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カシオ「EX-F1」でロボットを撮る!
~ハイスピード撮影のススメ

Reported by 大塚 実

 発売からそれなりに時間も経っているので、カシオ「EXILIM PRO EX-F1」についてご存じの方も多いだろう。この製品のすごいところは、これまで高価な業務用カメラでしかできなかったようなハイスピード動画の撮影を、10万円クラスのコンシューマ機で実現してしまったことだ。このインパクトは非常に大きい。

 まだ気軽に手を出せるような価格ではないものの、これで一般にも高速度撮影の門戸が開かれたと言ってもいいだろう。この製品の機能の概要については、デジカメ Watchのレビュー記事などを参照して頂きたいが、ここではRobot Watchらしく、ロボット関連での活用方法を紹介してみたい。


カシオ「EXILIM PRO EX-F1」 3種類の動画(HS/HD/STD)を撮影できる

ではバトルをスローで

 まず考えられるのは、バトルなどの競技会での撮影だろう。最近のロボットの動きは非常に速い。特に、放り投げて空中で姿勢制御するROBO-ONE宇宙大会などでは、EX-F1がなければ何が起こっているのか全く分からないほどだ。森山氏のレポートのなかでも、EX-F1を使って撮影しているので、そちらを参照してもらいたい。

 EX-F1のハイスピード動画の撮影は、300fps/600fps/1,200fpsの3種類があるが、使ってみた感じでは、通常撮影時(スタンダードモード、30fps)の10倍に相当する300fpsで十分だ。これ以上になると、画面が小さくなる(600fps時で432×192ドット、1,200fps時で336×96ドット)、暗くなる(光量が必要)などのデメリットが大きくなってくるので、よほど高速な動きでもなければ、あまり選択することはないだろう。前述のレポートでも、全て300fpsで撮影している。

 ハイスピード撮影と言っても特に難しいことはなく、通常の動画を撮影するのと感覚的にはあまり変わらない。ただ当たり前ながら、通常の動画よりもファイルサイズは大きくなるので、メモリ不足にだけは気を付けよう。


4GBのメモリカードを入れてみた。通常の動画(640×480/30fps)なら3時間ちょっと撮れる 300fpsのハイスピード動画では、30分間くらいしか撮影できなくなる 撮影時間は600fpsでも同じくらいだが、画像サイズ(淡い色の部分)は小さい

1,200fpsではさらに撮影エリアは狭くなる。撮影可能な時間はほぼ同じ 参考までに、FHD動画(1,920×1,080)の撮影エリアはこうなる ハイスピード動画のメニュー画面。30-300fpsでは撮影中に速度の切替が可能

 ちょうど、今月20日(日)には「わんだほー ろぼっと か~にばる」が開催されたので、会場にEX-F1を持ち込み、色々と撮影してみた(スピードは全て300fps)。以下に面白そうなシーンを掲載するのでご覧いただきたい。


【動画】サアガvsガルー。ガルーの突きでサアガが吹き飛ばされる 【動画】激しくやり合う両者。通常撮影の10倍(300fps)でこの動きということに注目して欲しい 【動画】投げを狙いに行くサアガだったが惜しくも失敗

【動画】これだけ飛ばされても倒れないサアガのバランスの良さはすごい 【動画】今回最大の衝撃映像はこれ。サアガがT-Stormをバックドロップで投げた! 【動画】これはガルーvsうし君。ガルーがひっくり返される

【動画】同じ試合で、今度はうし君が押し出されるシーン 【動画】ランブルでの1シーン。箸の攻撃はかなり怖い 【動画】バトルではないが、これはガルーのスローイン

モーションの改良にも

 こういった撮影を楽しむほかに、EX-F1には、モーションの改良に役立てるという実用的な使い方もありそうだ。今回、EX-F1はROBO-ONE宇宙大会の撮影用に編集部から貸与されたものなのだが、同時開催のROBO-ONEサッカーに筆者は参加していたので、ハイスピード撮影の練習も兼ねて、事前にちょっと使ってみた。

 大会前に機体に大幅な改造を加えてしまったため、直前になってからモーションを作り出したのだが、最初に作成したキックモーションは威力がイマイチ。スローで見ると、蹴り出しのスピードが乗り切る前にボールに当たってしまっていたようなので、脚を少し引いて勢いをつけるようにしたら、転がる距離がそれだけで50cmくらい伸びた。


【動画】最初のモーション。もともと「すぐに打てる」ように作ったものなので、威力がないのは分かってはいたのだが。軸足が滑っているのも影響しているかも 【動画】改良モーション。威力は出たのだが、反動で体が後ろに下がっており、そのせいで射程(脚が届く範囲)は短くなってしまった。そのあたりは今後の改善点だろう 【動画】失敗例。もっと勢いをつけようとしたら、足先がカーペットに引っかかってしまった。肉眼だと一瞬だが、スロー動画だと原因が分かりやすい

 もちろん熟練者になってくると、こういったことは動きを見ただけで何となく理由が分かるようになってくるが、経験の浅い初心者はそうはいかない。モーションデータをいじって、逆に悪くなったりすることも多いだろう。EX-F1のハイスピード撮影は、うまくいかなかった原因を探るためには、有効なツールとなりそうだ。


「買い」か「待ち」か

 最近になって、実売価格が9万円を切る価格も見るようにはなったが、コンパクトデジカメとしてはまだまだ高いEX-F1。しかし、現状では他にハイスピード動画撮影の選択肢がないので、やりたいことが決まっているようなら、迷わず「買い」でいいだろう。それだけの価値はある。ただ、そうでないのなら、逆に待つのも悪くない。

 手ぶれ補正や顔認識などが一般的な機能になったように、ハイスピード撮影も今後、どんどん搭載されるようになるかもしれない。筆者としては、EX-F1がもう少し安くなったあたりを狙うか、あるいはコストダウンされた後継機や他社製品が登場するのを待つか。ROBO-ONEサッカーで優勝していたら(※賞金100万円)、迷わず買うところなのだが……。


URL
  カシオ「EXILIM PRO EX-F1」
  http://dc.casio.jp/product/exilim/ex_f1/
  【2008年6月27日】【新製品レビュー】カシオ「EXILIM PRO EX-F1」(DC)
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/review/2008/06/27/8744.html

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「ROBO-ONE宇宙大会選抜競技」レポート
~さらに難しくなった「投げロボ」チャレンジ(2008/07/08)



2008/07/28 00:22

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