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通りすがりのロボットウォッチャー 自動車とロボットは同じになる?
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Reported by
米田 裕
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自動車のロボット化やら、ロボット技術の自動車への応用なんてことが考えられているようだが、自動車のロボット化と聞いて、私の歳ぐらいだとすぐに思い出すのが1965年から放映されたアニメ『スーパージェッター』の「流星号」だ。
実際には流星号はタイムマシンなのだが、事故によりタイムマシン機能が故障し、20世紀から動けなくなった。
それでも、30世紀からきた乗り物なので、さまざまな特殊能力を持っている。
マッハ15で空を飛ぶことができる。マッハ1は時速1,225kmだから、マッハ15は時速18,375kmということになる。おもわず計算してしまったが何と比較していいのかわからないほど、とーっても速いということがわかるだろう。ちなみに第一宇宙速度はマッハ23らしいので、それよりは遅いみたいだけど。
アニメのなかでは、マッハ15で飛行すると、大気との摩擦で本体が発熱し、光り輝くとしていた。
そして、いきなり海に潜ったりしちゃうし、胴体は粘土のようにクニクニと曲がるし、電子頭脳を持っていて人の言うことがわかる。
呼ぶとどこからでもやってくるかわいい奴なのだ。さすがに30世紀の乗り物だと感心していた。
でも、メーターはアナログだったなぁ。
もう少し若い世代だと、1982年から放映された特撮テレビドラマ『ナイトライダー』にでてくる「ナイト2000」という自動車だろうか? 人工知能を搭載していて、話すことができ、人間のマイケル・ナイトとともに悪の組織と戦うというドラマだ。
話すときには、自動車前部にある赤いライト部分が流れるように点灯し、会話とシンクロしていた。
あたかも自動車が話しているように見える演出上の工夫か、人とのコミュニケーション理論から導き出されたものかはわからない。
こちらは、ロボット自動車といっても、かなり現実に近い(というかトランザムという自動車がベース)姿なので、人工知能さえできれば、すぐにでも登場しそうなイメージだった。
● 自律するってやっぱり大変そう
しかし、子供のころにこうしたロボット自動車(?)イメージを持ってしまうと、そのロボット自動車を実現させることが、どれだけ大変なのかもわかってくる。
21世紀となってまだ日も浅いが、20世紀のうちには21世紀になればいろいろなことが実現すると思われていた。結局、宇宙旅行やリニアモーターカー、エアカーの飛び交う未来の光景はまだ見ることもできずにいる。
いまのところ、ロボットの知能や認識の問題はクリアされてないし、ロボット自身による自律的行動となるとまたまたむずかしい。
自動車は走って移動するものだ。わずかな時間でも距離を移動する。そのため、運転者は刻々と変わる状況を認識し、いつも判断しつづけないといけない。
咄嗟の場合には止まるのか、コースを変えるのか? さまざまな要素のなかのひとつを選択しないとならないのだ。
これは速度が速くなるほど考える時間は少なくなる。
こうしたことを自動車に認識させ、思考、判断をくだし、動作をさせるとなると、時間の制約もあるし、刻一刻と変わる周囲の状況もあって、どうすりゃいいのかというのが現状だろう。
現在、レーダーを前部に装備し、前車との距離が不用意につまるとブレーキをかけるというシステムを組み込んだ自動車も販売されているし、赤外線によって夜間の視界を補助するシステムもある。
人の補助をするわけだが、人に代わって自動車が運転をするわけではない。自律的に動く自動車が、もし事故を起こした場合、どうなるかという法律もない。
それでも、人の補助をするための自動車のロボット化は推し進められていくのだろうね。
それには、自動車だけでなく、道路や街中のインフラ整備も必要となり、どんどん大規模になっていきそうだ。
といっても、現在のカーナビに使われているGPSなんてのも、地球のまわりをまわる29個の衛星によって構築されているわけだから、規模的にはかなり大きい。
● 開発の原動力はやっぱり軍事
こうした規模のものを構築させたのは、軍事利用のためというのが寂しいところだけど、ロボット自動車も、米国防総省が力をいれているもののひとつだ。砂漠や荒れ地を走るレースでは、すでにコースを走りきるレベルの自動車ができている。
212kmの距離を約7時間で走るというから、平均では時速30kmぐらいで走るわけだ。速いのかどうかはビミョーなところだ。
そして、昨年末には市街地を模したコースでのレースがあったそうだ。今度は交通法規を守ることも加わり、難易度はぐんと増している。
60マイルのコースを安全に交通法規を守って6時間以内に走りきるというルールだそうで、出場11チームのうち3台が時間内にゴールし、合計6台が完走したということだ。
小さな接触はあったようだが、大きな交通事故はなく、コースをはずれた自動車も障害物直前で止まったとされているが、実際のところは、障害物と接触し、それを人の手でどけた場合もあったとのことだ。
これによって、ロボット自動車への道が開けたということだが、まだまだ道のりは険しそうだ。
● 自動車との会話で深まる関係
ロボット自動車というと、人と話すイメージがあるけど、こうした方向ではどうなっているのだろう?
