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第2回安全工学フォーラムレポート

〜サービスロボットの安全設計、損害保険はどうなる?

 2月1日、「第2回安全工学フォーラム」が開催された。主催は社団法人日本工学アカデミー 安全知の連合作業部会。日本工学アカデミー関係者をはじめ、100人以上が聴講した。


明治大学理工学部理工学部長 向殿政男氏
 まずはじめに、日本工学アカデミー安全知の連合主査で明治大学理工学部理工学部長の向殿政男氏が開会の挨拶を行なった。「安全」という面ではヨーロッパやアメリカのほうが先行しており、日本が遅れをとる懸念があるという。産業化において先行するためにはサービスロボットにおける安全概念を根本原理から考える必要があるとした。

 また経済産業省は安全ガイドラインを現在作成中だが、フォーラムで集約した意見も反映していきたいという。

 なお「安全知の連合」とは技術だけではなく社会的な体制や保険なども含めて安全を総合的に考えようというもので、サービスロボットが直面する環境はその典型例だと述べた。


基調講演 〜安全は設計者による事前責任

長岡技術科学大学 大学院技術経営研究科システム安全専攻教授 杉本旭氏
 続けて長岡技術科学大学 大学院技術経営研究科システム安全専攻教授の杉本旭氏が「安全の国際的整合化とサービス用ロボットの認証 〜愛・地球博で経験した展示ロボットの安全認証〜」と題した基調講演を行なった。

 杉本氏はまず「大変良い経験をした。先に責任を取ること、責任の問題と原因の追究を分けることで愛知万博を乗り切ることができた」と講演を始めた。愛知万博来場者は2,204万人、うち、ロボットブース来場者は264万人。万博では日本ロボット工業会で安全性ガイドライン調査委員会を作り、サービスロボット展示運用について検討を行ない、杉本氏はその委員長を務めていた。

 事故は起こるまでは確率論だが、いったん事故が起こると「誰の責任か」と確定論で扱われる。しかし、絶対安全はありえない。日本の安全は管理による事後責任が一般的だ。だが国際的には限界に対する説明による事前責任が一般的である。十分に事前に吟味を行ない、責任処理を行なっておくのである。設計者責任は事前にクローズしている。その後事故がおきたら原因追求を行なう。原因追求と責任は分けられている。だが日本の安全文化は結果責任となっている。だから後でごたごたする。

 プロダクトのベネフィットを受けるのはユーザーである。だがリスクはゼロにはできない。リスクに関しては事前の説明を行なう。ロボット固有の危険源には店頭、転落、衝突、挟まれ、突き、せん断、巻き込まれ、落下、制御故障、感電、火災、電磁波的な危険などがある。基本的には本質安全設計を行なった。たとえば人間にぶつかっても相手が倒れない程度の速度で動かすと同時に、子供がいきなり抱きついてきても倒れない安定性などだ。


 たとえばテムザックのムジローはアーム部分を丸ごと本体に収納することで内部構造とし「挟まれ」の危険性を減らした。万一に備えてイネーブルボタンを持った人間がそばで監視をした。重要なことは、設計者が事前に危険源を同定し、リスクを見積もり、リスク低減を行なって許容できるレベルまで下げ、なおかつ残ったリスクをオープンにすることだという。

 しかし、実際に事故が起きたらやはり色々言われるのが現実だ。そのために、委員会と各メーカーがどのような検討をし、実行しているのかアピールした。先に問題のありかを示し、説明することが重要だという。事故になったときの訴訟に応える準備も行なっていた。しかし本当に訴訟に耐えられるのか。「日本では残念ながら耐えられないのが現状だ」という。

 また、結局人間が見張っていなければならないようなものは商品にはならない。認証条件を満たす安全デバイスはなく、保険や認証システムもないことが課題だという。日本では欠陥があるとPLで保険が降りるが、事前に検証したものが事故を起こしたら単なる過失扱いになって保険が出なくなってしまうのだという。

