているほか、大塚製薬がカロリーメイトのブースを出していたりと、なかなかバラエティに富んだ展示会となっていた。
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日本ギア工業株式会社の災害用レスキュージャッキ「ガレキング」
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無線機用イアホンマイク「inCore(インコア)」
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インコアの仕組み
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株式会社ジャパンビバレッジの太陽光発電システム
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【動画】アメリカ海軍消防隊ブースで動き回っていた消火栓ロボ
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東京消防庁のマスコット・キュータ君は記念撮影スポットになっていた
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■URL
東京国際消防防災展2008
http://www.fire-safety-tokyo.org/
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( 森山和道 )
2008/06/06 17:04
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