日産の「PIVO2」のダッシュボードには、「PaPeRo」風のロボット頭部がちょこんと載っている。
このロボット頭部が話したりするのだが、それだけでもクルマへの愛着度は高まるという。
この頭部はそれだけでなく、カメラを搭載し、運転者の様子を観察している。眠くなってきているとか、疲れているとか、顔面を認識して、それに応じた対応をするのだそうだ。
このロボットの声がどんなものだかわからないが、現在ではヴォーカロイドの「初音ミク」なんていう、かなり現実の人間のように発声できるシステムもある。
自分の好みに合わせて、男声や女声、さらには細かなパラメーターをいじってくれるなんてことが、自動車販売時のサービスとなるかもしれない。
一昔前の自動車で、「シートベルトを締めてください」など、録音された声がやたらと流れる時代があったが、インタラクティブでもない会話では、ただうるさいと思われるだけだったのか、いつの間にかすたれてしまった。
やはり、人は関係性のある会話でないと興味をなくしてしまうのだ。
● 交通社会をすべてアシストしたいもの
交通システムの中で考えると、自動車、自動二輪、自転車、歩行者といったものが道路上を走っている。
自動車や自動二輪は本体価格も高いので、そこにハイテク技術を盛り込んでいっても、それほど高いとは感じないが、自転車になるといきなり高価に感じる。
安いものでは本体価格が1万円もしないものがあるが、電動アシスト自転車となると、7万円以上となる。
自転車にロボット技術が必要かと言われれば、この先、交通システム全体をロボット化していくのなら、そこに制御されない要素があるのは不確かさを増す原因となるので、なんとかしたい部分となると考えられる。
現在の自転車は、交通社会の一員であるという意識がないために、自転車による事故は増えている。自動車による事故が減っていることと比べると恥ずかしいかぎりだ。
こうした考えでいくと、歩行者にも交通社会の一員であることが求められるが、いま、気になるのは高齢者の増加によって、歩行することが衰えている人の場合だ。
老齢で足腰が弱っていたり、脳卒中で身体の自由がきかなくなっている人が、歩行をする場合に、他者との速度差も危険だし、歩けないからと福祉用電動車両(電動カート)に乗っていることがあるが、車道を走っていると危険だし、歩道を走っているときには人に対しても危険がある。
法規上は車いす扱いなので、歩行者と同等になるという。それでも、最高時速は6kmまでとなっているし、前照灯やクラクション、ウィンカーなどの保安部品装着の義務もないし、損害保険への加入もいらない。
重量的には70kG~100kgほどあるとのことだから、なにかのはずみで転倒すればかなりあぶない。
ホンダでは、そうした電動カートではなく、「装着型歩行アシスト」装置のプロトタイプを発表している。
歩行するときの脚の動きをモーターで補助しようというものだ。発想的には電動アシスト自転車に近いものといえるだろう。
腰の部分にバッテリやコンピュータの入っている部分があり、大腿部の外側に沿ってアームとモーター機構がある。
ちなみに、このバッテリ部分がもし前にあったらライダーベルトみたいだ(笑)。
まだプロトタイプとのことだが、歩行の補助としては電動カートよりはいいのではないだろうか。
二足歩行ロボットの研究を長年続けているホンダらしい機器といえる。今後の開発に期待したい。
● 遠くでつながる同じ道
こうしてロボット自動車を考えてみると、外部の認識、周囲の状況の判断、自己の位置づけ、人とのコミュニケーションなど、ロボットそのものと変わることがないように思える。自動車だから簡単とは考えない方がよさそうだ。
人が乗り込んで動く二足歩行タイプのロボットはむずかしそうに思えるが、すでに人が乗り込んで、人の移動能力の拡大や補助をしているのが自動車だ。
日本ではロボットの開発を自動車メーカーが担っていることには必然性がありそうだ。
人のパートナーを目指していることに変わりはなさそうだし。
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・ 通りすがりのロボットウォッチャー ロボットデザイン考(3) 家に置きたいロボットデザインとは?(2008/05/02)
米田 裕(よねだ ゆたか)
イラストライター。'57年川崎市生。'82年、小松左京総監督映画『さよならジュピター』にかかわったのをきっかけにSFイラストレーターとなる。その後ライター、編集業も兼務し、ROBODEX2000、2002オフィシャルガイドブックにも執筆。現在は専門学校講師も務める。日本SF作家クラブ会員
2008/05/30 00:44
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