 「日本の結果責任中心のモノ作りは狂っている」と述べ、もの作りにおける責任が教えられておらず、設計者が安全において軽視されていると強調した。事前にやるべきことを最大限やっておくことで、事後のゴタゴタを消しておく、それが安全の考え方だという。事故を怖がるよりもベネフィットを上げ、事前の責任を追及することが重要だと述べた。


ロボットの危険源 設計者の安全シナリオと手順

安全に関するグローバルスタンダード 責任とは責めることではなく応答だという

サービスロボットの安全設計の事例紹介

トヨタ自動車株式会社パートナー開発ロボット部 太田康裕氏
 その後事例紹介が4つ行なわれた。

 トヨタ自動車株式会社パートナー開発ロボット部の太田康裕氏は、「ロボット運用に向けた安全確保について 〜医療用デリバリーロボット〜」について紹介した。トヨタは「やさしさ」と「賢さ」をもったパートナーロボット開発を目指している。アシスタント、福祉、製造、モビリティの4つがアプリケーションの方向性だ。万博ではロボットの合奏集団や搭乗型ロボット「i-foot」を発表した。

 なお、愛知万博でのトヨタのショウの様子は「PC Watch」での記事を参照して頂きたい。

 万博後に出したアプリケーションの一つが昨年、循環器福祉学会で発表した介助用デリバリーロボットだ。複数キーワードを認識できる音声対話能力、リアルタイムに経路生成を行ない障害物を回避できる自律移動走行、物体認識、力センサーなどを備えた多自由度のアームなどを持ち、介助犬のようにちょっとしたものを取ってきてくれるようなロボットの開発を進めている。

 ごみの分別、ドアの開閉、簡単な買い物、書類の搬送などを行なうこともできるという。トヨタ記念病院で検証を行なったそうだ。

 i-footやi-swingにおいては、自動車の衝突安全検証技術を使い、キャビン内にダミー人形やGセンサーを搭載した上で実際に転倒させたり、衝突させたりして検証を行なったうえでデモをした。なおi-footは2m程度の巨大なロボットだったが、現在は人間のアイレベルに高さを合わせた第2世代モデルを研究開発中だという。万博でのデモは2,255回に達したという。ショウではダンサーがi-footの周りをはねまわっていたが、ある一定の距離を必ずとるようにしていたという。

 介助用デリバリーロボットも、より発展させた第2世代を開発中で、年内発表を目指しているそうだ。機能面のみならず安全性も高めたものを研究開発しているという。サービスロボットそのものの安全規格はないので、機械安全や産業用ロボット、自律搬送ロボットの規格などに準拠している。

 運用時の安全に対しては、発生頻度と危害の酷さをそれぞれ軸にとったマトリックスで分類しているが、機能設計だけではなく、運用面での安全に対する懸念事項が多いという。たとえば酷さの見積もりは常に最悪状況で考えるべきなのか、運用実績がない状況で発生頻度はどう見積もってランク付けすべきか、残留リスクはどのレベルまで許容されるのか。そのあたりの見積もり指標がISOで明示されるといいのではないかと述べた。また、事故発生時の報告義務や再評価の必要性もガイドラインでは明示されているといいという。

最後に国内のサービスロボット安全性ガイドライン調査専門委員会にてガイドラインを作成し、日本案をISO規格化に上げていくことが産業化においても必要だという。


トヨタ・パートナーロボットの開発コンセプト 介助用デリバリーロボットのプロトタイプ。イメージは介助犬 音声認識能力を持つ

【動画】ステレオビジョンを使って物体認識を行ない、マニピュレーターでペットボトルを把持する様子(プレゼンを再撮) 【動画】マニピュレータの動きを横方向から(プレゼンを再撮) 【動画】人と共存するために力センサーを使った安全機能を持つ(プレゼンを再撮)

