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ROBO-ONE発の「お手伝いロボット」プロジェクトがスタート
~2足歩行ロボットの大型化が一層加速か?


 ROBO-ONE委員会は10日、川崎市産業振興会館にて「お手伝いロボットプロジェクト」の説明会を開催した。このプロジェクトは、人間の役に立つロボットの実用化を目指すというもの。第1回は「お買い物」がテーマとなっており、予選が8月17日、決勝が9月6日に実施される。


説明する西村輝一・ROBO-ONE委員会代表 説明会にはROBO-ONE常連選手が出席していた

 同プロジェクトの主催・運営はROBO-ONE委員会、共催はかわさき・神奈川ロボットビジネス協議会。今回の説明会は、参加予定者に対して主旨を説明するとともに、協力企業との連携を促す場として設けられたもので、会場にはROBO-ONEの常連選手が多数集まったほか、同協議会に所属する会員企業の担当者の姿も見られた。


ロボット版“初めてのお使い”

 本来のROBO-ONEは格闘技の競技会であるが、この「お手伝いロボットプロジェクト」では、人間の役に立つロボットの開発を目指す。今後、継続して開催される予定で、第1回目は「お買い物」を課題とし、川崎地下街「アゼリア」を舞台に決勝が行なわれる。賞金は最大100万円。優秀なロボットについては、商品化も検討されるという。

 まずは8月17日に予選競技が開催される。競技の内容は、

(1)卵を掴んで容器に移す
(2)Tシャツを畳んで片付ける
(3)30分間の周回レース

となっており、この上位10台が決勝に進出することができる。

 9月6日に行なわれる決勝では、

(1)ロボットファッションショー(100点)
(2)特設ショップでのお買い物(300点)

によって点数が争われる。


予選の内容 こちらは決勝 競技規則案

 ロボットのレギュレーションはROBO-ONEに準じているが、お買い物時に商品は高さ30cmの台上に置かれるということで、ある程度の身長は必要となりそうだ。そのため足裏サイズは第13回大会よりも緩和されており、特に5kgオーバーでは長さが30%→40%、幅が20%→25%と作りやすくなった。また重心規定も廃止された。

 一方、ROBO-ONEとの大きな違いは、遠隔操作がベースとなることだ。利用者が自宅から操作することを想定しているためで、操縦も視認も全てインターネット経由で行なう必要がある。ロボットを直接見て操縦することはできない。また「値切るのが重要」(西村輝一・ROBO-ONE委員会代表)ということで、音声の送受信機能も必須とされる。


ネットタンサーをハック!

 こういった機能を比較的簡単に実現する製品として、バンダイの芳賀義典氏からはホームロボット「ネットタンサー」が紹介された。


バンダイの芳賀義典氏。ネットタンサーからの映像がスクリーンに出ている PCからWAVファイルを転送して、ネットタンサーに喋らせることも可能だ

 ネットタンサーは、ネットワーク経由で搭載カメラの映像を見たり、操縦できたりするロボットである。無線LANが最初から搭載されており、映像を見たりコマンドを送ったりできるので、ロボットを遠隔操作するにはもってこいのプラットフォームなわけだ。ネットタンサーは頭の「ネットワークユニット」とボディの「タンサーボーグ」で構成されるが、芳賀氏からはネットワークユニットを使って自作ロボットを制御する方法が説明された。

 ネットワークユニットとタンサーボーグの間はシリアル接続されており、ユーザーがPC上で操縦操作を行なうと、移動機構を持つタンサーボーグに対してコマンドの文字列が送信される。自作ロボットのマイコンでこのコマンドを受け取れるようにしておけば、ネットワーク経由で操作することが可能となる。


ネットタンサーのブロックダイアグラム。ネットワークユニットにはWebサーバー機能が搭載されており、PCからはHTTPで接続できる 例えば前進ボタンを押すと、“fd,20,15”という文字列が送られた。“fd”が前進で、残りの数字はパワーや移動距離などのパラメータだ 右旋回の場合は“rt,20,360”となった。自作ロボットの場合は、数字のパラメータを全く違う意味にしてもいいだろう

 製品のWebサイトには、実際に自作ロボットと組み合わせた「フラワームーブメント号製作記」などが掲載されているので、技術的な参考になるだろう。

 ところで、自作ロボットに組み込むとなると、ガワなどはなるべく外してしまいたいところだが、そうなるとメーカーサポートが受けられなくなるという問題がある。これについて芳賀氏は、「原則的にはバラすとサポート対象外となるが、このプロジェクトに参加するのであれば、多少バラしても面倒を見る」という太っ腹なコメントを述べていた。


課題クリアも見えた?

 主催者側からの説明の後、参加予定者によるデモンストレーションが行なわれた。プロジェクトが発表されてから間もないため、実際の競技に関連したものは少なかったが、中には果敢にも課題に挑戦したロボットもあった。


やはり大型ロボットの出番ということで、ロボットフォース佐々機氏のファイブが登場。今回は頭が付いている 【動画】頭の中にネットタンサーが入っているが、固定しておらず、グラグラの状態。しかしそれでも平気で動くのが大型機のいいところだという 【動画】こちらも大型、クボ氏のGAT。今回は歩行と攻撃のモーションを披露しただけだった

森永英一郎氏は製作途中の大型機「ヘビメタ」をデモ。上半身はまだできておらず、いままでのものが繋がっている くぱぱ氏とくまま氏は現行のクロムキッドとガルーを持ち込んでいたが、新たに大型機を作ることを表明した 【動画】クロムキッドはハンドユニットを装備しており、蛇口をひねるデモを行なっていた。体をうまく使っている

「さすが」と思わせたのはキングカイザーのマルファミリー。今回はマスタースレーブにパワーグローブも追加していた 【動画】感圧センサーを自作して、卵を割らないように持つことができる。感圧センサーはポリウレタンフォームとマイクロスイッチで作ったそうだ 【動画】残念ながら失敗してしまったが、Tシャツを畳むモーションを早くも実装していた。ただこのプロジェクト用には新しいロボットを開発するという

ドカファイターズも頭にネットタンサーを載せていた 【動画】ワイヤーで動くハンドユニットで卵を持つことに成功 【動画】スギウラファミリーはダイナマイザーで芝刈りに成功したと

URL
  ROBO-ONE
  http://www.robo-one.com/
  かわさき・神奈川ロボットビジネス協議会
  http://www.robot-net.jp/
  川崎地下街 アゼリア
  http://www.azalea.co.jp/


( 大塚 実 )
2008/05/12 13:52

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