その他の用途 ロボットの危険源の一部 参照した規格

安全の3ステップ 運用面の懸念事項をクリアにするガイドラインが欲しいという

松下電工株式会社生産技術研究所ロボット技術開発グループ 三谷宏一氏
 松下電工株式会社生産技術研究所ロボット技術開発グループの三谷宏一氏は、「屋外用自律走行型掃除ロボット『SuiPPi』の安全確保」を紹介した。

 松下電工は平成17年に病院内自立搬送ロボットを開発している。自律移動ロボットをさらに屋外でも活躍できるように発展させたのが掃除ロボット「SuiPPi」だ。サイドブラシとメインブラシを使って、万博のグローバルループ上を夜間に掃除した。清掃作業は58日間、清掃移動距離は3台で69.5km。収集したごみの量は61.5kg。清掃エリアまではトラックに積んで運搬していた。

 バッテリが重く、重量500kgの大きなロボットであるため、身体はさみ、暴走衝突、踏みつけ、落下、足の押しつぶしなどを防ぐために、センサを多重化たりバンパーを二重にする、ブラシ材質を人間が触れても危険がないものにするなどの設計を行なった。移動速度は秒速25cmとゆっくりにし、人間が1台につき1人監視の状態で行なった。

 掃除ロボットは環境側の安全対策をすれば実用的なアプリケーションだと述べ、今後の課題として、より小型軽量化し、障害物検出技術や運行情報記録の向上、そして車検のような強制点検制度が必要だと述べた。


松下電工のロボット 掃除ロボット「SuiPPi」の内部機構 リスク評価指標のマトリックス

二重バンパー構造を採用 掃除用ブラシは人に触れても危険性がないものにした 操作レバーや速度などにおける安全確保の例

三菱重工業株式会社の日浦亮太氏
 三菱重工業株式会社の日浦亮太氏は「コミュニケーションロボット『wakamaru』におけるリスク低減」を紹介した。「wakamaru」は一般販売もされていた。そのためにはリスク低減が必須の作業だが、ロボットにはどういうモータを使えば安全かといったことを示す、安全に関する個別規格がない。そこでより一般的な原則に戻ってリスク低減を行なうことになる。家庭用に販売するためには、センサーを多重化するなど冗長化による高度な安全技術の実現も難しい。そのなかで本質安全の追求と確認を主としたリスク低減が必要になる。

 三菱重工業では、評価手法としてMIL-STD-882Dという規格を用いて評価基準を決定した。リスク評価のためには使用者や使用環境の決定が重要だという。さまざまなユーザーを想定し、稼働環境に前提を設けることで、それぞれに対してリスクを決定し、wakamaruを譲渡や廃棄した場合も想定してリスクを検討した。また社内エンジニアだけではなく、コンプライアンス担当のほか、社外コンサルタントを含めたチームでリスク検討を行なった。

 さまざまなリスクを見積もりしていく。それぞれに対してどうするべきか、たとえばどのような注意書きを貼るか、どのような規格を参照するべきか検討していく。

 本質安全に関しては、本当にどの程度大丈夫なのか、実験によって証拠を積み重ねていく必要があると判断し、独立行政法人日本自動車研究所に委託して、3歳児のダミー人形を使って、ロボットが腕を叩いたり、転倒したりしたときの評価を定量的に行なった。数値は自動車安全基準に用いられるHIC(Head Injury Criteria)値を使った。wakamaruは500を基準にしたが、転倒して人の上に倒れると1,400くらいの値になってしまい、そのようなケースでは本質安全は達成できないと判断され、できるだけ倒れないように重心を下げると同時に、倒れる危険のある場所での運用は行なわないようにした。

 一番、動作速度が速くなる手先についてはシームレス化にして、目を万一こすったときにも傷がつかないようにバリをなくした。わきの下は25mmほど隙間が空くようになっており、はさんだときにも指を引き抜けるようになっている。残存リスクにおいては、子供向けのマニュアルを別途作成し、特に心配される危険性を伝えるようにした。

 第3者評価としては、NPO安全工学研究所に対して安全性を開示し、外部評価を行なっている。


wakamaru。2005年に一般家庭向けに限定販売を行なった wakamaruのリスク低減の考え方。市販のため低コスト化も課題に 評価基準策定用のマトリックス

使用環境の決定が重要だったという 危険源を社外の専門家も含めて検討し同定 リスク評価のためダミー人形を使って試験

手先もバリをなくすなど配慮 可動部はすき間が出来るようにした 子どもと保護者向けのマニュアルで残存リスク伝達を試みた

綜合警備保障株式会社 開発技術部機器開発室 課長代理 下笹洋一氏
 最後に、綜合警備保障株式会社 開発技術部機器開発室 課長代理の下笹洋一氏が「屋外警備案内ロボット『ガードロボi』の安全対策と愛・地球博での運用結果」について紹介した。

 現在、労働者人口は減少傾向にあるいっぽう、警備需要は増加しており、警備員の労務単価は下降傾向にある。綜合警備保障は'82年から警備ロボットの開発を行なってきている。昼間の案内機能も付加され、2002年に販売開始された「ガードロボC4」はさまざまな形にカスタマイズされて活用されている。

 万博で運用された「ガードロボi」は、屋外警備を警備センターや警備員、機械警備とも連動して行なうロボット。高さは147cm、幅85cm、奥行き99.5cm、本体重量190kg。安全に関してはISO12100に準じたリスクアセスメントを行なった。非常停止スイッチを複数設置、無線停止スイッチも備えた。非常停止スイッチをスタッフが置くケースはなかったが、とにかく子供にバンバン押されてしまい、運用に支障をきたすこともあったという。無線式のイネーブルスイッチは半押しのときだけロボットが動くという状態のものを用意していた。

 非常停止をすることはなかったが、カラーボール発射口に指を入れたままロボットの上体を回されてしまうことが懸念されたので、実験時以外は蓋をしてしまった。今後の課題としては残留リスクの減少による人を必要としない運用を実現すること、それと非常停止ボタンの必要性の検討だという。ボタンがあるととにかく子供は押してしまう。押されると停止してしまうため、警備業務はできなくなってしまう。それで本当に非常停止ボタンは必要なのかという議論が行なわれているそうだ。


ALSOKは'82年からロボット開発を行なってきた 「ガードロボi」運用イメージ 今後の目標は移動エリアの拡大

非常停止スイッチをロボット前後に複数設置 遠隔からの停止用に無線式3ポジションイネーブルスイッチを採用 緊急対応体制

サービスロボットの損害保険商品とは?

東京海上日動火災保険株式会社公務開発部 上田佑介氏
 続けて2件、話題提供が行なわれた。

 東京海上日動火災保険株式会社公務開発部の上田佑介氏は、「サービスロボットにかかわる保険の役割や考え方」と題して発表した。損害保険は時代の流れに対応して、航空保険や旅行障害保険、原子力関連の保険、最近では個人情報漏洩保険、糖尿病特定障害保険、末梢血管細胞ドナー団体障害保険など各商品を開発してきた。主力商品は自動車保険だが、今後の商品としてロボット保険が検討されている。

 ではロボットに関連する保険とは? 保険商品なので、誰にとってのリスクなのか、ロボットに関連するリスクとは何か、と2つに分けて考えるのが分かりやすいという。メーカーにとってのリスクとしては、何かあったときの賠償リスク、納入したロボットが故障したときの修理などの物的損害リスク、リコールなどにおける経済損害リスク、ロボット暴走による開発者がけがをするなどのケースにおける障害リスクなどが考えられる。

 ユーザーにおいては自分が操縦・運転したとき、あるいは情報漏えいの賠償リスク、偶然の災害などにおける物的損害リスク、ロボットが壊れてしまったときの代替人員の手配や破損による営業停止による売り上げ減に対する経済損害リスク、障害リスクなどが考えられる。

 上記はロボットに比較的慣れているユーザーの場合だが、より一般的な家庭での、ロボットに技術的知識がないユーザーの場合にはまた別のリスクが考えられる。

 これらのリスクに対しては、既存の保険商品でも対応可能な部分がかなりあるという。たとえばメーカーの賠償リスクはPL保険、ユーザーにおいては個人賠償責任保険、動産総合保険などの商品がある。また、産業用ロボットを対象に、ロボットに特化した保険もある。これからは技術の発展に対応して新商品を開発していくという。

 ロボット保険発想の原点はロボットのリスクと自動車のリスクが似ているのではないかというものであることから、上田氏は、ロボットと自動車の比較も示した。メーカーリスクは既存商品である程度カバー可能だが、家庭用ロボットを対象とした中小企業向けに低廉な商品開発が必要だと考えているという。またユーザーにおいては、将来的に自動車保険のようなパッケージ型商品が開発できるかどうか、また自賠責のような被害者保障の考え方に立った制度を考える必要があるとまとめた。


これからは従来商品の組み合わせではなくロボット技術の進歩に応じた保険商品が必要に 自動車のリスクとロボットのリスクは共通している

ロボット保険の方向性 自賠責のような被害者保護の観点からの保険商品検討が必要

独立行政法人産業技術総合研究所 安全知能研究グループ長 山田陽滋氏
 独立行政法人産業技術総合研究所 安全知能研究グループ長の山田陽滋氏は「サービスロボット関連の国際規格動向と制度設計」と題し、国際規格の特質、現在のサービスロボットのガイドラインがどのような考え方で作ろうされているのか、その状況、位置づけ、組織などについて講演した。安全基準は、それぞれの時代の最善を尽くして、良い技術を発展させていくように作られてきたという。

 サービスロボット関連技術の国際標準化においては多くの国内審議組織がある。山田氏はサービスロボット安全性等標準化委員会でISOに提言を進めている。ISO-10218は産業用ロボットの規格だが昨年改定され、ロボットそのものの枠組みから見直しされようとしている。これまでは柵のなかでしかロボットは動けなかったが、これからは一定の条件下で、協調が許されるようになってきている。いっぽう、日本の労働安全衛生規則とISO10218はまったく同じではない。

 サービスロボットの国際規格策定は低侵襲手術ロボット、リハビリテーションロボットなどにおいて、ISO10218との整合を取る形で検討されている。リスクアセスメントにはメーカだけではなく、サービスプロバイダーや保険関係者なども加えて議論していくという。

 技術を発展させるためには、社会的な構造や制度作りを、お互いに責任分担しながら進めていく必要があるという。現在、日本では安全性ガイドラインを年内にまとめるようにすすめている。

 なお山田氏による安全に関する講演レポートは産総研によるオープンハウス2006の記事でも掲載しているので合わせてご覧頂きたい。


サービスロボットの国際標準化に関する国内審議組織 社会的責任の分担化が必要 日本のサービスロボット関連の安全性に関する検討体制

パネルディスカッション
 最後に関係者によるパネルディスカッションが行なわれた。会場には安全に関する専門家のほか、ホンダやNECなどのロボット関係者もおり、実務的な質疑応答が飛び交った。保険のありようや、安全とコスト、ベネフィットの関係などの話題も出て、議論は時間いっぱいまで続いた。

 サービスロボットの安全性は、考え始めるときりがない。どこからどこまでをメーカーが負担するリスクとするかは、単にメーカーとユーザーだけが決めるわけではなく、サービスロボットが市場に投入される過程で徐々に社会全体が合意形成していく問題だ。これからも議論は続くだろう。


URL
  社団法人日本工学アカデミー
  http://www.eaj.o.rjp/
  【2005年2月1日】NEDO、愛・地球博におけるロボットの安全基準を公開(PC)
  http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0201/nedo.htm

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「ロボットビジネスシンポジウム〜今後のビジネス潮流を読む〜」レポート(後編)(2006/10/30)


( 森山和道 )
2007/02/02 00:34

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